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【参照1000越え】ワールドエンド【感謝】
日時: 2016/01/16 22:38
名前: 凜太郎 (ID: 6kBwDVDs)

 初めましてか何度目まして。
 凜太郎といいます。

 今回から書いていく物語は、とある引き籠り少年がゲームに閉じ込められる話です。
 超人気オンラインゲームに閉じ込められた多くの人々。
 彼らの運命やいかに!

 他にも、同ジャンルに音の無い恋という作品を出しています。
 もしよければ、そちらも読んでください。

 では、よろしくお願いします。

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Re: 【参照1000越え】ワールドエンド【感謝】 ( No.102 )
日時: 2016/01/18 16:16
名前: 凜太郎 (ID: 6kBwDVDs)

14:実力

 グリム。
 彼の強さは身を持って自覚している。
 実際前回の戦いだって、ラルナの助けがなかったら僕は負けていた。
 僕は剣を構えながら戦略を組み立てていく。
 カウンター・・・は、難しいだろう。
 アイツの武器の爪で刀を巻きとられて腹にあのグルグル回転する爪を喰らって終わりだ。
 じゃあどうするべきか。
 ここはまず・・・。

「はぁッ!」

 先手必勝。
 剣に火の玉を乗せ、グリムに飛ばす。
 しかし、武器に仕込んだ銃で相殺される。
 僕はそこに突っ込んだ。
 炎には水魔法も仕込んでいたので、水蒸気が発生して目くらましになる。
 そして彼が目を閉じた隙に一気に喉元に刀を・・・———。

「あめぇんだよッ!」

 爪が急接近してくる。
 僕は咄嗟に屈んでそれをかわすが、顔面を蹴られて一気に転がる。

「おいおい、まだ前の方が面白みがあったぜぇ?まさかお前、油断でもしてやがったか?」
「まさか・・・まだウォーミングアップさ」

 口から血を流しながら僕は虚勢を張る。
 クソ、ゲームのくせにこういうところはリアルだよな。
 口の中を切ったせいか、鋭い痛みが走る。

「くはッ・・・それもそうだよなぁ。せいぜいもっと楽しませてくれよ?」

 そう言うと、突然武器を外しはじめた。
 コイツ・・・いきなりどうしたんだ?

「おめぇら。アレを出せ」
「はい」

 命令されたプレイヤー達は、まるでロボットのように素早く行動し、大きな包みを取り出した。

「へへッ。やっぱコイツを濡らす最初の血は、お前じゃなきゃなぁ」

 右腕に着けた武器に、僕は眉を潜める。
 デカいの一言に尽きるその武器は、長身の彼の身長の1,5倍はある。
 腕の形をしているそれは、掌には大きな穴があり、全体的にシンプルな造りになっている。

「さぁて、処刑の始まりだぁ」

 ドゴォンッという轟音と共に、地面が抉れる。
 別に何か攻撃をしたわけじゃない。
 ただ、腕を下ろしただけだ。
 おいおい・・・さすがの僕でも、コイツは手におえないぞ。

「せめて武器を付けている間に攻撃しとけば、勝てたかもしれねぇのにな」
「別に。油断しまくっている敵を倒しても、つまんないし」

 剣を構えながら、脳内では自分でも驚くほどの速度で思考が組み上げられていく。
 どうすればいい?どうすれば勝てる?
 その時、一つの作戦が組みあがる。
 成功する可能性は五分五分だが、やってみるしかない。

「ぁぁぁああああああああああああああッ!」

 僕は剣を振り上げ、一気に駆けだす。
 単純な攻撃にも見えただろう。
 グリムはゆっくりと武器を振り下ろす。
 僕はそこで、跳んだ。
 高く跳躍し、地面に大きな腕が落ちたのと同時にその上に着地する。

「なッ・・・」

 さすがの彼でも狼狽した様子で、腕を振り回そうとする。
 しかし、僕は関節のようになっている場所から剥き出しになったコードを握りしめ、一気に駆ける。
 そして、今剣が、男の喉元に・・・———。

