二次創作小説(紙ほか)
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- 暗殺教室 オリキャラ転校生在りです♪
- 日時: 2017/03/19 10:06
- 名前: マリア (ID: CCab1VcE)
はじめまして、マリアといいます。小説初心者ですが、頑張ります!
登場人物紹介は、原作のほうは省きます。オリキャラは、小説が進んでから、わかってきたことを追加していきます。読んでくれている人にドキドキしてもらえるように、あえてオリキャラの全貌は明かさないでおきます。
〜オリキャラ〜
名前 風見 紅葉(カザミ クレハ)
年齢 12
容姿 ダークブラウンの長髪ストレート。猫目。
性格 E組の誰にでも、常に敬語で話す。少し天然。時折冷徹な一面も見せる。
勉強 頭はかなり良い。
その他 中学1年生。殺せんせー暗殺のために、軍から派遣されたらしい。
- Re: 暗殺教室 オリキャラ転校生在りです♪ ( No.232 )
- 日時: 2016/03/07 20:01
- 名前: ヤミ (ID: 10J78vWC)
おぉ!あいつがでる話きたー!!!
- Re: 暗殺教室 オリキャラ転校生在りです♪ ( No.233 )
- 日時: 2016/07/04 16:49
- 名前: マリア (ID: I69Bg0jY)
渚side
僕と茅野で、治療薬を取りに?
?『礼を言うよ。よくぞそいつを行動不能まで追い込んでくれた。天は我々の味方のようだ』
そう言って、電話相手は通話を終わろうとした。そのとき
紅葉「もし…」
風見さんが立ち上がって、僕らの側に来た。
紅葉「もし、こちらが貴方たちの要求を断ったら?」
烏間「風見さん!?」
?『なんだ、お前は?』
電話相手の問いに、風見さんはなぜかニヤッとした。
紅葉「ただの生徒です」
風見さんは、盗撮用と思われるカメラのほうを見た。
紅葉「そうですね、例えば…背の低い男女以外の人でホテルに行ったり、全員で奪いに行ったり、治療薬の受け取りに行かなかったり。もし、私たちがそんな行動を取ったら?」
僕には、彼女の意図が理解出来なかった。
?『さっきも言ったとおりだ。治療薬を破壊する』
紅葉「そうですか」
?『なんだ?まさか、本気で交渉をばっくれるつもりか?』
紅葉「いいえ、別に。ただ、忠告しておきたかっただけです」
風見さんは気丈にも、モニターでこちらの様子を見ているであろう声の主を、カメラ越しにキッと見つめた。
紅葉「——貴方の思惑通りに事が運ぶとは思わないこと」
プツッ
電話が切れた。
烏間「どういうつもりだ!?風見さん」
烏間先生が、咎めるように言った。
紅葉「何がです?」
烏間「何が、じゃないだろう!相手を煽って、治療薬を破壊されでもしたらどうする!?」
紅葉「ああ、そういうことですか。それなら大丈夫です」
烏間「なに?」
紅葉「少し、確かめたいことがありまして。彼の立場もだいたいわかりました」
風見さんはフッと笑った。
烏間「どういうことだ?」
紅葉「相手の目的は先生。なら、少しの挑発で逆上して治療薬を破壊するとは考えにくい」
烏間「それはわかった。が…敵の立場がわかったとは、どういうことだ?」
烏間先生がたずねると、風見さんは不敵に笑った。
紅葉「…彼は、私を知らなかった。」
園川「烏間さん。案の定ダメです。政府としてあのホテルに問い合わせても、プライバシーの保護を繰り返すばかりで」
烏間「やはりか」
烏間先生はうつむいた。
殺せんせー「やはり?」
烏間「あの山頂のホテルは、政府からもマークされている違法な商談場所らしくてな」
イリーナ「南海の孤島ってロケーションが、お誂え向きってことね」
ビッチ先生の目は、教師より殺し屋の目。そんな場所に潜入したこともあるのかな。
烏間「政府のお偉いさんともパイプがあり、警察も迂闊に手が出せん」
カルマ「ふーん。そんなホテルがこっちに味方するわけないね」
カルマ君が柱にもたれながら言った。
