複雑・ファジー小説

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芸能界浄化睦軍
日時: 2015/12/29 01:57
名前: 梶原明生 (ID: DU.Bh3c8)  

芸能界浄化の宣言
一つ、芸能界は芸能人搾取があってはならない。

一つ、芸能界は情報提供に速やかに応じなければならない。

一つ、芸能界は悪質な秘密を抱えてはならない。

一つ、芸能界は正当な浄化行動に逆らってはならない。

一つ、芸能界は清浄、且つ国民の模範とならねばならない。

芸能界が不浄且つ不純な行動行為表現を行った場合、芸能界浄化陸軍は武装武力をもって浄化執行する権利を有する。
以上

Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.24 )
日時: 2016/08/30 21:35
名前: 梶原明生 (ID: y.72PaHC)

「遭遇」

翌朝、藤高曹長は芸浄隊諜報部で小脇大尉に報告していた。「どうやら二人はGKメンバーらしく、反撃してきたので一人を銃撃。もう一人は只今尋問中です。ですがこれではっきりしました。今回の件で河東らが強制的にAV出演させられていることが。すぐに救出しませんと、自殺に見せかけられて消されてはまずいです。」「わかった。彼女達が連れ去られた場所はわかってる。すぐに部隊編成して現場に向かってくれ。」「了解。」早速藤高曹長は諜報部を後にした。一方非番だった長谷川と梅崎は、都内のAKM48のコンサートに来ていた。「美紀ちゅゃああああああああ〜ん。」二人は神原美紀に声援を送り、日頃の鬱憤を晴らすかのように踊りまくった。煌びやかなスポットライトに目まぐるしく歌って踊るアイドル。会場は熱気に包まれた。やがて中盤が終わり、後半への小休止とお色直しに地下一階の控え室に戻った。「さぁ皆、張り切って後半戦行くよ。」「おーっ。」AKM48は再び舞台に立つ。しかし、神原美紀がいない。彼女一人だけはこの後の演出のため出番を待っていた。その隣室が河東や藤原を監禁しているGKの部屋とも知らず…やがて芸浄隊の車両が到着し、コンサート会場の控え室に全員向かった。「不味い、芸浄隊だ。どうしてここがわかった。」監視カメラを見ていたメンバーが叫ぶ。「確か10名のスタッフがまだ地下にいたな。人質に取るぞ。」拳銃を取り出したGKメンバーは早速部屋を出た。…続く。

Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.25 )
日時: 2016/11/06 21:27
名前: 梶原明生 (ID: eVM80Zyt)  

…「近づいてみろーっ、こいつぶっ殺すぞ。」芸浄隊が左右に展開して地下階段手前にさしかかった時、GKのメンバーが拳銃を人質の女スタイリストに突きつけながら、芸浄隊に向かって叫んだ。「防犯カメラの前まで部隊を下げさせろ。でないと人質を撃ち殺す。」藤高曹長はやむを得ず部隊を下げさせた。「隊長、このままでは埒があきません。この際一気に突入を」「待て、人質の命最優先だ。先ずはこの施設の見取り図を出せ。」部下に指示し、図面を広げさせた。「地下階段はエレベーター以外は2箇所しか侵入口がありません。ここ以外はコンサート会場側からしか入れませんが、目下AKMのコンサートが開かれています。下手に介入すればパニックになります。」そうしてる間に爆発音がコンサート中に鳴り響いた。「何だ、何か。」芸浄隊に戦慄が走った。「こちら二班、GKがコンサート側の入り口を爆破しました。」「何っ。」コンサート会場は阿鼻叫喚のパニックとなり、我先にと客が逃げ惑った。「くそ、美紀ちゃん。」「輝っ、おい待て。」梅崎の制止を振り切って人ごみを掻き分けて舞台裏側へ消えた。一方、藤高曹長も突入を敢行しようとしたが、階段から人質10名が駆け上がってきたため、その確保に追われている間に凄まじい爆破が目の前で起きた。「全員無事かっ大丈夫かっ。」藤高曹長はすぐ回りの部下の安否を確認した。「こちら異常なし。しかし隊長、入り口が…」爆破のせいで地下階段は瓦礫に封鎖されてしまった。藤岡少佐から入電がある。「藤高曹長、会場から300メートルほど南に不審な車が逃走するのが目撃された。GKと河東達だ。すぐに車両で向かってくれ。」「了解。急行します。」藤高曹長達はすぐに車両に乗り込み、人質は警察に任せて向かった。その頃会場の地下では、うずくまってロッカーの中に隠れてた神原が恐る恐る外に出た。爆発音に、ロッカーの中にいるのが怖くなったのだ。「み、美紀ちゃん」突然現れた男に腰を抜かす神原。「違うよ違うよ、ぼっ僕は君のファン…いや、芸能浄化隊 一等兵士 長谷川輝といいます。」神原は手を口に当て、キョトンとしてしまった。これから短くも長い、2人っきりの時間が始まる。…続く。

Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.26 )
日時: 2017/01/23 21:03
名前: 梶原明生 (ID: SKF4GgT1)  

…一方その頃、藤高曹長等はGKメンバーの車両に捕らわれた河東、藤山両名を確保していた。銃を捨てろ、投降しろと叫んだが、河東等に拳銃を向けようとしたため一人射殺。二人は重傷者として警察病院に引き渡した。一段落ついたと思っていたら、無線で藤岡少佐から耳を疑う伝達が入った。「休暇中の梅崎一等兵から報告を受けた。あのコンサート会場に偶然非番中の梅崎、長谷川一等兵両名が来ていたらしい。先の爆発でパニックになった際、長谷川だけが地下に取り残された可能性が高いアイドルメンバーの神原美紀を追って地下に入ったらしい。救出に向かったようだが、安否は不明。目下消防隊員が対処してるが、お前達も向かってくれないか。アイドル側はあのAK…AK…何だ。」武骨な藤岡少佐にとって苦手な名前なだけに言葉に詰まった。藤高曹長が助け船を出す。「AKM48ですよ。」「そうだ、それだ。その事務所から説明を求められている。こういうのはお前の得意分野だろ。頼むぞ藤高曹長。」「了解しました。」彼は早速他の隊員に警察への現場検証を頼み、一路現場に戻った。その頃、うずくまった神原が落胆しながら呟いた。「私達、ひょっとしてこのまま閉じ込められて死ぬのかな。」長谷川は敏感に反応する。「そんなことないさ。きっと消防が助けてくれる。それに、僕がいる芸浄隊が黙っちゃいない。必ず助けてくれるさ。諦めちゃだめだ。」「芸浄隊…藤高曹長かな。」「え、君、藤高曹長知ってるの。」「うん、そうですけど何故。」「ぼ、僕の所属する部隊の隊長だよ。しかも俺憧れの教官でもあるんだ。」「嘘、長谷川さんの…私藤高曹長のブログにコメントしてた。」「え、君が…」意外なところに接点があったことに驚きと深い縁を感じた。「そうなんだ。す、凄いね。僕が君の大ファンで君が藤高曹長とブログ繋がりで、その藤高曹長の部下が僕で…」神原の隣に座り込んだ長谷川は余韻に浸っていた。また、神原はそんな長谷川に深い感動と縁を感じていた。「凄いですね。こんなことってあるんだ。」「うん、そうだね。でも、藤高曹長と石神大佐って、最初の芸浄隊を立ち上げた人達なんだ。結構大変だったらしいよ。」「あ、知ってます。悲しいことがあったんですよね。上原実優さんが…」…続く。

Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.27 )
日時: 2017/01/25 19:30
名前: 梶原明生 (ID: 99wOCoyc)  

