複雑・ファジー小説
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- DARK GAME=邪悪なゲーム=
- 日時: 2012/09/14 21:51
- 名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: 3TttADoD)
えーと同じくファジーで能力もの書いてる(打ってる)狒牙です。
今回は結構暗そうなものをしたいなということで・・・
まあ、言ってしまうと時折(多分頻度は少ない)グロイかな?
基本的には普通ですので・・・
アドバイスとか変なところ(誤字脱字)があったら言ってください
よろしくお願いします
下手に内容を説明するとネタバレみたいになるんで
一気に一話目打ちます。
そしてこの作品では文章の形式を変えてみたいと思います。
一話目 招待状
「暗いなぁ・・・」
夜道を、一人の男子高校生が帰っていた。もちろん一人でだ。
等間隔に設置されている街灯の光を頼りにいつも通りまっすぐ家に帰っていた。
高校に行き始めてもう三カ月程度経っている。二回目の定期テストが終わり、その手ごたえを塾に伝えに行った帰りだ。
辺りはもうすっかり暗くなっているが、今日はたまたま曇っているだけでまだ八時にもなっていない。普段ならもう少し明るめだろう。今は月の光すらほとんど届いていないのだから。
家にたどり着く寸前の急な坂道に青年は差し掛かった。ここだけは何年暮らしていても全く慣れることはできない。角度がそれなりに急な上、それがダラダラと百メートルも続いているのだから疲れている時にはお手上げだ。疲れる意外にここを説明することばはパッとは思い付かない。漢字で表すなら『苦』だ。しかし、苦あれば楽ありということわざもある。
息を荒くして切らしながらその坂を登りきった彼は汗で少し濡れた顔を上げた。そこには、いつも通りの自分の家の景色があった。隣にある家も普段と何一つ変わらない。
その家の門の前を通った時にチラッとその中の様子を見た。そこには、住人の一人であるまだ制服を着たままの女子高生がいた。
「あっ、先輩こんばんは」
「おー、楓じゃん。塾?」
それは紛れもなく自分の部活の先輩だった。楓と呼ばれた彼の本名は楓秀也(かえで しゅうや)。二人とも同じ高校の陸上部員だ。
といっても、楓は長距離、先輩の方は短距離だった。この時間がまさに『楽』の時間だ。
楓は先輩のことを尊敬している。なぜなら、目の前にいるこの人間は去年インターハイで優勝したからだ。距離が何であろうと関係なく、速い者にはすぐにあこがれる性格だから家がすぐ近く、というより隣の家にその人が住んでいるのは光栄だった。
ここで一つだけ勘違いしてはいけないのが、別に恋愛対象として見ているのではなく、好きは好きでもスポーツ選手のファンのような感覚だ。思慕の念よりも崇拝と言う方が近い。それほどまでにこの先輩を慕っている。
ついでに言っておくならこの人の名前は竹永叶(たけなが かな)という。
「普通科は大変だね」
重い教科書を何冊も詰め込んだ大きなリュックサックを背負って地獄と読んでもいい坂を登り終えた楓に笑いながらそう言った。
彼らが通っている高校は、体育科と普通科に分かれている。竹永の方は体育科で、楓は普通科だ。しかもこの学校は体育科の連中はスポーツに強く、普通科の連中は勉学ができるというものだ。だから地元でもかなり有名な行きたい高校ナンバー1に選ばれ続けている。
「そうですね、でもテストが一段落したんでしばらくは楽な生活ですね」
そう言うと、今度は先輩があからさまに疲れたような顔つきになった。その理由は簡単だ。夏休みは腐るほど大会がある。一年にしてインハイで優勝したのだから大会に出されまくっているのだ。相当にだるそうな顔をしている。
もうすぐ鬼の合宿と呼ばれるイベントが近づいているからだろうか?
