コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 【参照1000越え】ワールドエンド【感謝】
- 日時: 2016/01/16 22:38
- 名前: 凜太郎 (ID: 6kBwDVDs)
初めましてか何度目まして。
凜太郎といいます。
今回から書いていく物語は、とある引き籠り少年がゲームに閉じ込められる話です。
超人気オンラインゲームに閉じ込められた多くの人々。
彼らの運命やいかに!
他にも、同ジャンルに音の無い恋という作品を出しています。
もしよければ、そちらも読んでください。
では、よろしくお願いします。
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- Re: ワールドエンド ( No.15 )
- 日時: 2015/06/29 14:56
- 名前: 凜太郎 (ID: kct9F1dw)
11:旅
調べてみると、エリンの家はドラゴンワールドにあることが分かった。
実は1つのワールドはかなり広いのだ。
ゲームだった頃は瞬間移動の手段もあったのだが、なぜかそれらは使えなくなっていた。
幸い、幾多ものワールドは大きなピザを切り分けたような感じで繋がってる。
なので、央都『ターニング』に着けば、すぐにドラゴンワールドに入れる。
「しかし、この辺の道はひどいな。なんで普通の道を使わないんだ」
普段は文句なんて絶対言わないダイキが顔をしかめた。
といっても無理はないだろう。
大きな木の根や石で道はボコボコ。
下手したらすぐにでも転んでしまう。
実際今も影丸が転びそうになったが、ダイキが支えてあげていた。
2人が良い感じなのは気にくわないな。
「でもさ、モンスターに全く会ってないのはラッキーだよね」
「あぁ。ここでモンスターに会ったりしたらまともに戦えない」
「会わないためにここを通ってるのに、会うわけないだろう」
僕の言葉に2人は驚いた顔をした。
「え!?そうなの!?」
「あぁ、元々ここはゲームでは使えなかった獣道だ。つまりシステムの落とし穴ってわけ。たしかにここを通るのは疲れるけど、恐竜と戦うことに比べたら楽だろ」
「お前はホント聡明だな」
その言葉を聞いた時、僕の胸は微かに痛んだ。
記憶の断片が頭をよぎる。
『お前はホント頭いいよなー。羨ましいよ』
嘔吐感が腹の奥から湧き上がってくるが、なんとか押し留める。
そしてなんとか笑顔をつくり、ダイキを見た。
「聡明なんて、大袈裟だよ」
「でも頭はすごく良いと思うし、俺は尊敬するよ」
照れくさくなり、僕は前を見た。
でも、心の奥のもう1人の自分が呟いた。
こんな僕なんか、尊敬しない方が良いよ、と。
「でも疲れるのは事実だよねー。ていうか一日で央都まで行くつもり?」
「いや、中間地点の辺りに村が1つあるから、今日はそこで休もうと思ってるけど」
それから数時間して、泥だらけになりながら村に着く。
宿屋を探してると、前に話しかけてきた3人組がいた。
「あっ・・・・・・」
「ん?」
赤髪の男は僕を見ると驚いた顔をした。
そしてヘラヘラと笑いながら近づいてきた。
「おお兄ちゃん〜、久しぶりじゃん!」
肩を組もうとしてきたので、腕を叩き落とした。
どうもこういう人間は苦手だ。
「どうした?知り合いか?」
「知り合いっていうか、この世界に来たばかりの時にちょっとね」
「なぁなぁ、そいつらも含めて俺らと一緒に行かない?」
「悪いけど今はちょっとクエスト中だから。ごめんね」
そんな感じで、僕らの冒険一日目は静かに幕を閉じた。
セーブ画面は存在しない。
- Re: ワールドエンド ( No.16 )
- 日時: 2015/06/29 18:21
- 名前: 凜太郎 (ID: kct9F1dw)
12:二日目
朝。
僕は体を起こし、うーん、と伸ばした。
この世界では感覚は現実のものと同じになるようだ。
口の中が、寝起きのせいかヌチャヌチャする。
部屋を見渡すと、ダイキが布団を蹴り落としていたので、僕はなんとなくかけ直してやった。
