二次創作小説(映像)※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- イナズマイレブン〜試練の戦い〜
- 日時: 2014/03/26 11:37
- 名前: しずく ◆UaO7kZlnMA (ID: 9kyB.qC3)
皆様、初めまして…の方がほとんどだと思われるしずくと申すものです。実は某大作RPGの二次もやってますが…
今回、再びイナズマ熱が蘇って来ました。
そこで、二年程前に挫折してしまった〜試練の戦い〜をきちんと完結させようと思い、再びスレッドを立てさせて頂きました!
*注意事項
:二年前の〜試練の戦い〜のリメイク版(当時のオリキャラは削除しています。すみません)
:時代遅れなエイリア学園編の二次創作
:オリキャラあり。男主人公です。
キャラ崩壊、設定捏造の類いがあります。
:荒し、誹謗中傷はお断りです。
長くなりましたが、よろしくお願い致します!
本編
序章
>>1
一章「それが、全ての始まり。」
>>4->>11
二章「全ては予定通りに。」
>>12->>13,>>17->>18,>>23->>27,>>30
三章「その風は嵐? それとも?」
>>31->>35,>>37->>39,>>41->>72
四章「その出会いは幸せか」
>>74->>83
おまけ
夜の出来事(蓮と風介。宗谷岬にて)>>73
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
- Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜 ( No.99 )
- 日時: 2014/03/28 18:50
- 名前: しずく ◆UaO7kZlnMA (ID: EI9VusTL)
力強いパス。そして自分の力量を見定めるかのように輝いていた青緑の瞳。それらは、涼野の自信に満ち溢れた態度の表れだった。自信があるからあれ程強いパスが出せ、パス練習にも応じてくれたのだろう。自分のプレーに自信を持ち、フィールドで力強く輝く。蓮があこがれるプレイヤーの理想図そのままだった。
自分なら見慣れない人間に弱みを見せるのがいやで、どうしても知らない人間とのパス練習は渋ってしまう。ただ涼野なら弱みを見せても大丈夫と言う、自分勝手な自信でパス練習を頼んだのだった。
「落ち込むなんて、認められなかったとしか思えないんだ」
「少しのパス練習でそこまで見抜かれるとは」
再度自分をあざ笑うような笑みを見せると、涼野は景色に目をやりながら、
「ああ。そうだな。監督に認められずに2位どまりだ。所詮(しょせん)その程度の実力と言うことか」
自分を笑うように言った。横にいる南雲に目をやると、悔しそうに地面の板を睨んでいる。蓮は二人の悔しそうな顔を眺め、その“監督”に強い憤りを覚えた。
景色に視線を向けると、怒った声で監督を非難する。
「そんなことない。風介や晴矢を認めないなんて、おかしい監督だ」
「オレもか」
自分が含まれていることに驚いたのか、南雲が目を瞬かせる。
蓮はニコリと明るい笑みで南雲と涼野に交互に笑いかけ、言い切った。
「晴矢も風介もすごいプレイヤーだ。僕が言うんだから間違いないよ!」
「……ははっ! そういうことは、この南雲晴矢さまのプレーを見てから言うんだな」
南雲が楽しそうに笑い、涼野はくすぐったいような顔で小さく笑っていた。が、すぐに沈痛な面持ちに逆戻りし、重々しく口を開いた。
「それで……ひとつ問題があるのだ」
「え?」
蓮が強い調子で聞き返し、涼野はしまったという顔をして蓮から目線をそらした。
蓮の横にいる南雲も、何やら視線で涼野に非難するようなとげとげしい視線を投げかけている。
聞いてはいけないことを聞いたような気がして、蓮は話題を変えようと頭をひねって、
「そういえば八橋食べた?」
「私たちが一番になるには、“大切なもの”を壊す必要がある」
「お、おい! 風介!」
涼野は抗議する南雲を無視して話を続けた。
〜つづく〜
- Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜 ( No.100 )
- 日時: 2014/03/28 23:25
- 名前: しずく ◆UaO7kZlnMA (ID: xwXeKUvt)
「壊す必要があるって、北海道で言っていた“大切なもの”のこと?」
「ああ、そうだ」
涼野が首肯し、蓮はなおも問いを重ねる。
「せっかく取り戻しかかっているのに、壊す必要があるの?」
「ああ、そうだ」
「風介はどっちが大切なの?」
「……わからない」
答えると、涼野は口ごもる。本当に葛藤している様子が傍目に取れて、蓮は心を痛めた。——その原因を知らずに。
「一位になりたいのは事実だな。だが、“大切なもの”を壊すのも怖いのだ」
「オレは……別に」
南雲は脇で言葉を濁していた。二人にとって大切な友人でもいるのかなと蓮は考え、
「その“大切なもの”、壊したらどうなるの?」
恐る恐る蓮が聞くと、涼野はしっかりと蓮を見つめ、落ち着いた声音で答える。
「恐らく、二度と元には戻らないだろう。永久(とわ)に戻ることはない。一位になるのはいつでも可能だろう。しかし、こちらは失ってしまえば永遠に帰ってこない」
蓮は頭の中で次にどんな言葉を紡げばよいか悩んでいた。
単なる人生相談ではないのだ。決定しだいでは涼野と南雲が大きく後悔するかもしれない。そう思うと、尚更(なおさら)下手なことは言いたくない。
「キミならどうする?」
「……え?」
いきなり話を振られた蓮はびっくりして現実に戻った。
涼野が青緑の瞳で蓮を見据えている。
その瞳にからかいや冗談といった類(たぐい)のものはなく、真剣な瞳そのものだ。そして瞳同様真剣な声で、
「目の前に見える利益と、自分にとって“大切な何か”。……表現が悪いな。こうならどうだ? 目の前に財宝がある。しかし、財宝をとるには仲間を殺さなければならない。どちらかを選ばなければならないとしたら、キミならどちらを望む?」
上手い答えが見つからず助けを求めるように南雲に目をやると、南雲も蓮の答えを聞こうとするかのように身を乗り出し、金色の瞳で蓮をじっと見つめていた。蓮は困った顔で交互に二人を見やると、仕方なしに自分の考えを述べ始める。
「えっと、僕なら、“大切な何か”を壊すのが怖くて、えっと仲間を殺すのが怖くて……きっと逃げてしまうと、仲間と共に財宝を捨てて逃げてしまうと思う。僕はそう言う臆病な人間だから」
苦笑すると、蓮は景色に目をむけ、手すりを掴んだ。風が吹いて、三人の前髪を揺らした。
周りにいる人間の顔振りはだいぶ変わり、男子中学生3人でなにやら話をしている光景は、明らかに浮いていた。外人らしい人間が興味深そうに三人を観察していた。
「けど、人は追い込まれると変わる。僕だって地理は大嫌いだけど、テスト前はかなり勉強して、赤点以上は取ろうとするしね。——それと同じで、例えば親から期待がかかっていてさ、レギュラーになれ、とか言われたらその“大切なもの”を壊すかも。あ、財宝で言うとだな。親が病気で大金が必要とかそう言う理由があれば、仲間をやってしまうかもしれない。人は状況によって、すぐに変わってしまうから」
昔、蓮は母を喜ばせようとして取ってはいけないと言われた公園の花を摘んだことがある。
あの年でやってはいけないと分かっていたはずなのに、悪いことをした。ルールを守る大人しい子が、一日でいたずら小僧に様変わり。このくらいなら軽いものだが、人が良くも悪くも簡単に変わることを蓮はよく知っていた。——そう、自分一人を置き去りにし、海に身を投げた親がそうなのだから。
〜つづく〜
- Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜 ( No.101 )
- 日時: 2014/03/29 09:59
- 名前: しずく ◆UaO7kZlnMA (ID: vWq4PSF8)
その後、涼野と南雲は用があると言って帰り、蓮は清水寺の土産物屋がある通りに来ていた。
その姿を見つめる影。土産物屋の裏にある路地に二人の少女がいた。こんな狭い場所にいるのも怪しいが、彼らの瞳はずっとある人物を追っていた。——土産物屋の前を駆け抜ける蓮の姿を。
「ねえ、レアン」
「なに、クララ?」
