BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

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沖土I 始まり
日時: 2013/09/07 06:14
名前: 羅紗 (ID: SfeMjSqR)

5月4日 午前6時
沖田はいつものように土方の部屋を目指していた
「今日はどんな事をしてやりましょうかねぇ・・・」
隊士達は黒い笑みを浮かべている沖田におびえながら、横を通り過ぎていく
土方の部屋まで来ると中で近藤と土方が話といるのに気づき
沖田は耳をすまして壁にもたれて話を聞く事にした
「トシ、少し休んだらどうだ?最近働きすぎた。」
近藤は土方の体を心配して部屋まで来ていた
「大丈夫だ、働いていた方が落ち着くー・・・ゴホッ!」
土方は口に手を当て苦しそうに咳をしすぐにその手を後ろに隠した
「大丈夫じゃないだろ!トシ!」
「近藤さん・・・」
「何だ?!」
苦しそうな顔をしている土方に近藤は歩みよる
「・・・いや・・・何か体に良さそうな物食いてぇと・・・」 
「分かった!栄養たっぷりの飯を持ってきてやるからそこで寝てろよ!」
近藤は急いで土方の部屋から出ていく
沖田には気づかず走って行く近藤を見て沖田は少し笑った。

一輪の花 九 ( No.220 )
日時: 2014/08/29 14:08
名前: 羅紗 (ID: j1c653Hp)

「っ、何処まで行くんだよ」
俺の知らない道なき道をアンタは風を切るように走る。それを見失わないように、必死でアンタを追いかけたんだ
「クセッ...何なんだよこの臭いは...」
小屋から遠ざかるに連れて、鼻が曲がりそうな臭いに顔を歪ませる俺は、やっと道なき道を抜けて、広い場所へと出たんだ

「...何だ...これ......」

目の前に広がる光景に、言葉が出てこなかった。生まれて初めて自分の体が恐怖を感じたんだ

オオオォォォォォッ!!!ドガァンッ!!

けたたましい叫び声と共に、彼方こちらで銃声や爆音が聞こえてくる。俺は思わず耳を塞いだんだ
俺の目の前に広がっていたのは、戦争だった。でもそれは俺の知っている人間同士なんかじゃなくて、人間と化け物、その二つが互いに殺し合っていたんだ
恐ろしかった。多分この臭いは死骸だろう...考えたくもなかったが、彼方こちらに転がっている物を見ればそうとしか考えられなかった

「ぎっ銀時ィィィ!」
俺の目に、遠くの方で化け物と戦っている銀時が映ったんだ
俺は思わず駆けだしていた。殺されそうで怖かった、でもそれ以上に銀時が傷つくのが一番怖かったんだ

一輪の花 十 ( No.221 )
日時: 2014/08/29 14:38
名前: 羅紗 (ID: j1c653Hp)

「銀時!銀時ッ、銀時!!」
無我夢中でアンタの方へ走る俺に気付いた銀時が、大きく目を見開いたのが分かった
「十四郎!!?何で此処に!!」
どうやら怪我はしていないようだった。安心したその時だった、俺の横には化け物がいたんだ
「あぶねぇぇぇ!十四郎!!」
銀時の声が聞こえた






俺は目をグッと瞑った。もうダメだと思った。でも、痛みは全く感じなくて、目を開けたんだ

「ったく、何でこんな所に餓鬼がいるんだよ...」

俺の目の前には、服が返り血で赤く染まっている人間が立っていた。化け物は地面に倒れたまま動かなくなっていたんだ

助かった?

そう思うと自然に体から力が抜けて、その場で腰が抜けてしまった
「おいおい、こんな戦場のど真ん中で...死にてぇのか?」
俺を助けた紫髪の男は、俺を片手で抱き上げると、化け物の居ない草むらへと走った
「餓鬼、名は?」
林の中で俺を下ろした男が聞いてきた
「...十四郎...」
男は驚いたような目で、座っている俺を見てきた。その冷たい瞳に体が震えた
「お前か、銀時が大事にしてる餓鬼ってのは...」
「アンタ、銀時の知り合いなのか?」
「...まぁ、知り合いだな」
   

一輪の花 十一 ( No.222 )
日時: 2014/08/29 15:04
名前: 羅紗 (ID: j1c653Hp)

少し考えてから、男はそう言った
「なぁッ!何で銀時はこんな化け物と戦ってんだ!?アンタなら何か知ってるだろ!?あの化け物は一体何なんだよ!」
俺は震える体を何とか支えて立ち上がると、男の胸ぐらを掴んで叫んだ
「質問なら一つづつにしろ...一つ目だが、それは彼奴に聞いてくれ。二つ目だが、あれはー...」