影丸は別のベッドで自分の枕を抱いて安らかに眠っていた。
起こさないようにゆっくり歩き、洗面台で顔を洗う。
するとお腹がキュルル・・・と鳴った。
そういえば腹減ったな。
時計を見ると6時半だった。
たしか起床は7時と伝えたハズなので、僕はベッドに潜った。
顔を洗ったため、眠気は覚めていたので、暇つぶしに天井を見上げてみた。
あ、あのシミなんか顔みたいだな、と考えながら時間が過ぎるのを待つ。
「ふぁ・・・あ、セツト君。おはよー」
影丸が眠そうな目をこすりながら挨拶をしてくる。
僕はその光景に苦笑いしつつ返事をする。
「おはよー。顔洗ってきなよ。ひどい顔してるよ」
「マジで?わかった〜」
時計を見ると7時をちょっとすぎていたため、ダイキの腹を蹴って起こす。
そして身支度を整え、僕らは宿屋を後にした。
レストランで朝食を食べて、8時に町を出た。
「セツト。まさか今日もあの道を使うの?」
「え、あたりまえじゃん(笑顔)」
というわけで今日も僕らは獣道に入った。
今日も今日とてダイキと影丸が良い雰囲気になるのをイライラしながら止めつつ、一行は央都に向かう。
「あ、あれなんだろ」
しばらく歩くと井戸が1つあった。
「おお、ついでに水でも飲もうか」
「そんな時間ないよ」
「一応調べてみようよ」
影丸がなんとなく紐を引っ張った。
すると、空っぽのバケツが1つ出てきた。
すると、突然ダイキが紐に掴まり下に降りた。
慌ててその紐を掴むが、足を上手く踏ん張ってなかったため、一緒に落ちてしまった。
「・・・んぁ」
目を開けると、はるか上空の穴から入ってくる光に僕は目を瞑った。
横を見ると、ダイキが倒れていた。
とりあえず朝のように腹を蹴って起こした。
「あぁ、セツト・・・・・・。ここは?」
「お前のせいで井戸の底だよ」
「ほぉ」
ダイキは自分が落ちてきた上空を見上げると、頭をボリボリと掻いた。
「まぁ、なんだ。すまないな」
「謝って許されるなら警察はいらないよ」
しかし、これは困ったな。
壁を触ってみたが、登れそうにない。
「大体、なんでここに降りた、いや落ちたんだ?」
「ダンジョンがあると思って」
「ここはシステムの落とし穴だぞ?隠れダンジョンなんてあるわけねーだろ」
「そう、だよな」
僕は上空に向かって叫んだ。
「影丸ッ!縄を下ろしてくれよッ!」
しかし、反応がない。
もしや聞こえてない?
「くそッ!」
僕は壁を蹴った。
パラパラと砂が落ちた。
そしてその場に座った。
「えっと、セツト?」
「なんだよ」
「ごめん」
そう言って土下座をした。
僕の苛立ちが伝わったのか。
年上に土下座されるのも初めてなので、僕はちょっと悪戯をしてやりたくなった。
しかし、考えても思い浮かばなかったので、ただ彼の髪を見てるだけだった。
「あー、もういいよ。思えば僕は勝手についてきただけだし」
「よかった」
暇だな。
僕はなんとなく聞いてみた。
「ダイキはさ、リアルでは何してたの?」
- Re: ワールドエンド ( No.17 )
- 日時: 2015/06/29 18:47
- 名前: 凜太郎 (ID: kct9F1dw)
13:世間話
僕の言葉に、彼は少し驚いた顔をした。
「おいおい、どうしたんだ急に」
「いや、ちょっと気になったんだ。言いたくないなら別にいいけど」
ダイキはしばらく考えたあと、ニカッと笑った。
「これでも大学生をちゃんとしてたよ」
「いや、さすがに嘘はいけないよ?」
「嘘じゃないよ。まぁ結構底辺のほうなんだがな」
意外すぎるカミングアウトに、僕は茫然としていた。
てっきりフリーターとかかと思ってた。
「ははっ、そんなに意外だったか?」
「う、うん」
「よく言われるよ。体力バカとか言われたりしてたな」
「僕もそれは思ったことあるけど」
「だろうな。ま、語るほどのドラマもなかったけどさ」
「でもすごいよ。大学生とか」
僕は高校すら行けないけど・・・・・・。
「お前に褒められると嬉しいものだな。なぁ・・・」
「ん?」
「お前の過去についても、教えてくれよ」
僕は言葉につまった。
僕の、過去・・・。
引きこもりになってることについて?