「たまにさ、裏側の世界があったら言ってみたいと思うよ」
このポツリと特に重要な意味を持たない言葉が発せられたのを聞いたとき、ふとある噂を思い出した。いや、都市伝説というべきかな。内容はこんなものだ。
真夜中は気を付けないといけない。特に招待状を受け取ったなら。
招待状は突然現れる。血のように紅い封筒にどこまでも続く深い闇のように冷たい黒い紙に『You are invited』と白く描かれた紙が入っている。
それが招待状だ。そこでは夜な夜な残酷なゲームが行われているという。
まあ、この話はまだそこまで出回っていないので、元からそういうのに興味の無い先輩が知るはずもないからただの愚痴だと思ってスルーしようとした。でも、自体は思っている以上に深刻だった。
「なんかさっきポストを見たら真っ赤な封筒が入ってたんだ」
これを聞いた瞬間にはまだただの世間話だと思って普通に接していた。
だが、その一秒後にまたしても噂を思い出した楓は硬直した。それでも、先輩はその封筒がどういうものなのか説明しているからこっちの違和感に気付いていないが、楓の胸の中では胸騒ぎがしていた。
先輩は、その中からどす黒いハガキを取りだした。そこには、やはり文字が書いてあった。
『You are invited』
これが視界に入った瞬間、瞳孔は一瞬にして開いた。そこには、幽霊を連想させるように白い字でそう書かれていた。
かく汗の中に冷や汗が混じる。これではまるで噂と同じだ。
「後ろにも変なことが書いてあるのよね」
そう言って今度は紙をひっくり返した。そこには、今受けた衝撃よりもさらに強いショックを与える文が書いてあった。
『おめでとうございます。あなたはご当選いたしました。裏の、闇の世界へのペアチケットです。あなたと、もう一人誰かをお誘いください。何、迷うことはありません。隣家の後輩で結構です。[げえむ]は今晩の八時から、次の日の午後八時まで行われます。それまでにもう一人の方とご一緒しておいてください。』
背筋に悪寒が走った。この内容を見る限りこれの差出人は明らかに先輩を狙っている。隣家の後輩とはまず俺で間違いない。
怪しい雲がさらに月の光を隠すようにもうもうと寄ってくる。ふと時計を見るともうすでに時刻は七時五十九分を示し、秒針はもう・・・
十二の文字にかかろうとする瞬間だった。
秒針が五十九秒から六十に動いて行く。その動きがとてつもなくスローに感じられる。体は、ピクリとも動かなかった。
刹那、手紙から迸った漆黒の闇は叫び声を上げさせる暇なく一瞬で楓と竹永を包み込んだ。グチュグチュと妙な音を立てて闇の繭を作り、ゆっくりと地面に溶けていくように小さく下から萎んでいった。
続きます
第一章 鬼ごっこ編
>>1>>2>>3>>4>>5>>6>>7>>9>>10>>11>>13>>14>>17>>18>>19>>20>>21>>22>>26>>27>>29>>30>>33>>36>>37>>40>>41
>>42>>48>>49>>50>>51>>52>>55>>56>>57 総集編>>60
第二章 日常—————編 募集キャラ>>70
>>61>>64>>65>>66>>67>>68>>69>>72>>73>>76>>79 総集編>>80
第三章 楓秀也編 プロローグ>>81
>>83>>85>>89>>91>>94>>95>>96>>97>>99>>100>>103>>104>>105>>106>>110>>111総集編>>112
第四章 氷室冷河編
>>113>>114>>115>>116>>117>>118>>119>>122>>123>>124
コメントしてくれた人です(一度でもしてくれたら嫌でも載ります。すいません・・・)
ryukaさん「小説カイコ」「菌糸の教室」「壁部屋」の作者さん
千愛さん 総合掲示板の方でお仕事なさってます
赤時計さん「花屑と狂夜月」「他人の不幸は毒の味」の作者さん
ゆヵさん 「SNEAK GAME」「めいろ」の作者さん
- Re: DARK GAME=邪悪なゲーム= 第二げえむ開始です ( No.66 )
- 日時: 2011/11/11 20:01
- 名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: z9DnoDxA)
第四十話 行動開始
「かくれんぼスタート、か・・・」