Re: 【参照1000越え】ワールドエンド【感謝】 ( No.103 )
日時: 2016/01/19 17:34
名前: 凜太郎 (ID: 6kBwDVDs)

15:経験

「ぐはぁ・・・ぁ・・・」

 彼は口から血を吐き、その場に崩れ落ちる。
 あの状況で反撃が来るとは思っていなかった様子で、身構えもろくにできず攻撃を喰らってしまったようだ。
 見ている者も、決着がついただろうと思うほどの重症。
 おっと、ちなみに誤解が無いように言っておくと・・・———。


———彼とは、セツトのことである。

−−−

「ぁぁ・・・・・・」

 一瞬、何が起こったのか分からなかった。
 アイツ・・・僕の剣を、左手の爪で巻き取って腹にそのまま爪を刺しやがった・・・。

「あれぇ?これで終わりなのかなぁ?」

 僕の顔を覗きこんでくる。
 うるさい、まだだッ!
 僕は立ち上がる。

「ははっ、だよなぁ。じゃあもっと、踊って見せろよなぁおいッ!」

 ドゴォーンッ!と音を立てて地面が抉れる。
 咄嗟に避けると同時に体が軋む。

「ぐぅッ・・・」
「もうやめてよッ!セツト君ッ!」

 ラルナの声が聴こえる。
 つまり、まだ僕は生きているってことか・・・。

「なら、大丈夫だッ!」

 僕は上空にジャンプして、剣を構える。

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」

 振った剣は、大きな腕に弾かれる。
 直後、目の前に銃口が現れる。

「ウグッ!」

 ブリッジの要領でそれをかわす。
 左胸を掴んで自分の生を実感しようとしたが、元々ここでは心臓は動いてないから意味はないか。

「やっぱりお前は面白いよッ!」

 そう言って左手の爪をドリルのような形に閉じて、一気に突き出してくる。
 咄嗟に剣で防御。
 しかし、威力はそれで止まらず、顔に近づいてくる。

「うおおおッ!」

 なんとか僕がしゃがむことでそれをかわす。
 しかし、目前に腕が迫って来ていた。

「がぁッ・・・?」

 腕に掴まれ、足が宙に浮く。
 メキメキと体が音を立てる。

「面白かったけど、やっぱお前は弱いなぁ。せめてコイツでトドメをさしてやる」

 体がどんどん潰されていく。
 自分のHPが減っていくのが分かった。

「死ねッ!」
「あああああああああああああああああああッ!」

 そこで、僕の意識は途絶えた。

−−−

「ッチ・・・悪運の良い奴め」

 グリムとやらは、そう言うとセツトさんをその辺に投げ捨てた。
 一体何が起こったのかと思ったが、よく見ると彼の腕が赤く腫れていた。

「コイツはめっちゃ重いからな、使える時間が限られちまう」

 セツトさんのHPはすでに残り10も無かった。
 まさに危機一髪といったところだが、グリムさんはあくびをしながら言った。

「まだやりたりねぇなぁおい。他の誰か出て来いよ」

 心臓が凍りつく。
 ダイキさんも影丸さんもラルナさんもケインも、みんなすでに疲労困憊だ。
 つまり、この状況で唯一フルコンディションで戦える人間、それは・・・———。

「ぼ、僕が行きます・・・」

Re: 【参照1000越え】ワールドエンド【感謝】 ( No.104 )
日時: 2016/01/19 22:23
名前: 凜太郎 (ID: 6kBwDVDs)

16:勇気

 足が震える。
 セツトさんでも勝てなかった人に、僕が勝てるのだろうか。
 いや、勝つ!

