BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

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沖土I 始まり
日時: 2013/09/07 06:14
名前: 羅紗 (ID: SfeMjSqR)

5月4日 午前6時
沖田はいつものように土方の部屋を目指していた
「今日はどんな事をしてやりましょうかねぇ・・・」
隊士達は黒い笑みを浮かべている沖田におびえながら、横を通り過ぎていく
土方の部屋まで来ると中で近藤と土方が話といるのに気づき
沖田は耳をすまして壁にもたれて話を聞く事にした
「トシ、少し休んだらどうだ?最近働きすぎた。」
近藤は土方の体を心配して部屋まで来ていた
「大丈夫だ、働いていた方が落ち着くー・・・ゴホッ!」
土方は口に手を当て苦しそうに咳をしすぐにその手を後ろに隠した
「大丈夫じゃないだろ!トシ!」
「近藤さん・・・」
「何だ?!」
苦しそうな顔をしている土方に近藤は歩みよる
「・・・いや・・・何か体に良さそうな物食いてぇと・・・」 
「分かった!栄養たっぷりの飯を持ってきてやるからそこで寝てろよ!」
近藤は急いで土方の部屋から出ていく
沖田には気づかず走って行く近藤を見て沖田は少し笑った。

一輪の花 十八 ( No.230 )
日時: 2014/09/09 20:43
名前: 羅紗 (ID: y36L2xkt)

土方side

俺は、家を出たその時から、銀時の事を忘れると決めた。寂しくなんてない…辛くなんてないから…昔の自分に戻っただけなんだ…そう言い聞かせるように、心の中で何度も繰り返し呟いたんだ

俺は、昔使っていた小さな小屋に辿り着いた。少しカビ臭くて、あの時から何も変わってなくて、俺は少し安心した
…銀時…
ふとアンタの事を考えてしまった
…忘れるって決めたのに…
俺は、その場で寝転がって天井を見上げてから静かに瞳を閉じた。
このまま永遠に寝れたらいいのに…

「オイ!コイツ体に傷一つねぇぞ!!高く売れるぞ!」
そんな大きな声で俺は、驚いて目を開けた。ガバッと起き上がって、目をこすったんだ
売る?傷?何の事だ…
クリアになった俺の目に映ったのは、三匹の天人だったんだ。その瞬間に、頭の中が真っ白になっていった。
そして、一匹の天人が俺の体をペタペタと触ってきたんだ
気持ち悪い!!!!!
ガクガク震え出す俺の元へ、残りの二匹も近付いて来たのが見えた
「ぎ、んと…き…」
こんな時まで俺は…忘れるって決めたのに…もう、死にたいのに…心のどっかでアンタがいない世界には行きたくないって望んでる…
何て勝手なんだよ、俺は…
「泣いてるぞ!売る前に味見してみるか!?」
そう言って、一匹の天人が俺の服に手を掛けて、ビリビリに引き裂いたんだ
!!!?
驚きのあまりに声が出なかった。天人というのは殺す時に服を破って来るのか?
そう思った俺の方へ、ニヤッと笑う天人が手を伸ばしてきたんだ

一輪の花 十九 ( No.231 )
日時: 2014/09/09 20:57
名前: 羅紗 (ID: y36L2xkt)

その天人の姿を見た瞬間、俺の本能が逃げろと言っているような気がした。だから俺は、ガバッと立ち上がって出口を目指したが、呆気なく捕まえられたんだ。

「るな…来るな!来るなぁ!嫌だ!!銀時….ー!!!」

俺は喉が張り裂ける程叫んだ。やっぱりアンタの事が忘れられなかった…また助けてくれる、とそう思ってしまったんだ

「うるせぇな!!クソガキ!!!」
一匹の天人が、俺の腹に蹴りを入れてきた
「ガハッ!!!!」
俺の体は、呆気なく吹き飛ばされて、力が入らなくなって、グッタリとしてしまった
「傷を付けるなよ!?売れなくなるだろ!!」
後ろにいた天人が叫んだんだ

俺の体は一匹の天人の手によって抱き上げられた。殺すなら、早くしてくれよ…そう、願ったその時だった

!!!

