コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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【参照1000越え】ワールドエンド【感謝】
日時: 2016/01/16 22:38
名前: 凜太郎 (ID: 6kBwDVDs)

 初めましてか何度目まして。
 凜太郎といいます。

 今回から書いていく物語は、とある引き籠り少年がゲームに閉じ込められる話です。
 超人気オンラインゲームに閉じ込められた多くの人々。
 彼らの運命やいかに!

 他にも、同ジャンルに音の無い恋という作品を出しています。
 もしよければ、そちらも読んでください。

 では、よろしくお願いします。

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Re: 【第2シリーズ突入】ワールドエンド ( No.67 )
日時: 2015/07/18 21:49
名前: 凜太郎 (ID: kct9F1dw)

12:ゲーム

「ルールは簡単。俺が今からする質問に、答える。ただし、その答えで俺が納得できなかった場合は君の負け。君が勝ったら、このギルドに入れてあげる。俺が勝ったら、俺のギルドのメンバーと金輪際関わるな。以上」

 早口で言われた内容に、僕の思考はショートしそうだった。
 それでも、なんとか口に出す。

「別に・・・リアルの世界だとか、お前の目が届かない場所で関わることもできるじゃないか」
「そうだね。だから、ギルドのメンバーにはちゃんと話しておくよ。君と関わるなって」

 なるほど。
 それにしても、なんだこれ・・・・・・。
 体に力が入らない。
 口と目が動かせる場所の限界だ。

「それじゃあ、早速質問するよ」

 一呼吸置いて———

「君は、なんで生きているんだい?」

 ———冷酷な声で、呟く。
 僕はその声に背筋がゾッとした。
 そんな中で考える。
 なんで生きているか。
 生きる意味?
 それなら即答で、ラルナと答えることができる。
 しかし、そんな単純な回答で満足するだろうか。
 多分しない。
 じゃあなんと答えようか。

「それは・・・・・・」

 僕の口は、勝手に開いた。

「それは、生きたいからだ」

 単純なものだ。
 なぜ生きてるか。生きたいから。
 じゃあ逆に、それ以外に何がある?
 人間誰しも、生きたいから生きているんじゃないか。
 グレンは一考した後で、一言僕の耳元で囁いた。

「合格だ」

 しばらくして、頭に何か布のようなものが当たった。
 おそらくマントだろう。
 少しして、体の自由が戻った。
 顔をあげると、グレンが笑顔で立っていた。

「これから、よろしく」

Re: 【第2シリーズ突入】ワールドエンド ( No.68 )
日時: 2015/07/20 21:46
名前: 凜太郎 (ID: kct9F1dw)

13:ラルナ

 ラルナ。本名楽野 瑠奈は、中学に入ってからイジメを受けていた。
 美人で頭も良く、男子にモテていたため、劣等感を感じた女子達は団結してイジメを行った。
 机に落書きされたり、物を壊されたり、裸の写真を撮られたり。
 そのせいで純真を描いたような心は徐々に汚れていった。
 それでも仲が良かった女子もいたが、いずれ彼女らもイジメに加担していった。
 やがて、少女は人を信じなくなった。
 自分の心からも目を逸らし、人が喜ぶ人間を演じた。
 そんな中、『ワールドエンド』に出会った。
 自分を認めてくれる人がいて、いずれドンドンハマっていった。
 そして、中学3年生になった頃、『紅蓮の騎士団』に勧誘された。
 もちろん二つ返事で承諾した。
 その頃はまだグレン、リア、リムしかいない小規模ギルドだったが、これから大きくなる予感がしたからだ。
 たまによく分からない哲学を聞かされたり、リムとリアの口喧嘩に呆れたりする日々は楽しかった。
 2年で超大規模ギルドになり、ラルナは傘下のギルドの監視を任されたりした。
 そんな中で、事件が起きた。
 多くの人々がゲームの中に閉じ込められるという、前代未聞の事件が。
 しかし、少女は大して動じなかった。
 現実もゲームの世界も似たようなものだ。
 周りの人間を使って、自分に危害がないようにすればいい。
 ただそれだけなのだから。
 しかし、利用していたギルドはたった3人のプレイヤーにあっさり壊滅させられた。
 ラルナにとって、正直なんでこんなのに負けるんだと言わんばかりのメンバーだ。
 なぜか僧侶をする体の大きい男。
 刀を振り回す黒髪の美女。
 そして牢屋を破壊したのは、なんと白髪の小学生だ。
 ありえないと思った。
 しかし、彼らを利用してやろうと少女は思った。
 弱気なキャラを演じて彼らと行動を共にした。
 すると、彼らはとても強いことが分かった。
 そこで、ギルドの問題児のグリムを倒してもらうことにした。
 ずっと尾行して、死なないように回復をかけたりしたが、結局負けてしまった。
 なんとか殺すことはできたが、正直計算外だった。
 しかし、リーダーのセツトの信頼を手に入れることはできた。
 それがなぜかどうしようもなく嬉しかったのは不思議だった。
 それから何度か話をしたりする度に、その原因は明確になっていった。
 彼のことをどうしようもなく好きになっていた。
 告白された時はとにかく嬉しかった。
 幸せな時間を過ごしていく中で、悲劇がおきた。
 ギルドのメンバーの半数以上が虐殺されるというものだ。
 悲しみに打ちひしがれ、さらにセツトを求めた。
 そして体を重ね一つになった。
 それからは2人で暮らし始めた。
 でも、そんな日々も、グレンの命令で崩れた。
 本部に戻ってこいと言われた。
 何度も拒絶したが、ダメだった。
 いっそのこと殺そうと思ったが、決心できなかった。
 だから、彼に自分の全てを話した。
 引き留められると決心が揺らぎそうになるので、できるだけ悪役を演じた。
 殺されかけた。
 でも、彼は少女を許した。
 口づけをしようとしたくらいだ。
 しかし、少女は殺された。
 すぐに病院で目を覚ました。
 それからリハビリをして、すぐに『ワールドエンド』の世界を走り回った。
 結局セツトは見つからず、一緒に過ごした家に行った。
 しばらくそこにいたら、唐突に彼は入ってきた。
 結果、彼と復縁した。
 それからは現実世界でも一緒に過ごしたし、ゲームの世界でも同じギルドで一緒に戦ったりした。
 しかしある日、その日々は崩れた。

