二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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イナズマイレブン〜試練の戦い〜
日時: 2014/03/26 11:37
名前: しずく ◆UaO7kZlnMA (ID: 9kyB.qC3)

皆様、初めまして…の方がほとんどだと思われるしずくと申すものです。実は某大作RPGの二次もやってますが…
 今回、再びイナズマ熱が蘇って来ました。
 そこで、二年程前に挫折してしまった〜試練の戦い〜をきちんと完結させようと思い、再びスレッドを立てさせて頂きました!

*注意事項
:二年前の〜試練の戦い〜のリメイク版(当時のオリキャラは削除しています。すみません)
:時代遅れなエイリア学園編の二次創作
:オリキャラあり。男主人公です。
キャラ崩壊、設定捏造の類いがあります。
:荒し、誹謗中傷はお断りです。

長くなりましたが、よろしくお願い致します!

本編

序章
>>1

一章「それが、全ての始まり。」
>>4->>11

二章「全ては予定通りに。」
>>12->>13,>>17->>18,>>23->>27,>>30

三章「その風は嵐? それとも?」
>>31->>35,>>37->>39,>>41->>72

四章「その出会いは幸せか」
>>74->>83

おまけ
夜の出来事(蓮と風介。宗谷岬にて)>>73

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Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜 ( No.69 )
日時: 2014/03/22 13:29
名前: しずく (ID: f7aWX8AY)  

「われらに敗北は許されない! 絶対に勝つのだ!」

 レーゼが士気を高めるように、ジェミニストームたちに掛け声をかける。
 ジェミニストームたちから、どこか余裕ぶっていた態度は消え去り、絶対負けられないという気迫が滲み出ている。
 口を真一文字に結び、きっと鋭い目つきで雷門イレブンをにらみつける態度は、後に引けない覚悟がそれをさせているのだろうか。だが、雷門イレブンもまた負けじと睨み返す。視線と視線がぶつかり合い、北海道の澄んだ空気を熱くしていく。
 やがて、後半開始の合図であるホイッスルが吹かれた。
 染岡が、後ろにいる鬼道へとボールを蹴る。途端、フィールドを黒い影が残像すら残さずに突進し、あっという間もなくボールを奪い去る。——レーゼである。

「くっそ」
「リーム!」

 悔しそうに舌打ちをする染岡を尻目に、レーゼは、雷門の陣地をかなりのスピードでかき乱していく。
 まず鬼道と風丸がとめようとして、フェイントをかけられる。一人で突進するように見せかけ、がら空きの右サイドにいつのまにか進んできていた、やや暗めの桃色の髪で片目を隠し、後ろ髪は風に舞い上がったかのような状態で固定されている選手——リームにパスをした。
 パスを受け取った直後、リームは再びレーゼに向かってボールを蹴る。恐ろしい位速い。MFの頭上をボールがむなしく通る。ボールをとろうとしたDFである壁山の頭上を、ボールが放物線を描きながら通り過ぎて、レーゼにとられた。DFもとうとう抜かれた。
 ——残るは、ゴール前にいる蓮と、大急ぎで下がってきた塔子のみ。
 どのような行動をするのかと構える二人の前で、

「レーゼ様!」

 レーゼは急にボールを頭上に蹴り上げ、ボールの後に続くように大きく跳びあがる。リームもまた、同じように跳んだ。
 とたんボールが静止する。だが直後、激しく回転を始め、回転するたびにどんどん緑のオーラをまとい、そのオーラはやがて木星をイメージさせるような形でとまる。
 ちょうど二人が静止したボールの高さにまで跳びあがるころ、ぶわっとオーラが弾け、黒い煙が広がる。
 すると煙が広がった部分にだけ、空に円形の穴が開いた。ボールの背後の穴の中では、藍色の空に、銀砂(ぎんしゃ)を零したような星たちがたくさん瞬く。その星に混じり、理科の教科書でみるような木星や、多くの惑星が輝く——奇妙な空間が広がっていた。力強く輝く星たちは美しく、そのままその世界に突入したくなる。
 綺麗……と蓮は半ば見とれかかっていた。

「<ユニバースブラスト>」

 高々と叫ばれたレーゼとリームの声で、それがシュートなのだと気づかされ、蓮は身構える。
 円形の穴部分の上空に到達した二人が、足の裏を思い切りボールにぶつける。
 美しいと思っていた空間が伸びる。丸いネットが伸びるように、宇宙空間は丸く伸びてくる。もはや宇宙の神々しさはそこになく、黒いエネルギー体を纏う(まとう)ボールが、空気を切り裂いて円堂へと襲い掛かろうとしてくる。
 冷たい空気が一段と冷え込み、半袖である雷門イレブンの体を容赦なく冷やす。多くの仲間たちは身震いし、しゃがみこむ。
 

