複雑・ファジー小説
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- 芸能界浄化睦軍
- 日時: 2015/12/29 01:57
- 名前: 梶原明生 (ID: DU.Bh3c8)
芸能界浄化の宣言
一つ、芸能界は芸能人搾取があってはならない。
一つ、芸能界は情報提供に速やかに応じなければならない。
一つ、芸能界は悪質な秘密を抱えてはならない。
一つ、芸能界は正当な浄化行動に逆らってはならない。
一つ、芸能界は清浄、且つ国民の模範とならねばならない。
芸能界が不浄且つ不純な行動行為表現を行った場合、芸能界浄化陸軍は武装武力をもって浄化執行する権利を有する。
以上
- Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.64 )
- 日時: 2017/09/02 23:59
- 名前: 梶原明生 (ID: JnkKI7QF)
…「藤岡少佐、二人を外へ。」「わかりました。幕張、橘、来い。」「了解。」二人きりになったオフィス内。「実はな、長谷川。君にはもう一つの裏任務がある。河田亮介とGKの繋がりを探ってもらいたい。」「繋がり…ですか。」「うむ。諜報部の調べでわかったんだが、桜まなとも接点があるようだ。それに…奴は神原美紀にも気がある。恐らくは佐藤上等兵が近づいたのもそのためだろう。」青ざめた長谷川は叫んだ。「ではまさか…彼女は。」「残念だがGKのスパイだ。」「そんな、まさか…では逮捕を。」「いや、それはダメだ。今は泳がせておきたい。時期が来たら処置を考える。したがってここで話したことは極秘事項だ。わかるな長谷川伍長。君のこれからの活躍次第で事は動く。忘れるな、常に君達は諜報部の監視下にあることを。」「は、はい。了解しました。」「それから…」石神大佐はかつての自分を見るかのように彼を見つめた。「神原美紀を愛しているか。」「は、はい。それはもう。」「わかった。どんな事があっても守り抜けよ。」「それは…藤高曹長も同じことを。」「そうか、やつもか。」「はい。やはり…上原実優元帥のことが。」「んん、うむ。そうかもな。」石神大佐は傍らにあったフォトフレームに手をかけ見つめた。「全ての始まり。原点だからな。」こうして、作戦は着々と実行に移された。緊張する長谷川をよそに、カメラ慣れした神原ははしゃいだ。ナビゲーターとして河田も同行する。「母ちゃん見てる…かな。」ふと大津市に残してきた母を思い出していた。膳所駅で別れたのを最後に、まだ会いに行ってない。父を知らずに育った長谷川は、昔から母に父のことを聞くと決して話してはくれなかった。「働き者だったからな。今でもほんま無理してなきゃええんやけど。」ついお国言葉が口を突く長谷川。「あれ、関西弁。そっか、輝さん大津市出身だよね。」「ああ、皇子中学卒の大津北高卒だよ。帰宅部でさ、な〜んにもない青春だったよ。好きなアイドルの追っかけ以外は…」「あ、気になるな。高校時代誰追っかけてたの。白状白状。」「お〜い…」二人のレストランでのやりとりににやつく河田。「いいねその感じ。もっとやってよ。」長谷川は少しムスりとする。…続く。
- Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.65 )
- 日時: 2017/09/05 17:00
- 名前: 梶原明生 (ID: VlfYshYD)
