複雑・ファジー小説
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- 芸能界浄化睦軍
- 日時: 2015/12/29 01:57
- 名前: 梶原明生 (ID: DU.Bh3c8)
芸能界浄化の宣言
一つ、芸能界は芸能人搾取があってはならない。
一つ、芸能界は情報提供に速やかに応じなければならない。
一つ、芸能界は悪質な秘密を抱えてはならない。
一つ、芸能界は正当な浄化行動に逆らってはならない。
一つ、芸能界は清浄、且つ国民の模範とならねばならない。
芸能界が不浄且つ不純な行動行為表現を行った場合、芸能界浄化陸軍は武装武力をもって浄化執行する権利を有する。
以上
- Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.39 )
- 日時: 2017/04/19 16:43
- 名前: 梶原明生 (ID: Xc48IOdp)
…「アコ秋葉原店に一度行きたかったんだ。」フォークを回しながら手持ち無沙汰に話した。「わかった行こう。清算は俺にまかせ…」言って財布を見ると目玉が飛び出た。「大丈夫、無理しないで。子供扱いしたらダメ。私払うから。」「いや、ダメだ。ここは男が…」言いつつ母ちゃんへの仕送り分も削っていることが頭から離れない。「お母さんに送るんでしょ。大丈夫。今度の給料日に奢ってくれたらチャラでしょ。」「…わ、悪い。俺カッチョワリーよな。」「そんなことないよ。行こう。」逆に手を引っ張り、神原は走るようにレジに向かった。地下鉄を乗り継ぎ、秋葉原へと到着。大手コスプレ店「アコ」に入った。「ワーっ、こんなに沢山っ。」ずらりと掛けられたコスプレ衣装の数々に圧倒される二人。「おいおい芸浄隊員の戦闘装備一式まであんのかよ。」長谷川はまさかこんな所で自分の姿に出会うとは思ってなかった。「着てみれば。まだ輝さんの隊員姿見てないし…」「いや、いやいや、冗談じゃない。美紀ちゃんとのデートで何でしごかれてる仕事着を…とにかく嫌だ。鋼の錬金にする。」頬をぶるぶるさせて否定した。やがて二人は試着を試しに試し、遊び惚けた。互いにコスプレを見せ合っていたが、長谷川は白とパープルのウェディングスーツを試着し、そして神原はと言うと…不思議な奇遇にも、豪華なウェディングドレスになっていた。「ワーっ、嘘っ…」「み、美紀ちゃん…綺麗だよ。」「輝…」思わず感動して涙で潤う美紀。それを恥じらうかのように、スカートを広げて回転しだした。「ありがとう。」長谷川は彼女の手を取り抱き寄せて唇を近づけたのだが、無慈悲な店員の一声。「あのお客様、お時間が…」「は、はい。」二人同時に応えてしまった。しかし着替え終わって出てきた瞬間、異様な視線に二人は気付く。…続く。
- Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.40 )
- 日時: 2017/04/25 20:31
- 名前: 梶原明生 (ID: 99wOCoyc)
…「ねぇ、美紀ちゃんだよね。未成年がさ、…」頭にバンダナしてメガネに汚いジーンズのいかにもオタクな男二人が神原に気がついたようだ。精算を済ませた神原は長谷川に連れられいきなり一目散に走りだされた。「早く、逃げよう。」長谷川は人ごみを掻き分け、男二人の怒号を無視してひたすら走った。どこをどう逃げたのかわからなかったが、偶然タクシーを停めてた一人の青年が神原を引き止めた。「美紀ちゃんじゃないか。こっちこっち。」青年は後部座席奥に入り、二人を招いた。「あ、河田さん。大丈夫輝、信用できるから。」彼女は軽く説明しながら真ん中に座り、長谷川はドア側に座った。「出して。」青年は慣れた口調で運転手に指示する。「ありがとうございます河田さん。」「何、気にしないで。同じアイドル同士、大変なのはわかるさ。ところで彼氏さん。へぇー、テレビで見たより背高いんだね。180ちょいかな。」