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作者: 彩都&Lメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (総ページ数: 221ページ)
関連タグ: メイドウィン小説 オリジナル仮面ライダー 仮面ライダー 原作、設定:彩都、執筆:メイドウィン
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*207*
建が去った後、竹丸は静かに右手の拳を出して、マネキンを殴る。
「ふむ。中々に硬いんだな、このマネキン……そう考えてみると、お前やっぱ凄いよ」
「そうかなぁ? まぁ、特訓もしていたからな」
陸人がそう言うと、『特訓?』と不思議がる竹丸。
「うん、特訓。大まかに言えば、『岩を殴ったり、殴った威力で骨が折れないようにカルシウムを摂ったり』とかな」
「最後のはなんか違う気がするが……まぁ、それを加味しても、逆にすげぇって! 尊敬するぜ!」
「そ、そうか……」
そう言う竹丸に対し、陸人はその場で頬を掻く。そして二人でマネキンを殴る特訓を続ける──
「はぁはぁはぁはぁ……! しょ、所長! 所長は居ませんかぁ!?」
叫ぶ建に対し、本を読んでいた大尽が顔を上げる。
「どうしたんだよ、建」
「あっ! 大尽さん! こ、こっちに来て下さい! 戦場雁陸人って奴が、凄い事を!」
「は、はぁ……? 凄い事ぉ? 一体何なんだよ?」
そう言うと、建が焦りながら言う。
「だ、ダークライダーを模したマネキンを……『根元から壊した』んですよ! そしてそのマネキンを奥の壁にぶつけて……」
「えっ…………!?」
まさかの行動に大尽はその場で本を落とし、『場所は何処だ!?』と叫ぶ。すると建は『こっちです!』と叫んで、大尽と共に陸人達が居る部屋へと向かう──
「……ふぅ……」
陸人はそう言って、溜息を吐く。目の前のマネキンはもうボロボロだった。打鍵ならぬ、『打撃』だけで、此処迄破壊したのだ。
「……何か、足りない」
陸人がそう言うと、部屋に大尽が現れる。そして大尽が驚愕する。
「なっ……!?」
奥にある、根元から千切れているマネキンを確認して、近くの少年、竹丸に言う。
「お、おいお前! あのマネキンは誰がやった!? お前か!?」
「お、俺じゃねぇです! あのマネキンは陸人が!」
そう言って、竹丸は陸人を指差す。すると陸人は首を傾げた。
「ん? どうしたの?」
「お、お前……!!」
睨みながら驚く大尽、そして大尽は言葉を続けた。
「あのマネキンは一千万を超えるんだぞ!? 分かっているのか!?」
「へぇ、そうなんだ。でも、一千万をかけても『俺の力で壊れるマネキンも悪い』と思う」
「お、お前……お前が化物みたいな『怪力』を使うから問題なんだろうが!!」
叫ぶ大尽、そんな大尽を見て、無表情で涙を流す陸人。そして陸人が言う。
「……そうか。ゴメン竹丸。今日は調子が悪いみたいだ、もう帰る……」
陸人はそう言って、部屋を出る。呆気ない行動に大尽は少し首を傾げた。
い、一体、どうしたんだ……? 大尽はそう思いながら、陸人が去った後の扉を見続けた──