ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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ただそこに
日時: 2010/08/23 16:47
名前: 神無月 (ID: XOYU4uQv)

どうも。神無月です。

文才が果てしなくないため、意味のわからないものになると思いますが・・・(汗

生温かい目で見守って下さい!

《お客様》
    アキラ様 ユエ様 白蝶様 Nekopanchi様
    
    @遮犬@様 月兎様 白兎様 故草@。様

    スサノオ様


《イメージソング》

日比野陸 >>140
日比野沙羅 >>141
郡上巽 >>142
東雲晃孝 >>143

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Re: ただそこに ( No.49 )
日時: 2010/06/17 16:03
名前: 神無月 (ID: XOYU4uQv)


「お久しぶりですね」



嫌でも耳に入るのは、その美しい顔に引けをとらないほどの麗しい、声。

中性的で、男とも女とも見受けられる顔のつくりは異様なまでに整っており、見る者は見惚れ、そして同時に畏怖の念を抱かざるを得ない。

美しさを超越するまでの、圧倒的な美。

それほどまでに整った顔の人間を、陸は今までに見たことがなかった。_目の前にいる、この男を除いては。

その男_郡上巽(ぐじょう たつみ)は、その美しい顔に笑みを浮かべて言った。





_それは、終わりを告げる、聲。




「お迎えにあがりましたよ。・・・NO.零」




聞いた瞬間、沙羅が大きく肩を揺らした。そして、心配するような目で陸を見た。しかしその目は、先ほどよりも大きく見開かれ・・・・深い、絶望の色に染まった。








_あぁ・・・・・何も、聞こえない。




周りの風景は、全て、真っ黒に塗りつぶされていた。
昔と同じだ、とどこか冷静な頭で考える。

見えるのは闇ではないことを、陸は知っていた。

闇よりももっと深いその黒が、晴れることなど・・・もう、ないのかもしれない。



耳に入るのは、ノイズ。

それが聞きたくなくて、耳を必死にふさいだ自分は・・・もう、いない。



ゆっくりと、目を瞑った。

瞼の裏で繰り返される映像は、果たして過去の記憶なのか、それともこれから起きる未来なのか・・・。

陸にはもう、何も分からなかった。





「陸・・・・・っ!!」


沙羅の、悲痛な叫びが響き渡った。

けれど、いつもすぐに返事をしてくれるその人は何も応えない。こちらを見もしない。


その様子は、まるで。


まるで、あの日と同じで。


陸が“また”消えてしまうのではないかと、沙羅は思った。また、また・・・・。


陸が、『壊れて』しまうのではないかと。




微動だにしなくなった陸を見て、美しい男はさらに笑みを深めた。


・・・ここまでくれば、あとは“呼ぶ”だけ。


そう考えた彼は、謳うように、言の葉を紡いだ。





「さあ、帰りましょう?『そこ』は、貴方のいるべきところではない。


_ねえ?



   “漆黒の堕天使”こと、NO.零よ・・・」





_あぁ・・・・・・・



   どうして生まれてきたのだろうか。









「・・・・・・・・・・・・・あぁ」





目を開けた彼は、もう今までの彼ではなくて。





そこにいたのは・・・・



  壊れてしまった かわいそうなマリオネット

Re: ただそこに ( No.50 )
日時: 2010/06/17 16:06
名前: アキラ (ID: PA3b2Hh4)

陸が「堕天使」??
郡上との関係は??
続きが気になります(>_<)

Re: ただそこに ( No.51 )
日時: 2010/06/18 01:26
名前: 神無月 (ID: XOYU4uQv)


アキラさん はい。堕天使・・・(汗
       ちゃんと意味はあるのですが、
       ななななな、名前がかっこいいから
       とかいう理由じゃないですよ!?
       全然違いますからね!?(黙

       郡上とのことなども・・・。
       がんばりますねb

Re: ただそこに ( No.52 )
日時: 2010/06/22 15:22
名前: 神無月 (ID: XOYU4uQv)


目の前で大切な人が壊れたのを見たような気がした。



「・・・・っ! 陸っっ!!」

耳に届いた声に世界が戻ってくる。誰が叫んだのか、誰の名を呼んだのか。理解する前に無意識のうちに校門を見た。

_でもそこに、もうあの黒い車はなくて。

ふと横を見れば、いつもそこにいたはずの片割れもいなくなっていた。


_________あぁ・・・・



もう、どうでもいい。



「っ!?沙羅!!」



薄れていく意識の片隅で、自分の名を呼ぶ声を聞いた。返事をしようとしたが、かすれた声にならない声しか洩れず、そのまま意識を失った。



  ______________________





白い、白すぎるほどの建物があった。
なんの装飾もしていないそれは、無機質で冷たいものだった。

ここで、どれほどの人の命が消えたかなんてきっと誰もしらない。

現に、そこで働く職員ですらもその数をしらなかった。

知っているのは、より深くまで立ち入ることを許された人間のみ。

そこに・・・後に『Dark Wonder』と称されたその日に、〝奇跡の子〟が再び足を踏み入れた。


_ 運命は 時にしてとても残酷だ _





   ________________________





「なぁ、シンデレラって知ってる?」


幼い声だった。けれどとても大人びた声。


「シンデレラ?知ってるよ。ガラスの靴のお話でしょう?」


こちらもまた幼い声。ただ、先ほどの声よりも少し高い、少女と思われる声だった。


「うん。シンデレラって、とても残酷だよな」


ざんこく。それがどういう意味か少女は知らなかった。でも、ここで知らないと言ったらその人が黙ってしまうと思って小さく頷いた。


「だって、シンデレラは結局お姉さんたちを不幸にしたんだろ?」


ふこう。これは知っている。だからこそ少女は思った。どうしてだろう、と。


「どうして?」


少年はゆるりと口を開いた。


「だって、シンデレラが舞踏会に行かなければ王子様はシンデレラを探さなかったし、お姉さんたちも足を切り落としたりしなかっただろ」


少年が話しているのは本当のシンデレラのことだろう。子供向けに改ざんされた優しい物語なんかではない、人の心をえがいた、醜い夢物語。


「シンデレラはとても欲張り。

・・・でも、シンデレラが本当に欲しかったものは手に入りはしない」


少女は、少年の言葉に静かに耳を傾ける。
良く見ると、とてもよく似た_いや、全く同じ顔をした二人だった。


「・・・なぁ、嘘をつきすぎた少年はどうなったと思う?」


突然変わった話にも少女はただ思ったままに答える。


「男の子は、優しい女の子に救けられたのよ」


そんな少女に少年は微笑んだ。それは、年相応の笑みではなく、もう全てを悟ったような・・・そんな笑みだった。


「・・・そうだな。そうだったらいいな」


___本当は、オオカミに食べられてしまったのに。




それは、物語が始まる前のお話。少年が壊れ、少女が壊れ・・・全てが狂いだす前の、幸せなお話。


そして歯車は回り始めた。

もう二度と、救われることのない混沌の闇へと

物語は続いていく・・・・。

Re: ただそこに ( No.53 )
日時: 2010/06/22 17:24
名前: アキラ (ID: PA3b2Hh4)

シンデレラの本編はしってます。
あれ、けっこうグロいですよね(@_@;)

少女はまだ少しだけ純粋な部分があるけれど、
少年は少し冷静、闇も知っているような気がします。

二人がどうなったのか気になる!!!


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