複雑・ファジー小説

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さぁ 正義はどっち ? 参照13600ありがとう御座います!
日時: 2016/08/23 00:57
名前: メルマーク (ID: KzMBmi6F)

戦争と平和は正反対のものと考える人が多い世の中
それは本当なの?正義って何?悪って何?
答えが見つからないなら探せば良い。

多分異色な今までにない、正義についてのお話し。
答えはありませんが、きっと終わった後 何が正解か思い浮かぶはず。
時代は古きよき時代、中世頃にしようかと

オリキャラ募集一応締め切らせていただきます!
終章にもうじき突入予定なので‥・もしかしたらまた募集するかも・・・?


名前
性別
年齢
容姿
A国B国どちらの味方?(国名は長いので省略
性格
武器
サンボイ「」
職業は?下から選択下になければ新職業を書いてくれるとうれしいです

騎士 傭兵 盗賊 貴族 海賊 海軍 王室(王族をのぞく外交官・メイド・執事・王族のいとこ)関連
占い師 科学者(錬金術師) 芸術家 哲学者 商人 国民 旅人 魔法使い など

武器や変わった特徴などの要望も即採用です
結構な確率で”死ぬケース”もあるのでご了承ください!!

◇目次◆   


王国ルート001 >>5    帝国ルート001 >>43
王国ルート002 >>15    帝国ルート002 >>49
王国ルート003 >>20    帝国ルート003 >>50
王国ルート004 >>23    帝国ルート004 >>54
王国ルート005 >>31    帝国ルート005 >>63
王国ルート006 >>66    帝国ルート006 >>81
王国ルート007 >>67    帝国ルート007 >>83
王国ルート008 >>68    帝国ルート008 >>90
王国ルート009 >>71    帝国ルート009 >>91
王国ルート010 >>74    帝国ルート010 >>93
王国ルート011 >>101   帝国ルート011 >>114
王国ルート012 >>103   帝国ルート012 >>117
王国ルート013 >>106   帝国ルート013 >>118
王国ルート014 >>108   帝国ルート014 >>120
王国ルート015 >>110   帝国ルート015 >>122
王国ルート016 >>123   帝国ルート016 >>183
王国ルート017 >>127   帝国ルート017 >>184
王国ルート018 >>133   帝国ルート018 >>187
王国ルート019 >>142   帝国ルート019 >>191
王国ルート020 >>144   帝国ルート020 >>193
王国ルート021 >>194   帝国ルート021 >>207
王国ルート022 >>197   帝国ルート022 >>208
王国ルート023 >>200   帝国ルート023 >>209
王国ルート024 >>203   帝国ルート024 >>210
王国ルート025 >>204   帝国ルート025 >>212
王国ルート026 >>214   帝国ルート026 >>232
王国ルート027 >>217   帝国ルート027 >>238
王国ルート028 >>219   帝国ルート028 >>239
王国ルート029 >>223   帝国ルート029 >>246
王国ルート030 >>224   帝国ルート030 >>258
王国ルート031 >>286   帝国ルート031 >>298
王国ルート032 >>287   帝国ルート032 >>304
王国ルート033 >>288   帝国ルート033 >>309
王国ルート034 >>292   帝国ルート034 >>312
王国ルート035 >>295   帝国ルート035 >>314
王国ルート036 >>317   帝国ルート036 >>329
王国ルート037 >>319   帝国ルート037 >>331
王国ルート038 >>321   帝国ルート038 >>334
王国ルート039 >>325   帝国ルート039 >>335
王国ルート040 >>326   帝国ルート040 >>336
王国ルート041 >>340   帝国ルート041 >>372
王国ルート042 >>347   帝国ルート042 >>375
王国ルート043 >>352   帝国ルート043 >>378
王国ルート044 >>353   帝国ルート044 >>382
王国ルート045 >>357   帝国ルート045 >>386
王国ルート046 >>387   帝国ルート046 >>399
王国ルート047 >>390   帝国ルート047 >>402
王国ルート048 >>393   帝国ルート048 >>407
王国ルート049 >>395   帝国ルート049 >>408
王国ルート050 >>398   帝国ルート050 >>409
王国ルート051 >>425   帝国ルート051 >>431
王国ルート052 >>426   帝国ルート052 >>433
王国ルート053 >>428   帝国ルート053 >>434
王国ルート054 >>429   帝国ルート054 >>436
王国ルート055 >>430   帝国ルート055 >>437
王国ルート056 >>442   帝国ルート056 >>450
王国ルート057 >>443   帝国ルート057 >>451
王国ルート058 >>446   帝国ルート058 >>453
王国ルート059 >>447   帝国ルート059 >>454
王国ルート060 >>449   帝国ルート060 >>461
王国ルート061 >>462   帝国ルート061 >>471
王国ルート062 >>465   帝国ルート062 >>472
王国ルート063 >>466   帝国ルート063 >>476
王国ルート064 >>467   帝国ルート064 >>477
王国ルート065 >>468   帝国ルート065 >>480
王国ルート066 >>482   帝国ルート066 >>492
王国ルート067 >>483   帝国ルート067 >>493
王国ルート068 >>487   帝国ルート068 >>495
王国ルート069 >>488   帝国ルート069 >>496
王国ルート070 >>489   帝国ルート070 >>499
王国ルート071 >>504   帝国ルート071 >>516
王国ルート072 >>506   帝国ルート072 >>517
王国ルート073 >>507   帝国ルート073 >>520
王国ルート074 >>509   帝国ルート074 >>521
王国ルート075 >>510   帝国ルート075 >>525
王国ルート076 >>528   帝国ルート076 >>539
王国ルート077 >>533   帝国ルート077 >>543
王国ルート078 >>534   帝国ルート078 >>545
王国ルート079 >>537   帝国ルート079 >>547
王国ルート080 >>538   帝国ルート080 >>548
王国ルート081 >>551   帝国ルート081 >>560
王国ルート082 >>552   帝国ルート082 >>562
王国ルート083 >>553   帝国ルート083 >>563
王国ルート084 >>557   帝国ルート084 >>564
王国ルート085 >>558   帝国ルート085 >>566
王国ルート086 >>571
王国ルート087 >>574
王国ルート088 >>575
王国ルート089 >>578
王国ルート090 >>579