制限時間はたったの三日、その時間の無さに楓はため息を吐いた。仇無は、アダムはもう一人の参加者は楓の知り合いの中にいると断言した。だがそれは自分の知らない人間ではないと言われただけで、あまりヒントとしては活用できない。だから、もう一つのヒントで考えようと楓は思った。
もう一つのヒント、それは元の世界とこの世界で違っている一点は最近ブームになっていることについて、少し異なるところがあるのだと。そう言われて出てくるものは一つ、最近流行っていると言えば、この学校ではおそらく小説だろう。
そういう訳で知り合いの、あのサイトで執筆している人をしらみつぶしにしようとしていた。隣に座る乙海と赤弥は後でも大丈夫だと判断した楓は他のクラスに赴いた。
ドアを開けてすぐ、右に曲がり、すぐにまた右折して隣のクラスに入る。あまり、自分から女子に話しかけるのは得意じゃないんだけど、と楓は疲れたように足取りを重くした。
どこに座っているだろうかと目を凝らす。窓際の座席の真ん中の列に座っているのがすぐに分かった。彼女の周りには何だか静かな雰囲気が漂っているし、一人だけ教室で本を読んでいる。
「・・・・・楓か。何の用?」
漆黒の長い髪を揺らして、顔を上げる。このクラスの学級委員である青宮葉月。中学校以来の付き合いなのでちょっとした顔見知りだ。清潔で、不動の水のように落ちついたその性格は、中々他の者を寄せ付けない雰囲気が漂っている。そしてその青い瞳は、雲一つなく澄み渡るあの青空のように、透明感で、どこまでも落ちていけそうあった。
「ちょっと・・・訊きたいことがあってな」
訊きたいことがある、それは別に嘘にはならなかった。月に一度、学年で集まって連絡事やクラブでの表彰を行う月例集会というものが明日開かれる。その司会などは楓や青宮を含む学級委員が行う。その時に楓は乙海に試合での表彰状を渡す仕事を命じられたのだが、初の仕事なので一度したことのある青宮に訊いておきたかったということだ。
その旨を伝えると、ああと小さく呟いて、説明を始めてくれた。その出番が来たら先生が症状を渡すから、誰かが乙海の名前を呼んで、彼女が出てきたら書いてあることをそのまま読んで渡せばよいと。
学年で二番目に賢い奴の説明だ。分かりにくい訳が無く、楓は特に訊きなおす所は無かった。そこで本題に入ろうと気持ちを落ちつかせる。
「執筆続いてる?」
青宮は、今と同じようなことで相談していた時に乱入してきた赤弥にしつこく誘われてやはりその流行に無理やり乗らされた。まあ、それなりに楽しんでいると聞いたことがある。
代表作品は『光の堕天使』。ある日突然天使の夫婦から堕天使が生まれた。その子の名前はルエ。仲間たちと闘って成長していく話。お客様も多く参照も多いと赤弥が言っていたと、楓は思い出した。
「ぼちぼち。楓はしないのか?」
「俺はね・・・そうだ・・・」
おそらく変わっている点は無いだろうが、何か会った時ように話を掘り下げられるよう、ちょっとした嘘を吐いてみようと思った。そのような嘘かというと、執筆を始めようか悩んでいるという手の。
「どういうジャンル?」
「主人公が理不尽なゲームに巻き込まれて死線を掻い潜って生き抜く話」
「ダークだね。・・・でも、頭使いそうだから、楓に合ってるかも」
正確には小説を書くと言うより、我が身に降りかかったことを綴ると言った方が正しいかもしれない。どうせ書くのはイグザムとかからの逃走劇だ。
タイトルを訊かれて少し焦り、適当に『DARK GAME』と答えた。そのまんまだなと、鼻で笑われて少し楓は肩を落としたが、話を続けようとする。
だが、教室の中に教師が入って来たことからすぐに察した。もう二時間目が始まってしまうと。
その教室を後にしながら楓は二時間目が何か思い出す。二時間目は国語、次もすぐに動くことが出来ると握りこぶしを作ったがすぐにそれは緩んだ。
良く思い出すと三時間目が科学の実験、その後芸術で二重の移動授業なのだ。二つとも教室からは遠いので、昼休みまで待たないといけないということが発覚した。
その時に、青宮が最後に話しかけてきた。
「次は負けないから」
「何に?」
「成績」
そういう短い会話が終わり、本当に時間が不味くなった楓は教室に戻った。いや、入ろうとした。
自分の教室に何だか人だかりが出来ていることに驚きを覚えたがすぐに思い出した。氷室に野次馬が群がっているだけだということを。
これはこれで面倒だと思った楓は鬱陶しそうにドア付近の奴の肩を叩いた。申し訳なさそうにその場を退いてくれたのだが、その状況をもう一度眺めて楓は絶句した。