レアンと呼ばれた少女が不機嫌そうな声で尋ねる。あまり仲はよくないらしい。
「ガゼル様とバーン様の幼馴染……ちょっとムカつくと思わないかしら?」
クララが目の前を通り過ぎていく蓮を憎憎しげに見つめながら呟いて、レアンは鼻で笑う。
「ふ〜ん。あなたとわたし。珍しく気が合うのね」
「嫌だけど、プロミネンスに相談があるのよ」
「なあに? ダイヤモンドダストさん」
クララは長いことレアンの耳に何やら耳打ちをしていた。
蓮は彼らの前で塔子と合流し、何やら楽しげに話しながらクララとレアンから遠ざかっていく。レアンはその背中を見つめながら、
「・・・・・・ふふ。面白そうね」
暗闇の中で笑った。
〜四章完〜
京都まで終了。
四月中には続きを書けそうです。
- Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜 ( No.102 )
- 日時: 2014/03/29 17:18
- 名前: しずく ◆UaO7kZlnMA (ID: Qz56zXDk)
第5章 希望と絶望
暗い部屋だった。何も見えない暗闇だけが広がり、肌を突き刺すような寒さが場を満たしている。
その時、スイッチが入る音ともに黄色いスポットライトが上下灰色スーツ姿の男の姿を浮かび上がらせた。
背ばかりがひょひょろとした男。緑の髪はかにの横足のように跳ね、頬は何かにえぐられたようにくぼんでいる。そして意地が悪そうな切れ長の黒い瞳。肌は生気を失ったような白さで、見ていて気持ちが悪い。
そして、男の右肩には一羽のハトが止まっていた。白いが毛並みはくすんでおり、羽毛はぼさぼさだ。ただ色素が薄い金色の瞳だけはぎらぎらと暗闇を照らす街灯のごとく輝いている。
「ようやく戻ってきましたか。バーン、それにガゼル」
男は誰もいない暗闇に語りかけた。しばらく男の声が反響していたが、すぐに静寂に包まれる。ややあって、ようやく不機嫌そうな声が返ってきた。
「なんだよ、研崎」
「父さんから何か命令でもあったのか?」
パッと赤と青のスポットライトがつき、バーンとガゼルの姿を浮かび上がらせる。二人の長い影が床に広がる。
赤いスポットライトに照らされるバーンは目の下に黒い切れ込みが入った南雲、青いスポットライトに照らされるガゼルは涼野その人だった。
しかし、服装はいつもと違う。二人ともユニフォームのようなものに身を包んでいる。
バーンは赤と白が基調のユニフォームに、下は黒に近い灰色のハーフパンツ。左腕に白いキャプテンマークをつけている。ユニフォームは赤い長袖で、白地のシャツ部分、胸元には紫のボタンのようなもの。周りを炎をかたどった赤い模様が描かれている。
ガゼルは青と白が基調で、下は藍色のハーフパンツ。何故かユニフォームの両袖はまくりあげており、邪魔ではないかと思いたくなる。
ガゼルのユニフォームはバーンのものと同じく、胸元に紫のボタンのようなでっぱりがある。デザインは傍目には白い部分がキャンディーに真下からYの字をしたから突き刺した形に見えた。
バーンとガゼルは声どおり、嫌そうな顔で腕を組み、研崎を睨んでいる。それを見た研崎は静かに首を振った。右肩の白ハトが落とされまいとして、鍵爪に力を入れる。研崎は小さく呻いた。
「いいえ。旦那さまは、“ジェネシス”の面倒を見るので忙しいのですよ」
バーンとガゼルはほとんど同時に鼻を鳴らし、腕を解いた。
「だろーな。オレラらなんかよりグランの方がお気に入りだからな」
バーンは他人事のように言った。どうやら研崎と話すのをめんどくさいと思っているらしい。先ほどからしきりに欠伸をして、研崎の顔をしかめさせている。
「だからこそ、父さんは、グランが率いる“ガイア”に、エイリア学園最強のチームであることを認める称号——“ジェネシス”を与えたのだろう」
ガゼルもまた話を早く終わらせたいようだ。自分とは関係がないと言わんばかりの口調で述べ、バーンにかえるぞと声をかけ、研崎に背を向ける。
それを見た研崎はニタァ、と笑い、帰ろうとするバーンとガゼルの背中に問いかけるような言葉を投げかけた。
「バーン、ガゼル。なに他人事のように言っているんです?」
