コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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【参照1000越え】ワールドエンド【感謝】
日時: 2016/01/16 22:38
名前: 凜太郎 (ID: 6kBwDVDs)

 初めましてか何度目まして。
 凜太郎といいます。

 今回から書いていく物語は、とある引き籠り少年がゲームに閉じ込められる話です。
 超人気オンラインゲームに閉じ込められた多くの人々。
 彼らの運命やいかに!

 他にも、同ジャンルに音の無い恋という作品を出しています。
 もしよければ、そちらも読んでください。

 では、よろしくお願いします。

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Re: 【第2シリーズ突入】ワールドエンド ( No.57 )
日時: 2015/07/09 21:39
名前: 凜太郎 (ID: kct9F1dw)

3:返事

 ドアを開くと、ラルナが椅子に腰かけて眠っていた。
 ずっと僕のことを待っていたのかな?

「ラルナ」

 僕は、彼女の肩を軽く叩いた。
 すると、眠そうに眼をこすった。

「んぁ・・・セツト君・・・・・・来てたんだぁ・・・」

 少し眠たそうにしながら応えた。
 僕は、苦笑いをしつつ向かい側の椅子に座った。

「僕は、僕を裏切った君を恨んでるし、許す気もない」
「まぁ、そうだろうね」
「でも、また1からやり直すことはできる」

 僕は少しクサイセリフを吐きながら、彼女の手をとった。
 そして——

「これから、よろしくね」

 ———彼女の額にキスをする。
 僕らは、2人で笑い合った。

Re: 【第2シリーズ突入】ワールドエンド ( No.58 )
日時: 2015/07/10 22:23
名前: 凜太郎 (ID: kct9F1dw)

4:授業

「ぅぁ・・・わかんねぇ・・・・・・」

 隣の席の男子はそう言って頭を抱えた。
 ここは『ワールドエンド』に閉じ込められていた人が授業を受ける場所だ。
 と言っても、僕は彼のように頭を悩ませることなく普通に理解することができた。
 というか、これくらい教科書読めば大体は分かるものじゃないか。

「ホント、瀬戸はなんか全てを悟りきった顔してるよな」
「そうかな?別に予習してたところだから分かってるだけだし、休憩時間に教えるよ」
「マジかよ!?ありがとう!」
「そこ、喋るなよー」
「ひぇぇ、バレた・・・」

 隣の席ということもあってか、彼とは仲良くなっていた。
 名前は江藤 佑真。
 ちょっとクセがついた髪で、顔はあどけない感じだった。

「あ、でも今日は昼はちょっと行く所あったな」
「えぇ・・・マジかよぉ・・・」
「たまには自分でやってみたらどうなんだよ?ま、放課後にまた図書室で教えてやるよ」
「マジでありがとう!お前がいないと俺留年する自信がある」

 そんなこんなで昼休憩。
 中庭に行くと、まだ彼女は来ていなかった。
 僕はベンチに座って、腕を組み目を瞑った。
 しばらくすると、ジャリ・・・ジャリ・・・と音がするのが分かった。

「僕の背後をとろうと思ってるなら、その考えは甘いぞ」
「なにそれ」

 見なくとも声の主は分かってる。
 ラルナだ。
 彼女は呆れた顔をして僕の隣に座った。

「背後とかとって何すればいいのよ?」
「羽交い絞め」
「あんた一応天才なのよね?その頭宝の持ち腐れじゃない?」
「一応ってなんだよ。冗談が通じないな」
「あんたが冗談を言うようになるとは、世も末ね」
「ひどいなそれ」
「それで、私のお昼ご飯はどこ?」
「ここだよ」

 僕は横に置いていたバスケットを渡す。
 中身を見て、彼女は顔をしかめた。

「女子力高すぎでしょ・・・私勝てる気しないよ・・・」
「伊達に3年間引き籠ってないからね」
「普通それだけでここまで上手くならないよ」

 僕がつくった綺麗な形のサンドイッチを見て溜め息を吐いた。
 実は前に料理に興味を持ったことがあり、しばらく熱狂的にやったものだ。
 僕は、少し大きめのを1つ取り、残りを渡した。
 彼女は1つを取り出して頬張った。
 やっぱり美人ではあるんだよなーなんて考える。
 僕は食べ終わったので、彼女の横顔を観察させてもらう。

