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ロストヒーロー計画(完結)/ラストヒーロー計画
作者: 彩都&Lメイドウィン ◆B/lbdM7F.E  (総ページ数: 221ページ)
関連タグ: メイドウィン小説 オリジナル仮面ライダー 仮面ライダー 原作、設定:彩都、執筆:メイドウィン 
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 ダークライダーが、戦場雁陸人の、首を、右手が、変化した、鎌で、刈ろうと、した、その、瞬間で。あった。そこ『迄』しか、ダークライダーは『覚えて』いなかった。否……『理解、出来なかった』のである。意味不明、曖昧模糊、理解不能、そんな事を思いながらダークライダーは『空中を視認』していた──何故『自分は空中を視認していた』のか……それはダークライダーには分からなかったが、たった数秒後にそれは理解出来た。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
 無言、無言、無言無言無言無言無言無言無言無言無言無言無言無言無言無言無言無言無言無言無言無言無言無言無言無言無言無言無言無言無言無言無言無言無言無言無言無言無言無言。『周りの存在は全員が全員無言を貫いた』のだ。この状況、どの状況、その状況、今迄の人生の中で今の状況、この世に生まれて、初めての状況、『今に至る迄見た事が無い状況』に、戦場雁陸人、笹原大尽、金髪の少年、試験を受けに来た受験者、受付嬢、ダークライダーの背後にいた銃を撃った存在、そして花咲陸咲。全員が全員『何が起きた?』と思っていた。ダークライダーの右手は『戦場雁陸人の首間近迄近づいて、止まっており、後少し遅かったら、戦場雁陸人の首は吹っ飛んでいただろう』、と思える。だが、それよりも、『ダークライダーの首が吹っ飛んでいる』方が衝撃的だった。そして次の瞬間、『ダークライダーの右側がずるり、とパン一斤を薄く切ったように、首の根元から、縦に綺麗に断面図が見えるレベルで斬られて』いた。そして『斬られた断面図から、一人の男性が『日本刀』を持って、その『日本刀』を『チャキン』と音を鳴らし、鞘に戻し』た。その音を聞いて、『あっ、この音は……』と戦場雁陸人が呟いた。
「叔父さんだぁ! あっ、ご飯食べたー!?」
「……食べたに決まっているだろ──そりゃ、『お前の唾液がついている』からな──俺が作ったんだ、俺が始末しないとな?」
 そう言って、ダークライダーに捕まっている戦場雁陸人を左腕から外し、その場で膝を突いて、ぎゅう、とスーツの男性は戦場雁陸人を抱き締める。ぎゅう、ぎゅう、と抱き締められ、戦場雁陸人は『痛いよ……少し痛いよ……』と呟く。そんな二人を見て、笹原大尽が『見た状況』に驚愕する。
 は、はぁ……? 今さっき、『何が起きた』んだ……い、いや、『ダークライダーを日本刀で斬った』だと? 二回も……!? ……おいおい? 『クリスタル』の野郎、この十年でどれだけ適当にダークライダーを作っていたのか、良く分かるぜ……笹原大尽がそう思っているとスーツの男性、戦場雁陸人の後ろで『左足、左手だけで動くダークライダー』が居た。そしてダークライダーは右手を鎌の様にした時と同じ様に左手も武器にし、刃物にする、見た目的に剣か刀だろう、と判断する笹原大尽。するとその武器になった左手で『戦場雁陸人を攻撃』する。左手を振り翳し、一気に下げるダークライダーに対し笹原大尽は『危ない!』の一言も言えなかった。否、『言えなかった』のだ、ダークライダーの行動が早過ぎて──! だが、スーツの男性はその攻撃を見透かしており、戦場雁陸人の頭部を右手で掴んで、自身の胸に押し付け、握っていた日本刀で『鞘ごと』攻撃を受け止めた。そして静かに立ち上がって、スーツの男性はダークライダーを見る。
「……てめぇ、俺のガキに何しやがる? 許さん」
 スーツの男性は攻撃を日本刀ごと避け、日本刀を下にし、鞘を抜き取り、刃を見せる。そして日本刀を横に振って、『ダークライダーの胴体を斬り、真っ二つにした』、そしてスーツの男性は『あっさり終わったぜ』と言って、片手でぎゅう、とまだ戦場雁陸人を抱き締めていた。
「叔父さん、痛い痛い……」
「…………」
「お、おぉっ……」
 笹原大尽は目の前のスーツの男性を見て『要注意危険人物だな』と判断する。そして立ち上がって、スーツの男性に言う。
「有難う御座います」
「いや、これも『仕事』ですので」
 そう言って、片手で煙草を口に運び、火を点けるスーツの男性。『これも『仕事』』……? 笹原大尽は首を傾げながら、静かに頭を下げた──そして『カリギュラ』のダークライダー事件は案外あっさりと幕を閉じ、スーツの男性も戦場雁陸人を置いて、消える──

 ダークライダーを倒した後、ヒーロー試験を合格したので、その日の内に戦場雁陸人、そして金髪の少年は壇上に上がり、合格証書を貰い、『ヒーロー』として、お互い、小さな一歩を歩き始めた──そしてとある場所、十年前から続く、とあるお店があった。そのお店の名前は『喫茶店『Baron』』、そんなお店の前に一人の若い存在が立つ。その存在の名は『宅地雪』、目の前の『喫茶店『Baron』の、『店長であり、創立者』でもあった。
「……色々な事があった。約十年間この世界は頑張って来たけど……何も変わらないね? 変わったのは……『技術』、か……」
 そう呟く宅地雪、すると、『あっ』と言って、顎に手を当てる。
「そうだ。ちゃんとジュースを作るんだから、八百屋とかを抑えておかないとな? あぁ、此処に来ても、少し仕事をしないといけないのか、少々面倒だ──」
 宅地雪はそう言って、頬を掻き、『喫茶店『Baron』を再建させる為に静かに歩を進める──あぁ、海斗君、君の肌に触れたい、君の唇に触れたい、君の──『全てに触れたい』よ……どうして君は……『死んでしまった』んだい? 宅地雪はそんな事を思いながら、服を少し着込んだ──今は三月二十五日、日曜日である──

 プロローグ 戦場雁陸人は前を見続ける 完

 第一章 に続く──

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