いや、もっと前・・・・・・。
そう、3年前の・・・・・・。
「2人ともッ!縄もってきたよッ!」
見上げると、影丸がロープを掲げていた。
僕はホッとして立ち上がった。
なんとか這い上がり、僕は地面に寝転がった。
ダイキもその横に寝転がり、体を伸ばした。
すると、小さい声で、
「過去の話は、大丈夫だからな?」
と呟いた。
僕はその言葉に甘えることにした。
影丸がちょっと退屈そうにそていたので、僕らは起き上がり、道を急いだ。
「お・・・おおッ!」
あれから数時間。
僕らはようやく央都『ターニング』に辿り着いた。
ひとまず体が疲れていたので、宿屋に行った。
部屋に行き、僕らはそれぞれベッドに倒れこんだ。
ダイキはすぐにいびきをかきはじめた。
影丸は枕をポフポフと整え、顔をうずめた。
僕は仰向けで天井を仰いだ。
色々な意味で疲れた。
特に井戸に落ちたとか、マジで疲れた。
「僕の過去、か・・・」
なんとなく呟いてみる。
今から3年前の出来事が頭をよぎる。
突如、胸が痛んだ。
嘔吐感が体を襲う。
あ、これはヤバいな。
僕はトイレに行き、しばらく吐き続けた。
いつのまにか出ていた涙が口の中に入る。
しょっぱいな。
僕は静かにベッドに戻り、眠りについた。
- Re: ワールドエンド ( No.18 )
- 日時: 2015/06/30 14:57
- 名前: 凜太郎 (ID: kct9F1dw)
14:ドラゴンワールド
央都『ターニング』。
全てのワールドにおいての分岐点にて、世界の中心。
よく自分が世界の中心だと勘違いしてる、とかよく言うけどここにいたら間違いではないだろう。
そんなアホらしいことを考えながら、僕は村人の男に声をかけた。
「すいません。ドラゴンワールドにいきたいんですが、入り口はどちらでしょうか?」
「あぁ、それならこの道をまっすぐ行って突き当りを右に行った所だよ」
「そうですか。ありがとうございます」
僕らは言われたとおりに進む。
すると、門のようなものが1つあった。
そういえばここに来る時もあったな、と思いつつギィッと開ける。
「ぅお・・・・・・」
途端に風が頬を撫でる。
なんていうか、獣道が可愛く見えるほどに石がゴツゴツしてる。
丘がいくつもあり、どれもが岩でボコボコしてるのだ。
整備された道なんて1つもない。
「これってもしかして・・・・・・?」
「あぁ、このろくに整備もされていない道を歩いて行かないといけない」
僕らはとにかく歩いた。
しかも、ここは余裕でモンスター(主にドラゴン)と遭遇するので戦うのも合わせて僕らの体力は削ぎ落とされていった。
「たしか、この、町・・・・・・」
数時間歩き続け、なんとか町に辿り着いた。
僕らは中に入り、エリンの家を探す。
「あ、あそこじゃないか?」
地図と一致する。
僕はその家の扉を2回ノックした。
すると、扉が開いて可愛らしい少女がピョコッと顔を出した。
黄緑色のボブカットの髪に黄色い目。
僕は目つきの悪さをカバーするため、笑顔をつくり、上から目線だと圧迫感があるので、しゃがんで話しかける。
「こんにちは」
「こ、こんにちは・・・・・・」
「君がエリンちゃんかな?」
僕の問いに少女はコクッと頷いた。
僕かダイキにロリコンの趣味がなくて良かった。
「そうなんだ。実はクエストを受けてきたんだけど、お兄さんが行方不明なんだってね?」
「うん。もう2週間も帰ってこないの」
2週間なんて、普通に考えるとおかしい。
僕は一度2人に目配せした後、エリンちゃんに向き直る。
「ねえ、行方不明になる前、変なことなかった?」
「えっとね、なんか空が変な色になって、いろんな人達が来て、いきなり暴れ出したの」
「ふむ」
「それで、お兄ちゃんが町の様子見てくるって言って、出て行っちゃって」
「そっか。分かった、僕たちが絶対お兄ちゃんを連れ戻してみせるからね」
「本当ッ!?やったぁー!」
幼女の笑顔とはここまで癒されるものなのか。
いや、僕にロリコンの趣味なんて断じてないからな!