「いや、その…」しどろもどろになる神原に馴れ馴れしく話しかける河田。「気にしなくていいさ。誰にも言わないよ。」ムスッとする長谷川。「思い出した。あんた最近ブレイク中のシャニーズの河田亮介だろ。恋愛映画で人気の。」「おやおや、いきなりタメ口とはね。そういうのも嫌いじゃないよ兵隊さん。君たちはお似合いのカップルだ。応援させてもらうよ。」しばし険悪な空気流れるなか、神原は仲裁に入る。「輝、河田さんはお仕事で色々助けてくださった方なの。だから信頼できる人よ。」「ああそうかよ。」長谷川は不機嫌に窓外を見た。「文化総合センターのコスモプラネタリウムまでいいですか。」「オフコース。いいとも。」神原のリクエストでタクシーはその場所へ向かった。到着すると二人はタクシーを降り、何を考えたのか長谷川はなけなしの金を出そうとする。「半分払います。いくらですか。」「長谷川君、いいんだ。僕からの好意だよ。」「いや、そうはいかない。こういうのはきっちりしないと。」「やめてよ輝。」三人は押し問答になってしまった。しかし美紀がつい決定的なことを言う。「お母さんへの仕送り分でしょそれ。無理しないで。」これには河田もクスッと笑う。いきなりそっぽを向いて歩き出す長谷川。「ちょっと待って輝。」「いいんだよ美紀ちゃん。追いかけたら。大事な彼氏なんだろ。」「すみません。」頭を下げるとすぐ長谷川を追った。そんな美紀の後ろ姿を見つめる河田。「可愛いな。必ず君も手に入れるよ。…出してくれ。」…続く。
- Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.41 )
- 日時: 2017/04/28 20:00
- 名前: 梶原明生 (ID: 70vEHkeO)
…なんだかんだで二人はプラネタリウムでユッタリとして、最後のデートを楽しんだ。とはいえ、長谷川のモヤモヤ感は拭えない。互いに会話は耳元で囁いた。「あいつとはどんな関係だよ。」「どんなって…いつも番組でフォローしてくれる素敵な先輩だよってさっきから何回も言ってるでしょ。それ以上でもそれ以下でもない。もしかして焼いてるの。」「そ、そんなんじゃない。ただあいつは油断ならないってこと。芸浄隊の諜報部が最近マークしだした輩だからな。」「輩って…もういや。」今度は神原がキレた。「おい待てよ。あっ…」つい静かなフロアで大声が出たため、気まずくなって頭を下げた。すぐさま追いかける長谷川。ロビーの柱に頭を向けて立つ神原の背中に手を伸ばした。「なぁ、悪かったよ。俺はただ、美紀ちゃんが心配でつい…」「わかってる。わかってるけど…」「こっちに来て。」長谷川はゆっくり正面を向かせて、ただ抱きしめた。「輝さんのバカ…」泣きながら呟く神原。「信じるよ、君のこと。…そうだ、美紀ちゃん。泣かせたお詫びにいいもの見せようか。」「え、何…」「僕の芸浄隊姿見てないって言ったよね。」「うん。」「今日は7時以降の宿直は梅崎って俺の親友が当番なんだ。つまり…」長谷川は急にウィンクして見せた。その頃GKのアジトではテロリスト数名が作戦会議をしていた。「今日の夜8時に芸浄隊本部を襲撃する。いいな。」…続く。
- Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.42 )
- 日時: 2017/05/09 19:42
- 名前: 梶原明生 (ID: 0zy7n/lp)