群がっているのは全員男子、どんだけ面食いが揃っているのだと嘆息する。中心の氷室も表面はまだ柔和だが、神経がピリピリしているように見える。
こいつら何なんだと溜息を吐いて席に着いた。もう古典の教師は教壇に立っている。
どこかに行っていたのか、乙海が帰ってきた。横には赤弥がセットでいる。座席に戻ってすぐに乙海は楓につい先ほど言われたであろうことを報告した。
「楓、昼休み陸上部集合って竹永先輩が言ってた」
ああ、昼休みも潰れるのだと楓は深い深いため息を吐いた。
続きます
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完全に言い忘れてたー。
ということでさらっと楓が学級委員だとこの話に書いておきました。
後、乙海は陸上部員でも速いってことになってますね、賞状貰ってますし。
氷室と青宮似てるから今度二人で何かさせようかと考えたり案が浮かばなかったり。
では、次回に続きます。
- Re: DARK GAME=邪悪なゲーム= 第二げえむ開始です ( No.67 )
- 日時: 2011/11/12 21:55
- 名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: z9DnoDxA)
第四十一話 違和感
昼休み、退屈な芸術の授業の直後に陸上部は集合がかかっていた。集まってからの話題はおそらく、今週末に予定されている総体と呼ばれる大きな大会についての連絡事だろう。もしそうであれば楓には無関係な事ではないから行かなければならなかった。
この高校の一年生の中長距離の部員は楓ともう一人しかいない。よって必然的に大きな、エントリー数の限られた試合でも両方が出ることができる。両方出るどころか一人当たり二つもの種目に出られる。
そういうことから、楓とそのもう一人のメンバーは両方八百メートルと千五百メートルの試合に出場することになっていた。
「秀也がラストみたいだぞ」
ふと肩に誰かの手が置かれた。その行動の主であろう男が楓に話しかけた。声ですぐに察した、後ろに立つのは先ほどから言っている、もう一人の中長距離のメンバーだと。
名を、元眞代介(げんま だいかい)。こいつも小説を書いていた。その小説の題名は『リバーシブル』。なんとなくつられるままに書き始めたのだが、途中で面倒になって放棄したらしい。ハンドルネームもふざけたらしく、適当にテレビに映った高校の名前からとったらしく、北野(仮名)という名前だった。
ついでに、この学校でもっとも楓が親しくしている友人の一人でもある。代介自身も下の名前で呼ぶほど楓とは仲が良い。
「全員揃ったわね。じゃあ、先生から話を聞いている私が取り仕切らせてもらうから。まず、今週末についての集合関連の連絡よ」
司会に名乗りを上げたのは顧問の先生のお気に入りである、女子エースの竹永だった。つい先週三年生が引退してからというもの、部長よりも副部長である竹永が仕切っていた。
元々部長自体練習と試合以外はあまり関心が無く、練習に打ち込むためにその他の事を色々しすぎたために頑張りを認められて部長に着任させられた。
そんなことを思い出していないで、話を聞いていないと大変なことになると思った楓は連絡事項に耳を傾けた。
「集合は開門に合わせて八時。ただ、場所取りの人だけ三十分前に行っておいてね。集合場所は競技場に直接行ってくれたらいいわ。各自諸々の不注意からの出場停止やフライングが無いように気を付けること」
この辺りの競技場と言えば、学校から少し歩いたところに市営のグラウンドがあったはずだ。一応大きな大人の試合なども行われたこともあり、それなりに整備されている。
これで話は終わりだろうと気を緩めたところで思い出す。さっき竹永は『まず』と言ったのだ。その続きがあるに違いない。緩んだ緊張の糸をもう一度張った時に、今度は短距離の先輩が話しだした。
「えー・・・一身上の理由でその試合に出られなくなってしまったのですが・・・俺はマイルにエントリーしています。ということなので代わりに補欠として楓か元眞に入ってもらわないといけないんだけど・・・どっちが出る?」
まずはマイルの解説だ。マイルとは、分かりやすく言うと四×四百メートルリレーだ。その総合走行距離はおおよそ一マイル(約千六百メートル)。おそらくそれが語源となりマイルと呼ばれるようになったのだろうと以前代介が言っていたのを楓は思い出した。
