複雑・ファジー小説
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- リーマン、異世界を駆ける【もう一つのエンド完結】
- 日時: 2015/09/06 13:33
- 名前: yesod (ID: ZKCYjob2)
キーワード:ファンタジー 異世界トリップ 奴隷 基本ほのぼの たまにシリアス 獣人 ご都合主義
主人公がチート 一人称・視点切り替え
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登場人物【詳しいことはこっち>>1 >>267】
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あらすじ:取引先へ向かう途中、トイレに行ったら異世界につながっていた…
鞄の中も四次元。中から無限に金貨が出せる!?これって・・・大富豪どころじゃない
・・・で、どーしよう
猫の奴隷を買い、リーマンは異世界の中でのんびりせかせか生きていく
第1章 ルチカside >>2-5 不思議な人との出会い
第2章 聖司side >>7-14 1千万の契約がパー
第3章 ルチカside >>15-22 服を買いに行く
第4章 聖司side >>24-34 自称神と会う
第5章 サイトside >>35-42 新しい主人は黒い髪の男だった
第6章 セージside >>45-52 リーマン、家を買う
第7章 アーノルドside >>57-67 脱いだらすごかった
第8章 セージside >>74-85 脱いでもすごくないです
第9章 エリックside >>88-102 仕事<<<セージ
第10章セージside >>104-116 リーマン、ロリコン疑惑
閑話休題 翼side >>117 新たな家族
第11章 ルチカside >>118-125 セージ、倒れる
第12章 サイトside >>127-131 サイト、彼女ができる?
第13章 セージside >>132-137 セージ、サイトの邪魔をする
第14章 外伝 >>138-140 日本人女性、現る
第15章 セージside >>141-151 神様は沖縄旅行ナウ
第16章 リリナside >>152-157 指導者として悩む
閑話休題2 ルチカside >>158-159 出会いと別れ
第17章 セージside>>161-168 奴隷市場リベンジ
第18章 メルトside>>170-173 変わったご主人様
第19章 翼side >>174-176 未成年は飲酒禁止です
閑話休題3 エリックside >>177 新たな【奴隷】
第20章 レイラside >>180-195 リーマン、見合いをする
閑話休題4 神side >>196 君にもう一度会いたい
第21章 セージside >>199-213 悪夢、再び
第22章 ルチカside >>214-226 姫様のキスでリーマンは目覚めました
第23章 セージside >>228-233 リーマン、爆発しろ
第24章 エリックside >>235-240国王からの呼び出し
第25章 セージside >>242-251 やっと異世界を駆ける
閑話休題5 >>252-253 迷い
第26章 ルチカside >>254-257 新天地にて新しい生活
第27章 セージside >>258-263 リーマン、拉致し続ける
おまけ >>264-267 登場人物紹介もあるよ
第28章 カスパルside>>268-272 和平を結ぶために
終章 セージside >>276-287
Epilogue ???side >>288
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完結しました。
皆様、ありがとうございます
いろいろお伝えしたいことがあるので、後日詳細を書こうと思います。
- 第28章 カスパルside ( No.269 )
- 日時: 2015/08/13 07:30
- 名前: yesod (ID: ZKCYjob2)