…一通り撮影が終わると、オフレコで誰かと会わせたいと神原から申し出た。「誰なんだよ。」手を引かれながら長谷川は神原と共に別のレストランに入る。「ほら、あそこ…紹介するね輝さん。私の母と、そして父です。」「え、えーっ。」突然のサプライズに絶句する。「君、先ずは挨拶からじゃないか。」父親の第一声に背筋がシャンとする長谷川。「こ、これは失礼いたしました。美紀ちゃ、いや、神原美紀さんのお父さんお母さん。自分は、芸能界浄化陸軍一等…いえ伍長の長谷川輝と申します。こ、この度は、はじ、初めてお目にか、かかれて光栄で、です。」噛み噛みになりながらも緊張感解けない長谷川。「突っ立ってないで座ったら。」母親が着席を促す。「お、お言葉に甘えまして、し、失礼します。」神原と共に着席する長谷川。「何か私達に言うことがあるだろ。それに、君にお父さんと言われる筋合いはないぞ。」神原は援護する。「ちょっとお父さんやめてよ。」「いいんだ。この度は娘さん並びにお二方に多大なご迷惑をおかけしたことは申し訳ありません。もう少し落ち着いてからお会いしようと思っておりましたが、ご挨拶と謝罪が遅れまして、それも兼ねてお詫びします。ですが…」先ほどの長谷川とは違い、覚悟の座った凛とした態度で話し始めた。「娘さんはご両親の思われている以上に、聡明でしっかりしたお嬢さんです。決して軽はずみな思いで決めたことではありませんし、それは僕も同じです。交際を反対されるのを理解しないわけではありません。ですがどうか娘さんを…」言いかけたところを父親が止めた。「誰が付き合うなと言った。」「は…」「確かに形としてはムカついたよ。しかし、君という人物を見て交際を絶対反対するとまではまだ言っとらんよ。」「では…」「君の熱意は伝わった。思えば君達芸浄隊がいたからこそ、娘が変な事務所に騙されることもなく安心して上京できたんだ。その中に君という一生の伴侶をえた。娘を絶対幸せにすると約束するなら長谷川君。娘をよろしく頼むよ。」「お父さ…いえ、美紀さんのお父さん。ありがとうございます。必ず幸せにします。」長谷川は立ち上がって一礼した。母親もまた同じ意向であると二人に話した。「今度は私が挨拶しなきゃ。」唐突に神原は言い出した。「え、誰に。」「輝さんのお母さん。お姑さんになるんだもの。長谷川家の嫁としての勤めでしょ。」「長谷川家って、美紀ちゃん…」苦笑いになる長谷川。そこへ佐藤梓上等兵が…続く
- Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.66 )
- 日時: 2017/09/23 14:43
- 名前: 梶原明生 (ID: q6woXfHh)
…やってきた。「長谷川伍長。もうお帰りのお時間ですが。」ビックリした彼はイスから転げ落ちそうになった。「ゲッ、なんであんたが…」「聞いてませんか。私、この度広報班長谷川伍長専属の部下となりましたことを。今後ともよろしくお願いいたします。」「そ、そんな…」妖艶で魅力的な佐藤を見て神原の女の勘が働いた。「あの、佐藤さんは以前から輝さんとお知り合いですか。」「神原さんですね、はじめまして。そうですよ、それが何か…」「いえ、別に…」「何せ数ヶ月前まで訓練やプライベートの寝食を共にするぐらいに。」これには長谷川も慌てた。「おい、何馬鹿な嘘を…ち、違うんだ誤解だよ。彼女は事務職で、関わったのも最近…」「最近何よ。」言いかけたところでつい佐藤が下着姿で迫ったあの記憶がよぎった。「もういい。さっさと帰れば。私はお母さん達と帰るから。」やむなく長谷川は佐藤と同じ車両で帰らざるおえなかった。…続く。
- Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.67 )
- 日時: 2017/09/24 22:17
- 名前: 梶原明生 (ID: 87ywO7pe)