吉田「どうすんすか!?このままじゃいっぱい死んじまう!こ、殺されるためにこの島来たんじゃねーよ!」
原「落ち着いて、吉田君。そんな簡単に死なない死なない。じっくり対策考えてよ」
吉田「ああ…悪ぃな、原」
寺坂「言うこと聞くのも危険すぎんぜ。一番チビの二人で来いだぁ?このちんちくりん共だぞ!?人質増やすようなもんだろ!」
寺坂君に頭を叩かれる…
寺坂「第一よ…こんなやり方する奴らにムカついてしょうがねぇ。人のツレにまで手ぇ出しやがって!」
狭間「単細胞が…」
寺坂「要求なんざ全シカトだ!今すぐ全員都会の病院に運んで…」
竹林「賛成しないな」
竹林君が言った。
竹林「もし本当に人工的に作った未知のウイルスなら、対応出来る抗ウイルス薬は、どんな大病院にも置いていない。いざ運んで無駄足になれば、患者のリスクも増やすだけだ」
寺坂「なんだと?」
竹林「対症療法で応急処置はしておくから、急いで取引に行ったほうがいい」
打つ手なしだ…。
殺せんせーが動けるなら、手の打ちようもあるのに。僕らの暗殺がへたにいいとこまでいったせいで…
烏間「敵の目的はこいつだが…」
イリーナ「渡しに行った生徒を、素直に返してくれるかしら…」
そのとき、黙って話を聞いていた風見さんが口を開いた。
紅葉「私が行きます」
寺坂「風見!?お前、何言って…」
紅葉「私と潮田さんで行きます。向こうの要求は、背の低い生徒…ほら、私のほうが茅野さんより、背が低いですから」
風見さんは、自分の頭の高さに手を置いてその手をスライドさせ、茅野の額のあたりに持っていった。
紅葉「ね?」
寺坂「そういう問題じゃねーだろうが!いくらテメ—が軍から来た殺し屋だとしても、向こうが何人で待ち構えてるかもわかんねーんだぞ!」
殺せんせー「寺坂君の言う通りです、風見さん。それは無謀というものだ」
紅葉「やってみなくては、わかりませんよ?」
カルマ「まず無理だね」
ふいに、カルマ君が言った。
紅葉「赤羽さん?」
カルマ「無理だよ、クレハ。今回はね」
紅葉「赤羽さんまで!」
風見さんはなかば叫ぶように言った。
カルマ「可能性はある。フロントから通れば、向こうに連絡が行く。ちっちゃいの二人だけで指示したルートを通ってくるのに、わざわざ足止めする理由もない」
紅葉「なら…」
言いかけた風見さんを、カルマ君が厳しい口調で遮る。
カルマ「あくまで、クレハだけならの話だ。クレハ一人なら、可能性は十分にあると思う。でもさ、クレハ。もし、渚君が人質に取られたら——クレハは、渚君を捨て石にする覚悟で、敵に向かっていける?」
紅葉「…!」
その場の全員がハッとした。風見さんも黙り込む。
カルマ「出来ないでしょ?クレハには」
カルマ君は、追い詰めるように鋭く追及した。
紅葉「答えは…NO、ですね」
はぁ…と息を吐いて僕をチラリと見た。
紅葉「私には、潮田さんを見捨てるという選択肢すらないでしょうね。もちろん、怒りで我を忘れた状態なら別ですが」
カルマ「だと思った」
フッと笑って、カルマ君は風見さんの頭を撫でた。
カルマ「クレハ優しいもんねー」
紅葉「からかっている場合ですか!」
風見さんは顔を赤くしながら、カルマ君に文句を言った。
カルマ「で?どうすんのさ」
風見さんの抗議を無視して、カルマ君がそれた話題をもとに戻す。
烏間「治療薬奪還は絶対だが、生徒だけで行かせるわけには…」
殺せんせー「いい方法がありますよ」
殺せんせーが言った。
そのとき、ケータイが振動し、画面に律が現れた。
律「殺せんせー、OKです♪」
殺せんせー「律さんに頼んだ下調べも終わったようです。元気な人は来てください。汚れてもいい格好でね」
・・・・・・
渚side
数分後、僕らは崖の下に来ていた。
見上げると、明かりの灯った大きな建物——普久間ホテル。
木村「高ぇ…」
木村君がつぶやく。
律「あのホテルのコンピューターに侵入して、内部の図面を入手しました。警備の配置図も」
律がにっこりと言った。
律「正面玄関と敷地一帯には、大量の警備が置かれています。フロントを通らずにホテルに入るのは、まず不可能。しかし、ただ一つ、こちら側の崖をのぼった所に、出入り口があります。まず侵入不可能な地形ゆえ、警備も配置されていないようです」