…何もしらない長谷川と神原は、人目を忍びつつ芸浄隊本部裏門へやってきた。砂利石を一つ拾った長谷川は、守衛所でスマホゲームしている梅崎に向けて投げた。「コツン」と音がして驚く梅崎。「何だよお前なにして…えーっカンバ…」「しーっ。来いよ。」長谷川は人差し指を立てて門の端っこで口止めした。「こっち来いよ。」手招きに辺りを警戒して梅崎は近づく。「み、み、美紀ちゃん。」「今晩は。梅崎さんですね。話しは聞いてます。すごくかっこいいって…」「い、いや〜、それほどでも。」神原に言われて赤面する梅崎。「梅崎、頼みがあるんだ。」「だ、ダメダメ。お前忘れたか、不純異性交遊は芸能浄化法…」「わかってるって。なぁ、頼みがある。監視カメラ止めてくれないか。入り口だけでいいんだ。頼む。」押し問答がしばらくつづいたが、梅崎はある条件で降りた。「じゃ、じゃあ誰か紹介してよ。」神原は快く承諾する。「わかりました。声かけます。」「よっしゃ。待ってて。」手の平返すように監視カメラのスイッチを切った。「早く来い長谷川。大丈夫。システムエラーだと報告しとくから。ただし一時間だ。今は風呂や食事だしな。」「サンキュー。恩に着るよ。持つべきは親友だな。」長谷川達は早速中に入った。「ここが戦闘装備保管室。待ってて、3分で整えるから。」長谷川はロッカー前で早々と迷彩服、戦闘胴衣、戦闘ブーツ、膝肘パッド、88式鉄帽を身に付けた。「いいよ、目開けて。」「うわっ、す、凄い。見違えるね輝さん。」「へへっ、ありがとう。さて、それでは迫力の拳銃にマシンガン射撃、やってみる。防音射撃場だから安心だよ。」「うん、してみる。」意気揚々と二人は保管室を出た。射撃場の隣に武器庫があるが、当直二人も梅崎の仲間だった。見返りは神原のサイン。「さて、これがMP7。サブマシンガンだ。そしてこれが我が国が誇る国産小銃89式だ。撃ってみようか。先ずはしっかり握把を握って。…」手取り足取り教えて銃弾を発射した。「うわっ凄〜いっ。」「筋がいいよ。真ん中に命中かな。」勿論空砲だが、神原は知らない。しばし二人は射撃に没頭した。「今だ。塀を乗り越えて侵入しろ。」GKのテロリストは刻一刻と芸浄隊本部に近づいていた。…続く。
- Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.43 )
- 日時: 2017/05/12 00:11
- 名前: 梶原明生 (ID: 97SCsTUE)
…「銃は使うなよ。あくまで最終手段だ。石神を拉致するのが目的だ。今日は警護が手薄なのはわかってる。楽勝だ。」武装したGKのリーダーが数名の仲間に再度念を押した。「わかってますよ。一泡吹かせてやりましょう、芸浄隊のアホ共に。」早速彼等は身を隠しながら、石神大佐のいる部屋へ向かった。「あー、何か喉乾いたな。通路に自販機あったから買ってこようかな。」神原が出ようとすると長谷川は手を握った。「ダメだよ。見つかったら大変だよ。俺なら最悪ごまかせるから、行ってくる。何がいい。」「うーん、レモン系なら何でもいい。」「OK。俺はジンジャーかな。」銃を置いて射撃場を出る長谷川。鼻歌混じりに自販機に来ると、ライトのフラッシュが一瞬見えた。「やべっ、警務か。」姿勢低くしてチラリと外を見る。しかしそこには明らかに警務隊員とは違う男達の姿があった。「ま、まさか、GKか…マズい、こんな時に。」長谷川はバクバク心臓音を聞きながら、腰を司字に折って高匍匐で射撃場に戻った。「どうしたの輝さん、そんな腰曲げて。」「しーっ、美紀ちゃんよく聞いて。GKのテロリストがこっち来てる。」「えーっ。」つい大声を上げそうになった神原の口を抑える。「しーっ、大丈夫美紀ちゃん、芸浄隊の俺がついてる。必ず守ってみせる、だから安心して。とにかく先ずは武器庫の二人のとこに戻ろう。」「う、うん。…」長谷川はまだ撃ってなかった弾倉をありったけベストのポケットに入れ、武器庫に入る。「どうした。もう射撃終わったのか。」武器庫係の一人があっけにとられた表情で二人に聞いた。「それどころじゃない。GKの奴らが今侵入してここへ。」「え、何だって。そりゃ大変だ、藤岡少佐に知らせないと」一人が受話器を取ると長谷川が止めた。「ダメだ、美紀ちゃんがいる。」「あ…」一瞬戸惑ったが長谷川は、はたと閃いた。「そうだ、藤高曹長だ。藤高曹長に連絡してくれ。」「わかった。」武器庫係はすぐさま藤高曹長の緊急無線に繋げた。…続く。
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