「白鳥! 塔子!」

 だが最後の砦である二人は違った。

 塔子は勇敢にもボールに向かうと、手のひらを上空に向け、下まで下ろした。

「<ザ・タワー>!」

 茶色いレンガ造りの塔が、ボールの行く手を阻むように現れる。だが、黒いボールはあっけなく塔を粉々にした。塔が消え去り、塔子が地面に叩きつけられる。

 すると今度は、蓮がボールの前に立ちふさがる。

「<ブロック・スラッシュスノー>」

 間髪いれずに、足を振り子のように動かした。

 蓮が足を動かした跡に沿って、地面から多くの雪がぶわっと湧き出し、一枚の雪の壁を作り出す。青白く、体の芯まで凍えそうな冷気を放っている。

 ボールと雪がしばらくぶつかり合うが、やがてボールが雪のカーテンの中から飛び出てきた。蓮がひっくり返り、地面に体をぶつける。

「ふん。カットしようと、無駄な話だ」

 レーゼは地に横たわり、苦しそうに呻く二人を見下す。

 だが蓮はゆっくりと顔だけをあげると、円堂に微笑みかける。

「威力は弱まったはずだ。……円堂くん!」

「<ゴッドハンド>!」

Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜 ( No.70 )
日時: 2014/03/22 13:30
名前: しずく ◆UaO7kZlnMA (ID: f7aWX8AY)  


 塔子と蓮の意図を察知した円堂は、黄金色の巨大な手を作り出し、鈍く輝くボールに当てる。

 <ゴッドハンド>が、ぱっと金色の円を描きながら光って消える。円堂の手のひらには——しっかりと、サッカーボールが握られていた。雷門イレブンから、大きな歓声が上がる。

「なに!? 我らの<ユニバースブラスト>が——」

 ずっと冷静でいたレーゼの表情に初めて、驚きの色が浮かんだ。

 円堂は仲間たちにガッツポーズをとると、ボールを持った手を大きく振り上げる。

「反撃だッ!」

「行かせるな。我等には勝利しか許されない!」

 同時にレーゼが焦ったように、慌てて指示を出す。

 MFたちを経由してボールを持って攻めあがっていた染岡は、見る見るうちにジェミニストームのメンバーに取り囲まれてしまう。

 

「くっそ! ごちゃごちゃとうぜぇな!」

 困ったように染岡は味方の姿を探す。

 近くにいるメンバーは、ジェミニストームに張り付かれ、ボールを回しても奪われそうな状況にあった。万事休すか……と染岡が諦め掛けた時。身震いがした。嫌いな虫がはいずるようなぞくぞくとした感触がし、視界の端っこで白いものが動いた。風にたなびく白いマフラー——吹雪。囲まれている自分の外側を、悠然と走り抜けている。

 ジェミニストームのメンバーは張り付いていない。

 染岡は、ぐっと唇を引き結ぶと、蹴ろうとわざと後方にいる鬼道の方に向き直り、足を引いた。

 ジェミニストームの選手が、パスをさせまいとパスコースを封じるように動く。

「……おらよ!」

 急に染岡はくるりと向きを変えると、走っている吹雪に向かってボールを思い切り、蹴りつけた。ジェミニストームの間をうまく突き破り、ボールは吹雪の元へと向かう。

 狙い通りといわんばかりに吹雪は口元に笑みを浮かべると、胸元で受け取り、ゴールへ向かって進む。

「染岡くん」

 ようやく円堂が願っていた行動をした。

 蓮は立ち上がると、ふっと笑う。周りをぱっと華やぐような明るい笑みだった。つられて円堂も笑っていた。

「何のつもりだ?」

「お前、いい動きしているじゃねぇか。食ってみれば意外とうまい、か。なるほどな」

「いみわかんねぇな。でも、ナイスパスだぜ、染岡」

 吹雪がそう言い、ゴールに向かって行く。

 並列して走っていた染岡は、小さくなる吹雪の背中を見つめながら口元に笑みを浮かべていた。

「後は任せな。<エターナルブリザード>」

〜つづく〜

Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜 ( No.71 )
日時: 2014/03/22 13:32
名前: しずく ◆UaO7kZlnMA (ID: f7aWX8AY)  