それって、つまり…
殺せんせー「敵の意のままになりたくないなら、手段は一つ!患者十人と看病に残してきた二人を除き、動ける生徒全員でここから侵入。最上階を奇襲して、治療薬を奪い取るのです!」
- Re: 暗殺教室 オリキャラ転校生在りです♪ ( No.234 )
- 日時: 2016/03/09 19:04
- 名前: マリア (ID: CCab1VcE)
紅葉side
烏間「危険すぎる。この手慣れた脅迫の手口、敵は明らかにプロの者だぞ」
殺せんせー「ええ、おとなしく私を渡した方が得策かもしれません。どうしますか?あなた方次第です」
先生の問いに、みなさん息をのむ。
矢田「これは、ちょっと…」
吉田「難しいだろ…」
イリーナ「ホテルにたどり着く前に転落死よ」
烏間「渚君たち、すまないが——」
烏間先生が言おうとすると、
磯貝「いや、まぁ、崖だけなら楽勝だけどさ」
磯貝さんが崖を登りだす。
岡野「いつもの特訓に比べたらね」
速水「だね」
みなさんも次々と登り始めた。
磯貝「でも」
磯貝さんが烏間先生を振り返った。
磯貝「未知のホテルで未知の敵と戦う訓練はしてないから。烏間先生、難しいけど、指揮、頼みます」
寺坂「ふざけたマネした奴らに、きっちり落とし前つけてやる」
さすが、暗殺教室の生徒。頼もしい♪
殺せんせー「見ての通り、彼らはただの生徒ではない。あなたの下には、十六人の特殊部隊がいるのです」
先生が言った。
イリーナ「十六人?」
律「わたしも忘れないでくださいね♪」
殺せんせー「さぁ、時間はないですよ」
烏間「全員注目!」
先生が言うと、烏間先生も覚悟を決めたように大きな声を出した。
烏間「我々の目標は、山頂ホテル最上階。隠密潜入から、奇襲への連続ミッションだ!ハンドサインや連携については、訓練のものをそのまま使う。いつもと違うのはターゲットのみ。三分でマップをたたき込め!2150、作戦開始!!」
「おーっ!!」
作戦開始——
身軽な岡野さんが、ひょいひょいと崖を登って行く。
岡野「置いてくよ〜」
木村「やっぱ身軽だなー、岡野は」
磯貝「ああ。こういうことやらせたらクラス一だ」
木村「それにくらべてうちの先生は…」
木村さんが先生方を振り返る。
木村「動けるのが三人中一人とは」
烏間先生がイリーナ先生を負ぶって崖を登っている。
なんで、イリーナ先生はご自分で登られないのでしょう?
殺せんせー「しかし…みなさん見事なバランス感覚ですねぇ」
烏間「クライミングなら学校の裏山でもさせている」
殺せんせー「なるほど。フライボードを自在に操ったのもその成果ですね」
イリーナ「いいから早く登りなさいよ!手が疲れてきたわ!」
イリーナ先生が叫んでいる。
紅葉「もう少しですよ、イリーナ先生」
烏間「風見さん、先に行っても大丈夫だぞ」
紅葉「いえ、烏間先生だけ置いて行くのは…」
約一名、心配な方がいらっしゃいますからね。
千葉「つーか、ビッチ先生なんでついて来てんだ?」
片岡「留守番とか、除け者みたいで嫌なんだって」
イリーナ「ちょっと、早くしてよ。腕に筋肉ついちゃうじゃない!」
紅葉「烏間先生、そこの岩、多分もろいです。気を付けてください」
烏間先生が手を伸ばしかけた岩を指して言うと、
殺せんせー「おや、よく気が付きましたね、風見さん」
先生が言った。
紅葉「ああ、私、暗いのに慣れるの早いほうなんですよね」
とかなんとか会話も交えながら崖を登り切ると、みなさんすでにホテルの側で待機していた。
烏間「律、侵入ルートの最終確認だ」
律「はい。内部マップを表示します」
ケータイの画面にホテルの見取り図が表示される。
律「最終確認です。わたしたちは、エレベーターを使用できません。各階ごとの専用ICカードが必要だからです。したがって、階段を上るしかないのですが、その階段もバラバラに配置されており、長い距離を歩かなくてはなりません」
千葉「テレビ局みたいな構造だな」
テレビ局?
