複雑・ファジー小説

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芸能界浄化睦軍
日時: 2015/12/29 01:57
名前: 梶原明生 (ID: DU.Bh3c8)  

芸能界浄化の宣言
一つ、芸能界は芸能人搾取があってはならない。

一つ、芸能界は情報提供に速やかに応じなければならない。

一つ、芸能界は悪質な秘密を抱えてはならない。

一つ、芸能界は正当な浄化行動に逆らってはならない。

一つ、芸能界は清浄、且つ国民の模範とならねばならない。

芸能界が不浄且つ不純な行動行為表現を行った場合、芸能界浄化陸軍は武装武力をもって浄化執行する権利を有する。
以上

Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.99 )
日時: 2018/01/29 17:57
名前: 梶原明生 (ID: tf4uw3Mj)  

…通路をひた走った。すると、その先には野山が連なる森に出るゲートだった。「ここは、コンパスと地図によれば秩父連山の入り口。しかも一般登山客はいない山だな。」氷川曹長がGPSで確認しながら皆に報告した。「よし、本隊に連絡しよう。我々の応援に来れるよう印を残して行くと。」藤高曹長は無線のスイッチを押した。「野戦ならこちらの独壇場だな。苅田達は都会人だし。」長谷川は秩父連山を見上げながら得意げに見上げる。「 油断するなよ。あの苅田だ。何か企んでるかも知れん。」氷川曹長は眉上げて中指で銀縁メガネを上げた。「交信終了。一列縦隊で行くぞ。先導は俺。副隊長に長谷川、隊長に氷川、通信に橘、幕張の順で歩く。」「 了解。」いよいよ野戦行軍が始まった。無論、武器、弾薬、無線チェックは欠かさない。左右、前方をそれぞれ89式小銃で警戒しながら歩く。速度は0.5キロ。ゆっくり音を立てず四方を警戒する。必ず途中にはRV(ランデブー)という合流地点を決めておく。数キロ歩いたろうか。もう日が暮れてきた。支援隊も彼等に追いつき、暗視ゴーグルを供給してもらった。しかし夜間行軍において大事なのはそれだけじゃない。音を聞き分け、嗅覚も研ぎ澄まさなければならない。風に向かって斜め45°に保って強く嗅いでみることも大事だ。草木は折ってしまうと折り目が白くなり、夜間では意外と目立つ。藤高曹長が何かを見つけた。「足跡だな。」「本当だ。藤高曹長、急ぎましょう。」「待て。」長谷川伍長の腕を掴んだ。「見ろ。苅田は頭がいい。東に向かったように足跡を残してるが、前後の土の沈み具合が違う。奴は西に向かった。」「なるほど。」「行くぞ、奴らは近い。」追跡者(トラッカー)の目つきが更に光る藤高曹長。しばらく歩いたところで彼は長谷川達に、耳の位置まで拳を挙げて「止まれ」の手信号を送った。「どうしました藤高曹長、送れ。」「様子がおかしい。暫く待て。」彼は持っていた15センチほどの棒切れを取り出して地面に匍匐した。棒切れを耳に押し当てて地面に突き立てる。「歩く音が聞こえる。おそらく1キロもなくこちらに近づいているだろう。苅田達だ、総員戦闘準備。」全隊員に緊張が走った。I字型待ち伏せで横一列に配置する芸浄隊員。セレクターを単発位置にする長谷川。89式小銃の握把を握り締める。レーザーポインターと暗視ゴーグルは万全でも、初めての山岳夜戦に冷や汗の緊張が走る。いきなりAK47の銃弾が…続く。

Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.100 )
日時: 2018/02/08 08:58
名前: 梶原明生 (ID: YHJNwyuz)  

