社会問題小説・評論板

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花言葉の約束 完結しました、有難うございました。
日時: 2010/12/04 14:07
名前: 空花 (ID: 44GDRR0m)

sorakaに名前変更しました。大して変わっていません。

小説の実力はあまりないですが、宜しくお願い致します。

以前この話は「キャスフィ」というサイトでも書いていました。
文章とか題名とか違いますが、でももうそっちの方は挫折してしまったのでこちらのサイトでは完結させます。

前、ここでも同じような内容(っていうか同じですが)の小説を書いていました。それはその修正版です。
前は「心に刻まれたこの傷を  —虐待—」っていうタイトルでした。

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2010年 夏の小説大会大賞、有難うございます!

※この小説は完結しました。今まで応援してくれた方々、本当に有難うございました。

次回作でまたお会いしましょう。

Re: 花言葉の約束 ( No.86 )
日時: 2010/07/31 10:58
名前: 空花 (ID: zhnbqHwV)

私は家に向かって一歩一歩歩き出した。

もう怖くなんかない。

まだ、虐待になんて負けないから。


強くなる。


私は元来た道を思い出して、走り始めた。

街にはあまり人はいない。


私はまた石につまずきそうになったけど、自力で持ち直した。

そしてまた走り出す。

『花言葉の約束』を忘れずに。

しばらく走って、やっとマンションの入り口まで来た。

——ギイッ

私はマンションの扉を開けて、中に入った。

Re: 花言葉の約束 ( No.87 )
日時: 2010/07/31 11:05
名前: 空花 (ID: zhnbqHwV)

私はエレベーターに乗り、【7】の文字のボタンを押した。

エレベーターは動き出した。

琴音がここのマンションに住んでたらなあ……。

なんて、思った。

けれど琴音は私のマンションとは違う方向に帰った。

ちょっと残念……。

七階まで着いて、エレベーターの扉は開いた。

私はエレベーターを降りて、少し早歩きで家の【705】を目指した。

そして、【705】のドアの前まで来ると、ジャンバーのポケットからカギを取り出して、カギを開けた。

——ガチャ

ただいまは言わなかった。

答えてくれることはないだろうから。

Re: 花言葉の約束 ( No.88 )
日時: 2010/07/31 20:21
名前: 空花 (ID: zhnbqHwV)

部屋は真っ暗で灯りも何も点いていなかった。

——パチッ

私は電気のスイッチを押して、リビングに向かって歩いていった。

リビングは静まり返っていて、私が歩く音しか聞こえなかった。

お母さんは部屋で寝たらしく、リビングには居ない。

私は自分の部屋に戻り、ドアを閉めた。

部屋にはまだ割れたガラス——、あの写真立てが落ちていた。

さすがにこのままじゃあ、踏んでしまったら痛いどころではないと思い、私は部屋の壁にかけてあった小さなほうきとちりとりでその『写真立て』を片付けた。

私はそっと自分の手の平を見てみた。

琴音と握手したこの手。

お母さんに傷つけられてきたこの手。

どんな時だって、感情が私にはあった。

人間だから、当たり前だけれど、

悲しかったり、苦しかったり、辛かったり。

嬉しかったり、おかしかったり、幸せだったり。

今まで生きてきた中で、一番多かった感情は【悲しい】だと思う。

Re: 花言葉の約束 ( No.89 )
日時: 2010/07/31 21:05
名前: 空花 (ID: zhnbqHwV)

その時、棚からドサッと一冊のノートが落ちた。

私はそれを拾って、表紙を見てみた。

綺麗な空の表紙のノート。

表紙には、

[3年2組 三うら 七海]

と書いてあった。

三浦の浦の字は、よく分かんなくて小学5年生くらいまでずっとひらがなで書いていたことを思い出して、何だか懐かしい気持ちになった。

昔の私。

小学3年生の私。

——このノートの中に、小学3年生の私が居る。

会いに行ってみようか。

中身が何であるかは、よく分からないけれど、きっと懐かしいことが沢山書いてあると思った。

——パラッ

私はそのノートをめくって、一番最初のページを見てみた。

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7月15日 金曜日

明日から夏休み。

でも、お母さんが怖い。

家に居たくなんてない。

理音がこのノート、転校するからって皆に配ってたけど、理音が転校するなんてやだよ……。

理音がわたしの支えだったのに。

お母さんにひどい事されても理音が居たから、がんばれたのに。
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Re: 花言葉の約束 ( No.90 )
日時: 2010/07/31 21:04
名前: 空花 (ID: zhnbqHwV)

理音?

ノートを持つ手が少しだけ震えた。

親友だった、理音は。

お母さんに何されても理音が居れば大丈夫って、ずっと頑張ってた。

私はこのノートが日記だと分かると、下の日記も読んだ。

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7月16日 土曜日

お母さんひどいよ。

昨日は通知表を見せたら、結構いいほうだったのにおこられて叩かれた。

暑いから扇風機を使っていたら、お母さんにかみをひっぱられて、引きずられた。

どうして?

何でこんなことするの、お母さん。

いたいのに
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なぜか最後の【いたいのに】がすごく心に残った。

その下の日記は、ほぼ書き殴りで最初ぐらいしかしか読めなかった。

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7月17日 日曜日

いやだよ……お母さん

最初はこれがフツウだって思ってたけど

これがホントにフツウなの?って最近思うようになっちゃった

ちがう

これはフツウ

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