…長谷川は急に視線を落とし、先ほどと変わって暗い表情に変わった。「そうだよ。ファンと言うより心から愛してたんだ。愛する人を失うことがどれだけ辛いことか…はっ、まさか。」突然の閃きに長谷川は全身に電気が走る思いをした。彼はふと以前のホテル突入作戦の時を思い出していた。神原の写真を藤高曹長に発見された時に言われた言葉を。「どんなことがあっても守り抜けよ。」それはまさに上原実優さんを守れなかった自分と長谷川とを重ねて見たのではないか。と思えたのだ。「ど、どうしたんですか。」「いや、何でもないよ。ちょっと野暮用を思い出したもんだから。とにかくさ、まだしばらくは出られないんだし、とりあえず何か食べようか。」タイミングが良かったのか。神原がお腹を押さえると同時にグーッという音が響いた。「あ、…」「あ、あは、あはは。気にしなくていいよ。誰だってお腹はすくし。」気遣う長谷川に申し訳なさそうにしつつ、奥の控え室のドアを見た。「ありがとうございます。…あの、確か向こうの控え室に大量のお弁当や事務所からのお菓子とかが置いてあったと思います。」「わかった。見てくるよ。」立ち上がろうとした瞬間、長谷川の腕を掴む神原。「あ、ごめんなさい。つい。」「いいんだ。一緒に行こ。」彼は思わず神原の手を握り締めた。寄り添うように二人は控え室に入る。…続く。

Re: 芸能界浄化睦軍 ( No.28 )
日時: 2017/02/06 01:23
名前: 梶原明生 (ID: NOqVHr1C)  

…中に入れば予想以上にメンバーやスタッフ分のお弁当、お菓子にペットボトルが置かれたままになっていた。「すげー、これ全部手付かずか。これならしばらくは篭城できるな。」思わず口にする長谷川。「篭城って何です。」「あ、いや何でもないよ。とりあえずそこに座って。」長谷川は慌ててごまかしつつ、長テーブルの椅子に神原を座らせた。「我が長谷川レストランへようこそ。当店シェフの長谷川輝が神原様にふるって料理をお作りいたします。しばしお待ちを。」趣にセリフを吐く彼に、それまでの恐怖心がやわらいだ。いよいよ調理ならぬ盛り合わせが始まった。しかしある意味冗談でないかも知れない。何故なら、芸浄隊の野戦訓練で彼は「戦闘糧食(レーション)シェフ」という渾名があり、梅崎等仲間内では大変重宝していた。レーションは変わり映えのない、単調な物が多く、きつい訓練の中では唯一の楽しみだ。それが単調とあってはたまったものではない。そこでレーションを工夫して混ぜ合わせ、また何か調味料を加えることで、全く違うレーションを作り出す。まさにその天才だったのだ。「神原様、先ずは前菜でございます。」「うわーっ、お弁当のサラダでこんなの作れるなんて凄い。初めて見た。長谷川さんて天才なんですね。」感嘆する神原に照れ笑いの長谷川。「いや〜、それほどでも。よし、待ってて。」やる気が倍増した彼は、一気にスープ、メインディッシュ、そしてデザートまで作った。「食べてばかりじゃ何かわるいですよ。長谷川さんも一緒にどうぞ。」うっかり食べることを忘れてた長谷川。「いけない。よし、じゃあこれだけ。」たまたまあったワイングラスとファンタグレープを取って注ぎこみはじめた。白いナプキンをテーブルクロスに見立て、紙皿を料理皿に見立てて互いに対面して座った。二人同時にグラスを取る。「メインディッシュは牛肉と七面鳥のソテー。実際は焼き肉弁当と照り焼きチキンだけど…」「プハハハハッ」思わず吹き出す二人。「二人の出会いに。「出会いに…乾杯。」グラスを当て合い、ワインならぬファンタを飲み干した。「じゃあデザート取ってくるね。」メインディッシュを食べ終え、互いに色々話しているうちに親しい間柄になっていった。デザートの皿を取ろうとした瞬間、いきなり腰と背中に柔らかく温かい愛ある感触が迫ってきた。「私、自分でもよくわからないけど、長谷川さんのことが好き。」神原が抱きついていたのだ。…続く。


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