複雑・ファジー小説
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- 芸能界浄化睦軍
- 日時: 2015/12/29 01:57
- 名前: 梶原明生 (ID: DU.Bh3c8)
芸能界浄化の宣言
一つ、芸能界は芸能人搾取があってはならない。
一つ、芸能界は情報提供に速やかに応じなければならない。
一つ、芸能界は悪質な秘密を抱えてはならない。
一つ、芸能界は正当な浄化行動に逆らってはならない。
一つ、芸能界は清浄、且つ国民の模範とならねばならない。
芸能界が不浄且つ不純な行動行為表現を行った場合、芸能界浄化陸軍は武装武力をもって浄化執行する権利を有する。
以上
- Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.34 )
- 日時: 2017/03/01 19:49
- 名前: 梶原明生 (ID: 87ywO7pe)
…そして懸命な救出作業は徹夜を通して行われていた。長谷川がたまたまあった毛布を使ってベッドを作り、神原を寝かせて自分は隣室の長机に寝ることにした。「輝さん、一緒に寝ないの。…」「何言ってんだ美紀ちゃん。それはできないよ。」「でも…」「わかってる。わかってるよ。」長谷川は神原の手を握りしめ、じっと見つめた。「大丈夫だから。…」彼は優しく彼女の手を離した。隣室に入っていく長谷川。その背中姿を神原は愛おしく見つめた。やがて時は過ぎ、朝の0600時を迎えた。神原は後ろで聞こえる物音に目覚める。長谷川の朝食作りの音だった。「よ、お寝坊さん。起きたかい。」趣に振り返って声をかける長谷川。「あ、おはよう。」「おはようさん。もうすぐ日本の朝食が出来上がるよ。と言っても昨日の残りを使ってレンジでチンするだけだけどね。」やさしい赤出汁味噌汁の匂いが神原の心を包んだ。「私も手伝います。」「そう、じゃあそこのご飯レンジでチンして。」二人は共同で朝飯を準備し、しばし束の間の同棲を味わった。食べ始めて間もない頃、UGVのスピーカーから藤高曹長の声が聞こえた。「長谷川、聞こえるか。」「は、はい。」慌てて起立する長谷川。「後30分ほどで瓦礫が撤去されて足場をかけられる。だから入り口近くに待機しておけ。神原さんを必ず連れてこい。」「りょ、了解しました。」思わず敬礼する長谷川。「藤高曹長ですよね、私、神原美紀です。覚えていらっしゃいますか、いつも藤高曹長のブログにコメントしてた…」その突然の申し出に思わず閉口する藤高曹長。…続く。
- Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.35 )
- 日時: 2017/03/22 20:01
- 名前: 梶原明生 (ID: wh1ndSCQ)
…「そ、そうだが。…あなたが、神原さん。」「そうです。いつもブログ拝見してます。そしてコメントもしてるんですよ。上にあがったらお会いしたいです。藤高曹長のおかげで私、アイドルになれたようなものですからお礼が言いたいです。」一瞬たじろぐ藤高。「お礼って、曹長、こんな未成年と」言いかけた部下を叱責する。「アホか貴様っ。馬鹿を言うな。そんなわけなかろうが。」「は、はい。」キョトンとする神原。「あの、何か気に障りましたか。」「いやいや、神原さんのことではありません。失礼。お言葉はありがたく頂いておきますが、今は無事にそこから出ることが最優先です。隣の長谷川一等兵は私の部下です。彼の指示に従って出てください。いいですか。」「はい。」神原は藤高曹長の言葉に甲高く返事を返した。やがて瓦礫は撤去され、足場がかけられた。数メートル離れた所に待機していた二人は、救助隊員のライトの光に照らされながら手を繋いで出てきた。「行こう。」「うん、輝。」ようやく二人は地上に降り立った。芸浄隊員が待ち構えて毛布を掛けたりしたのだが、どこかで見慣れたカメラフラッシュが眩しく二人を捕まえていた。「こいつはスクープだっ。」週刊朝企の内野をはじめとした芸能カメラマンが立ち入り禁止ラインを越えていつの間にか入ってきたのだった。…続く。
- Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.36 )
- 日時: 2017/03/29 20:35
- 名前: 梶原明生 (ID: JnkKI7QF)