それよりも問題なのは、今先輩が言ったように二人の内のどちらが出場するかだ。陸上をしていない者には無い知識だろうが、四百メートルは想像を絶するほどに辛い。個人差があるが千五百メートルの方がよっぽど楽だとこぼす先輩もいる。
「どうするよ、俺はどっちでもいいけど・・・」
「俺も・・・どっちでも良いんだよなぁ。速い方で決めるか」
どちらでも良い、最初に代介がそう発言したのに合わせて楓は返したが、それは本音では無かった。正直楓は出たくなかった。そういう理由で楓は速い方が出ると提案した。千五百メートルならば代介の方が圧倒的に速い。そこを突けばと考えたのだが。
「四百って走ったことある?」
ふと竹永がその会話に乱入してきた。一旦二人の話し合いを止めて先輩の質問に答えようと二人は体ごと向き直る。
「二人とも無いですね」
あっさりと、代介が竹永に返した。あ、そうと軽快に受け流して次の質問を竹永は口にした。八百ならばどちらが速いか、と。それなら楓の方が速いと、皆が口を揃えて頷いた。話題が一つに絞られているからそれに皆が首を突っ込んでいた。
じゃあ決定ねと、竹永が楓を指差して、笑顔で言い放った。
「楓の方がスピードあるなら楓に決まりね」
言い出しっぺの楓は忘れていた、今どちらが出るか悩んでいるのは短距離の種目。それならば瞬発力のある方が選ばれるに決まっている。それを比べるには距離が長い方が不適、短い方が適している。
つまりは共通して出たことのある最も短い距離で示唆するのだが、その場合は楓の方が代介より少し速いのだった。
「頑張れよ、応援してっから」
満面の笑みで親指を立てて代介が楓を励ます。内心お前も嫌がっていたのかと、目で訴えながら苦笑する。顔も幾分か引きつっているように感じられた。「もちろん」という小さい答えが耳に入ったような気がした。
「じゃあ、決まりね。各自解散」
そう言って、先輩の方から順に散り散りになっていった。この時に何か違和感を感じた。何かが首元につっかかえて出てこない。もう少しで出てきそうなのに、分からないという歯がゆくて仕方が無い感覚。重要な何かが、思い出せない。
「楓ー、聞いたぜー」
後ろから、乙海が話しかけてきた。つい先ほどの代介のように嬉しそうに笑っている。何かこいつに良いことでもあったのかと考える。しかも自分についてのことで。
そしてようやく思い出した、乙海と青宮には面識が無い訳ではないということを。
「ようやく始める気になったか!じゃあ、早く始めてね。すっごい読みたいから」
クールなくせに人にベラベラ喋るのかと、少し楓は青宮に対して勘弁してくれとため息を吐いた。これで本当に後に退けなくなった。この後に赤弥に伝わると察するともう楓は叫ぶ以外に無かった。
続きます
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はい、陸上の話ばっかりで申し訳ないです。
でもこれは二章にも三章にも関係あるから許してください。
後、北野(仮名)は俺のことです。
では、次回に続きます。
- Re: DARK GAME=邪悪なゲーム= 第四十一話更新 ( No.68 )
- 日時: 2011/11/14 21:42
- 名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: z9DnoDxA)
第四十二話 physical and mental fatigue
確かにこの日は色々あったが、思い返してみると部活が最も辛かったと思う。時計が午後七時を指しているその時、机に向いながら楓はそのように呟いた。
氷室が転校して来たり、アダムが来てげえむが始まったり、小説書く羽目になったりしたが、それよりも遥かに部活が辛かった。鬼のように辛い特訓のようなもので、普段の数倍疲れたような気分だ。
そういうことで肉体はかなり疲弊していたのだが、それと同様に精神面もかなり疲労していた。まずそもそも色々とありすぎた。たくさんのことが今日一度に起こったせいで薄れてはきているが、そもそも鬼ごっこが終わったのは昨日、というよりも今日の朝だ。
あんなに肉体を駆使させたはずなのに、その時の疲労は嘘のように取れていた。それだけではない、鬼ごっこが終わったと思った次の瞬間に起きたのに、何時間もぐっすりと眠れていた。八時に竹永の家の前でいきなり裏側の世界に入り込んだというのに、だ。