「さて、話から察するに誘拐された可能性が高いと思う」
「それが誰なのか、だな」
「私はプレイヤーだと思う。あの混乱の中でつい誘拐しちゃったってこともあると思うの」
「それなら村人でもありえるよ」
僕らはそれから話し合い、情報をもっと集めることにした。
- Re: ワールドエンド ( No.19 )
- 日時: 2015/06/30 14:56
- 名前: 凜太郎 (ID: kct9F1dw)
15:人探し
僕らは、ひとまず情報を集めることにした。
それぞれで村人やプレイヤーに話しかけ、カインの情報を集める。
3日ほどそれを続け、いくつか良い情報を手に入れることができた。
それを、簡単にまとめてみた。
・あの日、村を走り回ってるカインを見かけた。
・大きな袋を担いだ何人かのプレイヤーを見た。
・大きい袋を持って建物に入っていく男を見た。
これでプレイヤーがカインを捕まえたことは確定した。
僕らはその建物に入った。
すると、話し声が聞こえてきたので、息を潜めもの影に隠れた。
「ヒャハッもう大分人溜まってきた頃だろ」
「そろそろ売ろうか」
「あぁ。1人何十万で売れるかなぁ」
ばれないように顔を出すと、檻のようなものにたくさんの人が掴まってるのを見つけた。
僕は石を投げて2人に気付かせ、口パクで会話する。
『どうする?』
『もちろん、叩き潰すまでだ』
『賛成。もう行ってもいいでしょ?』
『じゃあ、ここはお前らに任せるよ。僕は檻をなんとかしてくる』
それを見た瞬間、影丸は男どもに斬りかかる。
僕は剣をかまえ、檻に突っ込む。
人に当たらないように気を付けながら檻に剣をぶつけた。
微かに傷がつく。
「離れててッ!」
僕が言うと、みんな詰めてなんとかスペースができる。
『ポイズンフォース』で毒素を纏わせ、斬りかかる。
すると、そこからドロリと溶けはじめ、さらに広がり人1人くらいは出れるくらいの穴はできた。
「並んで、お好きなようにどうぞ」
僕の言葉を聞いて、みんなはゾロゾロと出てきた。
見ると影丸とダイキも片付けたようだ。
あ、そうだ。
「この中にカインさんはいますかぁ?」
僕の声に、1人の青年がこちらを振り返った。
青い髪の長身のイケメンだ。
雰囲気がなんかリアルにあった音楽ソフトウェアの1人に似てるな。
名前も似てるし、まさか・・・・・・まさかね。
「あの、なんですか?」
見下ろされて悔しいが、僕はクエストのことを話した。
すると、慌てて頭を下げた。
これにて、一件落着かな。
僕が安堵したその時だった。
「あ、あの・・・・・・」
声がした方を見ると、美少女が1人立っていた。
水色の長髪に黒い目の少女だ。
服装的に魔術師か何かかな?
「なに?」
「私、実は冒険者で。ずっとここに捕まっていたんです」
あいつら、見境なしかよ。
僕は苦笑いしつつ、答える。
「あー、それは大変だったよね。よかったね、助かって」
「そうですね。えっと、それでですね」
彼女は恥ずかしそうにモジモジしたあと、俯きながら呟く。
「よければ、私もあなたのパーティに入れてほしいなー、なんて・・・」
ボフン、と頭の中で音がした。
なにこの子。超可愛い。
僕は彼女の手をとり、ブンブンと振った。
「うん!大歓迎だよ!」
彼女はいきなり手を握られたからか、顔を真っ赤にしてた。
僕は慌てて離した。
そういえばもう誰にでも話せるようになったな。
ダイキのおかげだな、うん。
「なにその子。新入り?」
「おお、可愛いな」
2人がこちらに来たので僕も笑顔で答える。
「うん。えっと、名前は?」
「あ、えっと。ラルナといいます。よろしくお願いします」
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