コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 【参照1000越え】ワールドエンド【感謝】
- 日時: 2016/01/16 22:38
- 名前: 凜太郎 (ID: 6kBwDVDs)
初めましてか何度目まして。
凜太郎といいます。
今回から書いていく物語は、とある引き籠り少年がゲームに閉じ込められる話です。
超人気オンラインゲームに閉じ込められた多くの人々。
彼らの運命やいかに!
他にも、同ジャンルに音の無い恋という作品を出しています。
もしよければ、そちらも読んでください。
では、よろしくお願いします。
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- Re: ワールドエンド【目指せ参照300越え!】 ( No.47 )
- 日時: 2015/07/07 18:36
- 名前: 凜太郎 (ID: kct9F1dw)
36:後悔と愛情
ギルド部屋に戻って、僕は戦慄した。
人が圧倒的に少ない。
おまけに、ほとんどの者が泣いている。
僕は、すぐにラルナちゃんを探した。
彼女はリビングのような場所で、みんなと同じく泣いていた。
「ラルナちゃんッ!」
僕は彼女の体を強く抱きしめた。
すぐに壊れてしまいそうな体を、強く、強く抱きしめる。
「セツト・・・・・・君・・・・・・」
彼女も僕を抱きしめる。
しばらく抱きしめ合ったあと、僕は聞く。
「何が起こったの?」
彼女は、僕の腕の中でか細く呟く。
「なんか、襲撃されて・・・・・・それで、みんな頑張ったんだけど・・・でも・・・・・・」
「・・・・・・それで?」
「36人中、20が、死んで・・・その中に影丸ちゃんも・・・・・・」
僕は、彼女をソファに置いて、部屋に戻った。
シャワーを浴びる。
「ちくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」
僕は、叫んだ。
仲間を守れなかった。
前髪を伝って水が滴る。
涙も一緒に流される。
あんなデブに構わず、ラルナちゃんと帰ればよかったんだ。
そうすれば、悲しまなくてもよかったのに・・・。
「セツト君、いる・・・・・・?」
ラルナちゃんの声がした。
僕は慌ててシャワーを止めた。
「うわわ、待って!服着るから!」
「ううん。そのままで大丈夫。とりあえず、入れて」
ひとまず、タオルを巻いて彼女を招き入れた。
2人でベッドに腰掛けた。
「ねえ、抱きしめて・・・・・・」
「ん?いいよ」
少女の体を横から抱きしめた。
「キスして・・・・・・」
「いいよ」
キスをする。
きっと、寂しいんだろう。
これくらいなら、全然大丈夫だよ。
「ねぇ・・・・・・」
「ん?」
彼女は、しばらく黙った後で、小さく呟いた。
「もし、私がどんなにダメな人でも、一緒にいてくれる?」
「もちろん、ずっと一緒だよ」
僕は、彼女を押し倒した。
濃厚な接吻を交わし、永い時間の間、僕らは一つになろうとお互いの心の中の空洞を埋めあうように体を重ねた。
お互いの吐息だけが部屋に響く。
それから、どれくらい経ったか、僕らは一つのベッドの上で横になっていた。
ラルナちゃんは、僕の胸に頬を当てながら聞いてくる。
「ねぇ、セツト君はさ、リアルではどんな生活をしていたの?」
「・・・・・・聞いても、僕のこと嫌いになったりしない?」
「するわけないじゃない」
僕は、ゆっくり語り始める。
3年前の悪夢を。
- Re: ワールドエンド【目指せ参照300越え!】 ( No.48 )
- 日時: 2015/07/07 20:13
- 名前: 凜太郎 (ID: kct9F1dw)
37:悪夢
クスクスと響く笑い声。
目の前には、死ねとか書かれた机。
