ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 日常+@ 完結しました
- 日時: 2010/12/23 10:11
- 名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v=l1Ryaz_fK6c
.
題名の読みは 「にちじょう ぷらす あるふぁ」 です。
そのままですね。
重たくて暗い内容になると思いますが、ご了承ください。
登場人物 >>2
イメソンは参照にあります。
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- Re: 日常+@ ( No.76 )
- 日時: 2010/12/05 12:07
- 名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
- 参照: http://yaplog.jp/akirahayate/
.
『水色エトセトラ』
目が覚めると、誰もいなかった。
アホ兄貴もキキもトーマも。 全員がいなかった。
「……………ああ?」
いた。
アタシのお気に入りのベッドの上で。
猫みたいに丸まってるトーマが。
「だああああああああああっっ!!」
「びべばぶぶぶぶっ」
蹴り飛ばした。 遠慮なく。
トーマはベッドから転げ落ちて、豚みたいな悲鳴をあげた。 ざまーみろ。
「なにすんねんっ! 蹴りかますとか行儀悪うないか?」
「うっさい! なんでアンタがここに居んのよ!」
「寝かしてくれたってええやないの、水色ちゃん」
「ちゃんづけしないでよね、気持ち悪いっ」
「水色」 「……………」
真顔でそう呼ばれると、逆に困るんだけどな。
「あ、今照れてへん?」 「自惚れんなっ」
あー、ムカつく。 この大人と居るとイライラしてくる。
自分で言うのもアレだけど、口より先に手が出るタイプだと思う。
「てか、アホ兄貴は? おなかすいたんだけど」
「真夜さんなら出て行ったで。 キキ連れて」
「…………今何時」
「昼もう過ぎよるよ」
起こせよ!!、の意味を込めて思い切り頭を叩いてやった。
それなりに痛がっていた。
「もうやめてえな。 オレの方が大人やで」
「おなかすいた。 何か作れ」
バカの話は聞く気にもならない。
文句を言いながらも冷蔵庫を漁るトーマ。 メシ作るのだけは上手いんだよね。
「何食べたいんかなあ」
「何でもいいつってんでしょ」
ヘラヘラ笑っていて、何を考えているのか分からない。
バカ兄貴と、少し似てる。 ああでも、バカ兄貴はカノジョの事しか考えてないか。
「あ、帰ってきたっぽい」
玄関の方から音がしたから、行ってみる。
予想通り、そこにはアホ兄貴とキキがいた。
「なにやってんのよ。 帰ってくるな、アホ兄貴」
「ひっでー妹。 ヒステリックチワワ」
「ひす………っ。 チワワじゃない!」
アホ兄貴が頭を撫でてくるのがひどく腹がたつ。
アタシの隣を、同じ身長のキキが通り過ぎる。 アホ兄貴より大人なくせに、凄く容姿が子ども。
「……………………なんだかなぁ」
アタシの周りって、普通な大人が一人もいない気がしてきた。
「夜音の所行ってたんか。 ほんでおらんかったんやな」
「あとは南里ちゃんに任せようと判断したんだが……。 まあ、心配いらんだろ」
「キキ、それとって。 その白いの」
「名称を言え、名称を」
三人の大人たちを見る。 観察する。
一番面倒くさいのがトーマ。
アタシは、「トーマ」て事しか知らない。
「…………………」
気がつけば居た、というかアホ兄貴が連れてきた。
大学生ぐらいだと思う。 たまに来るけど、どこに住んでるのかもわかんない。
まさしく、得体の知れない人。
「水色ちゃんもっといる? うまいで」
トーマが何か言っているけど無視。
物辺りついでに、テレビをつける。 ん、ニュースだ。
最近、ここらで連続通り魔殺人事件が起きてる……らしい。
らしいというのは、アタシには関係ないからだ。
たとえそれが無差別であり、明日にはアタシが次の犠牲者になろと。 今のアタシは 「無関係」 だから。
「物騒だな」
キキがポツリと言った。 キキの声は、まるでガラスのようだと、アホ兄貴が言っていた。
的確に、鋭く、相手の心にヒュッと届くような、
時には確実に相手をボロボロにさせるような。
「物騒やなぁ」
トーマが後に続けて言って、味噌汁を啜る。 うっさいなぁ。
「こういうんはな、」
そして、こうも続ける。
「案外、身近な人が犯人やったりするんやで」
- Re: 日常+@ ( No.77 )
- 日時: 2010/12/05 12:25
- 名前: 水妖 (ID: 8hgpVngW)
お兄様ぁ!!
ややっ!!トーマッ参上ですな。
トーマクンのキャラも好きだけどやっぱお兄様が一番ですな♪
姑キャラ来ましたぞ!!到着ですぞ!!
「あちゃぱっ」て(笑)
どぅへへへ← 連れて行きますぞ!!