「なにジロジロ見てるの?」
「君が美人だからつい・・・」

 咄嗟に本音を言ってしまった。
 彼女は、なんと顔を赤くして俯いた。

「な、なにを、突然・・・・・・」
「いや、つい本音が・・・・・・」

 僕らは照れて目を逸らした。
 しばらく沈黙が流れた。
 なんとなく、彼女の方に手を近づけて、指を絡めた。
 一瞬ビクッとしたが、すぐにギュッと握ってくれた。
 こうして、時間はゆっくりと流れて行った。

Re: 【第2シリーズ突入】ワールドエンド ( No.59 )
日時: 2015/07/11 21:37
名前: 凜太郎 (ID: kct9F1dw)

5:日常

 『ワールドエンド』から解放されて一ヶ月が経った。
 あれから平和な日常を送れていた。
 学校では数少ない友人と雑談をしたり、ラルナと一緒に昼ご飯を食べたり、放課後は佑真に勉強を教えてやったり、『ワールドエンド』をやったりしていた。
 分かったこともいくつかある。
 まず、ラルナの本名は楽野 瑠奈らしい。
 楽野という本名は聞いたことがなかったので、正直驚いた。
 それと、あの『ワールドエンド』に閉じ込められる事件は実はゲームにダイブするための実験だったらしい。
 大体の者は怒り狂っていたが、僕はあまり怒りは感じなかった。
 だって、あれのおかげで外に出られるようになったし、恋人もできた。
 今の日常はかなりと言っていいほどに幸せだった。
 正直、こんなに幸せでいいのかと思うほどだ。
 でも、漫画や小説じゃあるまいし、いきなり何度も日常が崩れ去るようなことはないだろう。
 僕はそう、油断していた。
 それは、いつものようにゲームを楽しんでいた時だった。

「おるぁッ!」

 ダンジョンの主をぶった斬り、僕は外に出た。

「ふはぁ、やっぱりこれは快感だなぁ・・・」

 僕はそう呟いて前髪を掻き上げた。
 空を見上げた時、突如空に異変を感じた。
 黒い怪しいナニカが立ち込めていた。
 僕は恐怖を感じて町に戻ろうと走った時だった。
 雷のようなものが僕の体を直撃した。
 浮遊感を感じて、僕の意識は途絶えた。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「ん・・・ここは・・・・・・?」

 目を覚ますと、そこは暗い森の中だった。
 僕は自分の体に異変がないかを確認して、立ち上がった。
 その時、どこからか声がした。

『今から、ここで殺し合いをしてもらいます。ちなみにここで死ぬと現実での死を意味します。嘘ではないです。最後の1人になるまで続きます。それでは、頑張ってください』

 淡々とした言い方でそう告げられた。
 一瞬混乱しそうになったが、すぐに僕の頭は理解する。
 そうか、今から殺し合いをして、死んだら本当に死ぬのか。
 僕は静かに始まりの時を待った。

「それでは、みなさん。頑張って下さい。開始』

 こうして、僕らの戦いの火蓋は切って落とされた。

Re: 【第2シリーズ突入】ワールドエンド ( No.60 )
日時: 2015/07/12 20:24
名前: 凜太郎 (ID: kct9F1dw)

6:殺し合い

「ハァ・・・・・・ッ!うおらッ!」

 どこからか、人が倒れる音がする。
 僕は物陰からその様子を覗いた。
 狂ったように武器を振り回す男が1人いた。
 彼は、たしかティベルだったか。
 アイツもこれに参加していたのは正直意外だった。
 あの時のへっぴり腰からは想像ができないほどに彼は強かった。
 見ている限りでも、既にかなりの人数を倒しているように思える。
 僕は彼の背後に近づいた。
 すると、突然目の前を剣が掠める。
 僕はわずかに体を反らしてそれをかわす。