…「あんたたち、まだ 立ち入り禁止だろ。コラッ、写すな。」藤高曹長は手でレンズを塞ごうとするが、内野達はお構いなしだ。その瞬間、神原は長谷川の手を離してしまう。報道陣を前にようやく自分の現実に気づいたのだ。長谷川を見るも、彼は辛さを抑えながらも作り笑いで神原を見送る表情になっていた。やがて神原は救急隊員に。長谷川は芸浄隊員に連れられ別々に保護されていった。それからというもの、マスコミはこぞって救出されたことよりも若い18才の芸浄隊員ともうすぐ13才になる神原との密室で過ごした1日が話題に上がり、ネットでもあることないことかきたてられる日々。それでも神原は否定し、長谷川は藤高曹長等の擁護のもと、彼を守っていた。それから数日たったある日、彼のスマホにメールが来ていた。神原からだった。「嘘っ、美紀ちゃんから…」同室の梅崎に隠すように見る。「突然ごめんなさい。輝さんにどうしても会いたくて。明日休みでしょ。もし良かったら会えない。」と待ち合わせ場所と時間まで書いてある。長谷川も会いたい衝動に駆られ、つい返事してしまう。「でも待てよ。どうやって俺のアドレスを…」タイミング悪く、藤高曹長の見回りが始まっていた。「もうすぐ消灯だぞ。早く寝たほうがいい。待ち合わせだろ。」「え…」長谷川はキョトンとしたが、いつも厳しい藤高曹長が何故かにこやかにしているところを見て何かを悟った。「ま、まさか…」部屋を飛び出して直立不動の姿勢から、藤高に向かって一礼する。「ありがとうございます。」「何のことだ。もういい早く寝ろ。」「はい。」満面の笑顔で長谷川は藤高曹長の背中を見送った。…次回「貫く思い」に続く。
- Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.37 )
- 日時: 2017/04/12 19:11
- 名前: 梶原明生 (ID: 70vEHkeO)
「貫く思い」
…某駅構内の柱に、一人小柄な女の子が、眼鏡にマスク姿で立っていた。フレアスカートにGジャン姿で。「や、美紀ちゃん。」その声は長谷川だった。「やだもう、後ろからいきなり来るんだもん。それにその名前まずいって。」「あ、あ、ごめん。うっかりだ。」「でもどうしてわかったの。」「だって、君の画像は沢山スマホに入れてるもん。ほら、待ち受けだって。」長谷川は手でライターの火を守るがごとく神原にだけ見せた。「やだ、こんなに…このストーカー。」「え、何で、俺はただ…」「ウソピョ〜ン。」「ああこいつ。」早速二人は恋人感覚になっていた。「ところでどこ行く。」…続く。
- Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.38 )
- 日時: 2017/04/17 19:47
- 名前: 梶原明生 (ID: wh1ndSCQ)
…「うーん、とりあえず、スカイガーデン。」長谷川はキョトンとした。「え、あのアワーレコードの。…」「うん、やっぱりAKM48の売れ行き見たいし、柏木美紀さんのCD見たいし。」「知ってる。同じ名前の柏木さんに憧れてたんだろ。なるほど、美紀ちゃんらしいや。行こう。」長谷川は回りが気になりだし、早速神原の手を握りしめて引っ張った。足早に先導して歩く長谷川の姿に、微笑みながら顔を赤らめる神原。二人はアワーレコード二階にあるスカイガーデンでカフェとケーキを嗜み、レコード店内では頭をくっつけてヘッドホンを両脇に付けて、楽しくAKMの曲に聞き入った。そこで楽しんだ後、センター街入り口の果物店2階西田フルーツパーラーへ移動。フルーツパフェを堪能する。「美紀ちゃん、また食べるの。」「だって育ち盛りだもん。」意に介する風もなくペロリと平らげる神原。次に南国パフェが来た時に、不意にスプーンを置いた。「これ、白熊みたい。…」「本当だ。鹿児島特産の南国白熊アイス。」長谷川は神原を見た瞬間、ホームシックになっている彼女に気づいた。「一緒にいつか鹿児島に行こうな。美味しそう。少し貰うね。」長谷川がスプーンを進めてようやく我に帰る神原。「う、うん。…」長谷川の気遣いが嬉しかった。その後二人が向かったのはヒューマントラストシネマ館。ココットビル7階にある映画館だ。勿論AKM48メンバーの恋愛映画「GとJK」が目当てだ。芸浄隊員と女子高生の恋愛物語だが、二人は自分に置き換えてついつい見てしまう。互いに手を握り締めた。感動覚めやらぬ中、ココットレストランで食事をする長谷川と神原。「もう一つ行きたいとこあるんだ。いいかな。」上目遣いに頼み込む神原。「いいよ、どこ。」「アキバのコスプレ店。」「え、…コスプレ…」…続く。
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