複雑・ファジー小説
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- 芸能界浄化睦軍
- 日時: 2015/12/29 01:57
- 名前: 梶原明生 (ID: DU.Bh3c8)
芸能界浄化の宣言
一つ、芸能界は芸能人搾取があってはならない。
一つ、芸能界は情報提供に速やかに応じなければならない。
一つ、芸能界は悪質な秘密を抱えてはならない。
一つ、芸能界は正当な浄化行動に逆らってはならない。
一つ、芸能界は清浄、且つ国民の模範とならねばならない。
芸能界が不浄且つ不純な行動行為表現を行った場合、芸能界浄化陸軍は武装武力をもって浄化執行する権利を有する。
以上
- Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.74 )
- 日時: 2017/10/24 20:44
- 名前: 梶原明生 (ID: q6woXfHh)
…一斉に氷川班が色めき立った。物々しい戦闘装備一式で降りてくる一団に、本部長達が度肝を抜かれた。「な、何だ君達は。まだ突入の指示は出してないぞ。勝手な行動は困るっ。」「いえ、GKはワゴンと五千万円が手に入るのに、銃撃してきた。奴らの狙いは身の代金と逃亡ではない。道連れによる自決の可能性が高い。今すぐ突入しなければ尚更人質が危ない。よって芸能浄化法第23条に則り、武力行使権を発令する。」氷川曹長は真っ直ぐ見据えて堂々と発言した。「うぐぐっ、…いいだろう。勝手にしろ。」地団駄踏みたいところを抑える本部長。「お言葉に甘えまして。…おいっ木下伍長。お前達はMPー7で先攻だ。俺と長谷川伍長達は89式で木下達の後方から援護する。決して気を抜くな。」「了解。」「幕張二等兵、お前にとって初めての戦闘だ。しっかり先攻の連中を守れよ。」「はい。了解しました。」気前よく敬礼する幕張二等兵。「おい幕張。俺を差し置いて氷川班長に直談判て、どういうことだ。」移動中に長谷川が幕張に耳打ちする。「あれ、長谷川伍長いたんですか。忘れてました。」「お前っ…」言いかけたところで外に向けてGKメンバーのAK47が火を吹いた。「急げっ突入ポイントまで走るぞ。」氷川曹長の無線からの怒号でより早く走り出した。「こちら梅崎。これより陽動作戦開始します、送れ。」「氷川曹長だ。始めろ。」けたたましいサイレンを鳴らし、梅崎一等兵が高機動車LAVをビルの前に走らせた。無論GKは一斉に射撃してくる。梅崎はスタングレネードを投げて爆破し、その時間に合わせて(既に腕時計を合わせていた)枠状爆薬で窓枠を破壊し、気付かれぬ間に先攻の隊員が次々長谷川、幕張の「人間階段」を踏みつけて窓から飛び込んでいった。タクティカルライトとレーザー照準機が辺りを照らし、ガスマスク姿が異様に動き回る。「野郎っ、来やがったな。」数人のGKメンバーが応戦してくるが、ライトとレーザーで人質とGKを瞬時に判別して射撃する。まさにビル内は阿鼻叫喚のけたたましい状態となった。「まだ人質を取ったGKが2階に5名います。西側フロアです。」待機班の橘がサーモカメラの情報を全隊員に流す。「梅崎、長谷川、幕張。手が開いてるなら俺と共に2階へ突入するぞ。」「了解。」長谷川伍長達は氷川曹長と共に西側フロアを目指す。「2時に敵っ。」幕張が叫び氷川達が89式小銃で射撃する。しかし。「梅崎っー。」…続く。
- Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.75 )
- 日時: 2017/10/30 14:47
- 名前: 梶原明生 (ID: wh1ndSCQ)
…倒れたGKメンバーの闇雲撃ち銃弾が偶然梅崎一等兵(前回の件で長谷川と共に階級が上がっていた。)の肩と首筋を貫いた。氷川曹長が89式小銃を構えながら無線で階下の隊員に通達する。「氷川だ。梅崎一等兵被弾、すぐに来てくれ。」「誰かーっ梅崎を助けてくれ、助けてくれ。」半狂乱になる長谷川を宥めて木下伍長が応急処置を行う。「落ち着け長谷川。先ずは止血帯とモルヒネを出せ。」「はっ、はい。」そんな二人に目配せしながらも、氷川曹長は任務に徹して残りの幕張二等兵達と人質救出に向かう。奥の部屋へと走り、スタングレネードを放り込む。バンッと激しい光に爆音でGKメンバーが怯むと、一斉に氷川曹長達がなだれ込んで89式小銃で掃射した。阿鼻叫喚の呻き声や銃声の中、タクティクカルライトで人質を確認する。事務部の隊員は全員無事だったが…幕張二等兵は驚愕した。GKメンバーは何と関係ない民間人をまるで二人羽織り状態で、胴体をベルトで縛り、その民間人共々5.56ミリNATO弾に貫かれて絶命していたのだ。さすがの幕張二等兵も叫ぶ。