…LAVの中で後部座席に隣り合わせて座る長谷川と佐藤。「どういうつもりですか佐藤さん。あんな言い方…」「あら、もうあなたは異例の伍長最速昇進なされた方ですよ。何なら梓でも結構ですが。」「いやそれは…そんな言い方するはずないでしょ。」「あなたはもう上官なんですよ。なんならこの前みたいに下着姿になれという言われたら喜んで。」言い出した途端に運転手の木下伍長がハンドル操作を誤る。「あっぶねーっ。てか、長谷川。お前うらやまし過ぎるだろ。」「な、何言ってんすか。う、嘘に決まってますよ。さ、佐藤上等兵。以後そんな発言は禁じる。上官命令だ。」「うふふっ、上官らしくなってきた。そうこなくっちゃ。…はい了解しました長谷川伍長殿。」妖艶さは相変わらずに従う佐藤。その後藤岡少佐から作戦の詳細を聞かされたのは言うまでもない。佐藤、河田両名を接近させることで、何らかのボロを出させるつもりだ。やがて撮影は回を増すごとに視聴率を増やしていき、芸人達のいじりも加わるとさらにエスカレート。当初の石神大佐やテレビ局の予想を超えてファンを獲得し、ちょっとしたカップルブームを作り出して、関連商品はバカ売れ。人気獲得は間違いなかった。しかし、回を追うごとに佐藤と河田の距離は近くなり、長谷川はより二人の様子も探りやすくなった、敵対していた河田とも遊びに行くほどの中になっていった。諜報活動に慣れない長谷川。しかしこの後桜まなが出演することにより、物事は急展開を見せる。
次回「最終決戦」に続く。
- Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.68 )
- 日時: 2017/10/04 20:41
- 名前: 梶原明生 (ID: 97SCsTUE)
「最終決戦」
…二脚を展開して89式小銃を構える氷川曹長と長谷川伍長。屋内射撃場にて緑の擬態した遮蔽物を駆使して射撃した後の事だった。「氷川曹長五点圏五発命中。長谷川伍長五点圏四発命中一発圏外。」観測手が声を挙げる。「ふん、長谷川伍長。腕を上げたな。」「いえいえ、一発圏外ですよ。狙撃班にいた氷川曹長に比べたらまぐれ当たりですよ。」「まぁそう謙遜するな。広報班に半分足突っ込んでる割にはいい方だ。ところで河田と佐藤の動きはどうだ。」「へ…」突然の話しに長谷川は必死に惚けようとする。「安心しろ。おまえの任務は聞いている。何なら藤岡少佐に聞いてみろ。俺も裏任務のメンバーだからな。ここならうるさくて盗聴される心配はないし。で、どうなんだ。」「は、はぁ。河田のマンションにドッキリ企画があったんですが、その際佐藤上等兵は知らないはずの河田の部屋の間取りを知っているかのような素振りを見せました。多分本人も無意識でしたんでしょう。それから…」「続けろ。」「来週の収録にはAV女優の桜まなが登場します。」「ああ、あの 黙って抜いてろ とか言い出したやつか。」「はい。しかも自分が勧誘してAV落ちさせた元AKM48の大分県大分市出身、中西梨華を伴っての出演です。恐らくはAV女優の地位向上と社会認識を狙っての出演でしょうが、同時に芸浄隊への批判、壊滅も目論んでいるかと。」氷川曹長は銀縁メガネを中指で押し上げながら鼻で笑った。「バカな。無駄なことを…」「とは思いますが、奴らGKがこれだけしか企んでいないとは思えません。ここで桜まなと中西梨華が仕込まれたなら、何か別な狙いがあるかと。…」「引き続き探ってくれ。」「了解。」立ち去る長谷川を見てふと氷川曹長は思った。「しかし成長したな、長谷川。」腕組みしながら武器庫へと足を運ぶ氷川曹長。その夜、大分市都町のジャングル公園で、夜のお勤めに出る一人の女性がまだ小さい我が子をベンチに座ってあやしていた。「梨華。」「麻実、ありがとういつも預かってくれて。」「いいのいいの。それよりまた東京に行くって本当。まさかまたAV出演とか…」「まさか。桜まなさんがね、テレビに出ないかってね。」何かを決意するかのように、我が子をあやしながら目は笑っていない中西梨華だった。…続く。
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