ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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日常+@ 完結しました
日時: 2010/12/23 10:11
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
参照: http://www.youtube.com/watch?v=l1Ryaz_fK6c

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題名の読みは 「にちじょう ぷらす あるふぁ」 です。
そのままですね。


重たくて暗い内容になると思いますが、ご了承ください。


登場人物 >>2


イメソンは参照にあります。

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Re: 日常+@ ( No.36 )
日時: 2010/11/22 20:42
名前: 水妖 (ID: 8hgpVngW)

水色ちゃん、かわいい…
バカ兄貴とアホ兄貴…(笑)
まあ、つまりは夜音君の方が格下なのですな。
アホは治るけど、バカは治りません\(^0^)/

Re: 日常+@ ( No.37 )
日時: 2010/11/23 09:48
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)

ナタというと、竜宮レナが思い浮かぶわたし…。
水色は、この小説内ではマシな人種だと思われます。
>杵島茄武さん


水色は、夜音を相当格下に見てます。 虫ケラ同様扱いです。
バカは治りませんよねぇ
>水妖さん

Re: 日常+@ ( No.38 )
日時: 2010/11/23 12:13
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)

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「通り魔殺人事件がおきてんだ?」


昼にやってる刑事ドラマで聞き慣れすぎるフレーズを口にして、白玉を飲み込む。
んー、甘いな。 合格。
ちなみに、今の質問は人間ではなく、テレビの液晶画面に向けて発してみた。

「………………割と、近いな」

当然、質問に答えてくれるわけもないか。
それにしても、通り魔殺人事件ねぇ。 殺人、か。

人の命を奪うのは、いついかなる事情があってもダメだと言うのは、本当に適応されるのかな。
たとえば、今この瞬間誰かに殺されそうになったとして、、、、、、、

あれ? とまった。 なにが? しこうが。
あれれれ? れーれーれーれーれーれー。
なにこれ、なにこれ、なにこれ。

「                     」

わかんない。
何言ってんだろ、わたし。 この、溺れる感覚。 海におちて、光は遠のいて。 どこか、落ちる。 そんな、感覚。

そんな、かんかく。

「や、おと」

呼ばなきゃ。
名前。
呼ばなきゃ。

「なんり」

うん、呼んで。 わたし、南里。 南里っていうの。

「なんり、制服、汚れてる」
「──やおと」

酸っぱい胃液が口元から垂れて、お気に入りの黒セーラーに付着するのがわかった。
あらら、千影くんがいる。 ああ、そっか。 来てくれたのか。

わたしなんかの、ために。

「…………っ」

嘔吐感がヤバくて、屈みこむ。 気持ち悪い。 
口に迫ったものを飲み込む。 うーむ、デンジャラス。 

「大丈夫だよ、千影くん」

笑顔で答えると、千影くんがペタペタわたしの頬を触りまくってきた。 なんじゃこりゃ。

「うん、ホントに南里だ」
「嘘の南里ってなんじゃいな。 ほら、ちょいどいてくれ」

頭がガンガンするけど、千影くんが支えていてくれてるから楽になった。
時々、人間の仕方が分からなくなる。 
わたし、かなり頭良い方だと思ってたんだけどな。

Re: 日常+@ ( No.39 )
日時: 2010/11/24 15:29
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)

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「………………………………」

千影くんが、寝てしまった。
先ほど、記憶のインストールが途中でバクったわたしを宥めていたら、コトリと。
起きている時もそうだけど、やっぱり死んでるみたいだ。

「………………千影くん」

頬を指先で撫でると、冷たかった。 本当に、死んでるようですな。
携帯を見ると、もう夜の9時が過ぎていた。 夕飯食べてないなーとか思いながら、冷蔵庫をあさる。
林檎ジュースを飲んで、千影くんが起きてない事を確認する。

