(企業主催)小説大賞に応募するにあたって
意外と盲点だったりする「一社会人としての常識」
応募資格がかなり広いので、だれでも思い立てば応募できるその気軽さゆえ「小説本文が書いてありさえすればほかに何してもOKだろ~」と勘違いしてしまうことも時々あるようです。
ここに書いておくのは、あくまで基本中の基本です。その他はご自身で情報を集めながら、実際の応募に役立ててくださいね。
「どんな雑誌(企業)なのか」じっさいに何度も読んで魅力を知ろう
まさか、ここの公募情報だけを見て応募することなどない…とは思いますが、念のため。
学生ならば進学したい学校について、社会人ならば就職先や結婚相手について、ごく簡単なデータを見ただけで決めるでしょうか。
ミスマッチの起きる危険性が高まってしまうので、普通はよく知ろうとしますね。知ろうという気が起きないなら、応募には時期尚早なのでしょう。
調べていなくてもどうせバレやしないと思って応募したとしても、応募先企業様の作品を明らかに読んでいないという雰囲気は、作品全体からプ~ンと漂います。香るのではなくて、臭ってしまうのです。
なるべく自分の魅力や特長を生かしていくためにも、その企業様が出版している雑誌や書籍などのラインナップを実際に手に取って、一度だけではなく何度も、「知った!」と思えるまで読んでみましょう!
企業様や雑誌(書籍/レーベル)によって、魅力が同じではないことが、きっとわかるはずです。
もしも貴方がプロになれたあかつきには、基本的に、その企業や諸先輩方に以後なにかとお世話になります。
だからこそ、一緒に仕事をする相手を「知る」というプロセスを決しておろそかにしないようにしましょう。
その企業(レーベル等含む)がどの方向に走っているか、分かりましたか。
実際に活躍しておられるプロ作家様の作品群がどんな読者層に向けて書かれているか、など色々感じとれましたか。
それができたうえで、初めて「○○企業様に応募しよう!」と決意できるわけです。
相手は自分を知らないことをふまえる
飲み物やしょうゆ、油のシミ、お菓子のカス、ゴミ、髪の毛、消しカスなどがついていないか、確認しましょう。
原稿の破れ、縮みは大丈夫ですか?閉じるためのパンチ穴も綺麗にできましたか?
「このくらい気にならないよね、まいっか!」ではなく、原稿の外見に文句をつける「いじめっこ」の気持ちになって、何度も見直してみましょう。
応募作品は「大好きな人へのプレゼント」と考えるといいですね。
大切に思う人のところへ、そんな汚れたものを贈りませんよね。喜んでくれるといいなあ~なんて思いながら、なるべくきれいなものに整えるはずです。
プリンタの調子がおかしい、インク・紙が足りないから、感熱紙・規定外サイズの紙しかないから、文字数や書体、ポイント、改行などの設定のしかたが分からないから、締切まで時間が無いから…応募要項を無視してそのまま出しちゃった、ということのないようにしましょう。
応募作品は自分の努力の結晶です。
読んで下さる方々は、自分の教師や保護者ではありません。あくまで公平な審判です。「こんな汚い原稿を送ってくるなんてよっぽど抜き差しならない事情があったんだろうな……」と、事情を温かく汲んでくれるなどと思わない方がよいでしょう。
審判の方々にとって、貴方の人柄とやる気を推測できる唯一の手がかりが『小説原稿』と『封筒』です。
最大限の配慮をする必要があります。規定外の添付よりもよっぽど重要です。
この期におよんで「だってお金つかうのもったいないし…」「ページが多いし、確認するのめんどくさい」とその手間をケチるなら、なんのための応募でしょうか。パソコン、プリンタでもヒューマンエラーはよく起こります。機械やデータまかせにせず、合っているかどうか、必ず人間の目でチェックをしましょう。規定外は正しいものに、汚れたなら綺麗なものに取り換え、欠損のない作品を提出する。これで十分です。
貴方が一般的な常識をもっているということを、さりげなくアピールしましょう。
提出作品のページ欠落は致命的
汚れなどよりも最悪なのは、作品自体が物理的に『欠落』することです。
実際は書いていたとしても、提出された作品にそのページ内容がついていなければ読めませんから、書いていないのと同じです。この手のミスだけは、絶対にしないように注意しましょう!