「おやおや、弱そうな子が来たじゃないか。可哀そうだからコイツは使わないでおいてやるよ」

 グリムさんは腕の武器を置き、爪が付いた武器をはめた。
 大丈夫、僕なら勝てる・・・。

「いつでもどーぞ?」
「う・・・うおおおおおおおおおおおおおおおッ!」

 僕は情けなく叫び、刀を振りかぶる。
 侍のスキル技、《一刀両断》が発動される。
 刀が光を帯び、グリムさんに向かう。

「おお?」

 しかし、巻き取られる。
 回転する爪に巻き込まれ、手から離れる。

「しまッ・・・」

 刀に気を取られた隙に、腹に爪が刺さり回転する。

「ぐがぁッ・・・」
「なんだ、大した事ねぇなぁおい」

 倒れた僕の腹に足を置き、溜め息を吐く。

「おいおい、他にもうちょい骨のあるやつはいねぇのかぁ?」

 あぁ、やっぱり、僕には無理だったのかな・・・。
 セツトさんの代わりに彼を倒すなんて・・・。
 このまま気を失えば、生き長らえられるじゃないか。
 僕は戦ったんだ。勇気を出して戦ったんだから、もう、いいじゃないか・・・。

『そうやって、また逃げるの?』

 脳内から声がする。
 幻聴だろうか、分からない。
 でも、逃げるなと、立ち向かえと、訴えかけてくるのだ。
 刀はある。体も動く。
 じゃあ、立てよ、僕の体よぉ・・・。

「ぅ・・・ぉ・・・」

 勇気を、出してみろよ。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」

 なんとか立ち上がる。
 叫んでいないと意識が途切れてしまいそうだ。

「おお!?まだ立つのかぁ!おもしろいじゃねぇか。おいおい、あと何回殺せるんだよこれ。ふはッいいねぇ!」
「僕はあああああああああああああああああッ!もう、逃げないんだあああああああああッ!」

 刀を振る。
 ただ適当に振り回す。

「でも戦いは初心者かぁ?そんなんじゃ俺にはk・・・」
「ああああああああああああああああああああああああああッ!」

 僕は刀を右手に持ち、左手で顔面を殴った。
 もちろん、僕なんかのパンチじゃビクともしない。
 でもそんなこと知った事か。
 僕はただ、生きたいんだッ!

「ぐッ・・・へぇ、中々やるじゃねぇか・・・」
「うおおおおおおおおおおあああああああああああああああああッ!」

 僕は刀を両手で持ち、一気に突き出した。
 グリムさんは咄嗟に間に爪を構えるが、それをへし折り、刀の刃は静かに彼の胸の中へと消えていった・・・。

Re: 【参照1000越え】ワールドエンド【感謝】 ( No.105 )
日時: 2016/01/20 17:13
名前: 凜太郎 (ID: 6kBwDVDs)

17:開花

 グリムの胸に、刀が刺さると同時に、私は目を見開いた。

「すごい・・・」

 なんだか、ソラ君の姿に白髪の少年の姿が重なった。
 それと同時に、少し笑みが零れた。

「なんか・・・似てる・・・」
「ん?どした?」

 ちょうど隣にいたダイキがそう言う。
 私は適当に「別に〜」とか言って誤魔化す。
 いや、むしろ彼以上かな・・・力は。

「おい、まだ生きているぞッ!」

 ケインの言葉にソラ君はグリムを見る。
 たしかに、まだ微かにだが、生きていた。

「・・・お・・・あ・・・あっはははははははははははははははははははははははッ!」

 呵々大笑。
 白目になり笑い出す。

「はは・・・は・・・はああああああああああああああああああッ!」

 突如、大きな腕の武器を爪で掴みとり、

「あああああああああああああああ死ねよおらああああああああッ!」

 ぶん投げる。
 その軌道は真っ直ぐ、ソラ君に向かっていた。
 しかし、咄嗟にしゃがんだため回避できる。
 安心したと同時に、その軌道の直線状に自分がいたことを思い出す。

「あっ・・・」

 私は咄嗟に目を瞑る。
 と、同時だった。

 ガキィンッ!