これは、僕のだ。
信じたくないが、これは自分の机なのだ。
ペンで書かれてるけど、消しゴムで消えるかな。
僕はただただ強く消しゴムを押しつけて動かす。
その時、横から手が伸びて、雑巾で拭き始めた。
綺麗な雑巾で。
「大丈夫?一緒に消してやるよ」
少年はそう言って、ニカッと笑った。
それが、初めて友達ができた瞬間だった。
彼は同クラスの木村 翔太。
明るく、誰にでも仲良くしてあげてるとても良いヤツだ。
そして、そんなヤツがなぜか今は僕と一緒に帰ってるのだ。
そもそも、いじめられてる理由も理不尽なものだ。
なぜかは分からないが、僕は頭だけはすごく良かった。
天才小学生なんて呼ばれていた時期もあった。
いつもテストでは満点、運動ができなくても成績は全部5。
みんなは、それが気に入らなかったらしい。
暗くて地味なくせに勉強だけはできるから。
言い返す勇気のない僕は、いつも1人で本を読んで休憩時間を潰した。
「ねえ、なんで僕と一緒に帰るの?」
「なんでって、お前いつも1人だし。俺クラス全員と友達になるのが目標」
僕と真逆の人間か。
僕は溜め息を吐いて前を見た。
「だからさ、俺達今日から友達な」
「別にいいけど・・・・・・」
どうせ、目標達成したら話さなくなるだろうけど。
しかし、僕のそんなくだらない予想はあっさりと裏切られる。
「よお、そういえばこの前のあの番組見た?」
「一緒に技術室行こうぜ!」
「さっきの数学全然分からんかった。お前分かった?」
めっちゃ話しかけてくる。
ひとまず、なんとなく返事はするけど、彼は妙に僕に関わってくる。
僕は聞いた。
「どうして僕にそんなに関わってくるの?」
「んなの、友達だからに決まってるだろ」
単純な答え。
当たり前のように言う彼に、僕は絶句した。
「っつーわけで、一緒に帰ろうぜ」
それから、彼がサポートしてくれたおかげで、僕はみんなと仲良くすることができた。
勉強を教えたり、くだらない話をしたり。
やがて、学校が楽しくなった。
しかし、ある日同クラスのボス的な立場のヤツが、ある日言った。
「お前さ。もう木村と関わらない方がいいぞ」
その時、すでに僕らは親友と言っても過言じゃないほどに、仲良くなっていた。
そんな彼に関わるな?
そもそも理由がないだろう。
「どういうこと?なんで関わっちゃいけないの?」
「なんかさ、アイツ最近悪い噂されてるんだけど、知ってるか?」
「知らないけど・・・」
「だろ?実は、なんかヤバい薬とかやってるらしいんだよ」
「なんだよそれ。さすがに嘘だろ?」
「いやいや、前にこっそり錠剤の薬飲んでたらしい」
「風邪薬かもしれないじゃないか」
「アイツが風邪引いた日があったか?」
「・・・ないけど・・・・・・」
「だからマジだって。関わったらまたいじめられるぞ」
それだけは嫌だった。
それから僕はあまり関わらないようにした。
そして、みんなは彼を虐め始めた。
「や、やめてよ!」
階段の方から声がした。
見ると、古いロッカーに入れられそうになっていた。
あぁ、あれ僕もやられたよ。
痛いんだよね、狭い中で、階段の段差でめっちゃ揺れるし、体当たるし。
その時、一瞬目が合った。
期待の眼差しで見られたが、僕は目を逸らしてその場を立ち去った。
それは、イジメが始まって3ヶ月ほど経った時だった。
いつものように授業をしていた。
僕はなんとなく外を見てみた。
すると、ナニカが落下してきた。
そのナニカと目が合った。
そして、ソレは地面に激突した。
僕は慌てて窓を開けて下を覗き込んだ。
そこには、木村 翔太だったモノがあった。
グチャグチャになって、そこに。
これは自殺だ。
誰が殺した?
イジメの主犯の男子か?
それを傍観していた女子か?
見て見ぬフリをしていた先生か?
違うだろう?分かってるんだろう?
