二次創作小説(映像)※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

イナズマイレブン〜試練の戦い〜
日時: 2014/03/26 11:37
名前: しずく ◆UaO7kZlnMA (ID: 9kyB.qC3)

皆様、初めまして…の方がほとんどだと思われるしずくと申すものです。実は某大作RPGの二次もやってますが…
 今回、再びイナズマ熱が蘇って来ました。
 そこで、二年程前に挫折してしまった〜試練の戦い〜をきちんと完結させようと思い、再びスレッドを立てさせて頂きました!

*注意事項
:二年前の〜試練の戦い〜のリメイク版(当時のオリキャラは削除しています。すみません)
:時代遅れなエイリア学園編の二次創作
:オリキャラあり。男主人公です。
キャラ崩壊、設定捏造の類いがあります。
:荒し、誹謗中傷はお断りです。

長くなりましたが、よろしくお願い致します!

本編

序章
>>1

一章「それが、全ての始まり。」
>>4->>11

二章「全ては予定通りに。」
>>12->>13,>>17->>18,>>23->>27,>>30

三章「その風は嵐? それとも?」
>>31->>35,>>37->>39,>>41->>72

四章「その出会いは幸せか」
>>74->>83

おまけ
夜の出来事(蓮と風介。宗谷岬にて)>>73

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31



Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜 ( No.129 )
日時: 2014/04/04 20:30
名前: しずく ◆UaO7kZlnMA (ID: CMSJHimU)  

聞き覚えのある声がし、蓮ははっとしと目を開けた。頭からわずか数センチ上を、まず高熱を帯びた物体が通りすぎる。お湯が沸騰するのに似た音が耳に届く。肌寒いはずの気温が一気に上昇し、真夏並の暑さとなった。辺りは数秒のうちに、熱気に満たされる。蓮の肌にうっすらと汗が浮かび、熱気が空気を陽炎のように揺らす。蓮は、頭だけを動かして、真夏を作り上げるものを目で追った。それは、赤い隕石を連想させる、巨大な火の玉。正しくは火の玉のように膨らむ、炎を纏うサッカーボールだった。激しく炎を燃やしながら、レアンに近づいていく。豪炎寺の<ファイア・トルネード>を凌ぐ炎だ。炎が燃える勢いも、炎の大きさもこちらの方が勝っていた。

蓮が南雲のボールに見とれていると、今度は気温が一気に下がった。最初の気温を通り越し、真冬の寒さとなった。あまりの寒さに、蓮は頭を下げ、身を震わせた。頭の上を、風を伴いながら、物体がよぎったのだ。氷のような、冷気を放つ物体。何かと顔を上げると、凍り付いたペットボトル。透き通った氷の中に、スポーツ飲料のラベルが見える。凍り付いたペットボトルは、虹色の輝きを溢しながら、クララとの距離をどんどん縮めていた。

レアンもクララも、技を放つ体勢だったが、身軽にも身体を横に捻った。勢いがついていたせいで、壁際まで身体を回転させながら進んだ。<アトミック・フレア>と<ノーザン・インパクト>は彼女たちには当たらず、床に落ちる。火の玉も氷も消え、ただのサッカーボールとペットボトルに戻った。乾いた音をたてて、床に転がった。

レアンとクララは、壁に身体がぶつかると、素早く立ち上がり、振り返った。驚いた面持ちで、蓮を守るように立ち塞がる南雲と涼野を見る。南雲と涼野の顔には、強い怒りが露になっていた。敵意を目に灯し、威嚇するように白い歯を剥き出しにしている。蓮は、晴矢と風介が助けに来てくれた……と、二人の逞しい背中をぼんやり眺めていたが、とうとう意識を失った。崩れるように額を床につけ、それきり動かなくなる。

「蓮!」

涼野が心配そうに蓮の名を呼び、蓮に駆け寄った。南雲は、目を眇め、クララとレアンに食って掛かる。

「テメーら! 蓮に何したのか分かってんのか!」

南雲の怒声が、広い倉庫の中に反響した。南雲に同意するように、しゃがんで蓮の容態を窺っていた涼野も二人を睨む。南雲と涼野の迫力にクララとレアンは、びくっと華奢な身体を震わせた。しかし、レアンは懇願する光を目に宿し、

「バーンさま、ガゼルさま。何故そんな、塵芥川ちりあくたのような存在を守ろうとするのですか?」

青い瞳を潤ませながら、静かに南雲に尋ねた。南雲は無言でレアンを見つめながら答えない。レアンは、南雲の後ろにいる蓮を憎々し気に見やる。

「幼馴染み、だからですか?」

冷ややかにクララが聞いて、涼野は立ち上がって頷く。クララは、はっきりとわかるくらい動揺した。

「どうして、記憶のない幼馴染みを大切に思うんですか!」

クララの悲痛な叫びが、事実そのものが、涼野と南雲に突き付けられた。

〜つづく〜

Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜 ( No.130 )
日時: 2014/04/04 20:32
名前: しずく ◆UaO7kZlnMA (ID: lwQfLpDF)  