「そんなバカな、そんなバカなーっ。」「バカやろう落ち着け幕張。」氷川曹長が肩を掴み怒鳴り散らした。「お前は優秀な隊員じゃなかったのか。お前のせいじゃない。これは…」さすがの彼も言葉が詰まった。「GKの罠にまんまと嵌められたのだ。」肩を掴んだ手が怒りに震え過ぎてる様子に幕張はようやく氷川曹長のやり場のない感情に気づいた。イケメンで余裕な顔していた幕張も、次第に生気のない目つきになっていく。やがて人質は身体検査と素性確認をして解放。その後警察との現場検証が行われた。その時は諸事情で遅れた藤岡少佐も立ち会った。「一体何があったんだ氷川曹長。」「はっ…通常任務で突入作戦に移行しましたが。GKメンバーは元々事務所内に全く無関係の民間人を拉致していたようで、その民間人を二階で二人羽織り状態にして銃を取って待ち構えていたようです。」「つまりこういうことか。はじめからこの篭城事件の目的は、事務部隊員を人質にするのではなく、民間人と自決して芸浄隊を陥れるためだったと…」そんな二人のやりとりにいち早く反応する本部長。「ほーら、だから言わんこっちゃない。あんたら芸浄隊は人殺しなんだよ。こんな罪もない一般人殺して、よくそんな涼しい顔していられるな。大方面倒臭くて一緒に殺したんじゃないのか、お宅ら。」「断じてそれはない。」…続く。
- Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.76 )
- 日時: 2017/11/02 15:30
- 名前: 梶原明生 (ID: 97SCsTUE)
…「なら何で一般人がここで死んでるんだ。説明してもらおうか。」「わかりました。」苦汁を飲む思いで氷川曹長は弁明を開始した。一方、梅崎一等兵は生死の境をさまよっていた。救急車に長谷川が同乗し、LAV高機動車で木下伍長も後を追う。やがて芸浄陸軍病院に到着して集中治療室ICUに緊急搬送された。「梅崎っ梅崎っ。」「ここから先は私達が。全力を尽くします。」一人の医師が叫ぶ長谷川を制した。「長谷川、落ち着け。後は任せるしかない。」「そんな…」意気消沈して長椅子に座り込む長谷川。「あの時もっと注意してれば…あの時素早く撃ってれば…」「タラレバはやめろっ。今更何を後悔しても始まらん。いいか。今お前にとって大事なのは、芸浄隊員としてどうあるかだ。わかったか。」木下伍長の肩を掴んでの喝に頷く長谷川。そこへあの諜報部の倉持少尉が私服姿で隊員証を翳しながら現れる。「諜報部の倉持だ。」「こ、これは倉持少尉。お噂は藤高曹長から聞いておりました。」木下伍長が敬礼しながら答える。「挨拶はいいよ。それより長谷川伍長…だったな。今回は大変なことに。君の気持ちは察するに余りある。だがそれでも君に伝えなければならないことがある。」「は、はい。何でしょう。」ようやく背筋良く立ち上がる長谷川。「うむ。実は神原美紀のことだが、…河田亮介が彼女を自宅から連れ出した。うちの隊員が順次尾行しているが、どうやら最後は彼の自宅に神原美紀を入れる気だ。意味はわかるな。」「何ですって、そんな美紀ちゃんが…」「過ちは長谷川、お前に直に阻止してもらおうと思ってな。まだ今なら間に合う。辛いだろうが、今すぐマンションに向かってくれ。諜報部の車は用意している。」それでも彼は躊躇する。「し、しかし…」と、そこへ意外な人物が現れた。「長谷川。何をためらっている。」リハビリ中の藤高曹長だった。「ふ、藤高曹長。…」「お前梅崎の夢をぶち壊す気か。あいつ以前俺に何て言ってたか知ってるか。アイドルと会えることよりも、お前と神原が結ばれて、かけがえない親友が芸浄隊一の幸せ者になる姿が俺の何よりの喜びだと語っていた。梅崎も皆も、お前に自分の姿をみていたんだ。もし、ここに梅崎がいたら、どうしたと思う。」押しこらえた涙が長谷川の目からこぼれ落ちた。「バカやろうって、俺を殴ってました。」「そうだ。行ってこい長谷川。彼女もお前を待ってる。」「はいっ。了解しました。」敬礼して颯爽と踵を返す長谷川。…続く。
- Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.77 )
- 日時: 2017/11/07 22:52
- 名前: 梶原明生 (ID: 97SCsTUE)