彼を裏切った、僕じゃないか。
僕はトイレに籠って吐いた。
胃の中のものも、思い出も。
結局その日は早退となった。
それから、僕は部屋に引き籠った。
パソコンでネットの掲示板やゲームをして現実から逃げた。
彼の血で汚れたこの手は、もう誰かを愛することなんて許されないかもしれないけど。
僕はもう一度だけ、誰かと一緒にいたかった。
その願いは、暗い部屋に閉じ込められた。
思い出と、一緒に。
- Re: ワールドエンド【目指せ参照300越え!】 ( No.49 )
- 日時: 2015/07/07 20:42
- 名前: 凜太郎 (ID: kct9F1dw)
38:安心
僕の話を聞いて、彼女はしばらく黙ってしまった。
少し不安になってしまい、僕は少女の髪を撫でたりして気を紛らす。
やがて、僕の方を見上げ、小さく呟いた。
「セツト君が悪いと思う」
バッサリ切るな、と自嘲したが、彼女は続けて言った。
「でも、しょうがないよ」
その言葉に、少しだけ安心した。
情けないけど、これが人間だろう?
「私も、同じ立場だったら同じことしちゃうと思う。それに、セツト君だけが悪いわけじゃないよ」
そう言って僕の小さな体を抱きしめた。
今思えば、少しだけラルナちゃんの方が背高いな。
「で、でも・・・・・・」
「だからさ、一緒に生きよう?」
孤独だった僕らが出会ったのは、運命だったのかもしれない。
そんなことを考えながら、僕らはまた、キスをする。
- Re: ワールドエンド【目指せ参照300越え!】 ( No.50 )
- 日時: 2015/07/07 21:03
- 名前: 凜太郎 (ID: kct9F1dw)
39:裏の顔
君は、僕の全てだ。
それが、僕の結論。
ギルドは、結局解散した。
原因は分かってるんだ。
前に壊滅させた大規模ギルド。
その生き残りが仇をとりにきたんだろう。
だから、ひっそりと生きることにした。
僕とラルナちゃんは央都のアパートの一室を借りた。
世の中ではこれは結婚というのかもしれないが、この世界に結婚のシステムはないので、微妙なあたりだ。
昼間は買い物をしたり、家でのんびりして、夜は一つのベッドで寝て、たまに甘いひと時を過ごしたりして、時間は過ぎ去っていく。
そして、一ヶ月が経った。
僕らはいつものように平和な日常を過ごした。
その時だった。
「モンスターが攻め込んできたぞ!」
村人の声に、僕らは窓から外を見た。
すると、大量のモンスターが町に入って来ていた。
このままではこのアパートもいずれやられるかもしれない。
僕らは逃げた。
町の端まで行って、どうにか隠れる。
迂闊だった・・・・・・ッ!
僕はすっかり忘れていたのだ。
この時期は、大量にモンスターが現れるイベントが発生することを。
でも、弱いモンスターばかりなので、なんとか倒せるだろう。
そんなことを考えていた時だった。
「もう、そろそろ終わりかなぁ・・・」
ラルナちゃんが、僕の口の中に杖から生やした剣を入れた。
ギリギリ刺さってない。
「え・・・・・・?」
状況が読めない。
僕は、一度杖をどかして、なんとか笑顔をつくって聞いた。
「どういうこと・・・・・・?もしかして、僕のことからかって・・・?」
「だから、もう終わり。おしまい、おひらき。わかるかなぁ?」
ラルナちゃんは、そう、つまらなさそうに呟く。
いつもの優しい笑顔じゃない。
死んだ目で、気怠そうに。
「いやいや、もしかしてこんな状況だからってふざけていい場面では・・・」
「もう、説明いる?なんならあんたと出会ってから今までで私がどんなことしてたか、知りたい?」
そう、口元を歪ませて、囁いた。
- Re: ワールドエンド【目指せ参照300越え!】 ( No.51 )
- 日時: 2015/07/28 17:35
- 名前: 凜太郎 (ID: kct9F1dw)
40:真相
「まず、人攫いに捕まってたところから、もう嘘。実はあいつらと私仲間なのよ。あんたらといたら色々得しそうだから、こっちに来たまで。実際、今もあんたらを仲間だとは思ってないよ」
でも・・・僕をグリムから倒してくれたじゃないか・・・?