…彼等の耳横をつんざいていく。「敵襲、敵襲、テーッ。」氷川曹長が皆に叫ぶ。戦闘体制を取り、森林戦の技術で立ち向った。「10時の方向、GK。」藤高曹長が無線で幕張達に伝える。「了解。」幕張一等兵は大木の左寄りにスイッチして狙い撃つ。「二名排除。」「一名排除」次々反撃射撃はGKメンバーを仕留めていった。長谷川伍長は木に隠れていた所から転げつつ近くの木に移り、匍匐姿勢から暗視ゴーグル越しのレーザー照準で仕留める。「一名排除。」氷川曹長は落ち着き払ってM24狙撃銃で狙撃していく。「長谷川、援護してくれ。」「了解。」前へ走り出る藤高曹長の後ろから援護する長谷川伍長。連射にセレクターを回し、30発弾倉が空になるほど撃ち抜いた。藤高曹長は右から走り寄り、点射の早打ちで撃ちまくる。「GK二名排除。残りは敗走を始めた。苅田博嗣を擁護している模様。」無線で皆に知らせるが、応援に来たUH−60ヘリからも連絡がはいる。「こちらホーク3の高杉。藤高曹長、この先1キロ先に苅田博嗣の所有するペンションを発見。」「高杉中尉、報告感謝する。聞いたな皆。この先にペンションがある。やつはそこに向かうつもりだ。すぐに向かうぞ。」「了解。」一斉に苅田達を追跡した。一方、苅田は最後に残った部下二人と共にペンションに入っていた。「糞、奴らの襲撃を事前に知ってればな。梓のやつ役立たずが。」床に座り込んで水のペットボトルを飲みながら悪態をつく苅田。「ボス、もう弾ないっすよ。」「こっちも後三発だけ。」「うるせーわかってる。」ペットボトルを投げつける苅田。リビングから予期せぬ客が現れた。「ごめんなさいボス、役立たずで…だからお願い。私と死んで博嗣。」何とそれはシグ226E2拳銃を構えた芸浄隊事務官制服姿の佐藤梓だった。「てめぇ、裏切ったか。」「待てっ。」苅田はAK47の銃口を向ける部下を制した。「そうか、わかるぞその顔。他に惚れた男ができたんだな。だが思い出せ。このペンションはお前と俺が愛し合った場所じゃないか。今なら許してやる。こっちに来い。な。」「来ないでっ。」泣きながら震える手で拳銃を構える佐藤。「なんだと、佐藤が…」ペンションに到着した藤高曹長が本部からの無線連絡に驚愕した。「どうしたんです。」「警務隊からだ。留置室に収監された佐藤が隊員の隙をついて拳銃を奪って逃走していたそうだ。」幕張が驚愕する。「何ですって、そんな…」…続く。

Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.101 )
日時: 2018/02/16 22:19
名前: 梶原明生 (ID: doo.G8T9)  

…藤高曹長が察する。「幕張…だったな。まさか彼女とは関係があるのか。」「関係も何も、俺の愛した人です。」氷川曹長が少し呆れ顔で呟く。「ヒューっ、直球だな。」藤高曹長は視線をペンションに戻した。「俺の直感だが、恐らく彼女はペンションの中にいる。途中の土に女物の靴跡が新しくついている。大きさからして身長は160から165、佐藤と一致する。」「なら助けださないと。」飛び出そうとする幕張の肩を掴む藤高曹長。「待てっ、感情的になるな。作戦手順に従え。橘、何かトラップはあるか。」「いえ、爆発物はありません。ただのペンションのようです。」橘一等兵がカメラ付き端末機を操作しながら答えた。氷川曹長が念を押す。「いいか幕張。気持ちはわかるが、所詮GKの女スパイだ。敵に回った可能性は高い。」「違いますっ、いくら氷川曹長でもそんな言い方納得いきません。彼女は…彼女は改心したからこそ、我々の襲撃を知らせなかった。その彼女に限ってありえません。」藤高曹長が助け船をだす。「とにかく、敵対行為がある以外は拘束を優先しよう。それでいいな幕張。」「はい。」話を終えるや否や、全員が動き出した。その頃ペンションの中ではシグ226E2拳銃を震えながら構えていた佐藤は、近づく苅田を撃てずにいた。「ほら、どうした。撃てよ。」次の瞬間苅田は拳銃を取り上げた。「甘いな梓。最後に愛した男のために一働きしてもらおうか。」佐藤の背中を取って羽交い締めにしながら銃口を首筋に密着させる苅田。…続く。

Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.102 )
日時: 2018/02/19 17:11
名前: 梶原明生 (ID: ztXTCvg/)  