子供たちが噴水や遊具を囲んで遊んでいるのが見えた。ルチカも子供たちと一緒にここにいる。
しかし、ここにいるものたちはあれは何かわからないのだろう。
「カスパル殿、あれは何だ。彼らは何をしている」
「あれは公園といって子供が遊んだり、大人が憩いの場に使う場所です」
「遊ぶ・・・・・・だと?労働はしないのか」
子供でも労働力として利用するのが当たり前である。
遊ぶのは上流階級の子供だけだろう。
私は彼らに説明した。
「ハポネの子供は5歳になるまでこのようにひたすら遊びます。
5歳になると、5年間学校に通います。
10歳まで労働する義務はありません」
彼らは目を丸くするばかりだ。
港に降りてから衝撃の連続だっただろう。
この学校が無償だと言えば、更に驚くことだろう。病院も安価で治療を受けることができる。
国民が納税した分、このように社会に還元されている仕組みだ。
国民たちもこのことを知っているため、真面目に働く。
目の前の大臣たちのように私利私欲のために無駄遣いはしない。
ルチカは私たちに気がついたようで、こちらを見た。
軽く会釈をすると、ルチカは手を振った。
子供たちの中には大臣を見て、怯える者がいた。
「人間だ!」
「私たちを捕まえに来たの!?」
泣き叫ぶ子供もいる。
彼らにとって深い心の傷が残っているのだろう。
ルチカは子供たちに言う。
「みんな落ち着いて!この人たちはあなたたちを捕まえたりしないわ!」
しかし、子供たちは遊具の上に登って警戒していた。
ルチカの子であるマコトは、母親の服の裾をギュッと握っていた。
そのとき、大臣の一人が呟いたのが聞こえた。
「シャム猫だ・・・・・・なんて美しい」
シャム猫は美しい顔立ちと体つきのしなやかさが特徴で、愛人としても人気がある。
島の外では獣人が激減したため、値段が高騰しているようだ。
私はルチカを凝視している彼に注意した。
「彼らも警戒しているため、獣人に手を出さないでもらえますか」
「なに、少しだけだ。少しならいいだろう」
彼は下品な笑みを浮かべ、ルチカに近づく。
しかし彼がルチカに近づいたとき、突然彼の体が沈んだ。
彼の足が公園の土にはまって動けなくなったようだ。
「な、なぜだ!どういうことだ!」
大臣は慌てふためいている。
私が聞きたい。
硬いはずの地面がまるで沼に漬かったかのように、膝まで埋まっていた。
マコトは地面の固さを確かめるように、その場をジャンプしていたが、沈まなかった。
我々も何ともない。
そしてマコトは大臣と目があうと、こう言った。
「パゲェ」
その言葉を聞いて我々は凍りついた。
はっきりとは言えてないが、恐らく『ハゲ』と言ったのだろう。
ルチカは慌ててマコトの口を塞いだ。
言われた大臣は顔を真っ赤にして震わせている。
「ヌヌヌ・・・・・・ハゲだと!?獣人のガキが!」
しかし足を動かそうとしても、びくともしない。
むしろ少しずつ沈んでいる。
「た、助けてくれ!」
体が少しずつ沈んでいくなんて、怒りどころではない。
大臣の顔が怒りから恐怖に変わった。
- 第28章 カスパルside ( No.270 )
- 日時: 2015/08/13 07:29
- 名前: yesod (ID: ZKCYjob2)
そのとき、セージ殿が魔法を使って現れた。
「人の嫁に手を出すからだ、バカタレが。
犯罪とか秩序を乱すようなことをすれば、こんなことがあるからな」
大臣たちの顔が青ざめた。
ルチカがこれから話し合う相手の家族だとわかっていたら、彼らは世辞でも言って機嫌をとろうとしていただろう。
この国で悪事を働こうとすれば、地面に埋まったり雷に撃たれると聞いた。
まあ、悪事を働く者なんて今まで見たことがなく、保安官としての仕事がないのだが。
セージ殿は続ける。
「俺の息子だ、可愛いだろう」
「え、ええ。セージ殿に似て、とても利発そうなお子様ですね」
大臣の声は震えている。
さらにセージ殿は追い討ちをかける。
「『そうな』じゃないんだよ。実際に賢いんだよ、ハゲ」
「ひぃぃ!」
これでは質の悪いゴロツキが絡んでいるようにしか見えない。
とても一国の元首とは思えない言動だ。
そのとき、ルチカは口を開いた。
「セージ様、その人を許してあげて」
