複雑・ファジー小説

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芸能界浄化睦軍
日時: 2015/12/29 01:57
名前: 梶原明生 (ID: DU.Bh3c8)  

芸能界浄化の宣言
一つ、芸能界は芸能人搾取があってはならない。

一つ、芸能界は情報提供に速やかに応じなければならない。

一つ、芸能界は悪質な秘密を抱えてはならない。

一つ、芸能界は正当な浄化行動に逆らってはならない。

一つ、芸能界は清浄、且つ国民の模範とならねばならない。

芸能界が不浄且つ不純な行動行為表現を行った場合、芸能界浄化陸軍は武装武力をもって浄化執行する権利を有する。
以上

Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.79 )
日時: 2017/11/16 00:39
名前: 梶原明生 (ID: 0zy7n/lp)  

…「違う…佐藤さんの話聞かせてくれるって言われたから。」一旦離して顔を覗き込む長谷川。「えっ。それでついて行ったの。」「だって輝、最近撮影以外で会ってもくれないし、会えばあの佐藤って人とべったりで上の空だし、おまけに連絡はなかなかつかないし。…いっそ二人だけの世界になれたらって思ってた。芸能界も芸浄隊も皆もどうでもいいって。」「バカっ。」「何、いきなり突き放して…あっ」てっきりまた冷たくなったのかと勘違いする神原。しかし、うつむいて涙を流す長谷川に驚く。「梅崎が今日人質救出作戦で敵の銃弾に当たって病院に救急搬送された。生死の境をさまよう危ない状態なんだ。」「う、梅崎さんが…そんな。」「ああ、そのそんなだよ。そんな梅崎や皆は日々、君達芸能人の自由と鑑のために戦ってんだ命がけで。それすらどうでもいいのか美紀ちゃんは。」「ごめんなさい。私大変なことを… 誤解してた。本当にごめんなさい。」「いいさ。わかってくれれば…」再び長谷川は神原を抱きしめた。二人の姿を見つめながら倉持は諜報部に事の経緯を報告していた。その頃氷川曹長はようやく解放され、芸浄陸軍病院にたどり着いていた。「藤高。お前そこまでして…」手術室の前に正座して祈りを捧げていた藤高曹長に驚いた。「氷川か。今必死に祈っていたところだ。有望な若者を死なせるもんかとな。」「そうだったのか。すまん、俺のせいかも知れん。」「何を言う、お前らしくもない。弱気になるな。」藤高曹長は氷川の肩を掴んで励ました。木下伍長が何やら紙を持って戻ってくる。「氷川曹長、早速で悪いんですが、事務部から渡されたものです。奥さんからだと。」それは紛れもない離婚届だった。「あいつ、こんな時に。」「別れるのか。一人娘の菜々ちゃんはどうするんだ。まだ小3だろ。」「養育費は送るさ。どうせ親権はやつが取るしな。アイドルになりたいって菜々の気持ち踏みにじったのは俺だ。女房は元女優。元から芸浄隊員とはうまが会わなかったのかもしれん。…だが今はそれどころじゃない。」「それどころだろ。」藤高曹長の意外な言葉に振り向く。「な、何。」「家族も大事にしないで芸浄隊員と言えるか。ストイックなのはいい。だが、仕事のために家庭まで壊したら本末転倒だろ。まして娘は、お前にとって一人の父親なんだ。会ってもう一度話し合え。それぐらいの時間ならあるはずだ。梅崎のことなら俺に任せろ、行ってこい。」「藤高。なるほどな。」…続く。

Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.80 )
日時: 2017/11/18 15:11
名前: 梶原明生 (ID: Xc48IOdp)  