あんなに多くの者を一度に転送できた事と言い、あいつらの技術は相当なものだと思われる。しかし、そんなことができる科学力はこの地球上に存在しているかどうかと訊かれると、答えは『No』だ。ある訳が無い。
それなのにそれが可能、さらにはあのヴァルハラの使者という謎の男の証言によると、アダムの使者という、簡略化して説明すると敵の連中は『神様』だということになる。そのような現実を遥かに超越する霊的な力を持っているとすると、あたかも楓の気が狂ったと思われがちだが、あいつらは確かに実在した。果たしてこの世に神様がいるのかと訊かれた場合、都合の良い答えを楓は持ち合わせていなかった。
「一体、あいつらって何なんだ?」
まず、そもそも向こう側がなぜこのようなことをするか、そのことがまず楓には納得できなかった。神様だったらむやみに人を殺戮するようなことは決してしないだろうし、悪行を働く人間をただ処罰するというだけなら、自分たちにリスクの降りかかるあんな方法をとる必要も無い。
それに、ヴァルハラの使者は『戦争』とも言っていた。アダムも自分たちが死んでしまうとぼそりと呟いた。これについての全ての関連性はさっぱり分からない。
今現在楓の頭に浮かんでいる予測を全て整理すると、このようになる。まず、第一にアダムの使者が『神様』であると断定したとする。すると、ヴァルハラの使者によると人間とアダムの使者は、争い合い、戦争をする運命らしい。そして、代表者に選ばれた可能性があるのが楓を含めた昨日の生き残りの五人。対するアダムの使者は二十五人。
だがここで出現するのは、ヴァルハラの使者という、どっちつかずの存在だ。予測では、不正が行われていないかの監査をする中立的立場、あるいは神と人間では格の違いがありすぎるので人間側に助力する後ろ盾。ここではどちらかというと、監査役の方が信憑性が高い。
ただし、それはただ単なる楓の主観というだけであって、どこまでが正しくてどこからが間違っているのか、それとは逆にどこまでが間違っていてどこからが正しいのかの判別はできない。
「やべ、そろそろこんがらがってきたかも・・・」
たくさんの事を考え過ぎて、頭が混乱してきた。段々と頭痛が襲ってくるような気もするがそれはおそらく気のせいだろうと溜息を吐いた。
「何か息抜きでもするかな・・・ていうか宣言したから書かないといけないな・・・」
そうして、自室にあるパソコンに向かった。いつ以来だろうか、遊ぶ目的でパソコンを使うのなんて。パソコンを使うのはほとんど調べ物をしたいとき、そしてメールをしたい時だ。
こうして、息抜きや遊びの類で使うのは数年ぶりだった。インターネットの検索欄に、小説『投稿』という言葉を入れるのはおそらく人生で初だろう。
「とりあえずなんかアドバイス的なの探すか・・・」
そうこう探してみても一切見つからない。仕方なくノーヒントで、手探りで誰かのを手本としてしてみようととりあえず水月、つまりは青宮の作品を開く。
とりあえずはボキャブラリーの多くした方が良いかと思い、新規作成の部分をクリックする。書き出しはとりあえず、上り坂を登り切るぐらいに自分の言い放った言葉から書きだす。
そこから、想像以上に時間を費やして第一話を完成させた。一時間あれば一話ぐらい出来上がると思った。が、現実はそう甘くなく、二時間程度かかった。
「できた・・・ってもう十時かよ!」
制限時間も刻一刻と近づいているなと、余裕を持って彼はそう言った。おそらく一つ目のげえむをクリアしたことが彼に過剰な自信を与えていたのだと思われる。
壁に目をやると、自分の好きな言葉がいつも通り額縁の中の紙に書かれて入っていた。
『やりたいことならしたら良い。
絶望が渦を巻くなら泣き叫べば良い。
消え去りたいのならば死ねば良い。
世界を愛することができないのなら、一人の人間を愛せば良い。
世界が嫌いなら変えれば良い。
英雄がいないと言うならなれば良い。
どれも簡単なことのはずだ、したいと本能が叫ぶままにするだけ。
何を迷うことがあるというんだ。
そうは言っても動けない、それが人間という生き物だろう。
英雄がいないと君は言うが、本当にそうかもう一度考えてみろ。
この世に自分を産んだ両親は彼や彼女にとって一番の英雄だ。
英雄とは必ずしも光と栄光に包まれた存在ではない。
汗と泥と血と涙と、しわくちゃになりながらも煌めく英傑はそこにある。
それでも君は、英雄になりたいでしょうか?
