複雑・ファジー小説
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- 芸能界浄化睦軍
- 日時: 2015/12/29 01:57
- 名前: 梶原明生 (ID: DU.Bh3c8)
芸能界浄化の宣言
一つ、芸能界は芸能人搾取があってはならない。
一つ、芸能界は情報提供に速やかに応じなければならない。
一つ、芸能界は悪質な秘密を抱えてはならない。
一つ、芸能界は正当な浄化行動に逆らってはならない。
一つ、芸能界は清浄、且つ国民の模範とならねばならない。
芸能界が不浄且つ不純な行動行為表現を行った場合、芸能界浄化陸軍は武装武力をもって浄化執行する権利を有する。
以上
- Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.54 )
- 日時: 2017/07/13 17:01
- 名前: 梶原明生 (ID: 70vEHkeO)
…だが3階に上がれる階段には、爆弾ベストを着たGKが立っていた。「芸能は偉大なりーっ。」スイッチを手に持ち、こちらに走ってくる。「撃てーっ。」藤高曹長のかけ声と共に長谷川はじめ皆が89式小銃を構えて発砲した。膝から床につくGKメンバー。そして「ドカーン」とベストが爆発した。「大丈夫か。全員無事か。」叫ぶ藤高曹長自身が無事ではなかった。「大丈夫です。人員、武器、装具異常なしですが、藤高曹長。右胸上が…」「何っあっ…」ようやく気がついた。何かの破片が防弾ベストでない右胸上部に刺さっている。「俺が手当てします。」長谷川が言うものの、藤高曹長は拒んだ。「大丈夫だ、まだ戦える。行くぞ。」彼はセロックスの粉末だけ胸にかけて立ち上がった。(セロックスとは血液凝固粉末剤であり、流血を防いで失血死を防ぐ救急キットである。)ブービートラップを検索しながら3階フロアに到着。激しい銃撃戦が繰り広げられた。しかしGKメンバーは劣勢となり、かなり進撃する藤高班。しかし、隠れていたGKのリーダーがいきなり飛びかかる。藤高曹長は間一髪かわしてリーダーともみ合いとなった。長谷川は89式小銃を負い紐で後ろに回し、助けようと別フロアに入った。「こいつ。」長谷川はリーダーを羽交い締めにしたものの、肘鉄を食らい、後ろ蹴りで壁に叩きつけられた。藤高曹長は立ち上がって回し蹴りし、縦拳をリーダーの顔面に入れるも、怪我のせいでいまいち効かない。リーダーは怒り狂い、藤高を殴る蹴るの暴行に走った。「この糞が、糞が、お前のせいでっ」踏みつける足を掴み取った藤高曹長は自分の脚を絡めてリーダーをなぎ倒し、廃材をなぎ倒しながらそのリーダーはもがいた。「今だっ、長谷川っ、撃てっ」壁に寄りかかってへたり込んでた長谷川は苦しい胸を押さえながら、右手で膝の拳銃を抜いた。「パン、パン、パン。」と乾いた音がフロア中に響く。「ウガーッ。」断末魔の叫びと共にリーダーは床に横たわった。急所は逸れてていたものの、腹部に二発。腕に一発。長谷川のシグP226拳銃の銃弾は命中していた。「う、動くな。撃つぞ。」まだ長谷川と変わらない年の新人GKメンバーが拳銃を構えたものの、後ろの窓から眩しい光と轟音が…「芸浄隊だ。武器を捨てて速やかに投降しろ。」スピーカーでUH−60ヘリから警告を発する。若いGKメンバーは慌てて拳銃を捨てて手を挙げる。「やったな、味方だ。来てくれたな。」…続く。
- Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.55 )
- 日時: 2017/07/15 16:08
- 名前: 梶原明生 (ID: Xc48IOdp)
