「論理」編2

言語的要素の強い論法

三段論法
二つの前提から一つの正しい結論を導き出すための典型的論法として有名です。『推理法』とも呼ばれています。

  • ・全てのA⇒B
  • ・全てのC⇒A ※「⇒」は「ならば」を表します

ならば「全てのC⇒B」と結論することができます。この場合、CはBよりも小さい概念であることがわかります。
三段論法のなかにはさらに(消去法などの)区分がいくつかありますが、ここでは省略しますね。

5W1H法
「5W1H」は、国語で一番最初に習う、文章の意味を構成・判断する上での大事な要素ですね。
「いつ(when)」「だれが(who)」「どこで(where)」「なにを(what)」「なぜ(why)」「どのように(how)」したのかを正確に述べようとするものです。文章理解のための人類共通の基礎なので、できるだけ正確にするのが一般に好ましいとされています。

起承転結法(四段論法)
人が最も納得・理解しやすい話の順番の典型として有名です。

  • 【起】話(命題)を切り出します
    (例:聞いて、白雪姫って最高の美女なんだ!)
  • 【承】話の内容を「起」と同じ方向に広げます
    (例:でも国1番の美人のお妃が命を狙う→美人が妬むくらいだから美女なんだよ。本当だって!)
  • 【転】起・承の流れの方向とは全然違った方向に話を広げます
    (例:白雪姫が仮死→じゃあ!仮にお妃を最高の美女とするとどうなると思う?やばいぞ~)
  • 【結】「転」をふまえた「起」の第二形態を提示します
    (例:目覚めて皆が大喜び→外見も心も美女だから、白雪姫が一番なんだよ!最高ヒャッフォイ!)

白雪姫の話は、論理の組立てだけをみると「白雪姫は最高に美しい」という命題を「真」だと証明するための四段論法である、ともいえます。

・「起」の部分だけを話されても、おそらくほとんどの人が納得できませんね。そうでもないんじゃないの、と。
・そこで「承」で、美女と言われるお妃が妬むならまあ確かにきれいなんだろう、とさっきよりも納得しやすく感じます。
でもやはりこれだけでは、元の命題を強調するだけなのでいまひとつ。聴衆は、なかなかすんなり納得できません。
・ならば「転」で命題をあえて不成立(仮)にします。じゃあ外見だけ美人のお妃を最高の美女にしちゃうけど、いい? と。
いや~性格悪いしそれはないな、としっかり皆に思わせます。
・最終的に「結」で、転をくつがえす発展形の命題を提示します!最初とちがって、今度は説得力がありますね。
白雪姫は外見も性格も美人だ!これなら文句ないだろ?みんなOK?(いいよ~)ハイありがとう! と終わらせることができるのです。

このように起承転結法を用いると、自然な流れで、提示したい命題を聞く人に正しいと納得させることが可能になります。


弁証(べんしょう)法
まず1つの事象に対して、ある証言(A)を挙げ、その反証(-A)を一緒に並べます。
そして、Aでも-Aでもない、Bという(解決)命題を導き出す論法です。

実社会でおこる事象(A)には、たいがいマイナス事象(-A)があります。
したがって解決のために、Aか-Aかの究極の選択ではなく、調和・妥協点や、新たな別次元への移行を促そうとする目的でよく使われる論法です。

  • 【例】
  • 命題A:人口が増加して開発が進んだおかげで、大都市になり暮らしが便利になった。
  • 命題-A:大都市開発のために、住処を奪われた野生の希少動物たちが絶滅してしまった。
  • 【結論】
  • 命題B:自然環境を破壊しつくす現状の方法を見直し、増加した人間による利便追求の視点からだけでなく、生態系維持をもっと考慮した開発がなされるべきだ。

数的要素の強い論理

背理(はいり)法
ある命題Pが真であることをスムーズに証明しにくいときによく登場する論法です。
まず、反対に「Pでない」と仮定してみて(命題¬P)、¬Pという前提で考えていくと、ついには決定的な矛盾が生じることを証明することにより、命題Pは正しいと証明する方法です。帰謬法(きびゅうほう)とも呼ばれます。
ただ、普通は背理法を使う必要がない場面のほうが多いです。Pがとてつもないスケールや無限のときに使われるようです。
かりに「有限」と仮定して考えると矛盾するから「無限」なのだろう、というような「背理法を使って証明をするほかない」ケースで背理法が使われています。

GW(Grands Wagons)法
正直(真)を話すグループと嘘(偽)を話すグループに分けて、成立しうる『順序関係』や『グループ人数』を確定していく方法です。ちなみに、これは「誰が嘘をついていたか」を当てるためのものではありません。

             

番町(ばんちょう)式
該当者が1人だけのときに使える方法。正直グループと嘘グループの人数があらかじめ分かっているときは表にします。この表を使った『成立しうる人数』の割り出し方を、番町皿屋敷にちなんで番町式と呼ばれています。

帰納(きのう)法
各命題A、B、Cが真であるとき、総合してA~Cに共通する一つの真の命題Dを導く方法です。

  • 【例】
  • 命題A:A君はD子さんを魅力的な女性だと言う
  • 命題B:B君はD子さんを魅力的な女性だと思う
  • 命題C:C君はD子さんに何度も告白している
  • ……
  • 【結論】
  • 命題D:D子さんは魅力的な女性だ

各命題の構成要素は具体的・個別的、結びの命題の構成要素は総合的・普遍的であるのが特徴です。

演繹(えんえき)法
上記の帰納法のまったく『逆』のアプロ―チです。
一つの普遍的な命題Dが真であるとき、具体的な各命題A、B、Cも真であるという論法です。

  • 【例】
  • 命題D:D子さんは魅力的な女性だ
  • 【結論】
  • 命題A:A君はD子さんを魅力的な女性だと思う
  • 命題B:B君はD子さんを魅力的な女性だと思う
  • 命題C:C君はD子さんに魅力的な女性だと思う
  • ……
命題Dの構成要素は総合的・普遍的、各命題A、B、Cの構成要素は具体的・個別的である点は、帰納法とまったく同じですね。