…その頃、藤高曹長達は二つの侵入口で突入態勢を整えていた。「突入まで5秒。4、3、2、1、突入。」ドアを破壊した後に長谷川伍長がスタングレネードを投げ入れた。「ドカン」と爆発して激しい光と爆音がペンション中に響く。リビング前で残り3発のGKメンバーが撃ち尽くすが、藤高曹長の89式小銃の餌食となる。幕張一等兵がリビングに入るや否や、ハゲ坊主の例の体格いい部下が彼の89式小銃の被筒を掴み、投げ飛ばそうとするが必死に抵抗する。弾倉止めを押して弾倉を叩き飛ばして89式を撃てなくし、格闘戦となる。藤高曹長が助けようとしたら、防弾着を着ていた3発男が飛びかかり、こちらも格闘戦になる。左手で被筒を掴んで下に回して、右手でシグ226E2拳銃を抜いた橘が撃とうとするが、氷川曹長が制する。「待て、あまりに至近距離すぎる。味方に当たる。」左右で格闘している藤高、幕張を余所に長谷川伍長が苅田に向けて89式小銃を構えて飛び出す。「オヤジっ、やめてくれ。離さないなら射殺するぞ。」「長谷川、お、お前…」突然のことに氷川曹長も驚愕した。苅田は狂気に満ちた笑いで叫ぶ。「オヤジだと、そうか。あの間抜けな大津の女の子供か。確か輝だったな。ハハハハッまさか俺の息子が俺に銃口向ける組織の男になってたとはな。あの馬鹿女らしい育て方だ。ハハハハッ。」「笑うな。母ちゃんを悪く言うなっ。」「ハハハハッ、そのわりに俺をオヤジとか抜かしたな坊主。涙の親子再会でお前も本当は俺を救いたいんじゃないのか。この女を助けたいなら俺を逃がせ。ヘリがあるだろ、な、輝。我が息子よ。」迷う長谷川だったが、佐藤が叫ぶ。「撃ってっ、私ごと撃って。私は裏切り者。私を助ける義理はない。だから…」震える長谷川に業を煮やした佐藤は遂に、渾身の力で苅田の持つ拳銃を掴み、自分自身を撃った。驚く苅田。「梓ーっ。」首を絞められてた幕張は金的に思いっきり蹴りを入れて首筋に肘撃ちしてハゲ坊主を倒した。そしてウィーバーグリップにシグ226E2拳銃を構えた氷川曹長が、苅田の腕と胸に正確に銃弾をダブルタップで撃ち込む。ほぼ同時に藤高曹長も後ろ回し蹴りでメンバーを倒した所だった。呆然とする長谷川。「確保ーっ。」藤高曹長の叫び声に、一斉に後方で待機していた芸浄隊員がリビングに雪崩込む。終わったのだ。長きに渡る芸能界浄化陸軍部隊の戦いに今、終止符が打たれた。無論、ここからがある意味始まりでもあるのだが…続く。

Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.103 )
日時: 2018/02/19 18:16
名前: 梶原明生 (ID: YHJNwyuz)  

…幕張は佐藤を抱きかかえる。「梓っ、梓っ、そんな。死ぬな。」銃傷を押さえながら悲壮感に満ちた声で叫ぶ。「うれしい…あなたの腕の中で死ねるなんて。言ったでしょ、私のことは忘れ…て。」幕張の頬を撫でる手を血だらけの手で握り返す。「できるわけないだろっ、まだ、まだこれからじゃないか…やり直しなんかいつだってできる。生きて…生きて俺と。」言いかけた所で芸浄隊衛生班の清水玲奈曹長が彼の肩を掴む。「どいて。助けたいんでしょ。なら私達に任せて。」テキパキとしたナートの仕方は彼でさえ、目を見張るものがあった。橘一等兵が声をかける。「清水曹長に任せたら大丈夫。芸浄隊衛生班の中でも女ブラックジャックの異名を取る精鋭だから。」清水曹長は一通り処置が終わると、氷川曹長に叫ぶ。「氷川曹長。幕張を借りてきますよ。いいですね。」テキパキした物言いに彼ですら驚く。「か、構わんが。」「よし、幕張一等兵、何ボサッとしてる。愛してるんでしょ。なら病院までヘリで輸送するから彼女のそばで手を握ってなさい。」「は、はい。」ペンション近くの駐車場に着陸したUH−60ヘリに搬送される佐藤と共に幕張は一路病院に向かった。呆然とする長谷川に藤高曹長は肩を掴んで声をかける。「長谷川、大丈夫か。」「大丈夫…と言いたいですが。正直、ショックです。まさか、自分の父親が…」「だが、長谷川。お前はお前だ。父親とは違う。お前はお前の道を行くんだ。」「藤高曹長。」感動する長谷川に氷川曹長もまた声をかける。「そうだぞ。お前は俺達の仲間だ。」「はい、ありがとうございます。」長谷川がそう言ったものの、氷川曹長は矛先を藤高曹長に向ける。「ところで藤高。お前国会でSP相手に大暴れしたそうじゃないか。よく来れたな。捕まらなかったのか。」「そこなんだが。実はその後、石原総理が現れてね。粋な采配をしてくれたのさ。おかげでお咎めなし。その上、西島幹事長は更迭。後は石神大佐が処理してくれているというわけさ。さて、問題はこれからだな。後間もなく警察庁の連中が来る。現場検証に報告会。やることは多いぞ。」「了解。」長谷川、橘、木下はじめ、現場にいた芸浄隊員が返事をした。全てが終わる頃には紅鏡の旭が登りはじめていた。帰りはUH−60ヘリが藤高、長谷川達を乗せて一路、芸能界浄化陸軍基地を目指した。「美紀…」長谷川は「忘れない煌めき」という歌が聞こえてきた。…最終回「忘れない煌めき」に続く。


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