否、誰もがすでに誰かにとってのかけがえの無い存在。
なろうと思ってなるものではなく、認められてなるものなのだ、本来それは。
本当に世界が黒く汚れた時に叫んでみろ、涙を湛えて「英雄になる」と』
「全く、こんなこと言った奴が家族捨ててどうすんだよ」
それを言う楓の表情はいつになく冷たく、暗く、重く、固く、沈んでいた————。
続きます
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さて、一日目終了です。
やはり予想通り二章の進行は速いですね。
というか俺もなんかこっちばっかり更新してますね。
明後日こそはもう片方の方を・・・
では、次回に続きます。
- Re: DARK GAME=邪悪なゲーム= 第四十二話更新 ( No.69 )
- 日時: 2011/11/18 20:29
- 名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: tDghPMhC)
第四十三話 先輩陣
一日目は大した収穫も無く終わってしまった。そういうことから楓は気を引き締め直していた。制限時間はもう残り四十八時間、つまりは後二日程度しか残っていない。
ここで、楓は一人一人可能性のある人物の中でも、昨日接触した人物についてを振り返ってみる。しかし、それほど良い結果は得られなかった。本当に小説がキーワードなのだとしたら、普段読んでいるだけの自分には詳しい事は分からない。よって、小説連載陣全員に話を訊きだして一人だけ妙な発言のする奴が当たりだが、まだ見つかっていないので保留。
次に竹永と氷室についてだが、少なくとも竹永は「本?小説?五秒で飽きる」と言っていた記憶が楓にはあったのでまずカキコには一切関係が無い。
次に候補となって現れるのは氷室なのだが、まず無いと思われる。というよりも転校してきたのはいいが、それ以降一度たりともコンタクトを取っていない。向こうも取ろうとはしていないようだ。
「先輩とは大違いだな」
浅くだが、そこに消え入るような溜息を吐いた。いくら薄着しようとしても緩和されることの無い暑さもかなり鬱陶しい。でも、今このタイミングでまたしても何かが楓の中で引っかかった。
重要なことを忘れているような感覚、その原因は未だによく分からない。考えてもその答えが浮かんでくる気配は無い。
というより、もしかしたら嫌われているかもしれないなと、楓は苦笑する。ただ単に時間が無かっただけでヴァルハラの使者に『過去の事実』を突きつけられたところで怒りが収まらなかったとすると、話もしたくないのだろう。
「まあ、嫌われても文句は言えねえな」
それはそうだと、彼は心の中で繰り返す。告白なんてされて、それが別に本心から出たものではないと聞かされたのなら、普通の女子なら怒って当然だ。人一倍プライドの高い氷室ならば、なお当然だ。
というかそもそも自分たち二人に記憶はたまたま残っていたが、氷室には残っていない可能性も無いと考えられる。自分たちのところにだけ、竹永と楓をピンポイントに狙ったような招待状が来たのだ。
氷室は巻き込まれた被害者、または楓の動揺を招くための存在だったとしたら、次の『げえむ』に出す必要も無い。
そのように、適当に考えながら進んでいると、後ろから軽く小突かれた。このノリで絡んでくるのは大概赤弥なので、今日もそうだろうと思って振り返ると目に入ったのはカッターシャツだった。ということは男。しかも二年生の証である青のバッジを胸に付けていた。
「神田さん!」
神田桐哉、楓のいる高校の一つ学年が上の先輩だ。ちょっと周りから見たら怖そうな顔をしているが、それは性格的に自分の心の本意を中々伝えることができないだけで、とても面倒見が良い楓にとって兄貴的な存在。それほど自分としても悪い方の道に踏み込むつもりは一切無く、紙を馬鹿みたいに伸ばす事も無く、ケバケバしく染めるようなこともない、黒髪の短髪。
「元気してっか?最近中々顔見なかったからよ」
最初に彼に会ったのは月例集会の打ち合わせをしている時に、上の学年の学級委員をしている彼と少し話をしたからだ。神田と楓は共に、誰もしないならやってやろうという軽い人助け的な流れで立候補して、面倒な仕事ばかりの委員になったということだ。
小説ブームに火を付けたのは、彼とその一つ上の先輩のバスケットボール部コンビで、神田が『花屑と狂夜月』、そして『他人の不幸は毒の味』を掛け持ちで連載している。