「あのなルチカ、家族が手に出されたら許せないぞ」
「でもやり過ぎよ。これから話し合いをするんでしょ?今回は許してあげて」
セージ殿は顔をしかめ、地面に沈んでいた大臣の足を元通りにしてやった。
そしてこう言う。
「『今回は』許してやる。次やったときは頭まで沈めるからな」
人間が獣人の言うことを聞いた。
我々が恐怖に震えるなか、ルチカは「もうっ!」とセージ殿を軽く諌める。
マコトもルチカの真似をして「パパ、めっ」と言う。
獣人が人間に対してあり得ない態度だ。しかしセージ殿はルチカや誠に怒る様子もない。
私はマコトに言った。
「マコト君。人にあったとき、なんて言うんだったかな?」
子供にはきちんと躾が必要だ。
マコトは少し首を傾げてからこう言った。
「こにゃちは!」
マコトは元気よく声をだして頭を下げる。
「そうだ、えらいぞ」
誉められてマコトはニコッと笑って嬉しそうだ。
とても素直でいい子だ。
少し離れたところでセージ殿はルチカに「自分の子供にハゲなんて教えた覚えはねーよ」と弁解していた。
さすがのセージ殿でも妻と子供には弱いのだろう。
- 第28章 カスパルside ( No.271 )
- 日時: 2015/12/23 00:02
- 名前: yesod (ID: ZKCYjob2)
本当は待ち合わせ場所でセージ殿と会う予定だったが、ルチカが襲われた(未遂だが)ため、急遽現れた。
セージ殿はマコトを抱き上げてこう言う。
「まあいいや。遠いところからお疲れ様。これから昼食を食べませんか?」
長い船旅で疲れているのもあり、どこかで休みたいのだろう。彼らは頷いた。
公園で遊んでいた子供たちは「セージ様、さようなら」と手を振った。
マコトを抱き上げ、ルチカと手を繋いで歩いているセージ殿はただのいい父親にしか見えなかった。
セージ殿が彼らを連れていった場所は国民がよく使う食堂だ。
大臣たちが明らかな不満顔になるのは当たり前だ。
私は頭を抱えた。
普通ならここは身分が高い者たちを連れていく場所ではない。
しかし、食べる場所といえばここぐらいしかないのだ。
贅沢で立派な建物など必要ないのだから。
そこには個室などなく、簡素なついたてで仕切られた場所に案内した。
そこにはルチカとマコトは同席できない。ついたての外で待ってもらうことにした。
ルチカはマコトの目線にあわせるようにしゃがんで説明する。
「パパはこれからお仕事だから、静かにしてようね」
ルチカの言い付けを聞いて、マコトは人指し指を口に当てる。
「しー」
「そう。しー、よ。いい子にしようね」
するとセージ殿は財布から銅貨をいくつか取りだし、ルチカの方をたたく。
「ルチカ、これで誠になにか食わせてやれ」
「え・・・!?そんなのいいわ。私たち、待ってる」
「いや、子供に長い時間待たせるのは酷だ。いいから食わせてやってくれ」
それでも受け取ろうとしないルチカの手を握り、硬貨を渡した。
マコトはセージ殿のほうを向いて見上げる。
「パパ、お仕事頑張ってね」
「おう、ありがとうな」
とても和ましい光景だ。
これから歴史を変えることになるとは思えなかった。
我々はついたてで仕切られた部屋に入る。
それぞれ席に座った。
店主のメルトをはじめ、店員が料理を運び、テーブルに並べていく。
大臣たちは目を見張った。
料理は数々の野菜でとても色鮮やかに彩られており、どれもいい匂いを放っていた。
食事を前にすれば、料理に穴があきそうなほど凝視し、いかにもよだれを垂らしそうだ。
あまりにも彼らが料理を食いつくようにみるので、配慮したのかセージ殿はこう言った。
「まずは食べましょうか」
すると彼らは返事もせずに、料理に食いついた。私も、おそらくセージ殿も呆れていた。
大臣のような高い地位であっても戦争でいいものを食べられなかったのだろう。
ここでは、これらは獣人も普段食べているものだが。
- 第28章 カスパルside ( No.272 )
- 日時: 2015/08/14 17:45
- 名前: yesod (ID: ZKCYjob2)
予想以上の食いつきぶりだった。
食事を済ませて、ようやく会議が始まった。
セージ殿は周囲の一人一人の顔を見て、言う。