- Re: 日常+@ ( No.78 )
- 日時: 2010/12/05 13:44
- 名前: 時雨 (ID: bQbYMR0G)
久しぶりっす。
なんか知らないうちに進んでた……
私はふつーに主人公好きかなー
- Re: 日常+@ ( No.79 )
- 日時: 2010/12/06 19:54
- 名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
トーマくんです、トーマくん。
たぶんこの小説内で一番浮く人だと思われます。
連れていかれましたね、物の見事に!!笑
>水妖さん
お久しぶりです\(^o^)/
主人公と言われますと、自分的にも南里なのか千影くんなのか………笑
よくわからなくなりますなっ
>時雨さん
- Re: 日常+@ ( No.80 )
- 日時: 2010/12/06 20:16
- 名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
案外、身近な人が犯人やったりするんやで。
三日前、トーマに言われた事を思い出す。
思い出して……、どうするんだろう。
今思えば、アタシの周りは変態だらけ。 どこか、違う場所から来たような、そんな感じがする。
「…………………」
部屋でじっと耳の穴を見る。 ピアスなわけじゃない。
5年前、バカ兄貴と喧嘩してホッチキスで耳をパチリとされた。 かなり、痛かった記憶がある。
血が、出てたなって。
ああアタシも人間なんだって、思った。
その後、バカ兄貴はアホ兄貴に嫌々耳に穴をあけられていた。 ………あれは、どう考えても虐待だったと思うけど、アホ兄貴からすれば「愛情」なんだろう。
気持ち悪い。
「ほんっとに、気持ち悪い」
気持ち悪いといえば、カノジョ。
4年くらい前に、バカ兄貴が五月蠅いくらいその名前を口にしていた。 今は同棲しているらしいけど、アタシはどうしてバカ兄貴と同棲できるのかわからない。
だって、異常じゃん。
彼女大好きダメ男だとしても、ストーカー並みだし。
顔がキレイだからまだマシだとしても、十分犯罪を犯していると思うんだよね。
なのにさぁ。
「なーんで、バカ兄貴といるんだろ」
「なんかゆうた?」
しまった、聞こえてたか。
「なにも。 てか、いつまでこの部屋にいるのよ」
「そんな無下にせんといてや。 オレ、水色ちゃんと仲良うしたいんやけどなぁ」
「アンタ、アホ兄貴に理由されてんのよ」
気持ち悪いといえば。
こいつも、十分気持ち悪い。
「わかってんでしょ? あいつはキレイな男子見つけてはとっかえひっかえしてるような気持ち悪い奴だって事くらい」
トーマは、笑ってる。
笑ってアタシを見ている。
「わかってるんやけどなぁ」
言って。
そっと足に触れてきた。 黙って蹴りあげる。 それなりに痛がってる。
「触るなっ、糞が!」 「いたたた……。 汚いコトバ使うん、ほんま誰に似たんやろか」 「アタシの親父じゃないの」 「なるほどなぁ」
納得すんな、そこ。
「んでさ、なんでアホ兄貴に利用されてんの? アタシ、よく分かんないんだけど」
「そんなんは、簡単やで?」
トーマは、答えた。
アタシに、ハッキリと。
「水色ちゃんのお兄ちゃんが、好きやからや」
アタシは、
あいつの性癖を知ってる。
人が嫌がる事を平気でするし、大人気もないし、正面からやり返さず、裏で引っ掻きまわす。
兄であることが嫌になるくらい、アタシはあいつが苦手だ。
「ばっかじゃないの?」
哀れみを込めて、トーマに言った。
それでも彼は笑ってる。
「ばっかじゃないの? アンタなんて、性奴隷みたいにメチャクチャにされて、糞豚みたいに捨てられるのがオチなんだから」
アタシはトーマが気持ち悪いだけで。 別に嫌いではなかったから。
あまり傷ついて欲しくないなぁと、思ったり。
「なんか、勘違いしてるで。 水色ちゃん」
トーマの長い指が、アタシの頬に触れられた。
男に触れられるという生理的嫌悪を堪えて、続きの言葉を聞く。
「オレ、そうゆんメチャクチャ燃えるんやけど」
「…………………っっ」
寒気が走って、生理的嫌悪を爆発させて。
トーマの手を払いのけ、足で腹部を蹴り飛ばした。
「きったない手で触んなっ!」
「やけん、そうゆん逆効果や。 あー今のが真夜さんやったらどんだけ良かったやろ」
「死ね! それ以上喋んなっ」
思い切り頭を叩いて、部屋から出ていく。
ドアを力いっぱい閉めて、吐き気を抑える。
「………………死ね」
意味不明だ、いろいろと。
兄貴二人といい、トーマといい、カノジョといい。
アタシは、絶対そういう大人にはならない。
なりたくない。
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