「すぐ帰ってきまーす」

言って。
マンションから出る。
真っ暗だ。 夏だからか、かなり暑い。 制服、夏セーラーで良かった。 
エレベーターで一階まで下りて、目的地まで歩く。

「………………ふん」

塾の、夏期講習受付とかかれたポスターを見て、学生だったころを思い出す。 
最悪しか生まれないけれど。
高校は途中で中退してしまったわけで。 どうしてだと聞かれたら、こう答えるしかない。


自殺未遂したから。


どういう経緯かは、さておき。
自殺、ねぇ。
どうしても自殺だと捕らえられがちだけど。 あれは、わたしにとって 「人助け」 のつもりだったんだけどな。

「あ、あった」

そうこうしているうちに、目的地にたどり着いた。
わたしの実家。
アパートの方じゃない。 一人暮らしする前の、両親と一緒に住んでいた家。

家と言っても、一軒家があるわけじゃない。
土地があるだけ。 

「誰もかってくれるわけないじゃん」

一人で、呟いた。
そのつもりだったんだけど。

「こんな所に一人でいたら、殺人犯に殺されるよ」

無表情な、声だった。
それと同時に、とても聞きたくない声でもあった。
振り返る。

エバト マスミ
江波戸 真澄がいた。

「……………………久しぶり」
「あれ、どこかで会ったかな。 忘れちゃった」

わたしの知り合いでは、一番宵島さんに似ている雰囲気ですなぁ。
高校時代、同じクラスだった女子。
左頬から顎にかけて、醜い痣があるのが嫌でも目につく。

「殺されるってどゆコトさ」
「そのままの意味だよ。 ここにいると殺されるよ。 おばあちゃんから聞いたんだけど、この家、昔人が死んだんだって」

わたしの家だよ、バカヤロー。
江波戸さんが笑う。 猫みたいな顔で、ニヤリと。

「最近、ここらで通り魔殺人が起きてるらしいよ」
「………………知ってるよ」
「アンタ、殺されるかもね」

江波戸さんの手首を見る。 何重にも巻かれた包帯。
裸足。
パジャマ。

その場かた立ち去る時も、あのねちっこい笑顔でこちらを見ていると思うと、怖い。
恐い。

Re: 日常+@ ( No.40 )
日時: 2010/11/24 16:16
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)

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家に帰ると、電気を消したまま出てきた事に気付いた。
あー、真っ暗。 全然玄関も見えない。 いてっ、なんか躓いた。
電気、電気……と、手探りで電気を捜す。 触れた凹凸を思い切り押す。

「おっ」

明かりがつく。 包丁を持った千影くんがいた。

「……………………………え?」
「どこ行ってた?」

玄関のすぐ傍で、小さく体育座りしている千影くん。
小さい声だけど、かなり鼓膜に響く。

「ちょっとそこらへん」
「ぼくに内緒で?」
「寝てたしさぁ」
「起こせよ」

立ち上がる。 千影くんが、包丁、もって、

「なんですぐどっか行っちゃうかなぁ」

目の前にいた。
見下ろしてる。 じっと、じっと。 死んだような目で。

「行かないでよ。 どこにも」

その刃が、肩に触れたのが分かった。 冷たい。
なにかがよく分からないけれど、冷や汗が流れるのがわかった。

「ねえ、南里 「あああああああああああっ!」

刺された。
思いっきり肩をいだだだだだだだっっ! 白いセーラーが紅く染まってるぎいいいいいいいいいいいっ!!
しかも、押し倒されたし。

「このまま、四肢切断しようか」
「ちょい………反則じゃね?」 不意打ちとか。

てか四肢切断とか冗談じゃない。 肩だけでもかなり痛いのに。
千影くんの長い舌が、わたしの血を舐める。

「…………痛い? ゴメンね」

恐怖、というよりは。 自動的に震えが止まらない事の方に焦った。 
千影くんの視線が、わたしの両足を捕らえる。 汗タラリ。

「南里、大好き」
「                      」

気絶する前に見た千影くんの表情。
とても恍惚としていて、初めて見る微笑みだった。


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