…タクティカルライトが幾つも上がってくるようだった。応援の芸浄隊員が駆けつけ、衛生班が隊員とGKメンバーの重傷患者の手当てと応急処置に当たり、他の隊員は残党はいないか索敵していた。「長谷川。」「はい。」脚を伸ばし、手を後ろにして支えて座り込んでた藤高曹長が、駆け寄った長谷川の手を掴んだ。「よくやった。もう立派な芸浄隊員だ。」「そんな。まだまだっすよ。」「そうでもないさ。さて、後片付けが大変だ。このあとは警察の鑑識と合同鑑識だ。刑事には事情説明と立ち会い認否をしなきゃな。ま、GKのボスを捕らえ損ねたのは心残りだが。」「必ず捕まえてみせますよ。」「ふふっ、そうだな相棒。」「曹長。」二人は互いの拳をぶつけ合った。「さぁ、早く神原美紀の所へ戻るんだ。待ってるぞ。」「し、しかし自分だけ帰るのは…」「これは曹長命令だ。聞こえないのか。営倉送りにするぞ。」「はいっ。」長谷川は笑いながらその場を後にした。藤高班の一人と高機動車LAVに乗って多磨の芸浄隊本部に向かった。「輝、輝ーっ」神原は帰って来て早々の長谷川に走って抱きついた。「ただいま、美紀ちゃん。」彼は素直に神原を抱きしめる。その光景を見ながら、石神大佐、藤岡少佐、小脇大尉は話し合っていた。「美しい光景だな。」「全くで。ま、石神大佐が許されるなら武骨な私でも口は挟めませんな。」「しかし、いかがしましょう。彼女のことはいずれ明るみになります。そうなっては芸浄隊の存続危機になるかと。」落ち着き払って石神大佐が言う。「たしか、芸浄隊員と芸能人の恋愛は禁じられてるよな。しかし結婚は禁じてない。」石神大佐の突然な発言に両者度肝を抜かれた。「い、今何とおっしゃいましたか。」「ん、うむ。先ずは二人を私の部屋へ。芸能事務所には朝一番に連絡を入れろ。私から話す。」「は、はぁ、はい。了解しました。」石神大佐の指示に些か首を傾げる二人。その頃、とあるホテルの一室にある政党幹事長とGKのボスが密会していた。「何故もっと支援しない。もういい。自分達で何とかする。」啖呵を斬って部屋から出るGKボス。秘書が近付く。「いかが取り計らいましょうか。」「いや、このままで。GKも、芸浄陸軍も、どちらにもこのまま支援する。君もわかってるだろ。芸能なんてどうでもいい、ただ、両者が戦えば戦うほど、こちらの利益になる。私の…とある持ち株がぐんぐん上がるからね。」ワイングラス片手に都会の夜景に翳す謎の政治家。…続く。
- Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.56 )
- 日時: 2017/07/15 16:18
- 名前: 梶原明生 (ID: u7d.QD9m)
追伸:須藤さんの結婚発言には鳥肌がたちました。まさか今後長谷川と神原の展開について「結婚宣言」にしようと模索して久しい頃、YouTubeで発見した時は、パクリかと(ありえない)思うほど想像していたのと同じだったため、唖然としました。今後二人の展開はこの形で進んでいきます。果たして二人の運命や如何に。しかし須藤さんはまるでヒーローのようでした。あまり賞賛するとあれなんでここまでにしますが、少なくとも「よくぞ言った!」ぐらいは賞賛しようかと。失礼いたします。
- Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.57 )
- 日時: 2017/07/19 15:32
- 名前: 梶原明生 (ID: 0zy7n/lp)
…そんな姿も知らず、石神大佐のオフィスで長谷川と神原は座って待機していた。「輝さん、話って何だろう。」「大丈夫だよ美紀ちゃん。石神大佐はやさしい人だ。決して悪いようにはしないと思うよ。それに…」意を決したかのように見つめる長谷川。「もう逃げないって決めたんだ。」「私も。」二人は更に互いの手を握りしめた。「悪いね、仮眠も取らせずに呼び出して。治療が終わってね、今来たところだ。…さて、君達に話って言うのはね。」この後、石神大佐は重要な計画について話した。その後神原は芸浄隊の車両三台に護衛されながら親戚の家に戻った。「美紀ちゃん…」芸浄隊員宿舎の窓から見送る長谷川。「よ、ヒーロー何黄昏てんだよ。」梅崎である。「い、いや…。」「何言ってんだ長谷川。」木下伍長が梅崎の後に入ってきた。「き、木下伍長。もう退院したんですか。怪我は…」「バーカッこんなの左腕の掠り傷さ。それに藤高曹長が入院した今、一人でも穴空けたら悪いだろ。…あ、それで思い出した。