◇カメルリング王国味方

>>2 ルーク 主人公
>>1 ミルフィーユ 発明家・美食家・資産家
>>4 キリエ 牧師・哲学者
>>16 ノイアー 傭兵
>>25 ラグ 執事
>>28 サイト 商人
>>29 リグレット 僧侶
>>39 ツバキ 軍人
>>55 ユニート 魔導師
>>58 ラルス 騎士
>>58 リリー 暗殺者
>>75 ジョレス 傭兵
>>78 フランチェスカ 王女
>>87 ハニー 妖精
>>99 シラン 術士
>>221 カルマ 学者・錬金術師・魔術師
>>289 フランキール 王子
>>440 シュバルツ 海賊
>>457 リレーナ 竜騎士

◆ミカイロウィッチ帝国味方

>>14 エドウィン 主人公
>>6 ヴィトリアル 盗賊
>>11 アーリィ 魔女
>>12 ゼルフ 黒騎士
>>12 リン メイド
>>27 シフォン 貴族騎士
>>30 イヴ 術士
>>37 ウィンデル 大道芸人
>>59 クウヤ 剣士
>>60 ツヴァイ 科学者(薬学)
>>76 ミレア 傭兵
>>78 シェリル 皇女
>>85 ディルム 精霊
>>96 ライヤ 偵察兵
>>98 セイリーン ドッペルゲンガー
>>278 レイ 魔女
>>305 故)フィア 魔女の弟子
>>305 故)キオ 魔女の弟子

◎味方につかない者

>>163 ソーサラー(呼称) 占星術師・幻術師
>>163 スキンヘッドハゲ(呼称) 盗賊
>>227 ヨメナイヤツ アドバイザー

キャラ応募してくださった皆様心よりお礼申し上げます!素敵なキャラをありがとう!!