…いつもの銀縁メガネを中指で上げる氷川。「長谷川に木下達がお前についていく理由がわかった気がする。やはりストイックに計算高いことが全てではないんだな。…わかった、梅崎のことは頼んだぞ。」「ああ、行ってこい。」彼は踵を返して急いだ。その頃佐藤のスマホにGKのボスから電話があった。「この回線は危ないはずではありませんでしたか。」「そうも言ってはおれん。今さっき河田亮介が芸浄隊諜報部に拘束された。あれほど事が終わるまでは手を出すなと命じていたのに、逮捕される口実に利用された。お前までバレてはいないと思うが、用心しろ。芸浄隊壊滅まで後一歩だ。後一歩で我ら芸能の牙団の念願が成就する。もう一度我らの芸能界を取り戻すために。」「取り戻すために。」スマホを切ると、女子トイレの鏡を見つめながら自分の過去を思い出していた。制服制帽に身を包んだ某芸浄隊員が彼女に連絡先を教えていた。「女優になりたくて上京したのか。そうか、何かあったらここに。必ず駆けつけるからね。」まだ無垢な15歳の少女。しかし男三人に拉致された。佐藤は必死にメールや電話をするが…レイプはあっても芸浄隊員が助けに来ることはなかった。助け出したのは現GKボスだった。三人の男を一瞬で叩き伏せる。「大丈夫か君。」彼女を助け起こすボス。以来、GKボスの元で働き、芸浄隊にモグラとして潜入する事を決意した。しかし。「あいつのせいだ。初めてGKを裏切りたいと思わされたのは。」濡れた唇を噛む佐藤だった。その夜、到底出演する気などさらさらないモニターズ1の生放送に、倉持達の説得で出演する決意をせざるおえなかった長谷川と神原。「放送本番まで後5秒。4、3、2、1っ。」カメラが回り始め、司会が挨拶する。「モニターズっ、1っ。さて皆さん、モニターズ1のお時間がやってまいりました。今日は何と生放送っ。しかもゲストはあの、う〜んたまんない、セクシー女優界のクイーン。桜まなさんと中西梨華さんでーす。」拍手喝采の中、ショートカットの桜とポニーテールの中西が入ってくる。「うわっ会いたかったんですよ、輝と美紀に」「いきなり呼び捨てかいっ。」禿げた芸人の突っ込みに安っぽい笑いが巻き起こる。「え、もしかしてまだ童貞。奪っちゃおうかな。」明らかに冷やかしが入る桜に長谷川は苦笑いでごまかした。「桜さん、やめましょうよ。」珍しい中西の意見に一瞬戸惑う桜。「えっ、あなた何言ってんの。…打ち合わせと違う。」…続く。

Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.81 )
日時: 2017/11/20 20:01
名前: 梶原明生 (ID: 97SCsTUE)  

…「違ってもいいんです。私、GKとは決別するつもりですから。」「はぁ、あなた…考え直した方がいいんじゃない。」睨み合う意外な光景に司会者が空気を読み、カメラの前に立つ。「きょ、今日はセクシー女優対決でもあるんでしょうね。楽しみだな、ハハハッ…それではお二方、席に着いてください。」仕方なく座る桜と中西。その後はモニターズ1名物のドッキリ企画のVTRが流れ、リアクションを取る流れになったのだが。中盤のVTRは芸浄隊員が一般人虐殺をするドッキリにすり替えられていた。「な、何だよこれ…」ドッキリとは言え、あまりに不謹慎な映像。それが終わるとお馴染み、中盤のトークタイム。いつもなら芸人のボケと突っ込みに、長谷川へのいじりが始まるのだが、桜がいきなり仕切り始めた。「皆さん、今日何が起きたかご存知ですか。先ほどのドッキリみたいなことが現実に起こったんですよ。まさに芸浄隊は危ない暴力装置ではありませんか。」「そんな、あなたね…」長谷川が意見しようとした矢先、立ち上がったのは神原だった。「違います。彼等は必死で芸能人と芸能人になろうと夢見てる人々を守ろうとしている隊員達ばかりです。抗うこともできず、事務所や大物俳優などに利用され、蹂躙されていた人々を解放し、不正芸能界を正そうと戦ってる人々です。」「み、美紀ちゃん…」「ごめんなさい輝さん。私も戦う。輝さんばかりにおんぶに抱っこはいや。もう迷わない。」自分のステージを壊された気分になった桜は、神原を睨みつける。「男も知らない生意気な小娘め。」「時代劇かいっ」芸人の安い突っ込みも、桜の怒りの火種にしかならなかった。「黙れっ。」「おお怖っ」桜のイメージを覆すほど、怒りに震えた。「ま、先ずはCM。」司会者が察してADに指示する。中西が援護を開始した。「桜さん、彼女の話は正しい。」「あなたまで何…」「私はアイドル活動中、枕営業を強要された。そしてGK側の男に騙され、何千万と借金を背負わされ、あなたに出会ってAV女優にさせられた。芸浄隊諜報部の方に教えられるまで知らなかった。」桜は唇を震わせながら驚く。「ま、まさかあなた…」「今日この日をもって芸浄陸軍に亡命します。」この発言に桜は愕然とした。「ということなので長谷川さん、宜しいでしょうか。」「あ、ああ、あの、わ、わかりました。」長谷川は驚きながら承諾する。彼は自分の席に座らせ、桜に向かって悠然と述べる。「桜さん。残念でしたね。」…続く。

Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.82 )
日時: 2017/11/23 18:37
名前: 梶原明生 (ID: oJBEkqvs)  

