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- 沖土I 始まり
- 日時: 2013/09/07 06:14
- 名前: 羅紗 (ID: SfeMjSqR)
5月4日 午前6時
沖田はいつものように土方の部屋を目指していた
「今日はどんな事をしてやりましょうかねぇ・・・」
隊士達は黒い笑みを浮かべている沖田におびえながら、横を通り過ぎていく
土方の部屋まで来ると中で近藤と土方が話といるのに気づき
沖田は耳をすまして壁にもたれて話を聞く事にした
「トシ、少し休んだらどうだ?最近働きすぎた。」
近藤は土方の体を心配して部屋まで来ていた
「大丈夫だ、働いていた方が落ち着くー・・・ゴホッ!」
土方は口に手を当て苦しそうに咳をしすぐにその手を後ろに隠した
「大丈夫じゃないだろ!トシ!」
「近藤さん・・・」
「何だ?!」
苦しそうな顔をしている土方に近藤は歩みよる
「・・・いや・・・何か体に良さそうな物食いてぇと・・・」
「分かった!栄養たっぷりの飯を持ってきてやるからそこで寝てろよ!」
近藤は急いで土方の部屋から出ていく
沖田には気づかず走って行く近藤を見て沖田は少し笑った。
- Re: 沖土I 始まり ( No.126 )
- 日時: 2013/11/23 01:02
- 名前: 羅紗 (ID: TfzvQp12)
土方は財布を無くしたことにさえ気づかないほど、周りが見えていなかった事に、改めて自分が焦っていた事に気づかされた
土方は、坂田に珍しく礼を言うと、路地を出ようとした
もちろん、坂田は少し驚いていたが、声に出すことはなかった
(・・・怪しい気配は・・・無いな・・・だが、万事屋はどこで財布を・・・見回りに財布は持っていかねぇし・・・)
土方は、坂田に対して不思議に思う事がいくつかあったが、今は何となく、早めに屯所に帰ろうと思った
ガシッ!・・・
坂田に肩をいきなり掴まれて、口から心臓が飛び出しそうになった
「どうしたんだよ?土方・・・」
「えっ?いや・・・ハハッ」
坂田は目の前で立ち止まったまま動かない土方に心配そうな顔でのぞき込んでいた
そして、懐から紙切れを取り出し土方に渡した
「土方!なんかあったらこの万事屋までくるといいよ、いつでも相談にのるからぁ」
「あっああ・・・」
名刺を渡した坂田は、小走りで路地をでて、どこかへ行ってしまった
(そんなに顔にだしていただろうか?)
土方は坂田の名刺を懐に入れた
沖田は仕事で、最近は一緒に見回りをしなくなった。それでも箱は毎日届いた
- Re: 沖土I 始まり ( No.127 )
- 日時: 2013/11/23 16:33
- 名前: 羅紗 (ID: mDiTOv13)
もう・・・いやだ・・・
誰か・・・
土方の頭の中は、そればかりだった。ご飯の時は箸がすすまず、体重は減るばかり。精神的に土方は限界だった。
日に日に弱っていく土方を、隊士はもちろん、沖田も心配していた。しかし、沖田は絶対に外せない仕事ばかりが、日に日に積もる。まるで、誰かが土方から自分を引き離すかのように・・・
「副長・・・余り無理はしないでくださいね・・・何かあれば、この山崎に言ってください」
「あぁ・・・」
最近の土方は怒ることもなくなっていた。たばこの量も減ってきていた。
山崎はこの毎日送られてくる箱が気になっていた。何が、こんなに副長を苦しめているのだろう・・・沖田にはこの箱には触るな、と言われていた
「・・・」
山崎はみんなが寝静まった夜、箱がある土方の部屋を目指した
いつもより、気配を消して
もちろん土方の部屋に入る、といっても堂々と入れるはずもなく、屋根裏から入ることにした
(・・・誰かいる?)