「お忙しい中、ハポネに足を運んでくださり、ありがとうございます。
僕が貴殿方を集めた理由はわかっていますよね」
セージ殿は戦争を続ける両国に和平条約を結ぶことを提唱した。
和平を結べば、両国に食糧と技術の発展の援助をするという条件を出した。
すると、クレイリアの大臣が手を上げた。
「セージ殿、私からの言い分を聞いてもらいますか。
あなたは異国の者である故、わからないことはあると思います。
しかしこのことを知ってもらわないければ、我々はあなたの出した条件に納得できません」
「なんですか、続けてください」
セージ殿に発言を許可され、大臣は言った。
「そもそも今回の戦争の原因はルテティアにあります。ルテティアの国王は家族にクレイリアの王族の親戚がいるというので、王位継承権に干渉してきたのです」
「それなら身内で解決すればいいですよね?なにもわからない異国人の僕を呼び出す必要はありませんよね」
セージ殿は【異国人】を敢えて強調する。
セージ殿の黒い瞳は家族に向けるような暖かさは全く感じなかった。
セージ殿は続けた。
「あなたたちの先祖は建国当時から何かと理由をつけて戦争しました。競走するかのように、獣人たちの国へ侵略しましたね。
貴殿方の身勝手な行動でどれだけの犠牲を出したかわかりませんか
戦争をするたびに生活が犠牲になるのは国民ですよ」
思い当たることがあるのか、大臣たちは言葉に詰まってしまう。
セージ殿は次々と大臣たちに胸に突き刺さることを言う。
彼らが戦争や駆け引きに夢中になっている間に、セージ殿は国民と協力してハポネの発展に尽くし、たった数年で両国を追い越してしまった。
獣人を格下と見ていた彼らにとって屈辱的に感じるだろう。
セージ殿は言う。
「貴殿方がここに来たのも、国の崩壊が近く、援助が欲しいからですよね。
貴殿方に恨みはありますが、恨んでもなにも生まれません
貴殿方の援助をして、全ての人が平和に暮らせた方がはるかに生産性があるでしょう」
セージ殿は書類を大臣たちに配る。
それは援助を受けるための条件と援助の内容が書かれていた。
戦争をやめ、今すぐ和平条約を結ぶことが条件に含まれていた。
国の崩壊が近い今、猶予は認められない。
彼らもそのつもりで来たのだろう。
大臣たちは力ない表情でサインをした。
- 嘘予告 ( No.273 )
- 日時: 2015/08/15 00:02
- 名前: yesod (ID: ZKCYjob2)
【第29章 嘘予告】
生まれた時、私はネコのお姫様
でも、みんな平等だったよ
兄弟もいたような気がするけど、何人いたかも覚えていない
燃え盛る家
逃げまとう家族。
私は怖くてお母様につかまっていた
物陰に隠れてじっと息をひそめて
私たちは捕まった
人間の下で奴隷として働いて
鞭や棒でたたかれる日々
罰として檻の中に何日も閉じ込められることもあった
気持ち悪い男の人に、見世物にされたこともあった
逃げた時、黒髪の男の人に出会って。
とても安心できる匂いだった
この人に助けを求めてもいいと思った
彼は私に服や食事を与えてくれて、私を守ってくれた
そして彼に仲間が増えた。
その仲間と一緒にお店を始めた
私は奴隷じゃなくて、仲間
みんなと一緒に働いて、とても楽しかった
彼と恋人としておつきあいすることとなってしばらくして
戦争が起こってしまう
彼は私たちを無人島へ連れて行ってくれた
そこでたくさんの獣人たちを連れて行って、国を作った
とてもとてもいい国だった
島の外の戦争も終わらせた
彼はたくさんの人を幸せにした
私たちは結婚して、子供も生まれた
獣人としてはありえないことかもしれないけど
子供は大きくなって、お父さんみたいになろうとして勉強を頑張ってる
ある日、私は少し目が見えなくなった。
遠くがぼやけて見える
いやよ。私はもっと彼が見たいの。
そのとき、彼は仕事をやめて、私のそばにいるようになった
寄り添って「常にそばにいたら安心だろ?」って
もう十分幸せなのに、まだ幸せをくれるのね
セージ様、ありがとう。愛してる
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