…頬をピクピクさせながら桜は押し黙った。長谷川は続ける。「あなた方の策略はもうわかっていますよ。一般人虐殺の報をマスコミを通じて行い、視聴率ナンバー1のこの番組を使って自分達はじめ、芸浄隊の地位を貶めて、軍そのものの解体を目指す。それがあなた方の策略でしょう。違いますか。」「な、何を証拠にそんな…」言いかけたところで河田と桜の密会していた音声テープをレコーダーで流す。そこには確かに今回の策略の一部始終を語る音声が入っている。「河田も僕の間抜けぶりにすっかり油断していたようですね。」「でも、まだCM中よ。それを取り上げて。」「わかった。」マネージャー兼用心棒の金髪男が長谷川から取り上げようと飛びかかるのだが…「無駄だ。あれを見ろ。」「な…」「ADさんの協力で、全カメラを点灯無しでオンにしてた。つまりCMなんか流してない。今のやりとりは全国に流れてる。もはやネットを通じて拡散するのは時間の問題だ。取り上げても意味はない。」「くっ。」金髪男は何もできずただ立ち尽くし、桜は床にへたり込んだ。その後急きょ番組内容を変更。長谷川達は中西と共に芸浄陸軍本部に向かった。長谷川と神原だけは石神大佐の部屋に入る。「よくやってくれた。今までつらかったろう。」石神大佐が労いの言葉をかける。「いえ、GKを倒すためです。それに、彼女を救えたし。」長谷川は神原と目を合わせ笑顔になる。「うむ、それと先ほど入った報告だ。長谷川、梅崎一等兵の手術が無事に成功してな。安定したそうだ。」「本当ですか。良かった、良かった。」思わず涙が溢れる長谷川。諜報部の小脇大尉が口を開く。「良かったついでに言っておくが、お前の部下の橘二等兵。彼がある重要なことに気づいた。先の突入作戦でビルの2階にいた二人羽織りにして民間人を巻き込んだ件。サーモカメラにはGKしか映ってなかったそうだ。つまり…」「まさか、体温がなかった…既に殺されていた。」「そうだ。」「しかし報道では…」「警察内部に誰か偽情報流したやつがいる。検死官も疑わしいので調べを進めているところだ。」「なら…氷川曹長も幕張達も殺してない。今すぐ二人に報告しに行っていいですか。」「ああ、いいとも。」長谷川は神原を残して宿舎に戻った。「幕張っ…あれ、幕張は。」木下伍長がスマホをいじっている。「おう、長谷川か。すげーなお前。今お前隊内じゃ英雄扱いだぞ。…ああ幕張ならPX横でコーヒー飲んでるぞ。」…続く。

Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.83 )
日時: 2017/11/27 00:14
名前: 梶原明生 (ID: MCpQOwBr)  

…「そうですか。ありがとうございます。」「おい長谷川…」木下伍長の声も聞かずに走り出す。そうとも知らずにPX横の休憩所で一人佇む幕張。手にペンダントを持ちながら。「紗耶香、何でだ。俺は神原美紀みたいに全てを捨ててでもお前と…なのにいきなり狭間と浮気した。お腹の子は俺の子供だぞ。それさえなければ渡米しなかったのに。」幕張らしからぬ姿でペンダントを握りしめて涙した。「幕張っ。」「あ、長谷川伍長。」いきなり入ってきた長谷川に彼は立ち上がって顔を上げた。「どうした幕張。」「いや、別に。何か用ですか。」「お前相変わらず生意気だな。上官に顔も向けない気か。」「当たり前じゃないですか。たかが伍長ごときに。」「お前…もういい。」ドアをピシャンと閉めた。「何だよあいつ。人がせっかく…」一人ぶつぶつ言いながら立ち去ろうとしたが。「長谷川伍長。」「橘か。どうした。」「実は…」橘は先ほどの幕張のことと彼の過去について話した。「まさか。そんなことがあいつに…」「はい。自分はあいつと中学高校と同じで。うちは自衛隊一家なもんで6年前に市ヶ谷に引っ越して。その時から知ってるんです。だから長谷川伍長に素直になれないんだと思います。でも音は悪いやつじゃないんですよ。」「わかった。もう下がって良いぞ。」「了解しました。」橘は踵を返して宿舎に戻った。一方河田はその頃芸浄陸軍取調室にて尋問を受けていた。小脇大尉が応対している。「どうした。口を割らないのか。君は強姦未遂に芸能浄化法違反までしでかしてるんだぞ。スキャンダルより厳しい沙汰が待ってる。どうだ、我々と取引しないか。」足を組んでソッポ向いてた河田が初めてこちらを向いた。「ほう、どんな。」「スキャンダルもムショ行きも免除してやる。お前にとって大事な仕事があるだろ。これが最後のチャンスだ。」徐に小脇大尉に顔を近付ける。「マジか。」「念書も作る。」ついに口を開き始めた河田。それから数日後。芸浄隊に対する嫌疑が晴れて、GKシンパの警察関係者が摘発された。梅崎も意識が回復し、面会まで出来るくらいに回復していた。「よう、梅崎。元気か。」長谷川が神原と共に見舞いに来ていた。「ま、まぁな。この通りまだ動けないが、喋りは達者だよ。」神原が続く。「梅崎さん、本当に良かった。お詫びと言っては何ですが、約束は守りたいと思いまして。」「お詫び…お詫びって何。」キョトンとする梅崎。「こちら、武藤凛々さんです。」…続く。


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