茅野「どういうこと?」
千葉「テロリストに占拠されないように、複雑な設計になっているらしい」
茅野「詳しいんだね」
凄いですね、千葉さん。
菅谷「こりゃあ、悪い宿泊客が愛用するワケだ」
律「通用口、ロック解除!」
烏間「行くぞ、時間がない」
磯貝「はい」
こうして、私たちは無事、ホテルへの潜入に成功した。
- Re: 暗殺教室 オリキャラ転校生在りです♪ ( No.235 )
- 日時: 2016/07/04 16:52
- 名前: マリア (ID: I69Bg0jY)
紅葉side
ホテル内部への侵入成功。入って来た裏口側の廊下から、中の様子をうかがう。
豪華絢爛なエントランス。高い天井から吊り下げられたシャンデリアの光が、隅々まで磨き上げられた部屋を照らしている。よく手入れされた調度品の完璧な配置、部屋の中央に置かれたグランドピアノ。優雅な螺旋階段が、二階へと続いていた。
烏間「予想以上に警備が多いな…」
烏間先生の言葉どおり、エントランスには、美しい部屋には不釣り合いな厳めしい警備員たちが何人もいた。
私も、警備員の人数と配置を確認し、状況を分析する。気配を殺して、警備員の目を掻い潜って階段まで…多分、いける。
そのとき、
イリーナ「なによ。普通に通ればいいじゃない」
イリーナ先生がしゃらりと言った。みなさんが驚いてイリーナ先生を見る。
菅谷「状況判断も出来ねーのかよ、ビッチ先生」
木村「あんだけの警備の中、どうやって…」
イリーナ「だから、普通によ」
イリーナ先生は、堂々と部屋の中央へ進んだ。少しふらつきながら。
そして、トンッと警備員の一人にぶつかる。
イリーナ「あっ…ごめんなさい。部屋のお酒で悪酔いしちゃって…」
確かに、今の彼女は真っ赤なイブニングドレスを着ていて、ホテルの客といっても誰も不自然に思わないだろう。
警備員「お、お気になさらず、お客様」
警備員さんも、デレっとした顔で答える。
イリーナ「来週、そこでピアノを弾かせていただく者よ。早入りして観光してたの」
ピアノを指差して言った。
そのままピアノに歩み寄り、椅子に腰を下ろす。
イリーナ「酔い覚ましにね、ピアノの調律をチェックしておきたいの。ちょっとだけ、弾かせてもらっていいかしら?」
警備員「じゃあ、フロントに確認を…」
フロントに向かいかけた警備員を、イリーナ先生は引き留める。
イリーナ「いいじゃない。あなたたちにも聴いてほしいの。そして、審査して」
警備員「し、審査…?」
イリーナ「そう。私のこと、よ〜く審査して…。ダメなところがあったら、叱ってください」
そう言って、ピアノを爪弾いた。
マニキュアを塗った細い指が鍵盤の上をなめらかに動き、なんともいえない、美しく幻想的な音色を紡ぐ。その姿は、実に艶やかで。
木村「めちゃめちゃ上手だ…」
これは、確かショパンの…
殺せんせー「幻想即興曲ですねぇ」
先生が言った。
殺せんせー「腕前もさることながら、魅せ方が実にお見事。色気の魅せ方を熟知した暗殺者が、全身を艶やかに使って音を奏でる。まさに、音色…!どんな視線も引き付けてしまう」
イリーナ「ねぇ、そんな遠くで見てないで、もっと近くで確かめて」
声をかけられた階段近くの警備員も、ピアノの側によった。
≪二十分稼いであげる。行きなさい≫イリーナ先生がそう合図した。
その指示に従って、みなさんに続いて廊下を出る。
全員、無事、通用階段まで辿り着けた。
茅野「全員無事に突破!」
菅谷「すげーよ、ビッチ先生。あの爪でよくやるぜ」
磯貝「ああ。ピアノ弾けるなんて一言も」
みなさんの驚きもわかる。
イリーナ先生、とっても素敵でした!あんなに綺麗な先生、中々いませんね。
烏間「普段の彼女から甘く見ないことだな。優れた殺し屋ほど万に通じる。君らに会話術を教えているのは、世界でも一、二を争う、ハニートラップの達人なのだ」