「あー、それ?本当はあんたに倒してほしくて、わざとあいつをむかわせたの。でも意外とアイツ強かったねぇ。結局自分で倒さないといけなかったし。実は観戦してたのも嘘。ずっとあんたのこと見てただけよ。たまに回復とかかけながらね」
でも、でも・・・・・・だって君は、君と、あるぇ・・・?
「混乱してるのね。だからさぁ、ぜーんぶ、嘘っぱちだったのよ。考えてみなさいよ、私より強い奴も何人もいたのに、なんでそいつらは死んでて私は生きてるのよ。さすがに怪しいかと思ったけど、まぁあの後なんとかヤる方向に変えたら意外といけたから、良かった良かった」
僕の世界が、崩れる音がする。
一体、どれだけ僕の心が君で満たされてると思ってるんだ。
僕は、怒るわけでもなければ、悲しむわけでもなく。
ただただ、その場で茫然としていた。
「ほらほら、モンスターが来てるよ?倒さなくてもいいのかなぁ?」
僕は彼女の首を掴み、地面に押し付けた。
「ぅぐ・・・?」
「・・・・・・・・・・・・・・・えせよ・・・・・・」
僕は・・・・・・ッ!
「ラルナを返せよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」
叫び、何度も彼女の体を揺すった。
今ではなんの魅力のない胸ぐらを掴み、何度も揺らした。
顔を何度も殴ったりした。
「ぅげッ!最初から、ラルナなんかいないんだよッ!」
そこで、僕は不思議に思ったことがある。
なんで、彼女は僕に殺されそうになってるんだ?
今ばらす必要性なんて、ないよね?
「なんで、今僕にばらしたんだ?」
彼女は、少しだけ目を逸らし、一言呟いた。
「ただ、ギルドも解散したのに一緒にいるのもあほらしくなったから」
「それじゃあもっと早くばらせばよかったはずじゃないか」
僕の言葉に、彼女は一言、小さく呟いた。
「本部からの命令よ。そろそろ戻って来いってね」
そう言って立ち上がり、ゆっくり僕の体を押し倒す。
「聞いたことある?『紅蓮の騎士団』。あんたらが壊滅させたギルドよりもさらに大きいギルド。いや、もっと大きい。政府と言ってもいいくらいにはね。私はそこで諜報とかしてたの。この弱虫キャラも結構良いもので、よく諜報活動にはこのか弱い少女を演じていたわ」
「それじゃあ、僕にばらさずにさっさと殺せばいいじゃないか」
僕が言うと、クスクスと笑った。
そして、悲しそうな笑みをつくる。
「それは思ったんだけど、なぜかできないのよ。何度も殺そうと思ったけど、なぜか躊躇してしまう自分がいた。だから、こうして告白した。それだけよ」
そこで、あの記憶が蘇った。
『もし、私がどんなにダメな人でも、一緒にいてくれる?』
もしかして、あれは本音だったんじゃないのか?
僕は、彼女の頬を撫でた。
そして、ゆっくり口づけを————。
「が・・・ハ・・・・・・ッ!」
————することは叶わなかった。
気付けば、彼女の首と胴体は繋がってなかった。
僕が触っていた首は、僕の手に乗っていた。
そして、体は僕の上に倒れて、しばらくして弾けた。
「危なかったね・・・・・・」
そう言って、血に濡れたナイフを持つ少年が1人。
彼はたしか、ソラだったか。
ソラは僕の顔を見て、笑顔になった。
「あ、君は、たしかセツト君だよね。プレイヤーだったんだ。彼女は『紅蓮の騎士団』の諜報係で、危ない奴だよ。殺されるところだったんじゃないか?」
彼の笑顔を、僕は呆然と眺めた。
あぁ、ラルナちゃん・・・・・・。
また、来世で会おうね。
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