社会問題小説・評論板

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花言葉の約束 完結しました、有難うございました。
日時: 2010/12/04 14:07
名前: 空花 (ID: 44GDRR0m)

sorakaに名前変更しました。大して変わっていません。

小説の実力はあまりないですが、宜しくお願い致します。

以前この話は「キャスフィ」というサイトでも書いていました。
文章とか題名とか違いますが、でももうそっちの方は挫折してしまったのでこちらのサイトでは完結させます。

前、ここでも同じような内容(っていうか同じですが)の小説を書いていました。それはその修正版です。
前は「心に刻まれたこの傷を  —虐待—」っていうタイトルでした。

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2010年 夏の小説大会大賞、有難うございます!

※この小説は完結しました。今まで応援してくれた方々、本当に有難うございました。

次回作でまたお会いしましょう。

Re: 花言葉の約束 ( No.239 )
日時: 2010/11/19 21:40
名前: 空花 ◆h/HZltt1j. (ID: 3WEStcxt)

     優奈目線

そのまま私は走り続けた。

やっと家に——いや、七海を見つけた時はもう息切れが激しくなる程に疲れていた。

家に居るはずだった七海は、1人の女の子と共に街を走っていた。

声を掛けようとしたけれど、息切れのせいで声が出ない。

私が後ろを向いたまま立ち止まっていると七海の方も私に気付き、私の方へと近寄ってきたのが分かった。

やっと息切れが収まって振り向くと、七海の見下すような目が私を見ていた。

「お母さん」

Re: 花言葉の約束 ( No.240 )
日時: 2010/11/13 16:41
名前: 空花 ◆h/HZltt1j. (ID: 6JEcwaCG)

 七海目線

その時、確かに人が走る音が聞こえた。

琴音もそれに気付いたらしく、周りを見渡していた。

私も周りを見渡すと、向こうの歩道にお母さんが走っている。

一瞬意識が飛んだような気がした。

「ねえ……もしかして」

琴音は言いかけて思ったことをを言葉に変えるのを止めた。

迷っている暇なんてない。

私は向こうの歩道へ続く信号へと走り出す。

琴音も私を追いかけてきて、2人で、全力で走る。

意外と信号への距離は意外と近く、点滅し始めた頃に信号まで着き、そのまま横断歩道に飛び込む。

信号が赤になる前になんとか渡り終えたけれども、まだ終わらない。

お母さん。






私はあなたを追いかけます。

Re: 花言葉の約束 ( No.241 )
日時: 2010/11/13 22:17
名前: 空花 ◆h/HZltt1j. (ID: 6JEcwaCG)

七海目線

丁度その時お母さんが立ち止まり、その隙にもっと全力で走った。

そしてどんどん、私達はお母さんに近づいていく。

距離が縮んでいく度に心臓の鼓動が早くなるのが分かる。

もう少しで話せるくらいの距離まで近付くという所で、私は立ち止まった。

私は呼吸を整えて、大きく息を吸い込む。

そして、お母さんに向かって琴音とゆっくり歩いていく。

声を掛けようとした時、お母さんは振り返り、私達を見つめた。

信じられないというような表情で。

Re: 花言葉の約束 ( No.242 )
日時: 2010/11/14 12:40
名前: 空花 ◆h/HZltt1j. (ID: 6JEcwaCG)

          優奈目線

「私は、お母さんの事なんか大嫌い。世界で一番って言える位」

静かにそう呟いた七海。

その目は、私しか見ていない。

「七海……」

「いつも虐待されてた私の気持ち、考えたことある!? 私のことなんて、どうでもいいの!?」

「違う、どうでもよくなんか……」

どうでもよくなんかない、そう言おうとした瞬間。

「じゃあ何で私にあんな事したの!!」

声を荒げて七海は言う。

ストレス発散の為に虐待したなんて、面と向かって言えるはず無かった。

でも、嘘はつけなかった。

「ストレス、発散、する為……」

思わず言葉が途切れ途切れになる。

言って……しまった。

「私は、お母さんの人形じゃない!!」

「お母さんが全部悪かったの……! 七海、本当に……ごめんね」

慌てて私は謝ったけれども、それで許されるはずは無かった。

Re: 花言葉の約束 ( No.243 )
日時: 2010/11/14 13:08
名前: 空花 ◆h/HZltt1j. (ID: 6JEcwaCG)

        七海目線

「お母さん」

琴音は黙って私達を見ている。

「私は、お母さんの事なんか大嫌い。世界で一番って言える位」

私は静かにそう呟いた。

「七海……」

「いつも虐待されてた私の気持ち、考えたことある!? 私のことなんて、どうでもいいの!?」

「違う、どうでもよくなんか……」

どうでもよくなんかない、そう言いかけたお母さんを遮って私は声を荒げた。

「じゃあ何で私にあんな事したの!!」

お母さんの答えは……何?

「ストレス、発散、する為……」

途切れ途切れにお母さんは答えた。

その"答え"は、"私の事なんかどうでもいい"と言っているように聞こえた。

嘘つき。全て、言い訳だったんじゃないか。

"どうでもよくなんかない"

なんて。

「私は、お母さんの人形じゃない!!」

「お母さんが全部悪かったの……! 七海、本当に……ごめんね」

謝れば、許されるとでも思ってるのか。

それくらいの言葉で許せるならこんなに苦しんでない。


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