ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- あやかし荘 完結しました
- 日時: 2010/11/14 12:00
- 名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v=0V8-_hj3bcc
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眠たがりですが、お付き合いくださいませ。
イメソン 紅一葉
urlにて。
用語説明>>103
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- Re: あやかし荘 ( No.131 )
- 日時: 2010/11/08 16:15
- 名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
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鬼倫と亜鬼はとても仲がいいです。
できれば、この幸せがずっと続きますように。
まあ、でも。
鬼倫は今反抗期だし、ちょっと不安かしら。
それでも私は、鬼倫も辰美も亜鬼も、とても愛してる。
明日は、辰美と奏さんが帰ってくる。
夜には鬼倫も帰ってくるので、みんなでお酒を飲みましょう。
亜鬼は、寝ちゃっていると思うけど。
ここで、日記は終わっていた。
おそらく、いや絶対にこの翌日に鬼倫が裏切ったのだろう。
「それ……なんでアンタが持ってんだよ」
「森の主と呼べ。 ──その当時の里深当主、奏が亜鬼のついでに護りきった、梅雪の日記じゃ。 まあ、その後ワシに預けたのじゃがな」
姫斗が日記を大事に抱え込む。
「おい……、この妖気……」
「ああ。 ちっと前に鬼倫が現れた」
「マジかよ」
伊月が舌打ちをし、姫斗の腕を引っ張る。
「え、なに」 「どっか怪我してねぇだろうな」 「してないよ、ありがとう」
気まずそうな姫斗を見て、伊月は溜息をつき、彼女の額にデコピンした。
「いてっ」
「別に、気にしてねぇよ。 ──オレにも、そんな時期あったし。 妖怪嫌いなのは、今も同じだし」
「……っ、あり、がとう」
また泣いてしまいそうだったため、顔を見られないように俯く。
ニヤニヤと伊月を見ていた森の主が、
「しっかしお前も心が丸うなったというか……。 人間らしゅうなったのう」
「うるせぇ」
ぶっきらぼうに返事した伊月だが、内面嬉しくもあった。
林太郎が頭を掻きながら、
「帰るぞ、お前ら。 糸目荘はちーと壊れすぎた。 修理頼んどくから、今日は里深神社の離れで泊まらせてもらう。 明弥と姫斗がそっから学校行け」
「なら、ワシはもう帰るかのう。 そうじゃ、里深の人間よ」
呼ばれて、姫斗が振り返る。
「今日のはワレの気まぐれじゃ。 今度は助けん。 一人でふらつくなよ、ニンゲンが」
しっかりと頷く。
もう一人で出歩くのは止めよう。
だけど。
──どうして、こうも違和感があるんだろう。
──鬼は……鬼倫は言っていた。 『鬼はどこだ』 と。
鬼倫以外にも鬼がいるのだとしたら──
今、どこで何をしているんだろう。
- Re: あやかし荘 ( No.132 )
- 日時: 2010/11/08 16:16
- 名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
鬼倫は自分も許したくないっすね!
>杵島茄武さん
- Re: あやかし荘 ( No.133 )
- 日時: 2010/11/08 16:59
- 名前: 杵島 茄武 ◆wWr1IKfGtA (ID: EUGuRcEV)
アキラさんはこのカキコのコメディー小説好きですか?