例えば、5ページ目内容が抜けて「…4、6、7…」ページと続いていたり、5ページ目内容が2つあって7ページ目内容が続く「…4、5、5、7…」ページ :実質6ページ目の内容が欠落、といったような場合です。一つの作品として成立できませんね。さらに、これが複数ページに及ぶと、もう目も当てられません。
失敗したくない場面では、以下の5つの作業が必須です。
(1)原本を作る(データなら紙にプリントアウト)
(2)原本をコピーし、コピーを提出分とする
(3)必ず、原本とつきあわせながら、ページ枚数をめくって確認する
(4)全ページの文字を音読する
(5)もう一人別の人に、上記(1)~(4)の作業で再チェックしてもらう
※小説データを送信して応募する場合も、送信前に上記作業を行っていることが基本です
この一連の作業で、体裁上の問題はまず99%が解決します。また、印刷上のミスだけでなく文節や単語など細かな誤りについても、もう一度最終チェックができるので非常におすすめです。
費用が発生するだけに、失敗すればガチンコでマイナス評価をくらう社会人ともなれば、何事においてもミスをゼロにするための地味な努力が大事になります。この作業をするのとしないのとでは、結果の「質」に大きな差が出てきます。
「自分なりの方法」は募集要項に優先しない
たとえば「こっちのほうがカワイイし好きだから」という理由で、封筒をビジネス用でないハデなものにするのはマイナスアピールの可能性が高いです。私的な文書ではありません。社会人として仕事(ビジネス)をするための応募です。公的・ビジネス用途のタイプを選びましょう。
宛名の書き方についても「自分ならこれで届くと思うし~」という理由から、わからないまま適当に書くのは避けましょう。
ネットで調べれば一発ででてきます。「封筒 宛名 書き方」など、検索すればうなるほど出ますから、どれか一つを参考に書くといいですね。
「○○係」あてなら「○○係様」ではなくて「○○係御中」です。基本なので覚えましょう。
※「様」は特定の一人に宛てるとき、「御中」は(不特定)複数人に宛てて送りたいときに使います。
裏面も「住所氏名は封筒のなかに入れた応募用紙に書いてあるし、郵便局の人に名前わかると恥ずかしいから、書かなくていいじゃん!」ではなく、
封筒裏面に、差出人住所氏名を丁寧に書いておきましょう。基本的なマナーです。あなたの作品は、選考中ずっと送った時の封筒で管理されるかもしれませんし、たかが封筒と思ってあなどることなかれです。
※応募要項に別途指定がある場合を除く
※配達記録以上の郵便は、通常発送人の記載がないと郵便局窓口で受理されません
送ってよいとされているもの以外は、入れて送らない
「明記されていない」=「同封して送ってもいい」ということではありません。
「え~なんでだめなの…?」と思うなら、まだ応募に作品を出すべき時期ではないのかもしれません。
応募要項にはないけれど、どうしても添付したいものがある場合は、必ず前もって問い合わせをしましょう。聞くのは恥ずかしいし面倒だから、とりあえず送る、という発想は、あまり良い結果に結びつきません。
イメージソングだろうとイラストだろうと、ほかの応募者との比較の観点からいっても卑怯ですし、確認をせずに送るのは相手の事情を考えない自分勝手な行為と映る可能性が高いです。
「○○を送りたいのにルールにない」と文句をいうまえに、小説本文をがっちり作れば、添付物などとくに必要ないことに気づくでしょう。つまり、添付物をつけたくなる気持ちというのは、自分の小説原稿に自信がない表れだともいえます。 自分ができる限りの力を注ぎこんだ!と自信をもてるような「原稿」が、大賞においてはなにより大切です。
あれこれ添付して点数稼ぎしたい気持ちは自分の「エゴ」だとすっぱり切り捨てて、指定・許可されている範囲内で、過不足なく提出するようにしましょう。
読み手の様子を観察する
封筒が開けられる、その瞬間から勝負(エンターテイメント?)は始まっています。
どうやったら少しでもわくわくして選考者様が読み進んでいただけるか。
おもてなしの心にも通じるかもしれない、貴方ならではの世界を展開できているといいですね。
まずは家族や友人(貴方が信頼する人)に読んでもらうのがいいでしょう。
封筒を出してもらうところから読んでもらうところがコツです。