その瞬間、バーンとガゼルの足が止まった。靴音が反響し、辺りに響きわたる。
二人は振り向いて、めんどくさそうな視線で研崎に目をやった。研崎は気味が悪い笑みを浮かべながら、言葉を続ける。
「あなたたちは、それでもマスターランクチームのキャプテンですか?」
「何が言いたいんだよ!」
問いかけれたバーンは研崎に向き直り、つんけんな調子で返した。横ではガゼルが抗議するような瞳で研崎を睨みつけている。
研崎は無言だった。気持ちが悪い笑みを口元に浮かべ、口を閉ざしていた。その時、
「ガゼルにバーン」
からかう調子の声がした。バーンとガゼルは身を震わせ、刺々しい視線を研崎の右肩に止まる白ハトに向ける。睨まれた白ハトの顔が、まるで人間のように歪む。嘲笑の形に。そしてパクパクと動く薄桃色の嘴は、流暢な日本語を紡いでいく。
「おまえたちはジェネシスの座を求めると思うよぉ〜」
「リアティ、口を慎みなさい(つつしみなさい)」
〜つづく〜
- Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜 ( No.103 )
- 日時: 2014/03/29 19:24
- 名前: しずく ◆UaO7kZlnMA (ID: 7H/tVqhn)
研崎はリアティを叱ったが、リアティは喋り続ける。
「元々大仏。あ、間違えた。元々父さんに認めてもらうために、ここまで頑張ってきたんでしょ〜? なのにさ、ジェネシスの座を雷門と戦ってもいない“ガイア”に与えるなんておかしくな〜い?」
「……父さんの意思だ。私は気にしていない」
「オレもだ」
ガゼルは、リアティから目をそらしながら自分を納得させるように呟いた。バーンも弱弱しい声で同意する。
リアティはそんな二人を愉快そうに眺めていたが、不意に両翼を広げ、空中に飛び立つ。羽音が立ち、研崎の髪が揺れた。そのまま自分から目をそらしているガゼルの周りを円を描くように飛び回る。
「ふ〜ん。でもさ、不公平はよくないとリアティは思うんだよねぇ〜。今すぐ雷門を倒せば、大仏だって認めてくれると思うよぉ〜?」
からかう声がガゼルの周りでくるくる回る。ガゼルはいつもの冷静な表情で——俯いていた。バーンはずかずかと飛び回るリアティに近づくと、リアティを片手で下に落とすように叩く。リアティはくすんだ羽を数枚落としながら落下し、地面に叩きつけられた。羽を伸ばして痙攣を起こしている。
「リアティ、旦那さまを『大仏』と呼ぶのは止めなさい」
呆れたように研崎がため息をつきながら、研崎がリアティを両手ですくい上げる。
研崎の両掌の中で起き上がったリアティは、ぴょーんと飛びおり、くすんだ羽を上下に動かして、宙のある一点に“止まっている”。そして嫌そうに、
「いいじゃ〜ん。めんどくさいし〜」
口答えし、黙る。くるりと向き直り、リアティはバーンの前まで飛んだ。
バーンは苦しそうな顔で頭を抱え、涼野はその横で明らかに悲しげな顔をしていた。リアティは、のんきに飛びながらそれを楽しそうに眺めている。
「雷門とは戦えば蓮が……」
バーンは言葉を切った。
頭が起きて欲しくない最悪のビジョンを見せつけてくる。雷門のユニフォームを纏う蓮がいる。周りには円堂を初めとする“今”の仲間たち。蓮はこちらに向かって、鋭い視線を投げかけてくる。きっと怒っているのだ。正体を隠し、普通の友達として付き合ってきたから。どうして嘘をついたんだ、と極限まで低められた声が問いかけてくる。そして。僕はお前を許さない、と蓮は低い声で続けてくる。可能性が高いビジョン。
「蓮とは、蓮とだけは戦いたくない」
ガゼルは苦しそうに言葉を吐き出した。
神などいないと改めて思った。神はいるとしたらこんなむごい仕打ちをしないだろう。かつて分かれた大切な人間とどうしてこんな最悪なタイミングで会ってしまったのだろう。もし会わなければ悩むことなどなかったのに。学校を破壊することに罪の意識は覚えなくても、彼に手を下すことだけはためらわれる。何故、何故なのか。理由を問う声が、脳内をぐるぐると巡る。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
この掲示板は過去ログ化されています。