事実を突き付けられた南雲と涼野は、答えに窮し、顔に皺を寄せた。

蓮は、自分たちと過ごした日々をきれいに忘れている。だが、南雲と涼野の記憶に蓮はいる。変わっていない愛嬌のある笑み。幼少期に見せていたサッカーの片鱗。——戻れない楽しい日々だ。あの頃には戻れないが、新しく”友達”の関係は築けるとそう二人は信じていた。

「……記憶がなくとも」

涼野が口を開き、クララは絶望した顔つきで涼野を見る。口が少し開けられ、瞳が潤む。顔から血の気が失せていく。どうして、どうして、と狂ったように呟いていた。涼野は顔色一つ変えず、倒れた蓮を一瞥し、

「蓮は、私と晴矢の幼馴染みだ。そのことに変わりはない」

はっきりと言った。クララは、静かに首を振る。光の雫が弾けるように光った。

「ガゼルさま。もう昔には戻れません。彼を裏切って雷門を倒してください。……今、雷門を倒さないと、あたしたちの居場所はなくなります」

クララが先程とはちがい、はっきりと感情を露にした。必死、必死、必死。それしかなかった。彼女の訴えは実に切実なものだった。南雲と涼野は口を閉ざした。居場所は、エイリア学園しかない。分かりきっていることだった。このまま蓮を理由に雷門と戦わなければどうなるかも。分かりきっていることだった。

南雲と涼野が反論しないところに、クララが畳み掛けて言葉を投げ掛ける。

「父さんは『ジェネシス』だけしかいらないと言っています。わたしたちはいつ、エイリア学園からお払い箱になるかわからないんですよ!?」

南雲と涼野は悔しげに顔を歪めて、お互いを見、次に気絶した円堂たちを。最後に蓮の背中を見つめた。倒れたままの蓮の背中をじっと見つめていた。

レアンは苛立ちを隠すように腕を組んで、爪先で地面を叩いている。スパイクが床を叩く音が反響し、多くの人間が一斉に床を叩いているような錯覚を起こさせる。やがて爪先で床を叩くのを止めた。腕組みをとき、何も言わない背中に向かって、確認するように問いかける。

「バーンさま。わたしたちの居場所はエイリア学園だけ。このままその幼馴染みに拘っていると、プロミンスもダイヤモンドダストも居場所がなくなるんですよ?」

南雲と涼野は振り向かなかった。それどころか、倒れた蓮に近づくと、彼の近くにしゃがみこんでしまった。クララは悲しそうに目を伏せ、レアンは顔を真っ赤にした。

「……どうして何も言わないんですか」

静かで抑揚がない——だが、はっきりと怒りに震えた声でレアンは言った。

南雲も涼野も答えない。レアンとクララに背を向けたまま、一言も発しない。

しばらくの間、レアンは二人が何か言うのを待っていた。しかし、やがて限界に来たらしい。突然、

「バーンさまとガゼルさまの分からず屋!」

と、子供のように泣き叫んだ。その時だけ、南雲と涼野は悲しみと怒りが混ざった顔で振り向く。

同時にレアンを飲み込むように、彼女の背丈程の火柱がさっと立つ。人間の身体など簡単に焼いてしまいそうな勢いの炎だ。クララも慌てて、火柱の中に飛び込んでいった。わずか数秒もしないうちに火柱は、消える。消えた後には、何も残っていなかった。クララもレアンも、彼女たちが存在していた痕跡すら。火柱が持ち去ってしまったようだ。何もない、倉庫の床が広がる。

Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜 ( No.131 )
日時: 2014/04/04 20:36
名前: しずく ◆UaO7kZlnMA (ID: lwQfLpDF)  

「風介、何でオレたち蓮に拘っているんだろうな」

南雲はクララとレアンが立っていた床を睨みながら、独り言同然に呟いた。前を向いて倒れた蓮の脇の下に手を突っ込み、蓮の身体を転がして仰向けにする。顔は苦痛に耐えるような表情だった。続けて、南雲は、蓮のジャージのチャックを下げて、右腕から、ジャージを脱がせにかかる。腕を触られると痛みが走るのか、蓮は小さくうめき声をあげた。見かねた涼野が変われ、と目で合図したが、南雲は続ける。蓮の腕で辛うじて肌色になっている部分をそっと掴み、やがて——唇を噛んだ。