「あれ、セツトさんじゃないですか?どうしてこんなところに?」
「お前と同じさ。この殺し合いの参加者だよ」

 そもそもコイツもいずれ殺さないとこれは終わらないだ。
 僕は剣を抜いて、突きを食らわせようとするが、あっさりとかわされてしまう。

「同じ?俺はちょっと違うんですよ」
「違うって、どういうことだ?」

 ティベルが振った剣をかわしながら僕は聞く。
 彼は少し苦笑いしながら答える。

「実は、俺なぜかコンピューターに操作権を乗っ取られてしまったらしくて・・・。こうして他のプレイヤーを殺すということを義務づけられてしまったんですよ」
「そんなことあるのかよ。でもさぁ、そのわりにはあっさりした表情してるな」
「なんか、頭が普通に理解しちゃった感じで・・・。まぁしょうがないかなぁ、なんて思ったんですよ」
「そうなのか」

 そんな会話をしながらも闘う。
 なるほど、だからめちゃくちゃ強くなってるのか。
 僕は嘆息しつつ、首元を狙った。
 しかし、それも剣で簡単にあしらわれる。

「なんかキャラ変わったな」
「そうかな?」
「あぁ。前よりも丁寧になってるような感じがする」
「自覚はないけど、もしかしたら変わってるかもしれません」
「そうか・・・」

 僕は彼の懐に潜り込み、大きな腹を斬る。
 少したじろいだような気がしたが、すぐに立て直した。
 その時、突然間に飛んできた剣が突き刺さる。
 双方驚いた瞬間、水色の髪の男が現れてティベルの体に剣を叩きつけるようにした。
 何が起こってるのか混乱している内に誰かの手によって引きはがされた。
 いい臭いが鼻を撫でる。
 視界の端に、桃色の髪が映り込んだ。
 そのまま地面に背中が打ちつけられる。
 見ると、リムとかいう女が立っていた。

「は!?おま、なんでここに!?」
「ちょっとね♪」

 リムはそう言って視線を激闘が行われてる所に向けた。
 見ると、リア、とかいう男とティベルが死闘を繰り広げていた。
 しばらくして、ティベルの首がどこかに吹き飛んで闘いは終了した。
 リアは返り血を手で拭いつつ僕に近づいた。

「君、大丈夫か?」
「えっと、はい・・・ってか、あんたら何者なんだよ!?」

 僕の問いに二人は戸惑うような素振りを見せた。
 僕はさらに問い詰める。

「色々とおかしいんだよ!大体なんでティベルを殺すんだ!?アイツだってこのゲームの被害者だ!たしかに、ちょっと見た目はアレだけどさぁ!」

 感情的になって叫んでしまった。
 肩で息をする僕を、リアは蔑むような目で見つめた。
 やがて、小さく言葉を紡いだ。

「彼は、コンピューターだ」

 冷酷に、彼は言った。
 僕は、言葉の真意が分からず、唖然とすることしかできなかった。

「は・・・・・・?どういう、ことだよ・・・・・・?」
「言葉のままの意味だ」
「詳しく、説明をしてくれよ!」
「しょうがない。いいか?ここを運営する会社は、この世界でかなりの人間を実験体にした」
「あ、あぁ・・・」
「もちろん自分達がダイブするのも危険。しかし、プレイヤーの様子は観察しなければならない」
「まさか・・・・・・」
「あぁ。そこで、コンピューター。つまりAIを投入した」

 僕は一度深呼吸をして彼の言葉の続きを待った。

「とはいえ、あまりにも変な感じにすると浮くので、プレイヤーや村人と同じような姿にした。しかし、しばらくすると彼らは暴走し始めた」
「暴走?」
「賢すぎる人工知能。当然、意志の一つも持つだろう?それで、みんな色々なプレイヤーに近づき、殺した。とはいえ、結局は現実の方で目が覚めるから、まぁ大丈夫ではあるが」
「まぁ、そうだよな・・・・・・」
「でも、全ての人間がここを自由に出入りできる今、奴らはそのプレイヤーを皆殺しにすることにした」
「それで、この殺し合いか・・・」
「あぁ。そうだ」