…「倉持、頼んだぞ。」「任せろ。」藤高曹長の言葉に背中姿で答える倉持少尉。その頃マスコミ報道では、何を間違えたのか芸浄隊が一般人を射殺と見出しにし、あたかも武力行使がエスカレートした暴力組織扱いになっていた。政府では共参党や射皆党に民信党がこぞって批判コメントを出し、さらには芸浄隊協賛組織である自衛隊への憲法違反問題にまで言及する始末。現場検証を終えていち早く解放された幕張、橘は、96式装甲車で帰る途中、街中の街頭テレビでそれを知り、余計意気消沈した。「クソっ、俺達は犯罪者扱いかよ。」橘二等兵が座席を叩く。「やめろよ橘。何言っても無駄さ。」二人はその後無言のまま芸浄隊基地に戻った。すっかり雨に祟られる幕張達。装備室から帰る途中、幕張は一人雨に打たれた。「濡れるわよ。」傘を傾ける一人の女性。それは佐藤上等兵だった。「ほっといてくれないか。」「へー、自信満々の新人トップと騒がれたあなたらしくもないわね。石黒蒼汰さん。」「な、何故その名前を…」意気消沈していた幕張が初めて食いついた。「石黒蒼汰18才。アメリカの高校を中退して芸浄隊に志願。渡米した理由は中学時代の彼女を妊娠させたスキャンダルを隠すためだった。そしてそれを指示したのはあなたの実の父親。浮気は芸術だと宣言して芸能界で浮き名を流したプレイボーイ。そう、あの一流大物俳優の石黒達也でしょ。」「あんた何者なんだ。」「別に。ただの広報部の上等兵よ。でもね、広報部でも一番の情報通でもあるの。」落ち着き払って話していた佐藤だったが、幕張の次の言葉で一変する。「ま、いいさ。一つ確かなことがある。あんたは俺と同じ臭いがするってこと。長谷川伍長にくっついてた時から気にはしてたんだ。何かに反抗し、そして何か愛に飢えてるってね。」「何よ、口説いてるつもり。」「ほら、図星だ。言っとくが、長谷川伍長ならやめた方がいいぜ。あの人、間抜けに見えて意外と一途な人だからさ。」「傘、貸しとくね。」遮るように幕張に傘を押し付けて隊舎に戻る佐藤。その頃には雨の中、倉持の車で長谷川は河田のマンションに到着していた。「待て長谷川。どうやってマンションに入る気だ。」「すみません。つい気焦って。でも…」「任せろ。このために俺達諜報部がいるんだろうが。ついてこい。」「はい。」雨に濡れながら裏口へと向かう二人。神原は河田と共に彼の部屋に入ったところだ。いきなり腕を強く引っ張る。「ど、どういうことです。」…続く
- Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.78 )
- 日時: 2017/11/10 14:37
- 名前: 梶原明生 (ID: VlfYshYD)
…神原が叫んでも河田は壁ドン状態で彼女の右耳近くに腕を当てて顔を近づけた。「どういうことって美紀ちゃん、分かるだろ。君は自ら僕の部屋に入ったんだよ。おまけに鍵は閉めたんだ。ここで何が起きようと和姦になるんだぜ。」息を間近に吐くように語りかける河田。神原は小刻みに震えながらようやく自分の置かれた立場を理解した。「離してくださいっ、河田さんどうかしてます。」「どうもしないさ。前々から僕はこんなだよ。君のこと始めっから狙ってたのさ。佐藤のことを話すなんて真っ赤な嘘。まだ長谷川に抱かれてもいないウブな体なんだろ。俺に捧げないか。君だって俺のことまんざらでもないんだろ。」「やめてっ。」神原はキス寸前に河田の頬をビンタした。「ほほう、いいね燃えるね。もっと抵抗してみなよ。君と入る瞬間を玄関のビデオに撮ってたんだぜ。どうする、公表されたくないだろ。抵抗しなかったら消してやるよ。でも逆らったらどうなる。お前の大好きな彼氏は、芸浄隊は、家族は。…」はっとする神原。力が抜けたことをチャンスにして河田は自室のベッドに押し倒した。ワンピースのボタンを外されて淡いピンクのブラジャーが露わになる。「泣くなよ美紀ちゃん。前々から君のこと好きだったんだぜ。優しくするからさ。」彼女の柔肌に触れようとした瞬間、ベランダのガラスを荒々しく叩く音が聞こえた。「この声、長谷川か。」「輝ーっ。」驚いた河田の腕の中で必死に神原は叫んだ。倉持が鍵のところへ屈む。「待て長谷川。今鍵を外す。」待てない彼は肘と半長靴でガラスを突き破る。「美紀ちゃんっ…河田ーっ。」あられもない二人の姿に長谷川の怒りは頂点に達する。「ふざけんなコラーっ。」パンチを放ち、倒れ込んだ河田に蹴りを何度も入れる。「もういい長谷川。それ以上やったら殺してしまう。」倉持が頃合いを見て羽交い締めに彼を抑える。「グフッ…か、彼女が…ついて来たんだぜ。チェリーボーイのお前なんかより…俺がいいってさ…淫売だよな、ハハハッ」ベッドにようやく腕をかけた河田が負け惜しみの口上を並べる。「黙ってりゃいいものを…」倉持がワンパンチで河田を気絶させる。「あれ、今殺す気かって倉持さんが言ってたのに…」「そんなことより彼女を見てやれ。」「あ…」長谷川が神原に気付くと、彼女は片隅ではだけた胸を押さえてうずくまっていた。「み、美紀ちゃん。」「ごめんなさい輝。私、私…」「いいんだ。」泣きじゃくる神原を抱きしめる長谷川…続く。
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