朝っぱらから情報が入ってきたんだが、藤高曹長の後に早速俺達の代理指揮官が来るらしいぜ。知ってたか。」長谷川、梅崎は首を横に振る。「何とあの、氷川貞春曹長だぜ。」「ひ、氷川っ…」二人は愕然として顔を見合わせた。「そうとも。驚いたか、俺もだ。寄りによって何であんな氷川曹長なんか。藤高曹長の方が何て言うかその、人間味、人情味溢れるって言うかさ、そういうもんあったよな。なのに何でうちの藤高班にあんな冷血そのものの面白みに欠けるやつが来るかな。」「あの、木下伍長…後ろ。」「何だ、俺は後ろを振り返ったりしない男だ。」「ですから後ろ…」長谷川と梅崎の言葉にようやく振り返った木下伍長。「何だよ後ろ後ろって…あ、こ、これは氷川曹長。」「冷血で面白みがなくて悪かったな。」「いえ、あれは、その、あの…」突然の氷川曹長の登場に全員が起立して姿勢正す。「言い訳するな木下伍長。皆も聞け。その人情味と面白みのせいで何人怪我人が出たんだ。この班は弛んどるからだ。特にアイドルと逢い引きするような弛んどる隊員のせいでな、長谷川一等兵。」当てつけるように大声で叫ぶ氷川曹長。「長谷川。運が良かったな。俺がお前の上官でなくて。もし俺ならとっくの昔に芸能浄化法に則り、貴様と神原なんたらを別れさせるか、訴えるかしてクビにしてた。有り難く思え。石神大佐の命令だから待遇してやる。」…次回「大波乱」に続く。
- Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.58 )
- 日時: 2017/08/08 19:11
- 名前: 梶原明生 (ID: VlfYshYD)
「大波乱」
…嫌みなセリフに冷たい視線。まさに名前通りの氷川曹長。「だが、朝の体操は始まっとる。さっさとグラウンドに出ろ馬鹿者っ。」「はっ、はい氷川曹長。」一斉にタオル一枚持って駆け足前進する藤高班の隊員達。それから数時間後、マスコミは盛大に芸浄隊襲撃事件を報じていた。しかし、一部では神原がいたのではと噂するテレビ局もあり、一時芸能界に激震が走った。石神大佐は二度目の電話対談をしているところだった。「ですから秋山さん、先ほどお話した通り進めるしかありませんよ。…ええ、その情報を洩らした者は目下調査中です。恐らく私の拉致計画にも加担していたに違いありません。ですが今は傷口の縫合が先です。互いに丸く収めるにはそれしか…」秋山社長は神原の事務所社長であり、AKM48の総括取締役でもあった。「わかりました石神大佐。しかし…それを具申されたのはあなたですよ。それだけはお忘れなく。意味はわかりますね。」「元より。…」こうして二人の交渉は完了した。その頃、手術を終えた藤高曹長は、芸浄陸軍病院のICUで目を覚ましていた。「良かった。目が覚めて。」「事務部の辛島…麻里か…何で君が…」藤高曹長は虚ろながら、青い線に縁取りされ、銀の芸浄陸軍徴章を付けた、緑のベレー帽を見て妙に和んだ。「いえ、その…じょ、上官から藤高曹長のお世話をするようにと命令がありまして…」「石神大佐なら俺の班の者を寄越すはずだが…」尚更しどろもどろになる麻里。「いや、それが…忙しいとかかんとかで…」怪しい目で見る藤高。「医師の方呼んできますね。」彼女は一目散に病室を出た。「あいつまさか無断で…でも何で。」終始不思議がる藤高であった。辛島麻里事務上等兵。主に藤高班の隊員の事務処理全般を司る部署にいる。地味で容姿端麗とは言えないが、可愛らしさから周りではマスコット的扱いを受けている。勤務三年でもまだ度々ドジを踏むようだ。毎日のように藤高が書類を持ってくるので、すっかり顔馴染みになっていた。その麻里を迎えに同僚の佐藤梓上等兵が来ていた。「ちょっと麻里、あんたね。」「ああ、あずちん。」決まり悪い顔になる麻里。やがて叱られながら彼女は佐藤に連れられ芸浄隊本部に向かう。「あれ、何か落としたよ。」歩く途中、徴章のような物を佐藤は落とした。「何でもない。」慌てて拾う佐藤。「それ確か…芸能の牙の徴章。」…続く。
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