ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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日常+@ 完結しました
日時: 2010/12/23 10:11
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
参照: http://www.youtube.com/watch?v=l1Ryaz_fK6c

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題名の読みは 「にちじょう ぷらす あるふぁ」 です。
そのままですね。


重たくて暗い内容になると思いますが、ご了承ください。


登場人物 >>2


イメソンは参照にあります。

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Re: 日常+@ ( No.51 )
日時: 2010/11/28 12:56
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)

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          △



昔の話をしても、わたしの昔話なんて長いから、寝てていいと思う。
かわりに、10年前のわたしに関わる大きな事件を話したい。

言っておくけれど、あくまでわたしの見解で、わたしから見た事件だから、本当に正しいかどうかは分からないけど。

10年前、都内に住む三十代の男女が死亡した。
死因は大量失血死。 特に男の方は腹部を何十か所も刺されていたらしい。
犯人は、女の方。 男を刺した後で、自分も腹部を刺して死んだとされている。 

現に、凶器の包丁からは女の指紋だけが見つかり、第一発見者でもあり、その現場でただ一人生き残った目撃者が、そう証言した。

「……………………ほんとだよ」

全部全部、ほんとうのこと。
わたしが見てきて、聞いてきて、感じてきたこと。
両親の、死体。

「なに目ぇ開けたまま寝てんの。 充血してる」

声をかけられて、覚醒する。 目の前に、キレイな男の人がいた。 
………カラコンかな。 目が翠色だ。

「ここ………どこ」 「夜音の部屋。 水色から聞いてっけど、アンタが夜音の彼女さん?」 「そうですけど」

ああやっぱり。 この人、千影くんのお兄さんだ。
水色ちゃん曰く、アホ兄貴。 

「千影くんは……」 「あいつなら今、隣の部屋で寝てる。 ……そういや、怪我してたよな。 肩、見せて」

なんでセーラー着てんの?とは聞かれなかった。
リボンを解いて、セーラーを脱ぐ。 男の人に上半身の下着姿を見せるのは、実は全然抵抗がなかったりもする。

「かなり深く刺されてるな」

事務的に言うから、医療関係の人なのかと思ったけど、耳と口にピアスがかなり空けてあるから、違うと確信している。

「痛む? 怖かった? 殺されるかと思った?」
「痛いす怖かったです。 殺されるとは、思いませんでした」
「なんで」

答えは簡単だ。

「あの人はわたしのために、殺人まで犯してくれた人なんで」
「ふうん。 あいつがねぇ」

脱脂綿を濡らして、肩の血を拭かれる。 沁みてちょっと痛い。 
消毒されて、包帯を巻かれた。 手つきからして絶対に医者じゃないな、うん。

「オレ、あいつの父親違いの兄なんだけど」 
「知ってます。 水色ちゃんから聞きました。 アホの方ですよね」
「犯すぞ、くそアマ」

口調は冗談ぽいけど、目が真剣な事に少し寒気がした。
そういえば、水色ちゃんが言ってたっけ。
彼女がいると知ったら、お兄さんが包丁持ってくるかもって。

「お兄さんはブラコンなんですか?」
「夜音はもう恋愛的に好き」
「いろいろ危ないですな、お兄さんは」
「そうかもな」

名前は………………なんだっけ。 真夜中みたいな名前だった気がする。
お兄さんはつまらなさそうにわたしを見下ろして、

「ちょっとアンタに嫉妬してたりもするんだけど」
「そうですか〜」
「アンタを夜音の目の前で犯したら、あいつはどうやって鳴くんだろうとか………思ってる」

そしてその答えを、わたしはもう知っている。
10年前から。

「まあ、あいにく女には興味ゼロだけどな」
「そーすか」

いちいち相手するの面倒くさい人だ〜。 にはは。
お兄さんが血に塗れたわたしの制服を、ビニール袋に入れる。 

「わたし、千影くんに最低なこと言っちゃった」
「それで正解」
「どうしてわたしがピンチだってわかったの?」
「偶然だ、偶然。 プレイの真っ最中で悪かったな」
「笑い事にならないから、それ」

Re: 日常+@ ( No.52 )
日時: 2010/11/28 13:00
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)

夜音と水色の兄、とんだ変態orR指定がつくほどの
お人ですが………好きになってくれ!!笑
>水妖さん

Re: 日常+@ ( No.53 )
日時: 2010/11/28 16:18
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)

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消毒を終えて、服を着て、千影くんが眠るリビングに行ってみた。
ソファの上で寝ている千影くん。
本当に死んでるみたいで、怖かった。

「おや、起きたのかい」

千影くんの隣で座っている、小さい女の人に目がいく。
身長も体つきも水色ちゃんより小さい。 小学校高学年の人に見える。 

「キミが起きるのを待っていたと言えば、信じるかな」
「信じないよ、そんなこと」

ダボダボのスエットを着ていて、金髪の細い髪は腰以上に伸び放題。
童顔の顔を向けて、不敵に微笑んだ。

「自己紹介が遅れたね。 私は天草キキ。 天国の天に雑草の草で天草。 キキはそのまま片仮名だ。 真夜の2こ上の先輩だ」

男性的口調のキキさん、単純計算で28歳……には見えない。 若すぎるっていうか、子供のまんま。

「んで、夜音の従姉でもある」
「……ああ、そっか。 父親が三人とも違うから」
「そうだ。 私は夜音の父親の姉の子供だ。 真夜とは関係ないがな」

キキさんが八重歯を光らせて笑う。 こういう人、凄く苦手だ。 躊躇なく、嘘のない笑顔ができる人。

「千影くん、起きないんですか?」
「酷く錯乱していたからね。 もう大丈夫だと思うけれど」

千影くんは、独占欲強くて依存症があるから、その対象に 「きらい」 と言われれば、すぐ心を崩壊させる。
あまりにタチの悪い性格。 歪曲した恋愛感情。

「千影くん、目覚ますかな」
「覚ますだろうさ。 ──それにしても、あれだね。 キミは夜音に監禁されそうになったのに、彼が怖くないのかい? まったく平常心だが。 それとも、平常心を装っているだけなのかな」

普通の人から見れば。
わたしの態度も反応も全て異常に見えるかも知れないけれど。
それだけ、千影くんが好きだから。

「どっちに見えますかな?」

だから、あえて突き放した。
今度は本当に殺してしまいそうだったから。
千影くんが起きたら、謝ろう。 謝って、許しを乞うて、

抱きしめて。

Re: 日常+@ ( No.54 )
日時: 2010/11/28 18:32
名前: 水妖 (ID: 8hgpVngW)

お兄様の方がスキですな。
私は変態が大好きでしてな。
何か……夜音君にお兄様取られそうで怖い。
ていうか夜音君+夜音君兄妹大好きだったり。
私が夜音君の立場で、夜音君の目の前で犯したら?そりゃもう南里を殺しちゃうでしょう。
「何で俺以外とそんな事してんの」と(笑)

Re: 日常+@ ( No.55 )
日時: 2010/11/29 15:33
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)

くせのある真夜をそう言って下さって嬉しいですなっ
たびたびこういう変な人が出てきますので(>_<)
>水妖さん


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