氷塊が回転しながら、ゴルレオに向かう。
 冷気が激しく波打ち、場の空気を一段と冷え込ませる。時折氷の破片が、花弁のように風にあおられる。暗雲の元で、キラキラと煌く。
 初めて見る<エターナルブリザード>は、<ファイアトルネード>を負けないほどの迫力がある。この子ならきっと雷門イレブンを支えてくれる——そんな思いが、心の底から湧き上がってきた。
 心なしかゴルレオの顔は青ざめ、膝がガタガタと震えているような気がする。だが気合を入れるように片手にこぶしを作り、掌(てのひら)にたたきつける。
 <技>は使わず、無謀にも片手でボールを押さえつけてきた。前回と違い、その顔から余裕は消えている。回転を続ける氷塊は、ますます勢いを増す。
 ゴルレオは、ぐっと踏ん張って見せるが、じりじりとボールに抑えられていた。
 やがてゴルレオは力負けしたらしく、ボールごとネットに体を叩きつけられた。ネットから零れ落ちたボールが、虚しくコロコロと転がり、やがて静止した。同時に甲高い音が一回鳴り響き、続いて長く響く音がフィールドを振るわせる。

「勝ったぞッ!」

 円堂が腹の底から大きな歓声を上げた。やがて水の波紋が広がるように、雷門イレブンは、次々と喜びの声をあげる。
 その時吹雪の髪が垂れ下がり、大人しめないつもの吹雪に戻っていたが、誰も気づかなかった。
 蓮もふらつく身体ながらも、懸命に拳を宙に突き上げ、横にいた風丸や円堂と肩を組む。だがふっと気が抜けてしまった。やっという安堵感に身体が支配され、必死に保っていたものが崩れる。蓮は軽く微笑むと、そのまま意識は深淵へと引きずり込まれた。長い間無理をして戦っていたが、もう限界。身体はだるさに覆いつくされ、眠気が再度込み上げてくる。今度ばかりは身体の衝動に身を委ねるしかない。 蓮は眠るように目を閉じ、身体が再び前に投げ出され——かけて、風丸と円堂がが慌てて蓮の身体を前から支える。二人で蓮の肩をそれぞれの肩に手を回す。

「白鳥にずいぶん無理させちまったな」

 風丸が、蓮を優しい眼差しで見つめながら言う。
 意識を失った蓮の寝顔は非常に穏やかで、満足そうな表情をしていた。

「ああ。白鳥のやつもとても頑張ってくれたよな」

 円堂は眠っている蓮に軽く微笑みかけ、労う(ねぎらう)ように頭を撫でる。風丸もまた穏やかな笑みを浮かべ、蓮の頭にそっと触れる。

 穏やかな空気が流れる雷門と違い、敗北したジェミニストームは慄然と雷門イレブンを見つめていた。顔から血の気は失せ、呆然と立ち尽くしている。足が小刻みに震える。
 誰かが弱弱しい声でレーゼ様、と呟く。とたんすがるような視線をジェミニストームがいっせいにレーゼへと向けた。レーゼはたじろいだ仕草をし、逃げるように一歩後進した。

「——どこへ逃げる気だ? レーゼ?」

Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜 ( No.72 )
日時: 2014/03/22 13:36
名前: しずく ◆UaO7kZlnMA (ID: Heq3a88y)  

「うっ……」
「白鳥?」

 しばらく穏やかに眠っていた蓮が突如呻いた。浅い呼吸を繰り返し、顔中に冷や汗が張り付いている。

 蓮の急変に気づいた風丸が円堂と共に、蓮の身体を激しく揺さぶる。すると蓮はうっすらと目を開けた。

「白鳥?」

 円堂が心配そうに蓮の顔を覗き込む。蓮は、魂を抜かれたように揺さぶっても反応しない。痛みを必死に堪えているのか、顔が時折苦痛によってゆがめられる。

 瞳子を呼ぼうと円堂と風丸が顔を上げると、フィールドからジェミニストームの姿がなくなっていた。まるで初めから存在しなかったかのように、気配すら残っていない。冷たい一陣の風がフィールドを吹きぬけた。風が声を運んでくる。

