複雑・ファジー小説

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芸能界浄化睦軍
日時: 2015/12/29 01:57
名前: 梶原明生 (ID: DU.Bh3c8)  

芸能界浄化の宣言
一つ、芸能界は芸能人搾取があってはならない。

一つ、芸能界は情報提供に速やかに応じなければならない。

一つ、芸能界は悪質な秘密を抱えてはならない。

一つ、芸能界は正当な浄化行動に逆らってはならない。

一つ、芸能界は清浄、且つ国民の模範とならねばならない。

芸能界が不浄且つ不純な行動行為表現を行った場合、芸能界浄化陸軍は武装武力をもって浄化執行する権利を有する。
以上

Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.29 )
日時: 2017/02/08 02:46
名前: 梶原明生 (ID: NOqVHr1C)  

…「美紀、ちゃん。これって、じ、冗談、なわけないよね。」わかってはいた。ただわかっていたからこそ信じられなかった。ほっぺを思わず抓りたいとはまさにこれだろう。「冗談でこんなことできない。私も説明つかないんですよ。このまま死ぬんじゃないかっていうのと、長谷川さんという運命の人と出会えたことと一緒ごちゃになってて。…ただこれだけは言えます。あなたのことが好きです。」18才青年の長谷川にとって、もうこれが我慢の限界だった。「美紀ちゃん。俺も好きだ。好きで好きで好きで堪らなかった。」二人は遂に禁断の口づけを交わす。ふとこの時間が永遠に感じられた。いつまでもキスしたままでいられたらいいのに…目を互いに開けたら、神原のつぶらな瞳と柔らかく瑞々しい唇の感触を見た気がした。しかし現実は無惨だった。「はっ、いけないよ美紀ちゃん、こんなこと。俺としたことが…」背ける長谷川の目を追いかけて問う神原。「どうして。」「だって、君の芸能活動がダメになる。ファンだって裏切るし、そもそもAKM48は恋愛禁止令があるし。君の夢を潰すようなものだ。俺も、芸能浄化法第51条4項に違反して…はっ。」そこから先は言えなかった。何故なら自分が罰せられるならまだいいが、所属部隊長も連帯責任を負わされる法があるからだ。「ごめんなさい。私そんなつもりじゃ…」「いや、頭を上げてよ。悪いのは俺だ。芸浄隊員のくせにだらしないから。」「ううん、私がいけないんです。憧れてアイドルになったのに、そんなことも忘れて…」「いいんだ。…いいから。」泣きそうになる神原をやさしく抱きしめる長谷川。「ここでの出来事は秘密にしよう。何もなかったし、キスも恋愛も、何もなかった。いいね。もし何かあったら僕が責任取るから。」「そんな…あ、輝…」涙に濡れながら長谷川の逞しくも温かい胸に顔を暫く埋める神原であった。ファンタのワイングラスはいつまでも二人を映し出している。…続く。

Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.30 )
日時: 2017/02/14 23:02
名前: 梶原明生 (ID: 0Q45BTb3)  