部屋の屋根裏にいた山崎は、すぐ異変に気づいた
この部屋に、自分をいれて、3人いることに。最初は見回りか何かかと思ったが、明らかにこの部屋から動かない気配。
山崎は不思議に思い、部屋を覗いた
- Re: 沖土I 始まり ( No.128 )
- 日時: 2013/11/23 16:56
- 名前: 羅紗 (ID: HtS8ZtHP)
「アンタは!ー・・・・・」
そう叫んだ瞬間だった。山崎の視界は一瞬で黒くなっていった
その日土方の部屋で血だらけになっている山崎が発見された
第一発見者は土方だった。
今まで耐えてきた土方の精神がその時初めて、グチャグチャに壊れた
病院に来ていた。この町で一番の医師がいると評判の・・・
でも、山崎が必ず助かる とは言わなかった
「あああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「落ち着いてくだせぇ!土方さん!大丈夫でさぁ!!山崎はあの位じゃ死なねぇーのは、アンタが一番分かってるでしょう?!」
「山崎ぃぃぃ!山崎!!ぁああぁ!!あっぁぁあぁぁ!」
「土方さん!!!」
周りが見えなくて、こんなに取り乱している土方を見るのは、隊士はもちろん、沖田も初めてだった
「土方さんー・・・」
沖田はきつく土方を抱きしめる。
「アァぁ・・ぁ・・」
土方は少し落ち着いたのか、その場に倒れ込んだ
つづく
- Re: 沖土I 始まり ( No.129 )
- 日時: 2013/11/23 23:32
- 名前: 羅紗 (ID: jd737JEz)
沖田は眠っている土方を隊士に預けた
「沖田隊・・・長・・・」
隊士達は沖田から放たれる、未だかつて無いほどの殺気と怒りを感じ取っていた
「総悟・・・落ち着け」
近藤は優しく沖田の頭を叩く
「近・・・藤さん・・」
我に返った沖田は、近藤の方に目を向ける
近藤は知っている。沖田が怒ると、手に終えない事を・・・
そして、人を躊躇いもせず殺すことを・・・
それだけはさしてはならない・・・
近藤はそう心に誓い、山崎を助かる事を願った
そんなやり取りを男は陰で静かに見ていた。男は土方を見て、顔をグシャグシャに歪め、黒く微笑む
その姿は悪魔のように黒く暗く闇に包まれていた
やっとだ・・・やっと十四郎が俺の物になる・・・十四郎・・・まっててね・・・
そんな鳥かごは俺が壊してあげるからぁ!!
アハハははハハははは!!!
狂ったように心で笑う 坂田銀時 は静かに沖田を見ると、その姿に殺意を覚えた
体が疼くのを必死に押さえる坂田は、一人闇へと消えていく
ああぁぁ・・・待っててね・・・今迎えにいくからぁ・・・
沖田は一瞬、背筋が凍るような殺気を感じ振り返ったが、そこには誰もいなかった
- Re: 沖土I 始まり ( No.130 )
- 日時: 2013/11/24 14:18
- 名前: 羅紗 (ID: 4icP.gIH)
その日の夜、病院には精神安定剤を飲みながら、山崎の病室で土方はずっと山崎の手を握っていた
「何で・・・こんな・・・」
静まり返った病室に小さな土方の声は虚しく響くように感じた
「・・・誰かぁ・・・」
震える声で小さくつぶやく。すると、服のポケットから一枚の紙切れがヒラリと落ちた
「万事・・屋・・・」
落ちたのは、いつかに坂田に渡された、万事屋の名刺だった
「・・・」
土方はその紙切れを手で握りつぶすと、よろめく足を何とか押さえ、病室を後にした
ピクリッと手が動いた
「ふっ・・・・ちょう・・行っちゃ・・・ダメ・・・だ」
掠れた小さな声は、土方には届かなかった
土方は息を切らしながらある家に来ていた
その家の扉を勢いよく開ける
部屋に入ると中は暗く、人の気配は無かった
「ハァっ・・・ハァ・・誰かいねぇのか?!」
土方は叫んだ
「来る頃だと思ってたよ・・・土方君・・・」
いきなり現れたその声の主、坂田銀時は窓から差し込む月の光に照らされながら笑みを浮かべていた
背筋が一瞬凍った
「お前に話がある・・・」
土方は坂田を睨みつけた
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