殺せんせー「ヌルフフフ…私が動けなくても、まったく問題ないですねぇ」
紅葉「貴方が動けないから、こうして私たちが潜入してるんじゃないですか」
カルマ「クレハ、それは言わない」
つぶやいた私の肩を、赤羽さんがコツッと小突いた。
渚「行こう」
私たちは次のフロアへ向かった。
- Re: 暗殺教室 オリキャラ転校生在りです♪ ( No.236 )
- 日時: 2016/07/04 16:57
- 名前: マリア (ID: I69Bg0jY)
・・・・・・
烏間「さて、入口の厳しいチェックさえ抜けてしまえば、ここからは客のフリが出来る」
菅谷「客?こんなところに中学生の団体客なんているんですか?」
カルマ「しかも、約二名小学生サイズだし」
赤羽さんが、私と潮田さんを交互に見た。
烏間「聞いた限り結構いる。芸能人や金持ち連中のボンボンたちだ。王様のように甘やかされて育った彼らは、あどけない顔のうちから、悪い遊びに手を染める」
殺せんせー「そう。だから君たちも、そんな輩になったつもりで。世の中をなめてる感じで歩いてみましょう」
紅葉「…えっと、みなさん?そんな、なりきらなくても…」
殺せんせ—「そうそう、その調子」
烏間「その調子…なのか…?」
って、先生までなめた表情になってるし。
烏間「あとお前までなめるな!」
殺せんせー「ただし、我々も敵の顔を知りません。敵もまた、客のフリで襲ってくるかもしれない。十分に警戒して進みましょう」
・・・・・・
木村「本当にただの客どうしって感じだな」
千葉「むしろ視線を合わせない。トラブルを避けたいのは、あっちも一緒なんだろうな」
茅野「ホテル内の全員が敵かと思ってたけど、これなら最上階まですんなり行けそうだね」
岡野「仮になにかあっても、前衛の烏間先生が見つけてくれるよ」
寺坂「へっ、入っちまえば楽勝じゃねえか」
あ。みなさん、気が緩み始めてる。
烏間「油断するな」
寺坂「時間ねーんだから、さっさと進んだ方がいいだろ」
寺坂さんと吉田さんが走り出した。この二人が最たる例だな。油断しすぎ。
向かいから、男性が歩いてくる。
不破「寺坂君!そいつ危ない!」
不破さん!?
その瞬間、烏間先生が二人の肩を押し、前に出て。形容しがたい色の煙が、烏間先生と男性を包み込んだ。
茅野「烏間先生!」
?「なぜわかった?殺気を見せずすれ違いざま殺る…俺の十八番だったんだがなぁ、おかっぱちゃん」
不破さんが、キッとした表情で男性——殺し屋さんを見た。
不破「だっておじさん、最初にサービスドリンク配った人でしょ?」
「えっ?」
みなさん騒然とする。私も驚いた。
渚「不破さん…!」
不破「そんな人がここを歩いてるなんて、明らかに怪しいわ!」
磯貝「確かに…」
殺し屋「へぇ、よく見てるじゃないか」
茅野「じゃあ、みんなにウイルスを盛ったのも…!」
殺し屋「ハハハ…断定するには証拠が薄いぜ。ドリンクじゃなくても、そんなもの盛る機会たくさんあるだろ」
茅野「う…」
茅野さんが詰まると、不破さんが話し始めた。
不破「クラス全員が同じものを口にしたのは、あのドリンクと船上でのディナーのときだけ。でも、ディナーを食べずに映像の編集をしてた三村君と岡島君も感染したから、感染源は昼間のドリンクに絞られる」
自信たっぷりに自分の推理を披露する不破さんは、推理小説に出て来る探偵さんみたいで。こんなときだけど、格好いいな、と思ってしまった。
不破「したがって…犯人はあなたよ、おじさんクン!!」
ビシッと殺し屋さんを指差して、不破さんは言い切った。
渚「凄いよ、不破さん!」
茅野「なんか探偵みたい!」
褒められて、不破さんは得意げに胸をそらせた。
不破「フフン、普段から少年漫画読んでるとね、普通じゃない状況がきても、素早く適応出来るのよ」
そういうものでしょうか?