 セツトが、『ワールドエンド』に来なくなった。

Re: 【第2シリーズ突入】ワールドエンド ( No.69 )
日時: 2015/07/26 19:47
名前: 凜太郎 (ID: kct9F1dw)

14:暗い部屋

 カタカタと、キーボードを叩く音が響く。
 僕は目の前のネットの掲示板を見て溜め息を吐く。
 結論を述べれば、僕は、結局外の生活に耐えられなかったのだ。
 正直自覚はなかった。
 ただ、徐々に溜まるストレスに、僕の体は不調を起こして、寝込むことが多くなった。
 人と関わることへの恐怖心、外の臭い。
 思い出すだけで吐き気がする。

「やっぱり、僕にはこれしかないんだよ・・・・・・」

 パソコンの画面を指で撫でた。
 直後、メールがきた。
 開くと、ラルナからだった。

『最近学校にも、ワールドエンドにも来ていないけど、どうしたの?』

 罪悪感が僕の胸を締め付ける。
 僕は静かに、言葉を綴る。

『ごめん。もう外に出られそうにない。こんな僕なんて嫌いになって構わないから、他の男と、幸せになって。』

 自分で言って悲しくなる。
 本心とは逆の、変な意地。嘘っぱちだ。
 僕は零れるナニカを拭い、送信ボタンを押した。

Re: 【第2シリーズ突入】ワールドエンド ( No.70 )
日時: 2015/07/27 20:14
名前: 凜太郎 (ID: kct9F1dw)

15:作戦

「なんなのよ、この返事!」

 私はつい大きな声で叫んでしまった。
 飲んでいたジュースのペットボトルをテーブルに音をたてて置いた。
 そもそもなんなんだこれは。
 セツト君以外の男?
 そんなの見つけられるわけないじゃない。

「外に、絶対出してやる・・・・・・」

 私はメールを打って、身支度を整えた。
 場所は、とある喫茶店だ。

Re: 【第2シリーズ突入】ワールドエンド ( No.71 )
日時: 2015/07/28 13:46
名前: 凜太郎 (ID: kct9F1dw)

16:会議

「それで、なんで俺らが呼ばれるんだ?」

 ダイキはそう言って苦笑いをした。
 彼の本名は大村 大輝。
 その横で影丸、本名景山 美穂も溜め息を吐いた。

「そうよ。ギルドが解散した今、セツトがどうなろうと関係ないし」
「今まであんなに助けてもらったのに、恩返しとかしないんだ?色々助けてもらって何も返さないんだ?」

 彼らはどうやら私の本当の顔を知っているようなので、素の顔で話す。
 少なくともダイキは人としてちゃんとしてる部分があるので、これでどうにかなるだろう。
 しかし、影丸はコーヒーを飲んだあとで一言呟いた。

「今の私には、関係ない」

 ぴしゃりと、有無を言わさぬ声で言う。
 私はその威圧に声を出せなかった。
 ダイキは困ったような顔をしながら頭を掻く。

「悪いけど、俺もこの意見に賛成だな。俺達にも、やらないといけないことがあるんだ。色々と忙しいんだよ。だから、もう行くよ」

 そう言って2人は喫茶店を出た。
 たしかにあの2人の意見は正しい。
 私はなんともいえない気持ちを、紅茶を飲んで誤魔化した。
 味は、とても苦かった。


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