「天人だ」

突然した声に、俺は驚くと、その声がした方を振り返った
その声の主は銀時だった。白く美しかったアンタの髪は、血で赤く染まっていたんだ
「天...人?」
「あぁ、この地球を奪おうとしてる化け物のことだ。つーか、高杉テメェ、俺の十四郎に触ってんじゃねぇよ」
そう言って、高杉とかいう男を睨んだ銀時は、その後俺を優しく抱きしめたんだ。その温かさに、次第に心が落ち着いてくると共に、涙がこみ上げてきたんだ
「ごめんな、十四郎...怖い思いさせちまって......」

「うっ...勝手に来て、ごめんなさい...」

「無事でよかった......」

恐怖が抜けきってない俺の体はブルブルと震えていたんだ。でも、それ以上にアンタの体の方が震えていたんだ


「すぐに終わらせてくる」
アンタはそう呟いたんだ
続  

一輪の花 十二 ( No.223 )
日時: 2014/09/03 22:23
名前: 羅紗 (ID: 9RGzBqtH)

アンタはそう言って、俺に背を向けて戦場へと走り出したんだ。その横を高杉が追い越して走って行く。この時の銀時は、俺の知ってる銀時じゃないような気がして、少し怖かったんだ

何時間たっただろうか。もう爆音も叫び声も、何も聞こえなくなっていた。ただ、この焼け野原を時折かける風の音が俺の耳に入ってくるだけだった
「銀時!大丈夫か!?」
俺は、一人空を見上げたまま動かない、銀時の元へと駆け出したんだ。戦場には人間しか立っていなかった。天人の血の海と化したこの地面を、バシャバシャと音を立てながら走った。初めて見た血の海に、鳥肌が立ったのを今でも覚えている……
「十四郎、もう大丈夫だ…」
「銀時!!」
俺は悲しく笑うアンタに抱きついた。得体の知れない血が、俺の顔や服を赤く染めたんだ、でもそんな事を気にしている場合じゃなかった
「そんな悲しそうに笑わないでくれ!そんな顔をされると、俺の胸が張り裂けそうな程痛いんだ!無理に笑わないでくれ…辛い……」
「十四郎…」
黒い雲が空を覆うと、静まり返った戦場と、俺達の震える体へと、赤い雨が降って来たんだ
あれから俺達は、重い足を何とか前へ進めて、自分達の小屋へと辿り着いたんだ。そこから俺達は、何も話す事なく眠りに着いた

…聞かないでくれ

前に銀時が言った言葉が頭から離れなかった。聞かない方が銀時の為なら、俺はそうしようと決めたんだ。でも、いつか必ず、全てを話してくれる日を信じてるから…

一輪の花 十三 ( No.224 )
日時: 2014/09/03 23:20
名前: 羅紗 (ID: G1aoRKsm)

「んっ…」
眠りから目覚めた俺は、ぼやける視界をクリアにする為に、目をこすった
「銀時?」
見ると、横で寝ていたはずのアンタの姿が無い事に気付いたんだ
「えっ!?」
勢い良く立ち上がった俺の頭の中で、昨日の光景が蘇って来た。それだけで足が震え出したんだ。泣きそうになるのを必死で堪えて、俺は小屋を飛び出して、銀時を探したんだ

「銀時ー!!」
静かな林の中を、俺はアンタの名前を叫びながら進んだんだ
その時だった、俺の後ろで草を掻き分ける音が聞こえた。俺は笑顔になって、振り返った
「ぎんっー…」
「オイオイ、ガキがいるじゃねぇか!」
「ヘヘッ、本当だぁ」
振り返った俺の前にいたのは、二匹の天人だった。俺の体温が一気に凍りついた。そして、腰が抜けてしまったのか、ペタリと座り込んでしまった俺を見て、二匹の天人は大声で笑い出したんだ
「最高のリアクションじゃねぇか!!ククッ、ならその腕を引きちぎると、もっと面白いものが見れそうだな!」
ゲラゲラ笑う天人の一匹が、俺の腕をガシッと掴んで来た
「だっ…嫌だ、嫌だ!嫌だ!!!助けて!!銀時っ銀時ー!!!」
俺は怖くてパニックに陥ったんだ。ボロボロと泣きながらジタバタと暴れ回った
「誰が助けに来るかよ」
一匹の天人がそう言った

死にたく…ないよ…

そう呟いた瞬間、俺の目の前が突然真っ赤になったんだ


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