『ふん。ずいぶんと愚かな連中だな』

 とても低い中年のおじさんを思わせる渋い声。円堂はあたりを注意深く見渡すが、誰もいない。白い雪が積もるだけ。

 その声を聞いたとたん、蓮は苦しげに身をよじる。

「誰だ!」

 警戒心をあらわにしながら、円堂が声の主に吠える。声はふんっと鼻で笑う。

『私か? 私の名は『デザーム』。エイリア学園ファーストランクチーム『イプシロン』のキャプテンだ』

「イプシロンだって?」

 新しいチーム名が聞こえ、雷門イレブンに緊張と不安が走る。皆、強張った面持ちでせわしく辺りを見渡すが、声の主は見つからない。

『そう不安げな顔をするな』

 まるで見ているかのような発言に、雷門イレブンは雷に打たれたように呆然とする。

『だが我々に挑む気があるのならば、京都へと足を運ぶがよい。そこでわれらは貴様ら雷門イレブンをまとうではないか。ははははっ!』

 再び北風が吹きつけ、高笑いを持ち去っていく。風がやむころには、空気はしんと静まり返っていた。声はするはずもなく、何もかも風が持ち去ってしまったようであった。

〜三章完〜
北海道編までコピー完了。
参照1000突破ありがとうございます^^
1000記念に短編を一本上げようかと思います。

Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜 ( No.73 )
日時: 2014/03/22 22:39
名前: しずく ◆UaO7kZlnMA (ID: Heq3a88y)  

夜の雑談「1000突破記念」

台座から足を垂らし、二人で空を見上げていると、不意に涼野が呟いた。

「……星が綺麗だな」
「そうだね」

蓮は限界まで首を傾け、夜空を見上げる。
暗い夜空に輝く、たくさんの星たち。静かな夜を裂くように波のさざめきが聞こえ、何とも言えない、不思議な風景を作り出していた。
東京ではまず見られない光景に、蓮は目を輝かせた。綺麗な風景を、涼野と見れて本当に良かったと思う。
「こんな夜空を見たのは、いつ以来かな……」

寂し気に呟いた涼野。蓮は頭を涼野の方に向けた。星を見上げる彼の顔は、どこか遠くを見ているようで。
「風介が住んでいる街は、星が見えないの?」
「ああ。星は全く見えないな」
「そうなんだ……都会に住んでるの?」

答えはない。無言で俯き、翡翠色の瞳に複雑な感情を宿す涼野を見て、蓮は黙ってしまう。何と声をかけてよいのか分からない。困った表情で涼野と海を交互に見ていた。
二人の間に、沈黙が降りた。
海風が涼野と蓮の髪を乱していく。

しばらく無言が続き、それを破るように蓮は口を開いた。

「雷門町も、あまり星は見えないなあ。街灯が明るいから、星はあまり見えないんだ」

その声で今まで俯いていた涼野が顔を上げ、仏頂面で蓮を見つめる。

「ところで蓮、キミは将来の夢はあるか?」

聞かれた蓮は、腕を組んで唸る。プロのサッカー選手、サッカーの審判、サッカーに関する雑誌の記者。あれこれ浮かぶが、サッカーに関わる仕事ばかりだ。
悩むが、あれこれ考えるのはとても楽しい。蓮は自然と口元を綻ばせながら、自分の将来を空想する。
悩んだ末に、蓮は一つの結論に至った。

「やっぱりプロのサッカー選手かな」

でも、と蓮は付け加える。
「体力ないからなあ……ん……まだ決めてないや」

未来の夢に思いを馳せる蓮は生き生きした表情で、瞳を輝かせて話す。
その顔を見ていた涼野はふと自虐的な笑みを浮かべ、蓮を眩しそうに見た。

「……自由に悩めるキミが羨ましいな。私は、将来のことなど考えられない」

キミと違ってね、そうボソリと呟いた涼野の言葉の意味を蓮は分からなかった。
「え?」
「……ただの独り言だ」

蓮が問うと、涼野は首を振り、口角をあげて見せる。先程の言葉の意味を蓮は知りたかったが、涼野は聞くなと言わんばかりに鋭い眼光で睨んできた。
嫌なものを無理に聞くわけにも行かず、蓮は諦めて話題を変える。

「ねえ、風介の夢は?」
「私か?私は……秘密だ」
「僕は言ったのに」

不満そうな顔で蓮が言うと、涼野はくすりと笑う。

「私はキミの夢を聞いただけだ。答える義務など、どこにもない」
「えーひどい」

そう言いつつも、蓮は楽しそうに笑っていた。涼野も口元を緩め、笑っていた。楽しい、夜だった。

——涼野の言葉の意味を、蓮はもっと後で知ることになる。

——
宗谷岬でパス練する前の会話です。


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