入り口の所に殺気を感じたんだ。それも今まで感じた事のない程禍々しいものだった…
天人も感じ取ったのだろう、俺をドンッと床へと落として、ボトボトと大粒の汗を流していた


「なぁ……お前らは一体、誰に手を出してんだよコラ……」


そう低く呟いた声が、この空間の空気をビリッと震わしたんだ

一輪の花 二十 ( No.232 )
日時: 2014/09/10 00:00
名前: 羅紗 (ID: w4lZuq26)

結論から言うと、俺は銀時に助け出されたんだ。天人は抵抗するヒマなどなく殺された。あの時の銀時は、白い鬼のようで、とても怖かった…
小屋から助け出された俺は今、銀時におんぶされていた。アンタは、俺に一言も口を聞いてくれなかった。怒っているんだろう、当たり前だった…

この道は、銀時の小屋へ向かう道だった。また、俺のせいで、アンタに刀を降らしてしまった…俺の胸がズキッと痛くなったんだ
「ごめんなさい」
それしか言えなかった。銀時の服で覆われている体は、外の寒さか、それとも、さっきの恐怖か分からなかったが、銀時に伝わる程震えていたと思う
小屋に着くまで、長い沈黙が続いた。アンタは、床に優しく俺を降ろすと
「頼むから…俺のそばから離れないでくれ…十四郎…」
そう消えかかりそうな声で、俺を抱き締めて言ったんだ
「お前が、いなかった時、出て行ったとすぐ分かった………苦しかったんだよ、胸が締め付けられて死ぬかと思ったんだ…もう、あんな事しないでくれ…頼むから…俺は、十四郎がいないと生きていけねぇんだよ」
「えっ…」
生きていけない?俺は、アンタにそんな事を言ってもらえる程凄い人間じゃない……
「俺は…銀時といると、アンタが傷付くと思って、必ずいつか、銀時が危ない目に合うと思って…」
「そんな訳ねぇだろ!俺は強い!天人なんかより強い!!十四郎と一緒にいて、危ない目になっても、俺は負けない!!それよりも俺は、お前がそばにいない方が辛い!!!」
涙が止まらなかった。嬉しかった…
「あっ…ありがとぉっ…」
泣く俺を強く抱き締める銀時の目が、俺の目と重なると、アンタの顔がゆっくり近付いて来て、俺の唇と銀時の柔らかい唇とが重なり合ったんだ

一輪の花 二十一 ( No.233 )
日時: 2014/09/10 21:19
名前: 羅紗 (ID: 0bGerSqz)

「んっ…んぁ…」
「嫌なら言ってくれ…」
嫌じゃなかった、銀時の唇は温かくて、優しくて、俺の心が温まったんだ
「ごめんな…俺が、もっと助けるのが早かったら、十四郎のお腹にアザなんて、作らなくて済んだのに…」
そう言ってアンタは、俺のお腹をペタペタと触ってくる、全く気持ち悪くなどなかった
「十四郎…愛してる…これから先もずっと…俺といてくれ」
そう言ってアンタは、さっきよりも激しい口付けをしてきた。息が出来なくて焦ったけど、自分の体が熱くなっていくような気がした。アンタと体が密着しているから、銀時の鼓動が伝わってくるんだ…凄く、速い…

「愛してる…十四郎…」


その日、俺は銀時と体を重ねたんだ



愛してる…初めて言われたその言葉の意味は、分からなかったが、俺の冷え切って固まっていた心を温かく、溶かしてくれた、そんな気がしたんだ



生まれて初めて言われたその言葉は、今もずっと俺の心を温めてくれているんだ…銀時、あの時、愛してると言ってくれてありがとう。その言葉は、俺の心の中で、今でもずっと響いているんだ…本当に…ありがとう…

一輪の花 二十二 ( No.234 )
日時: 2014/09/10 23:00
名前: 羅紗 (ID: 9AGFDH0G)

俺達が、体を重ねたあの日から、何ヶ月が過ぎようとしていた。特に変わった事は無かったが、一つだけ、俺は銀時から刀の使い方を学んだんだ。銀時の剣術は、真似出来ないし、アンタみたいに強くは、なれていないけど、自分の事は守れるぐらい、強くなったと思うんだ。
銀時も俺の刀捌きを見て、褒めてくれたんだ。それが、何よりも嬉しかった…

「十四郎!ちょっと来てくれ〜!」

最近、銀時は昔みたいに、外へ出て行かなくなったんだ。ずっと俺のそばにいたいらしい…少し恥ずかしいなって思う
「何?ちょっと待ってー!」
俺はスッと立ち上がって、バタバタと銀時の所へと向かった。

「ハイ、十四郎にあげる」
「えっ…」
渡されたのは、一本の刀だった
「銀時…これって」
「あぁ、俺がいつも使っていた刀だよ」
「で、でも…何で急に?」
銀時は、刀を持つ俺の手をギュッと握って、俺の目を見ると
「俺は、もう無意味に刀を振るう事を止めたんだ。十四郎にも心配をかけたくないしな…。俺はな、十四郎…お前がずっと寂しい思いをしていた事を知っていたんだ、でも見て見ぬフリをして、自分の気持ちを優先させていたんだ。今更だけど、ずっと辛い思いをさせてて、すまなかった」
そう言って、銀時が俺に頭を下げたんだ


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