ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- あやかし荘 完結しました
- 日時: 2010/11/14 12:00
- 名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v=0V8-_hj3bcc
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眠たがりですが、お付き合いくださいませ。
イメソン 紅一葉
urlにて。
用語説明>>103
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- Re: あやかし荘 ( No.66 )
- 日時: 2010/10/22 19:41
- 名前: 御伽噺 (ID: 8hgpVngW)
まあ…半妖の時の林太郎見えましたしね。
日記はもしか、優香の日記だったりします?
うーん…あ、だったら鬼倫と兄妹(?)になってしまいますね、ないか…。←
ま、有り得るかも、という範囲で見ておきます。
- Re: あやかし荘 ( No.67 )
- 日時: 2010/10/23 09:22
- 名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
日記についての推理は見守っておきますっ
徐々に見えてくると思いますからっ
- Re: あやかし荘 ( No.68 )
- 日時: 2010/10/23 10:36
- 名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
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糸目荘を出て、坂道を自転車で思い切りくだる。
田んぼばかりの道をひたすらこいで、約10分。 割と近い、この田舎にただ一つの私立高校、東雲高校。
姫斗と明弥と同じような、どこか緊張したような雰囲気の生徒が親と一緒に校門付近に集まってる。
「優香さんはいつくるって?」
「式が始まる5分前」
「……修学旅行みたいに、10分前行動5分前集合じゃないんだからさ」
そんな話をしながら、自転車置き場に行くと、
「………」 「………」
周りの生徒から浮きまくりの、少し変わった生徒がいた。
入学式だというのに正装ではなく、普段着だと思える赤いフードを深く被り、そこから除く目は猫のように大きい。
しかも、左手には可愛らしい人形をはめている。
彼女──千登里と、姫斗の目が合う。
「………」 「………」 『………』
しばらく、3人の中に沈黙があった。
しかし。
『ちょい〜、そこにチャリの鍵落ちてねぇ〜?」
「え?」
巧みな腹話術で話しかけてきたその女子生徒に、姫斗たちは面喰う。
足元に小さな鍵が落ちているのに気付き、明弥が拾う。
「はい。 これかな」
『あ〜、どうもどうも〜』
右手でそれを受け取る際、二人の手が微かに触れた。
『……どもども〜。 んじゃねぇ』
軽く手をふって、校舎に向かう千登里を不思議そうに見て、特に気にしてない姫斗と、
──絶対、半妖だよな。 あの感じは。
一人気づいた、明弥。
先ほど触れた手をじっと見て、妖気を察していた。
「どうしたの、明弥」
「なんでもない。 行こうか、クラス。 同じクラスだといいんだけど」
「そうだね」
二人が話しているあいだ。
黒猫の半妖である千登里は、スッキプしながらニヤリと笑う。
『同じクラスだといいな〜』
- Re: あやかし荘 ( No.69 )
- 日時: 2010/10/23 11:07
- 名前: 御伽噺 (ID: 8hgpVngW)
…千登里と姫斗が同じで明弥が別だと予想します\(^0^)/
てか、優香サン真面目なんだか面倒くさいんだか読めない人です。
- Re: あやかし荘 ( No.70 )
- 日時: 2010/10/23 13:37
- 名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
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♪
「あんなちっさいアンタが、こんな立派になるとはね」
「………頭なでるな」
ソファでくたりと寝ているのは、狐だった。
白く、美しい毛並みを持ち、可愛らしい耳としっぽが揺れている。
優香に頭を撫でられ、口では嫌がっているが、気持ち良さそうに目を細めている。
「ホントに入学式行かないの?」
「パス。 最近、妖気の使い過ぎでエラいんだ」
狐の姿の林太郎は、よほど気を緩ませているのか、無防備に腹を見せている。
静かな時間が過ぎていると、糸目荘のインターホンが鳴り、扉が開く。
「糸目の旦那〜。 ちょっくら耳に入れといてほしい事があるきに、お邪魔するでぇ」
そんな軽い口調でやってきたのは、妖怪だった。
着物を着て、淡色の髪を棚引かせ、姿は人間に近いが、顔に紋章があり、両手は異形を成していた。
「どわっ、里深の人間がおる! これまたえらくべっぴんじゃきのう」
「あらら〜よく里深の人間って分かったわね。 こんな格好なのに」
「自覚あったんかよ」
林太郎はボソリと言ったが、優香には聞こえてなかった。
「そりゃ匂いがそうじゃき。 オレは100年生きてっけど、同じような匂いがするき」
「牛丸、お前カレーの匂いがすっぞ」
林太郎にそう言われ、くんくんと自分の匂いを嗅ぐ。
唸りながら、 「……いや、せんし」 「嘘だよ、バカか」 「まっこと可愛げのない半妖のガキじゃの」
牛丸、とよばれた外見は若い男の妖怪。
狐の姿のまま、林太郎はノロノロとソファから下りる。
床に足のつま先が触れた瞬間、
「…………」
林太郎は人間の姿に戻った。
「覚醒してから、不安定だった妖気も安定したようね」
「おかげさまで。 それで牛丸、オレに用があってきたんだろ。 なんだ?」
大きく伸びをする林太郎を横目に、牛丸はお菓子をつまみ食いしながら、
「昨夜、ちょいと変なもの見たんじゃきど」
「えらくもったいぶるわね。 さっさと言いなさい」
「人間の死体、なんやきど」
その言葉に、優香と林太郎がバッと牛丸を見る。
お菓子の食べかすを口元につけ、牛丸はキョトンとする。
「死体ちゅーても、食べカスじゃけんな」
「食べカス?」
「どこにあったのかしら」
「裏山の中やき。 えらく血の匂いがして、なんやろ思ったら、辺り一面真っ赤。 あれ、数人やられてるっぽいき」
人間を、食った。
「妖怪か?」
「人間喰らうまで暴徒化してるってわけ? 世も末ね」
「鬼、かも」
林太郎の言葉に、優香の眉がピクリと動く。
「鬼だったら、昔根絶やしにしたはずじゃろ? 誰だっけ。 鬼一族全員滅ぼした……」
「鬼倫」
その名を口にすると、大抵の妖怪たちは恐れ、怯えてしまう。
妖怪たちと深く関わってきた里深の当主として、優香は代々語られてきた血の歴史の重要人物の名を口にした。
「鬼倫。 鬼の血を引き継ぐ故、強力なる妖気で鬼らを滅亡した」
「……そいつ、まだ生きてんの?」
「生きてるとしたら……怖いわね」
そこまで言って、優香の視線が時計へと泳ぎ、
「あああああああああっ」
「!!?」
「入学式もう始まってる!!」
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