…それからというもの、二人は死ぬかも知れない状況を忘れて、何でもないことでも笑いあえたり、一緒にいられる時間だけが全てを忘れていられるものにしていた。もうすぐ夜10時。「そろそろ寝ないと。でもシャワーだけでも浴びたいな。」美紀が呟くと長谷川は思わず固唾を飲んだ。「あーっ、変なこと想像したでしょ。」「い、いや。まさか。それよりさ、どこかシャワー室ないか調べようよ。」「うん。」二人は意気揚々と立ち上がった。そしてあの河東達が監禁されていた部屋を見つけた。「こんな部屋あったんだ。」美紀は驚きながら見回した。「やった。コンサート会場にしては珍しいな、シャワー室があるなんて。しかもお風呂まで。」美紀は趣に後ろに退いた。「今日は輝さんに沢山助けてもらえたし、お先にどうぞ。」「いや、…まあ、そうかな。ありがとう。」渋々シャワーを浴びることとなった長谷川。一通り終わると腰にタオルで美紀を呼んだ。「美紀ちゃん、開いたよ。」「キャッ。」「え、あ、ああーっ。」うっかりしていた長谷川はついタオルが落ちていたことに気づかなかった。「ゴメンっ、服着るね。」慌てて部屋に戻る長谷川。美紀は顔を両手で抑えながら顔を赤らめた。その頃藤高曹長率いる芸浄隊と消防隊とが瓦礫撤去を行っていた。「藤高曹長、お話しが。」消防隊の一人が駆け寄ってきた。「何です。」「水道局と電気会社からの話だと、地下の水道と電気が意図的に消費されているらしいんです。」「つまり、生存者がいる可能性があるわけですね。」藤高曹長に微かな希望が差した。「なら大丈夫です。我が芸浄隊の長谷川一等兵がついてますから。」…続く。

Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.31 )
日時: 2017/02/17 16:41
名前: 梶原明生 (ID: W4UXi0G0)  

…そう言った矢先、当の長谷川はクシャミをした。「ハックションっ。」「どうしたの。」「誰か俺の噂してるな。梅崎かな。」彼は鼻をすすりながら天井を仰ぎ見る。「それはそうとシャワー浴びてきなよ。」長谷川の言葉にしばし趣にする神原。「うふっ、何かそれって意味深なセリフだなぁ。恋人同士のホテルみたいに…」「ば、馬鹿言うなよ。そういうつもりじゃ…」「はいはい、行ってきますダーリン。覗いたら嫌よ。」「誰が…」振り向いたら神原は既にシャワー室に入ったところだった。「でも…何か…いいもんだな。新婚さんみたいでさ。」先程とは打って変わって終始ニヤつく長谷川だった。「しかしスマホがあればな。着替えて行く時まさかロッカーに忘れてくるとは。美紀ちゃんもマネージャーさんに預けてるらしいし、外部との連絡ができないや。どうしたもんかなぁ。」言いつつ手を頭の後ろに組んで後ろの壁を仰ぎ見た。すると…通気口から何やら光が見えた。「ん…何だ。」よく見るとそれは通気口のカバーに何度もぶつかって来てるようだ。「まさか…」長谷川には何となく見当がついた。八輪駆動の探索用ロボット、UGVだ。彼はカバーを椅子に乗って外し、UGVを下ろした。スピーカーから聞き慣れた声が聞こえる。「おい、長谷川一等兵。藤高だ、無事か。」UGVのカメラから彼の無事がわかってはいたが尋ねた。「はい、AKM48の神原美紀ちゃん…いや、さんも無事です。」「そうか、それは良かった。救出作業は難航してはいるが、必ず助けだす。それまでの辛抱だ。」「ありがとうございます。」「ところで何かいるものはあるか。UGVに運ばせるが…」「いえ、大丈夫です。今のところは。」「そうか。ところで神原美紀の姿がないが、どこだ。」「いえ、それは…」まさかシャワー浴びてるとは言えず。しかしタイミングが悪いことは続くものだ。「ダーリン、シャワー気持ちよかったよ。」「ダーリンっ。…」藤高曹長はじめ、芸浄隊員は驚いて思わず叫んだ。傍観していた梅崎が飛び出してくる。「お、お、お、お前な、人が心配してたってのに、ドサクサに紛れて何××なことしてんだっ、え、淫行だろ。…」バスタオル一枚姿の神原が現れたらそう勘違いするのも無理はない。「ち、違うんです。誤解だってば梅崎。藤高曹長、これにはワケが…」すべてを悟った藤高曹長は、部下に梅崎を下げさせ、画面を一部の芸浄隊員にのみ向けた。神原はワケが分からずキョトンとしてる。…続く。

Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.32 )
日時: 2017/02/21 17:57
名前: 梶原明生 (ID: SKF4GgT1)  

…「どうしたの。」慌てた長谷川はすぐにUGVを違う方向に向けた。「いや、その、これは災害用ロボットだよ。外部と連絡が取れるよ。」「わーっ凄い。これが上から来たの。見せて。」長谷川は慌ててUGVを取り上げた。「だ、ダメダメ、せ、精密機械なんだよ触らせるわけには…それより早く服着てよ。」「はーい。」何とかごまかした長谷川だったが、藤高曹長の声がスピーカーから聞こえた。「長谷川、安心しろ。今この映像と声見てるのは俺の班だけだ。一つ聞く。本当に神原美紀とは何もないんだな。」「当たり前じゃないですか藤高曹長。天地神明に誓って何もありません。」藤高は少し間を置いて応えた。「なるほど。キスと抱擁以外はか。…」「な、な、何言ってんすか。それすらないのに。」慌てぶりから少なくともキスと抱擁はあるなと、そしてすでに恋愛の仲であるなと悟った。「いい、気にすんな。いいか、長谷川。このことはお前と俺、そしてこいつらとだけの秘密だぞ。俺のことは気にするな。お前は芸能浄化法第51条が気になってるんだろうが構わん。そういう仲になったということは、これは運命であり、神原との縁だったんだ。お前は男だ。何としても、神原美紀を守り抜け。いいな、これは命令だ。」意外な言葉に長谷川は言葉を詰まらせた。「は、はい。了解、必ず。…それから、あの時藤高曹長が言っていたことですが、あれは上原実…」「しっ、芸能関係者が来た。一旦切るぞ。」その藤高曹長の言葉に出鼻を挫かれ、やむなく長谷川は押し黙った。「先ほどあなた方の部下が淫行がどうのとか叫んでたと知らせがありましたが、まさか…」マネージャーらしきスーツの男が藤高曹長に問い詰める。「何のことでしょうか。ご心配なく。我々芸浄隊員にそのようなことをするものはおりません。何かの聞き間違いではないですかね。」…続く。

Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.33 )
日時: 2017/02/24 17:20
名前: 梶原明生 (ID: wh1ndSCQ)  

…キッパリ言い切ったが、横槍を入れる招きたくない客がカメラを肩から下げて入ってくる。「そうですかね。私は聞いてたんですよ藤高曹長。あなたの非番の部下が叫んでいたところを。」「週刊朝企の内野…またあんたか。」「またはないでしょ、長い付き合いじゃないですか。それはそうと、先ほどの話ですがね。まぁ、いくら芸能浄化隊員とはいえ、まだ十代の隊員とかいう話じゃないですか。しかも今をときめく未成年アイドル神原美紀が中にいるんでしょ。若い少年少女が一晩二人っきり。何もないなんて不自然でしょう。まして非番を使ってまでコンサートに来てた隊員だし、果たしてこんなチャンス逃しますかね。」藤高曹長は内野を睨みつけながら断言する。「くどいっ、我が芸浄隊員に断じてそのような者はいない。それにマスコミ関係者はまだ立ち入り禁止のはず。出ていってもらおうか。」「あれ、いいんですか。報道の自由に対する弾圧ですよ。」「いいから帰れ。」「おお怖。わかりましたよ。」摘み出されるまえに退散する内野。「マネージャーさんも、あんな記者の言うことなんか信用しないように。」「ですが神原美紀の芸能活動が…」「今は人命最優先です。どうか我々や消防の救助隊に任せて。待機所に戻ってください。」マネージャーは渋々現場を後にした。「しかし曹長。このままだと…」部下の一人が小声で耳打ちしてくる。「わかった。逐一UGVのカメラと音声はONにして監視する。だが、それ以前に俺は長谷川を信じたい。隊長としてもだが、一人の人間としても。」藤高曹長は真っ直ぐ部下達を見据えて語った。…続く。


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