 リムが退屈そうに綿毛を飛ばすのを視界の端に確認しながら、僕は今の会話を頭の中で何度か反芻した。
 ・・・・・・信じられない。
 すると、彼は凛とした表情で言った。

「でも、最後の一人にならなくても、みんな助かる方法がある」

Re: 【第2シリーズ突入】ワールドエンド ( No.61 )
日時: 2015/07/14 20:49
名前: 凜太郎 (ID: kct9F1dw)

7:解決策

「それって・・・どういうことだよッ!?」
「まぁまぁ、落ち着けよ。一応簡単な話なんだけどな」
「なんだよ?一体・・・」
「コンピューター共を皆殺しにする」

 髪に綿毛がつくことも気にならないくらいに、僕は唖然とした。
 コンピューターを全部倒す。
 一見簡単なことのようだが、コンピューターはプレイヤーや村人の姿をして紛れ込んでいるのだ。
 強さだって、そこそこ強い程度ならばれないだろう。
 と、そこで僕は疑問に思ったことがある。

「なんでティベルのことは分かったんだよ?」

 僕の問いに、彼らがたじろいだのが分かった。
 少しして、リムが何かを投げてきた。
 見ると、そこにはプレイヤーや村人の写真がビッチリと並べられていた。
 分厚い本が一冊、そこに置いてあった。

「それ全部覚えておいたの。それで見覚えのない顔があれば殺すだけ」
「おい、リム・・・・・・!」
「ここで黙っていても良い事なんてないでしょ?彼はラルナの彼氏。つまり私達を裏切る可能性は限りなく少ない」
「あの・・・・・・それってどういう・・・・・・?」

 話に付いていけずに、僕はつい質問をした。
 リムはその童顔に似合わず、色っぽい動作で前髪を掻き上げながら言った。

「私たちは『紅蓮の騎士団』諜報部員、リムとリア。以後、お見知りおきを」

 今のリムの感じはどことなくラルナに似ている。
 やはり外で活動する場合はキャラ的なものをつくったりするんだろうか。
 彼女は妖艶な笑みで僕の顎を撫でた。

「それで、セツト君?この話を聞いてどう思う?」
「ふぇ・・・・・・?えぇっと・・・・・・」

 大人の魅力に、僕は言葉が続かない。
 すると、いきなり彼女の首根っこが掴まれた。

「リム。ラルナの真似事はやめないか」
「えー。だってラルナの演技力かっこいいじゃーん」
「まぁ、あれはすごいが・・・とにかく、この話は終わりだ」
「むぅ・・・・・・」

 僕は少しホッとしながら、立ち上がった。
 服についた泥を叩き落として、伸びをした。

「それで、これがあればコンピューターとプレイヤーの違いが分かるのか」
「でも、セツト君には難しいんじゃないかなぁ?」
「これでも一応天才小学生と呼ばれた男だからな」
「関係なくね?」

 僕は何気なしに本を開いた。
 よく見ると、それぞれ個人情報のようなものが1人1人これまたびっちりと書かれていた。
 無意識に自分のページを探した。
 すると、これまた気味が悪いくらいにびっちり書かれていた。

 セツト(魔法戦士)
 レベル 69
 ギルド『オーバーワールド』のリーダー
 しかし、襲撃がきっかけでギルドは解散
 イジメがきっかけで引き籠りになった経緯を持つ
                   etc・・・

「何これ怖い!」
「君の情報の大半はラルナが送ってくれたものだよ」

 ラルナが調べた情報だと聞くと、少しだけ心が温かくなった。
 もしや彼女にはツンデレの素質があるのではないだろうか・・・・・・。

「まぁいいよ。協力する。その代わり裏切ったらお前らを呪い殺してやる」
「そっくりそのまま返すよ」

 さて、この殺し合いを終わらせるか。


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