◇番外編◆

参照四桁祝
・イヌ派ネコ派の王国日常 >>146
・絶対に信じちゃいけない言葉で帝国日常 >>150
・執事採用試験 >>156
・団長の足取り >>157-158>>160
・ある幻術師の思い出 >>162>>164>>170>>173>>175>>176

参照二千祝
・とあるメイドの追走劇 >>248>>254>>257>>260
・傭兵の黒と従者の白 >>263>>264>>269>>272>>274>>280>>281>>282>>283

参照三千&四千祝
・魔法使いの弟子 >>360>>363>>364>>367-368
・帝国サイド盗賊団と加担者でチビキャラ全員集合イラスト >>371

参照4500祝
・王国・番外ルートで抜粋チビキャラ集合イラスト >>404

銀賞&殿堂入り祝
・メイドと騎士と仲介人 >>415>>417-418>>421>>423

参照5000祝
参照6000祝
参照7000祝
金賞祝
参照8000祝
参照9000祝
参照10000祝!
参照11000祝!!
参照12000&13000祝!!!
保留
どんどん保留祝が増えて行っている…本編終わったら一気に大感謝祭とかやりたいなぁ、なんて考えてます

・・・業務連絡・・・

2014の冬の小説大会で銀賞もらえました!ありがとうございます!
2015の夏の小説大会で金賞もらえました!!ありがとうございますっっ!
参照5000祝いと6000祝、7000祝、8000祝9000祝そして10000祝。11000祝はのちほど…ッ!


時間軸まとめ >>234

さぁ 正義はどっち ? 参照6000ありがとう御座います! ( No.482 )
日時: 2015/04/12 18:09
名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: kphB4geJ)

カメルリング王国ルート 066



 あっさりと自身をスパイだと認めた男が、今目の前にいる。コイツが帝国の差し金達を手引きしていたと考えると、嘘をつかずにすべて吐露したとしてもただでは返してやるわけにはいかない。
「ふぬけた顔をするな!王女様がいなくなった今、お前にお情けをかけてくれる者などここにいないという事を忘れるな」
ルーク等告発証人の前で仁王立ちしていたリレーナが、にやけた顔のライヤを叱り飛ばし、続けざまに厳しく尋問を再開した。
「昨夜お前が馬車で芸人の送り迎えをしたと聞いた。おそらく王都侵入を果たし、魔導書を一冊盗んだ血まみれのメイドと執事をその馬車で城から脱出させたのだろう?そして以前発生した修道院襲撃事件の時もお前が関与していたのだな?」
シランがそわそわとマスコットを握りしめて口をききたそうにするが、リレーナがひと睨みすると縮こまった。その隣でルークは心配げに目を走らせ、ラルス騎士団長のもとへ小走りに駆け付けて小さく囁く。
「尋問も大切ですけど、王国の周囲で不審者を捜索した方が良いんじゃないですか…?あのスパイ、告発する直前に税関を通り抜けていたらしいんです。ジョレスさんの話だと昨晩の夜中12時には城から出てるんです。芸人も含めて全員スパイだったら—」
妻であるリレーナを見つめていたラルスは、膝を曲げてルークの言葉を聞き、安心させるようにささやく。
「大丈夫、国外調査に騎士をいくつかさいているし、樹海を越えたあたりはシュバルツという海賊が不審者を捜索している」
それに、と少し陰った顔でラルスは腕組みをした。
「修道院襲撃事件と今回の王城侵入事件で、これ以上帝国に先手を取らせるわけにはいかないからね…戦争開戦はもうまじかだから戦力をいたるところにばら撒きたくはないんだ」
 ラルスはちらりと国王を見て、ルークの背中を押しリレーナの側に戻るように促した。
ルークは音を立てないようにシランの隣に並び、リレーナと同じようにスパイを見つめる。ライヤという男はじーっとリレーナの顔を眺めているが、なぜだか品定めしているナンパ男のような顔をしていた。
「修道院襲撃事件では、帝国の差し金は王位継承権第二位のフランチェスカ王女を襲った。それは王女の魔術の才能をはかるためだと踏んでいる。どうやら帝国の魔女よりも魔力は強いようだったな」
最後の言葉には優越感が漂っていたが、ライヤはそのようですね、とちょっと視線を外した。だがルークはそんな薄い反応よりも、記憶の中の鮮やかな魔術大戦を思い返すのに忙しかった。
 記憶の中では、修道院襲撃事件の際、現在行方不明中のリグ僧侶と帝国の小さな女の子魔女は互いに何もかも破壊するがごとくすさまじい魔術を連発していた。呪詛を手足のように操り、相手の放つ呪詛さえも理解して素早く防御もしていた。
それなのに、魔術を学ぶ初心者に分かりやすく書かれている魔導書を盗むなんて、意味が解らない。推測が頭の中を駆け巡り、渋い顔をして腕を組んだルークは、シランが不思議そうにのぞき込んでくるのも気付かずにいた。
もしかしたら、帝国にも魔術初心者がいるのかもしれない。王国には魔術師魔導士が合わせて5人もいる。帝国にだって同じくらいいてもおかしくはない。しかし、少し不安なのは、彼らが属性剣であるフランベルジュを盗もうとたくらんでいたことだ。フランベルジュは魔導士の、それも魔導剣士にしか扱えない代物だ。それを理解して盗もうとしていたなら、魔導剣士が帝国にもいるのかもしれない。
 ユニートに相談したかったが、彼は現在行方不明中。魔術師でもあり魔導剣士でもある王女に相談を持ち掛けたかったが退室してしまったため、王国の味方に付く以前ふらふらと夜間旅行をしていたカルマに相談してみようと一人納得したルークが顔を上げると、リレーナが同じぜんような考えをスパイに投げかけているところだった。
「なぜ魔導書を盗んだ?お前の所の魔女は腕が立つのではないのか?そしてフランベルジュを盗もうとしていたが、それはなぜだ?」
「さぁ?俺は下っ端ですからね。知りませんよそンなの」
「お前のような使いっパシリのスパイはまだいるのか?どんな情報を探っている?戦力や立地だろう、違うか?」
「全部吐いたら殺されそうなんで口は割りませんよ?」
リレーナの問いかけに、ニコニコ顔で答えるライヤに、ルークは度肝を抜かれた。恐ろしく度胸のある男らしいが、そのせいでこれからすさまじい目にあいそうである。
同じように呆れたようなびっくりした表情の人々の前で、リレーナとリリーの姉妹は無言で視線を交わし、リリーが太ももの周りに巻いていたベルトから小型のペンチのようなものを取り出して、姉に投げ渡した。
そのペンチをこれ見よがしに見せつけながら、リレーナは腰に手を当てて無表情のまま声を掛ける。
「処刑台に立って楽に死ぬのと、拷問の末に発狂死するのと、好きな方を選べばいい」
リレーナがペンチを片手にライヤに歩み寄ると、さすがにニコニコ笑みを消したじろいだ顔のライヤがリレーナを見上げた。
そのひきつった顔に、無理やり笑顔を浮かべて、ライヤが小さく乾いた声で「お手柔らかに…」とつぶやいた。