 金属音が鳴り響く。

「ふぇ・・・?」

 情けない声を出して目を開けると、セツト君が剣で腕を斬っていた。

「美味しいとこどりになるけど、許してくれよ」

 そう言うと、そのまま一気に突っ込む。

「ぁ・・・やめ・・・」

 グリムの口の中に、トドメの一撃として剣を突き刺す。
 一瞬で、男の体は弾けとんだ。

「えっと・・・?」

 ソラ君は恐る恐るといった様子で顔を上げる。

「セツト君!」

 私は咄嗟に駆け寄った。
 近づいてみて分かった、怪我が全て治っている。

「あぁ、回復魔法だよ。ソラが戦っている間に回復したんだ」

 まるで私の考えが分かっているようにそう言う。
 なるほど、回復魔法か。
 その時だった。

 カシャンッ!

 何かが落ちるような音が聴こえて咄嗟に振り返る。
 見ると、赤い腕輪のような物が落ちていた。

「あ、あれ・・・俺は今まで何を・・・」
「うわ、なんだよこの武器!」

 皆、そう言って腕の武器を外そうとする。
 これってもしかして・・・。

「改良されていたのか。しかも、腕輪なんてな」

 セツト君はそう言って拾う。
 私もそれを覗き込む。

「なるほど、首輪だと目立つからこうして腕輪にすることで、見つかりにくくしたのね」
「あぁ。普通のアクセサリーとかと見分けもつかないし、これは厄介だな」

−−−

「グリムがやられました」
「ふむ。アイツも所詮その程度の男だったというわけか」

 白いフードの男は、そう言って眉を潜めた。

「おいおい、どうすんだよ?アイツ、かなり技術持ってんのによォ」
「なに。まだ鍛冶スキルを持ったものは大量にいるし、最悪改造すればいいことだ」
「相変わらずえげつないことで」

 茶髪の男はそう言って笑う。
 彼らの計画は、着々と進んでいくのであった。

Re: 【参照1000越え】ワールドエンド【感謝】 ( No.106 )
日時: 2016/01/21 20:21
名前: 凜太郎 (ID: 6kBwDVDs)

18:旅は続く

 どうやらあの首輪の機械は、腕輪に改良していたらしく、グリムさんの部下のプレイヤーは皆操られていたらしい。
 目を覚ました彼らは、グリムさんに腕輪を付けられたところまで覚えていたが、そこから先は覚えていないらしい。
 まぁ今は目覚めて良かったといった感じだ。

「しかし、まさか犯人がグリムだったとはな」

 セツトさんはそう言って溜め息を吐く。
 たしかに、グリムさんならこんな機械を作れてもおかしくはない。

「ま、一件落着ってことかな」

 伸びをしながらケインはそう呟く。
 たしかに、これで首輪の謎は解決したようなものだ。

「それじゃあ、僕たちは一から『オーバーワールド』をやり直すことにするよ。君達にも入ってほしいけど、どうかな?」

 セツトさんはそう言って肩を竦める。
 僕とケインは顔を見合わせた。

「嬉しいですけど、僕たちは僕たちの冒険を続けます。正直、それが一番楽だし」
「ま、俺は入りたいんですけど、足手まといになるのも嫌なので」

 もちろん、答えは決まってた。
 僕たちは僕たちの旅を続ける。
 それが答えだ。

「そうか・・・まぁ、気が向いたら言ってよ。いつでも大歓迎だ」

 セツトさんはそう言うと、他のメンバーを引き連れて去っていく。
 やがて、彼等の後ろ姿は見えなくなった。
 直後、ケインが目から涙を流した。

「うわ、どうしたの!?」
「やべぇよ・・・俺、あの『オーバーワールド』の人達と直接話しちゃった!」

 涙を流しながら言う。
 そんなに喜ぶほどなの!?

「はぁ・・・。それで?これからどうする?」
「当然、ダンジョン巡りだろ」

 彼はそう言って剣を抜く。
 しばらく一緒に行動してなかったけど、やっぱりこういうのは友達と一緒にやることが一番だよね!

「それじゃあ、行こうか」
「おう!」


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