社会問題小説・評論板
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- 花言葉の約束 完結しました、有難うございました。
- 日時: 2010/12/04 14:07
- 名前: 空花 (ID: 44GDRR0m)
sorakaに名前変更しました。大して変わっていません。
小説の実力はあまりないですが、宜しくお願い致します。
以前この話は「キャスフィ」というサイトでも書いていました。
文章とか題名とか違いますが、でももうそっちの方は挫折してしまったのでこちらのサイトでは完結させます。
前、ここでも同じような内容(っていうか同じですが)の小説を書いていました。それはその修正版です。
前は「心に刻まれたこの傷を —虐待—」っていうタイトルでした。
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2010年 夏の小説大会大賞、有難うございます!
※この小説は完結しました。今まで応援してくれた方々、本当に有難うございました。
次回作でまたお会いしましょう。
- Re: 花言葉の約束 参照300突破です!ありがとうございます! ( No.65 )
- 日時: 2010/10/24 14:51
- 名前: 空花 (ID: UDFSasR1)
雨の雫が風に乗って空を舞う。
……その夜は、本当に幸せな夜だった。
いつもはとても冷たく、寂しい雨が、いつもはとても寒くて暗い夜が、 今日はとても暖かくて、まるで私達を優しく見守っているような——。
そんな、夜。
「……何で七海は自.殺なんて、しようと思ったの?」
琴音がちょっと遠慮しながらそんな事を聞いた。
私は全て話した。
お母さんの事。
虐待の事。
人が怖かった事。
琴音になら、全てを打ち明けられる。
他の人は怖くても琴音になら心を開ける……
心からそう思った。
- Re: 花言葉の約束 参照300突破です!ありがとうございます! ( No.66 )
- 日時: 2010/07/27 14:29
- 名前: 空花 (ID: zhnbqHwV)
「……虐待、か」
琴音は呟くように言った。
虐待……
『あの事』だけは今でも忘れない。
『あの事』が起きなければ、私は今……
(※七海の回想シーンに入ります)
交通事故。
家族でドライブしていた帰り道。
居眠り運転していた車と衝突した。
そして、お父さんは——
亡くなった。
「全力は尽くしたのですが……」
そのお医者さんの一言で、お母さんは泣いた。
涙が枯れそうなほど、泣いていた
幼かった私は、何が起きたか分からなかった。
何度もお母さんに尋ねた。
「なんで、おとうさんはあかくなって、きゅうにいなくなっちゃったの?」
お母さんは、一回しか答えてくれなかった。
「……お父さんは、お星様になったのよ」
それしか言ってくれなかった。
- Re: 花言葉の約束 参照300突破です!ありがとうございます! ( No.67 )
- 日時: 2010/07/27 14:29
- 名前: 空花 (ID: zhnbqHwV)
(※まだ七海の回想シーンです)
……その日から数日後。
家でお母さんは悲しい目をしながら料理を作っていた。
お父さんが大好きだったグラタンを……。
テーブルの上にはグラタンが1つ多く乗せられていた。
私が「ひとつおおいよ?」と言うと、
お母さんは「お父さんの分よ……」と言った。
私はそれ以上尋ねなかった。
お父さんのいない食卓は、すごく寂しかった。
「……お父さんは、お星様になったのよ」
その意味が分からなかった私も、
心にぽっかり穴が開いた。
——そして、その日の夜。
私は夜中、トイレに行きたくて起きた。
そして、電気をつけた。
誰も居ないと思っていたけれど、お母さんが居た。
お母さんは静かに泣いていた。
私はまだ幼かったので、何で泣いているか分からなかった。
「おかあさん? いたいところあるの? どうしてないてるの?」
そう、私は聞いた。
お母さんは何も答えずただただ泣いていた。
「おかあさんなかないで……ななみもかなしくなるよ……」
今思えば、お母さんにとって、私の言葉は「うるさいただの子供の言葉」だったんだろう。
だけど、お母さんは怒ることもなく、
ただ、
泣いていた。
それだけだった。
- Re: 花言葉の約束 参照300突破です!ありがとうございます! ( No.68 )
- 日時: 2010/10/24 14:52
- 名前: 空花 (ID: UDFSasR1)
(※まだ七海の回想シーンです)
私はその後、トイレに行ってすぐ寝た。
全然眠れなかった。
そして、お父さんの死から一ヶ月くらいたった日の朝——
——シャッ
カーテンを開ける音と共に、まぶしい光が私の体を包んだ。
すがすがしい朝だった。
……天気が良くても、私の心はモヤモヤに包まれたままだった。
お父さんがどうしていなくなったか、理解できなくて。
お母さんはまだ悲しい目をしていた。
「七海……起きなさいっ!!」
怒鳴るように言ったお母さんの声。
私はびくっとしてすぐに起きた。
お母さんは……私に怒鳴ることなんてほとんどなかったのに。
悲しみと怒りに包まれたお母さんの目と声。
いつもとは違う。
それは、幼い私でもよく分かった。
私はその一言でお母さんが少しだけ怖くなった。
でも、日が経つにつれてお母さんはもっと怖くなった。
言葉だけじゃない。
——全てが、怖くなった。
今までは優しかったのに……。
お父さんの死で突然変わってしまったお母さん。
その日から—— 私は、「真っ暗な世界」に突き落とされたんだ。
その時知った。
神様は、優しくなんかないって。
- Re: 花言葉の約束 参照300突破です!ありがとうございます! ( No.69 )
- 日時: 2010/10/24 14:54
- 名前: 空花 (ID: UDFSasR1)
(※もうそろそろ七海の回想シーン終わりです)
その日からお母さんは変わってしまった。
笑顔すらも見せない。
お母さんの中から「笑顔」という存在が消えてしまったかのように。
いつも、いつも……。
そんな「お母さん」になってほしいなんて私は願ってない。
私は、「前の優しいお母さん」になってほしいと思っているだけ。
それなのに、お母さん、
どんどん怖くなっている——。
何で?
どうしてなの?
あの日から、幸せだった世界がどんどん崩れていく。
皆、皆——。
友達も、離れていくような気がして。
いつか、「オマエナンカトモダチジャナイ!」
そう、言われるような気がして。
怖くて。怖くて。
どうせ崩れるなら、
自分で壊してしまえ。
そして、私は自分から友達を捨てた。
いつだって一人ぼっちで、必要のある時以外は話さない……。
そんな日々が続いて、皆、私には近づかなくなった。
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