不破「特に探偵モノは、マガジン、サンデーともにメガヒット揃い!」
渚「ジャンプは!?」
不破「え?ジャンプの探偵モノ?よく知らないけど、文庫版が出てるらしいから、買うといいと思うよ」
茅野「いやらしいよ!」
渚「ステマが露骨だよ不破さん!もっとマーケティング倫理に配慮して!」
ステマ?マーケティング倫理?
そのとき、殺し屋さんがふくみ笑いをした。
烏間「くっ…!」
烏間先生が膝をつく。
殺し屋「ま、俺の正体が知れたところで、もう手遅れだがなぁ…」
殺せんせー「毒物使い、ですか。しかも実用性に優れている」
殺し屋「俺特製の室内用麻酔ガスだ一瞬吸えば象すら落とすし、外気に触れればすぐに分解して証拠も残らねえ。さて、お前たちに取引の意思がないことはよーくわかった。交渉決裂。ボスに報告するとするか」
そんなこと、出来ないけど。
磯貝「敵と遭遇した場合」
片岡「即座に退路をふさぎ」
寺坂「連絡を絶つ」
磯貝「ですよね、烏間先生」
もう、すべての廊下の前に、生徒が回り込んでいるから。
烏間「お前は…我々を見た瞬間、攻撃せずに報告に帰るべきだったな…」
フラフラと立ち上がり、烏間先生が言った。
殺し屋「フン、まだしゃべれるとは驚きだ。だが、しょせんほかはガキの集まり。お前が死ねば、統制が取れずに逃げ出すだろうさ!」
逃げは…しないと思うけどさ。まぁ、確かにまだ子どもだけどね。
ってか、殺し屋さん、烏間先生に勝てる計算してない?無理だよ、貴方には…
バシッ…!
烏間先生が、殺し屋さんの顔に蹴りを入れた。
ドサッ
倒れたのは、殺し屋さんと。そして、烏間先生。
「か、烏間先生!」
磯貝「これ以上は無理ですよ、烏間先生」
磯貝さんが、烏間先生の身体を支えながら言った。
烏間「三十分で回復させる…。けして無茶はするな」
菅谷「象も倒すガス浴びて歩けるほうがおかしいって…」
岡野「烏間先生も十分化け物だよね…」
アハ…否定はしません。
廊下を歩いてると、
殺せんせー「いや〜、いよいよ夏休みって感じですね〜」
…何言ってんの?こいつ。
「なによ、お気楽な!」
「一人だけ絶対安全な形態のくせに!」
全員から集中的な非難を受ける。
あたりまえだ、この能天気タコ!
「渚、振り回して酔わせろ!」
その指示に従って、潮田さんは先生を振り回した。
殺せんせー「ニュヤーーー!!」
カルマ「よし、寺坂 ・・・作者の都合により割愛
寺坂「死ぬわ!」
渚「殺せんせー、なんでこれが夏休み?」
殺せんせー「せんせーと生徒は馴れあいではありません。そして夏休みとは、せんせーの保護が及ばないところで、自立性を養う場でもあります。普段の体育で学んだことをしっかりやれば、そうそう恐れる敵はいない。君たちはクリア出来ます。この暗殺夏休みを」
“暗殺夏休み”ねぇ。誰のせいで、普通の学校生活が暗殺に染まったんだか。
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