「推敲」編1
書き上げた文章を何度も見返して、より良くなるよう工夫を重ねることです。
推敲を重ねた文章は、より多くの人達に『読みやすい』ものになっていることでしょう。ただし推敲するということは、自分の黒歴史から目を背けるわけにはいきませんから正直「イヤ」「めんどくさい」「見たくない」気持ちとの闘いでもあります。
そんなときには……自分にとって一番大切な人を思い浮かべましょう!
その人に「贈るために」推敲するのだと前向き思考へシフトチェンジしてみるのです。他者の目に一切触れなくていいなら推敲しなくても問題ありません。心から大事に想う人に実際に贈るその瞬間まで推敲を重ねることは、人の目に触れることを意識した作家としての最低限のマナーであるともいえます。一度贈ったら、もうその後に推敲しようと思ってもタイミングを失ってしまうことのほうが多いですから……。
ここでは推敲の具体的な方法として、いくつか基本的なものだけですがご紹介します。
もちろん、自分に合った推敲方法があればそちらを優先してくださいね。
主(~が)、対(~を)、方向(~に)の検証
文章は、最も「意味が分かりやすく配置」されるのが望ましいです。※実験・意図的に記述されている場合を除きます
【例】
・7人の研究員が
・実に20年がかりでまとめあげた研究報告書を
・政府に
・提出した
これらの言葉をつかって考えてみましょう。
単語や文節の順序を入れかえてみる
・7人の研究員が…A
・実に20年がかりでまとめあげた研究報告書を…B
・政府に…C
と仮におくと
【1】7人の研究員が実に20年がかりでまとめあげた研究報告書を政府に提出した(ABC)
【2】7人の研究員が政府に実に20年がかりでまとめあげた研究報告書を提出した(ACB)
【3】実に20年がかりでまとめあげた研究報告書を7人の研究員が政府に提出した(BAC)
【4】実に20年がかりでまとめあげた研究報告書を政府に7人の研究員が提出した(BCA)
【5】政府に7人の研究員が実に20年がかりでまとめあげた研究報告書を提出した(CAB)
【6】政府に実に20年がかりでまとめあげた研究報告書を7人の研究員が提出した(CBA)
語順を変えるだけで、文章から伝わる意味に少し違いができることがわかります。
たとえば【1】【2】【5】は「7人によって研究報告書がまとめられた」のがわかります。
【3】【4】【6】は「7人によって研究報告書がまとめられたのか」「研究報告書をまとめた研究員のうちの7人なのか」「研究報告書をまとめていない別の研究員7人なのか」がややぼやける感じになります。敢えてこういうぼかした書きかたをする意図があるならまったく問題ありませんが、はっきりと誤解なく書きたいときは、言葉同士の順序もよく考えて並べなければわかりづらくなります。
一般に、まとまりの最後尾の助詞がことなる修飾句同士を文末の動詞にかけようとする場合、短いボリュームの修飾語から順に並べていくと比較的理解しやすい文ができるようです(もちろん必ずしもそういえない場合もあります)。主格「~は」や「~が」を意識して最初にして組み立てるようにすると、わりと文意に誤解の生じない文が作りやすいようです。
というわけで、ごく一般的な法則でいくと【5】(次点で【1】)が最もすんなり意味がとおる文章、といえそうです。
※最も面白みがある文章や良文という意味ではないので注意してくださいね。
一度違う意味でつたわってしまうと、その誤解を解くのは容易ではありません。
たとえば「伝言ゲーム」誰もが知っていると思います。なぜ同じ文章を伝えているつもりなのに伝わる意味が違ってきてしまうのかと不思議に思ったことはありませんか?まさにその謎の答えの一つが、言葉の『順序』『助詞』などの組み立ての違いにあります。
助詞なども入れかえてみる
様々な助詞(てにをは)や語順をよく検証して「これで間違いなく意味が通じるかな?」とときどき確認してみましょう。
あるいは「どうにでも読み取れるように敢えてぼやかそう」など、戦略的に言葉を組みあわせて「謎めいた文章」にするのもいいですね。
そして、その道のプロでなくてもかまいませんから、まずは身近な誰か(大人)に読んでもらうのが最適でしょう。「全体的にはおもしろかった?」と聞くのではなくて、「ここはどういう意味だと思った?」等、具体的な文章ごとに感想を聞いてみることです。他人の思考回路を通して、意味がわかりづらい箇所を少しずつ修正していく(チューニングする)と、自分の作文上の癖や伝わりづらい言い回しに気づく良い機会となり、非常におすすめの方法です。
- 次は、もっと小さなところにも目をくばってみよう!「推敲」編2
書き方・ルール
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