こんばんはコッコさん!
ライヤさんの運命は…どうでしょうねぇ←
爪は犠牲になったのだ!
コメントありがとうございます!

さぁ 正義はどっち ? 参照6200ありがとう御座います! ( No.483 )
日時: 2015/04/14 17:56
名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: A1qYrOra)

カメルリング王国ルート 067



 バーンと玉座の間の黒塗りの扉が破れんばかりに開け放たれ、壁に激突した扉がすさまじい音を立てた。ルークを含めすべての人物の目がそこに立つ人の顔を見て唖然とした。
「ミルフィーユさん…?」
普段のミルフィーユの紳士的な態度ならあり得ない登場の仕方に、やっとのことで声を出したのはルークだけだった。
ミルフィーユは今しがた思いっきり蹴破った扉に目もくれず、ルークに青白い顔で笑いかけた。隈が目立つが、不思議とやつれた雰囲気は消え去っていた。
「ルーク君の登場を真似してみたよ。蝶番が壊れてれば完璧だけどね—どれ…」ルークの肩に手を置いて、茶目っ気たっぷりに悠々と扉を振り返り、肩をすくめた。「やれやれ、さすがに王室の蝶番は頑丈だね?」
「ミルフィーユさん…何—」つられて蝶番の方を困惑した表情で見つめていたルークは、ミルフィーユが脇に抱え込んでいる箱にやっと気づいて目を輝かせた。周囲の人物が困惑顔で顔を見合わせる中、ルークは喜びで飛び跳ねそうになった。
「それじゃ、できたんですね?!」
「その通り、ようやく我らがマスコット執事を取り返せそうだよ、万事解決だ」
「何が万事解決なのだ、発明家よ」ウウィンクしながら顔をほころばせたミルフィーユが箱を少しふって見せると、やっと衝撃から立ち直った国王が唸り声を上げた。
今まで玉座の間の扉を蹴り破った人物はいない。罪人として引き出されてきたライヤでさえも、大人しく扉を潜り抜けてきたのだ。
更に言えば、発明家一家の執事を投獄した際のミルフィーユとの口論を思い出し、忌々しげに眉根を寄せている国王が威圧的にミルフィーユを睨む。
「現在罪人の尋問の最中であるぞ。無礼者めが…」
 地鳴りのように低い威嚇の声に、ルークは反射的にまごつくが、ミルフィーユはまったく気にしてい無いようでルークの肩をぽんぽんと叩いてから、箱を持ち上げて国王に見せつけた。
「国王様?以前頼まれました発明が出来上がりましたよ。一刻も早くお知らせに参りました」丁寧な言葉づかいなのだが言葉の節々に挑むような挑戦的な勢いがあり、いつもの柔和そうな笑みというよりは意地悪そうに微笑んでいる。
齢10ばかりの幼いラグを牢屋に放り込んだことで、ミルフィーユの国王に対しての信頼は完全に失われたのだということがはっきりと理解できる。
それはルークも同じであり、今しがたまごついた自分が少し恥ずかしく思えた。