- Re: あやかし荘 ( No.134 )
- 日時: 2010/11/08 17:16
- 名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
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第7の書
学校では、卒業式の次の日に休んだ姫斗を心配してくれる人もいれば、ズル休みではないかと疑う人もいた。
「ちょっと……親戚が亡くなって」
「そうだったんだ。 ああ、そういえばあの変わった赤フードの子も休んでたんだよ」
クラスの女子が、チラと机に堂々と座ってガムを噛んでいる千登里を見た。
相変わらず赤フードで、ギョロリとした目と腹話術が特徴的だ。
「櫻井さん……だよね。 なんだか怖い、不気味な人」
「そうかな。 意外と喋りやすいよ」
嘘ではなかった。
目だつ外見だけど、以外と常識はある気がする。
入学式の日、女子二人と揉めはしたけれど。
でも、それよりも気にする事は。
──明弥が、あの子も半妖だって言ってたよね。
──お母さんが死んだ日に、あの子も休んでいた。
嫌な考えが浮かぶが、すぐさま振り払った。
♪
「………っ、もういいでしょ……っ」
呻く声は、微かに妖艶だった。
言われた相手は、そっとその首筋から歯を抜く。
「──くそ、喉が渇くな」
「半妖の血じゃ満足できないんだよ──鬼倫」
その男は鬼倫だった。
口から零れた血を舐めとり、深く息を吐く。
「妖怪を喰えばいいじゃん」
「そういうわけにもいかないんだよ、翡翠」
翡翠と呼ばれた、狼の半妖の少年が虚ろな目で鬼倫を見る。
どこか、欲求を抑えた目だった。
「──ねえ、鬼倫。 僕にもチョウダイ」
素直に口にすると、鬼倫が微笑む。
しょうがない子だねと、言われた。
「昼だと……どうしても弱まるんだ。 千登里はいいよね、人間が喰えて」
皮肉気味に翡翠が言う。 その視線は常に鬼倫の首筋をたどっている。
クスクスと笑いながら、
「分かりやす過ぎ」
鬼倫は首を傾け、「ん」 と挑発するように差し出す。
白い首を撫でて、その血管に歯をたてる。
皮膚は破れ、血はすぐに出てきた。
「………キミは、本能に忠実だね」
「それは──あなたもでしょう」
それもそうだと。 鬼倫が笑う。
翡翠は舌で血を舐めとると、コクリと飲んだ。
「鬼の血は、そんなに美味しい──?」
「美味しくはないけど、アンタの血ならそんなに嫌悪感はないかな」
そう言った彼は、もう傷口の塞がっている鬼倫の首筋を見て、微笑んだ。
無表情である彼が微笑むのは、珍しい事だった。 鬼倫も少し驚いて、
「キミも笑えるんだね。 笑えないのかと思った」
「僕は、とても愛しい人が目の前にいると、笑えます」
そうかい、と。
鬼倫もまた微笑んだ。
♪
優香が殺されて、一カ月が経った。
糸目荘も完全に修理されており、4人は再び糸目荘で生活していた。
「また読んでるのか?」
ソファに座って、梅雪の日記を読んでいた姫斗に、林太郎が呆れ顔で言った。
「うん。 なんだか、すごく不思議な気持ちになる」
「感化されすぎじゃねぇの? 掃除するから、どきなさい」
そう言われ、渋々ソファから降りる。 梅雪の日記を読むと、その時の彼女からの視点や、感情がすごく伝わってくる。
まるで、自分がその時そこにいたような錯覚になる。
日記によると、梅雪と辰美は従兄妹同士で、生まれる前から婚約が決まっていたらしい。
辰美はプレイボーイで、結婚直前まで遊び歩いていたが、梅雪にべた惚れだったらしいのだ。 逆に梅雪は、淑やかで芯の強い女性だという事が分かる。
──どうして、こんな良い人たちを殺したんだろう。
日記には、二人の子供の鬼倫と、妹の亜鬼の事も書かれていた。
喧嘩することもなく、仲が良い事がわかる。
しかし。
「……ここからだ」
鬼倫が人間年齢で16歳をむかえたときから、梅雪の不安が徐々に表れ始める。
「ここらで、鬼倫に何かあったんだ」
「なにが?」
後ろから明弥が日記帳を覗き込む。
「また読んでるんだ」
「うん。 なんかさ、すごく懐かしいって気もする」
「ふうん。 ──でも、鬼ねぇ。 鬼倫の他に鬼なんているのかな」
「鬼って死ねるの?」
「死ねるよ」
単純な質問に、明弥は即答する。
「妖怪にだって寿命はある。 鬼だって、心臓を抉れば死ぬんじゃないかな」
明弥にしては珍しく、エグイ事を言う。
姫斗の表情の変化に気づき、明弥は再び笑顔になった。
「怖がらせたらごめんね。 でも、鬼倫が辰美さんを刺したように、鬼なら鬼同士を殺せるんじゃないかな」
- Re: あやかし荘 ( No.135 )
- 日時: 2010/11/08 17:17
- 名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
コメディあんま見ません笑
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