蓮の右腕は、青い痣と赤い痣で覆われ、痛々しい。クララとレアンは、蓮が痛みをできるだけ感じるよう当てる部位を少しずつだがずらしていたのだ。

南雲と涼野が不安そうに蓮の顔を眺めていると、蓮の身体が少し動いた。

「……は、る、や? ふ、う、す、け?」

蓮はうっすらと目を開け、聞き取れるのがやっとの声で二人の名を呼んだ。

視界は霞がかかったようにぼんやりとし、ピントが合わない。ぶれてばかりだ。服の色で何とかわかるが、輪郭をなさない映像では、彼らがどんな表情かも、何を話しているかさえもわからない。身体にも力が入らず、口を動かして、二人の名前を呼ぶのが、やっとだった。助けられて、熱い思いが喉まで、熱い水が目までせり上がっているのに。表現できる程の元気が欲しいと、蓮は、ぼうっと思った。

一方、南雲と涼野は、膝を地面に付け、蓮を心配そうに覗きこんでいる。南雲は、蓮の手を床に下ろすと、

「……くそ、レアンもクララも蓮にこんなことしやがって」

憎々し気に呟き、舌打ちをした。蓮には、南雲の声が聞こえていない。わずかに見開かれた黒い瞳で、弱々しく南雲と涼野を見つめかえすだけ。

「……昔に戻れないことなど、分かっているが。少しでも、あの頃に戻りたいな。晴矢を”バーン”と呼ぶこともなく、蓮がいた昔に。三人で楽しくサッカーをやれていた頃に、な」

涼野が過去を回想するように天井へと視線を投げ掛けた。顔がだんだん綻んでいく。だが、どこか寂しげでもあった。蓮が忘れていようとも、南雲と涼野にとっては、暖かくも悲しい思い出だった。

「お前らしくねえこと言うな」

南雲は、涼野を元気づけようとしたのか、口元を歪め、涼野を茶化した。すると、涼野は短く鼻を鳴らし、からかうような瞳で南雲を見やる。

「キミこそ、『ジェネシス』の座は諦めたのか?」

南雲は首を横に振る。

「諦めてはいねーよ。オレも父さんに認められたい。けど、雷門と戦うのはごめんだ」

「……しかし、そのままだと私たちはエイリア学園から追放される」

涼野が苦し気に言葉を吐き出す。顔には、わずかに恐怖の色が浮かび、冷や汗が頬を伝って、手の甲に滴り落ちた。南雲も追い詰められたような面持ちになり、床を睨んだ。自然に作られた拳が、独りでに震える。やるせない気持ちが、二人を支配していた。

「最悪なことに、雷門にプロミンスの存在も、ダイヤモンドダストの存在ももうばれているしな」

「……私たちの正体がばれるのも、時間の問題か」

苦々しく涼野が言って、南雲と涼野は思わず顔を見合せた。気絶する円堂たちを一瞥。続いて、視線を落とした。そこには、また意識を失ったのか目を閉じたままの蓮。顔つきは、先程より、少しだけ穏やかになったものの、まだ苦しそうだ。顔には、汗が張り付き、早い呼吸を繰り返している。

南雲と涼野は、静かに頷きあった。立ち上がって蓮に近づくと、涼野は、蓮にジャージを着せ直す。右腕に袖を慎重に通し、再度チャックをあげる。そして、涼野は蓮の脇の下に手をいれ、南雲は方膝を地面について、背中を丸めた。蓮の身体を涼野は、背中を丸めた南雲の元までゆっくり引っ張ってくると、南雲の背に覆い被さるように乗せた。蓮の両腕が南雲の背中から、だらんと垂れる。南雲は、蓮の膝裏をしっかり持つと、立ち上がった。蓮は、南雲にしっかりおぶわれていた。

「…………」

南雲は無言で、ゆっくり倉庫の出入口に向かって歩く。横を涼野が、平行して歩いた。最後には外にでた。倉庫の中には、気絶した円堂たちだけが、取り残されてしまった。

〜つづく〜
コピー終了。
次回からは更新が遅くなります。
本当ですと、病院で会話するシーンですが個人的な理由で変えます。

Re: イナズマイレブン〜試練の戦 ( No.132 )
日時: 2014/04/12 13:22
名前: ふぁいん (ID: V2/o1KYD)

お久し振りです!試練の戦いが復活なんて…嬉しすぎます。頑張って下さい!!

Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜 ( No.133 )
日時: 2014/04/13 20:27
名前: しずく ◆UaO7kZlnMA (ID: 66F22OvM)  

「どういうことですか、父さん!?」
「これは最後の警告です。できないのなら、今すぐにエイリア学園から立ち去りなさい。バーン、ガゼル」「……何故」
「エイリア学園の王者たるチームはザ・ジェネシスだけで十分。あなたたちの役目は、雷門中を倒し、エイリア学園の、引いてはザ・ジェネシスの力を世に知らしめることなのです」
「…………」
「…………」
「それができないと言うなら、あなたたちはこのエイリア学園には不要なのですよ」

〜つづく〜


Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31



この掲示板は過去ログ化されています。