「ほぅ、できたか。どのようなものなのだ?」機嫌を直したように国王が嬉しそうにいい、リレーナとリリーに指示を飛ばした。
「メルセルムの尋問は少し休題する。お前たちは各々で尋問なり拷問なりをして先程の情報を聞き出せ。小一時間ばかりしたら状況を報告に参れ。そしてブランドリス、そなたは残れ。発明品の補助を手伝うがよい」
 ほっとしたような顔のライヤに、リレーナが不満そうな顔でお辞儀をし、リリーと数人の騎士、ルークを除いた告発証人がぞろぞろと玉座の間から退室した。
 牢獄で尋問をするように指示したのは、まだそこに囚われているラグに対するあてつけだとわかり、ミルフィーユが憤慨したように国王を眺めるが、王は素知らぬ顔をしている。
玉座の間にはラルス騎士団長と一塊の白騎士、宰相と王妃、そして対峙するミルフィーユとルークだけが取り残された。
「さて、それでは箱を開け、発明品を見せてみよ」
だがミルフィーユは箱を国王の御前に置いただけで、拒否するように腕組みした。
 ルークはひやひやしながらミルフィーユを見ていたが、ではお前が開けろと国王に命令されても同じように動かないことに決めた。
ルークが国王から目をそらすと、国王は苛立ったように発明家一家を睨み、どうしようもない頑固者の変わり者の偏屈一家だと小声で悪態をついた。
「何が気に入らないというのだ?言ってみよ、ミルフィーユよ」
「では言わせてもらいましょう」国王の妥協の声に待っていましたとばかりに頷き、腕組みしたままミルフィーユは国王より明るい真青色の目で深海色の目を見据える。
「私は約束通り発明品を作りました、それも三つもです。発明品の操作をするのは我々の執事、ランス・アームストロングを解放してからです。でなきゃ、箱は開けませんし、無理に開けようとすれば大爆発を起こすよう仕掛けがしてありますのでね。試したいのならどうぞ」
「……」
 国王が「ヤツの首をちょん切れ!」と口走るのではないかとハラハラしたが、国王は何とも言えない表情でルークを見下ろした。
「ほんとに、本当に爆発します。ライヤ・メルセルムが逃走を図った時に、僕たち告白証人目掛けて盗んだ発明品の箱を投げつけてきて、爆発を起こしました。幸い小規模の爆発で、癒しの呪詛を僕が知っていたので怪我を治療することは出来ましたが、このくらいの箱の大きさとなると爆発量も…」
手足が吹っ飛んだら、僕には治せないかも、ともごもごとつぶやくルークに、国王の傍らにいたラルスが不審物質を見るようにあっけにとられた表情で箱を凝視した。
「よかろう、ランス・アームストロングを釈放せよ」諦めた様に疲れ切った声の国王が手を叩き、騎士の一人を指差して、ここまで連れてこいと指で指図した。
 黒い扉を騎士の一人が駆け抜けていくと、ミルフィーユが満足気な顔をして国王に笑いかけ、国王は不機嫌そうに肩肘をついてその満面の笑みをにらみつける。