大概その二人は一緒に動いているので大方今も共にいるのだろうと思い、横に目をやるとやはりそこにその人はいた。
「お前が、青宮の言っていた奴か」
青宮が体育館の中からクラブ中に出てきたのを見かけた覚えが楓にはある。だから、体育館内系の部活だとは知っていたのだが、どこかは知らなかった。だがここではっきりする、バスケットボール部の選手、またはマネージャーだと。
基本的にこの先輩はバスケットボールの腕前で女子から人気が高いが、あまり自分から人と関わろうとしない。部活仲間だけを別として。
大谷要(おおや かなめ)、三年生の体育科の人間。この学校は進学校と体育科という二面性を持つため、部活に関する取り決めはちょっと特殊である。普通科は八月までに止めるのが鉄則、体育科は自由。よって、要はまだ部活を引退していない。
眼鏡をかけていて、一見知的な人間に思われがちだが、どちらかというと本業はスポーツ。勉強派体育科の中でも上位にいる。発せられる冷たい空気は氷室のような少し人間嫌いのようなものでなく、青宮のような落ちついた感じから来るもので、刺々しくなく、クールに映る。
この先輩が書いているのが、『REVERSE WORLD』、ファジー板にある戦争ものの物語で、訓練の結果では散々だった主人公、野々村仁が戦場にていきなり頭角を現して活躍する、そして戦争はより過酷に・・・といった物語。
「名前は・・・・・楓だったか?」
「はい・・!知ってらっしゃるんですか?」
先日の鬼ごっこの一件で敬語を乱用していたので、かなり板に付いてきているなと、溜息を吐く。もちろん不快感を与えないように隠れてだ。
「それは青宮じゃなくて青宮と話している女子の口から出たんだけどな」
青宮と話すほど仲が良いのは、赤弥・乙海の二人組だ。発せられる冷たい雰囲気を赤弥の明るい方の部分が突き進み、乙海もついていくように話すようにして仲良くなった。
学校の中でも有名な先輩に名前を覚えられているyことが、楓にとって光栄だった。話しかけられるのは初めてのことだと、楓は思い出す。
だが、ちょっとした失望も抱えていた。特に奇妙な点は無いと、つまりはかくれんぼに対するヒントが見つからなかったと。
「おい、朝練遅れんぞ」
そのいきなりの要の呼びかけに神田が反応する。楓も思いだす。陸上部にも朝練があるのだと。そこから、グラウンドと体育館の方向は違うので楓は孤立して、グラウンドに向かった。
続きます
__________________________________________________
二日目も始まりました。
そして募集キャラ二名登場。
では、次回に続きます。
- Re: DARK GAME=邪悪なゲーム= 第四十二話更新 ( No.70 )
- 日時: 2011/11/18 20:35
- 名前: 狒牙 ◆nadZQ.XKhM (ID: tDghPMhC)
第二章をするにあたって募集したキャラクターリストです。
その前に修正後の四十三話をご覧ください。
作中名:大谷 要(おおや かなめ) 男 18歳
容姿:眼鏡をかけていて、冷たい雰囲気を出している、紙は耳に髪の毛がかかるぐらいで黒色で
性格:クールで冷静だが、実は悪が許せない熱血漢
サンプルボイス
『何か俺に用か?』
作中名:赤弥 藍妃 16歳 (意味あってますか?)
容姿:藍色の髪に水色の瞳。
性格:明るい。その正反対で暗いときもある。
つけたし
サンプルボイス(口癖)
「ん?なになに?なんか言った?」
「やっぱり嫌われてる…。」
作中名:乙海 凛 (おつみ りん)
容姿:普通。いたって普通。友達曰くどこにでもいそうな人の良さそうな顔だとかなんとか。
性格:お金の使い方が下手。時間の使い方も下手。猫と亀が好き。
作中名:青宮 葉月 15歳
容姿:黒のロングヘアーに青の瞳
性格:冷静
サンプルボイス
『私は青宮葉月。宜しく』
作中名:神田 桐哉(かんだ きりや)
容姿:黒髪短髪。不良みたいな悪人面。
性格:乱暴な口調で、不器用な性格。本当に伝えたいことが上手いこと伝わらない。
サンプルボイス
「神田 桐哉だ」
「てめーには関係ないだろ」
「聞くなよ・・・そんなこと」
「ちっ!来やがった」
「ここでお前は隠れてろ・・・!!」
以上です、上から順に将軍さん、夏蜜柑さん、ryukaさん、水月さん、赤時計さんです。
リク依頼でアダムの使者募集してまーす。
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