「家族(友人)-自分」という関係から、封筒から出すその瞬間に「読者-小説家」という関係に切り換わる、いわば儀式みたいなものです。
ちょっとした気持ちの区切りができるのでいいかと思います。
なお、せっかくだから、作者の貴方も読者様をじっくり観察してみましょう。
「へえ~こんな風に手に取るのか」「こういう表情で読み進めるのか」「眉間に皺が寄ってる…読みにくいかな?」「ページをめくる手がこの辺で急にゆっくりになったな、なんでだろう?」など、一人の読者様から得られる有益な情報は本当にたくさんあります。
推敲のためのヒントや、次作以降の参考になることなど、わっさわっさと出てくるでしょう。
もちろん、読者様が「集中したいから一人にしてくれない?」と言われたら退散するほかありませんが……。
率直な感想ももらっておきましょう。
感想を聞いてふてくされたり、ウガーッと暴れるなんていうのは反則です。
素直に評価を受け入れましょう。これが本屋さんなら現実の光景です。
思った以上に消耗している自分を、まずは癒そう
最終選考に残ったりするなら、基礎的な力はすでに十分、プロ作家への道が開くには、あとは運とめぐりあわせを待つばかりで、執筆の努力を今まで通り継続していけばよいかと思います。
ただ、小説大賞に応募して初戦敗退(第1次選考落ち)の場合は、気持ちがネガティブに落ち込む場合も多いかもしれません。
そのときは、好きなだけ落ち込んでふさぎこんでください。
「他の人があまり長く落ち込んでないから自分も早く復活しなきゃ!」なんて周囲を気にする必要は一切ありません。
消耗しているのは貴方です。自分が直に感じるものが正解です。何より自分を大事にしてください。
そして、またパワーが少しずつ回復してきたら、自分のペースで普段通りの日々を少しずつ過ごしてみましょう。
目指す自分にむけて何が足りなかったのか、だんだんと見えてきます。
そうやって、焦らず、心をニュートラルのところまで、ゆっくりゆっくり落ち着いて戻していきましょう。
大賞に応募するときは、どうしても他者との相対比較の要素も入るので周囲の動きも色々と気になってしまうものです。
結局のところ「自分が」「面白い小説を」「書ける」かどうか、この3点に集中すると「結局、他者のことをあれこれ気にしても仕方がない」ということに気づきます。
他者のことばかり考えて自分のペースがぐちゃぐちゃに乱れて乱れっぱなし…というのが一番苦しいでしょう。
1日にできることはごくわずかですが、それが継続するとものすごい力になります。一番苦しい位置に居続けず、自分で自分のスケジューリングをし、自分が成長するために貴重な一日を少しずつ、夢に向かって大切に使いましょう。
気持ちはあるけど明日のために何をすればいいか分からなくなったら
プロサッカー選手が負けられない世界大会などでよく口にする言葉で「まず1点を取りにいく」があります。
高い目標にたどり着くために、最も足元に近くてより実現性の高い目標をかかげます。
3点取りたければ、1点を3回重ねること。どんなに無欠の守備を誇ろうと1点を取らなければ勝てないこと。
同じことが小説大賞に向かう上でも大事な姿勢・ヒントといえると思います。
取り立てて非の無い書きぶりであっても、なんらかの面白味を感じさせられなければ、結局その小説は残ることができません。
その時点の自分にとって最高の小説が書けたのが大賞に出す前提であるはずなので、そこから先の
大賞をとるという高い目標にたどり着くために、最も足元に近くてより実現性の高い目標をかかげてみましょう。
たとえば「一人にとても面白かったと感じさせる」ことを目標にかかげてみる、などです。
大賞では誰が読むかわからないのなら、誰が読んでも自分の小説の面白さが伝わりやすくなるように
1人ずつに対してしらみつぶしに地道に面白さのチューニングを重ねていくのです。
高い目標を掲げるならば、必ずそれは身近で小さな目標の積み重ねであるはずです。
自分が達成できるレベルに目標を分解して、それをクリアしていくことが自信と結果につながります。
小説執筆にチートはないと心得て、一歩ずつ、一歩ずつ、たしかに夢に近づきましょう。
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