 しかし国王をイライラさせる価値はあったと、ラグの姿を見ればそう思わずにはいられなかった。黒い扉から怯えた様に歩いてきたラグは、ミルフィーユとルークの姿を見ると、痩せこけて青白くなった顔に笑顔を浮かべ、泣きじゃくりながら飛びついた。
小さな弟たちと再会を果たしたように、ラグとルークを大きく手を広げてまるごと抱きしめたミルフィーユは笑いながらぐるぐると回転し、後ろに倒れそうになって慌ててバランスをとった。
微笑ましくてしょうがないという様に王妃が胸に手を当て、ラルスは頷きながらニコニコとしている。
「さあ我が家に帰ろう!」と言い出しかねないミルフィーユに、国王は再開に水を差すのをためらいつつも、唸る様に咳払いをし、促すような視線を投げた。
 あぁ、と思い出したようにミルフィーユが笑いながら頷き、木箱を素早く開けた。そして中にたくさん詰まっている丸っこい機会から3つ選び出すと、説明し始めた。
「細長い機械は、内部に蓄えられている電流を相手に押し付けることで流すことが出来、相手をショック状態にすることが出来る。とくに甲冑を着た騎士たちには効果的ですね。うまくいけば一つの機械で大勢の騎士を連続的に失神させることが可能」
機械の先端についた金属の棒を指差し、これを相手に押し付けてください。ちなみにルーク君や電気系の魔法使いがいれば充電して再利用もできる代物ですよ、物理的な科学力ですから魔法使いの防御壁も突破できるでしょうと口早々に説明した。
 感心して頷く国王は、一言も聞き漏らすまいと玉座から半分腰が浮きかけている。
「次にこの球体の機械。押すとへこむようになっているスイッチを押すと、内部で静電気が発生し、中心部にあるマグネシウムリボンに発火し、すさまじい閃光を発生させます。目くらまし効果が期待できます。そしてこれ—」
 目まぐるしく動き回り、ミルフィーユは三つめのサイコロ型の機械を掲げて見せた。
「これは落とした衝撃で三十秒ほどカプサイシンを原料とした催涙ガスを噴出し、当たった不幸な相手は小一時間は皮膚がヒリヒリし、咳き込むように泣きじゃくるでしょうね。戦意喪失まちがいなしです」
間違っても今ここで落とすなよ?というような国王の視線を受けてか、ミルフィーユは三つ全部箱に戻し、献上するように国王へ差し出した。
 まだぐすぐすと涙を流し、ルークの側に迷子になった子犬のように鼻をすするラグの背中をやさしくたたきながら、ルークは感嘆していた。
(全部人を殺さないで戦闘不能に出来る発明品…これが殺戮兵器じゃない兵器だったんだなぁ)
僕は殺戮兵器そのまんまの爆弾や地雷くらいしか思いつかなかったのに。
これでもう第二の家族のような発明家家族のことは心配しなくていいんだと思うと、肩の荷が下りてずいぶんと楽になった。



ラグ君お勤めご苦労様でしt((いえ、出所おめでt←
今回は書くのが楽しかったですね。貴重な癒しキャラのラグ君が帰ってくる回でしたのでw
そして、参照6200ありがとうございましたっ!


Re: さぁ 正義はどっち ?  ( No.484 )
日時: 2015/04/14 18:09
名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)

ラグ君が復活しましたね!本当に嬉しいです!それにしてもミルフィーユが天才すぎですね。参照6200おめでとうございます。

さぁ 正義はどっち ? 参照6200ありがとう御座います! ( No.485 )
日時: 2015/04/14 18:31
名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: A1qYrOra)

こんばんはモンブランさん!!
ラグ君が完全復活です!この物語中では貴重な癒し系でいろんなキャラに安堵を与える子ですからね!
たぶん他にはリンさんと見目麗しいということで見てて和む系でウィンデル君しかいないですw
(魔物を入れるとハニー君もですが)

作中で抜きんでて頭がいいのは学博三人衆のミルフィーユさん、カルマちゃん、ツヴァイ君ですからねw
異常なことに手を出してもフォローできるほどの頭脳なので、なんかこの三人は書いてて楽しいですw

コメントありがとうございました!

Re: さぁ 正義はどっち ? 参照6200ありがとう御座います! ( No.486 )
日時: 2015/04/14 22:09
名前: コッコ (ID: ePP2bIPh)

ラグ君が釈放されましたね。ラグ君がどうなるのかハラハラしていましたが無事で良かったです。


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