複雑・ファジー小説
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- さぁ 正義はどっち ? 参照13600ありがとう御座います!
- 日時: 2016/08/23 00:57
- 名前: メルマーク (ID: KzMBmi6F)
戦争と平和は正反対のものと考える人が多い世の中
それは本当なの?正義って何?悪って何?
答えが見つからないなら探せば良い。
多分異色な今までにない、正義についてのお話し。
答えはありませんが、きっと終わった後 何が正解か思い浮かぶはず。
時代は古きよき時代、中世頃にしようかと
オリキャラ募集一応締め切らせていただきます!
終章にもうじき突入予定なので‥・もしかしたらまた募集するかも・・・?
名前
性別
年齢
容姿
A国B国どちらの味方?(国名は長いので省略
性格
武器
サンボイ「」
職業は?下から選択下になければ新職業を書いてくれるとうれしいです
騎士 傭兵 盗賊 貴族 海賊 海軍 王室(王族をのぞく外交官・メイド・執事・王族のいとこ)関連
占い師 科学者(錬金術師) 芸術家 哲学者 商人 国民 旅人 魔法使い など
武器や変わった特徴などの要望も即採用です
結構な確率で”死ぬケース”もあるのでご了承ください!!
◇目次◆
王国ルート001 >>5 帝国ルート001 >>43
王国ルート002 >>15 帝国ルート002 >>49
王国ルート003 >>20 帝国ルート003 >>50
王国ルート004 >>23 帝国ルート004 >>54
王国ルート005 >>31 帝国ルート005 >>63
王国ルート006 >>66 帝国ルート006 >>81
王国ルート007 >>67 帝国ルート007 >>83
王国ルート008 >>68 帝国ルート008 >>90
王国ルート009 >>71 帝国ルート009 >>91
王国ルート010 >>74 帝国ルート010 >>93
王国ルート011 >>101 帝国ルート011 >>114
王国ルート012 >>103 帝国ルート012 >>117
王国ルート013 >>106 帝国ルート013 >>118
王国ルート014 >>108 帝国ルート014 >>120
王国ルート015 >>110 帝国ルート015 >>122
王国ルート016 >>123 帝国ルート016 >>183
王国ルート017 >>127 帝国ルート017 >>184
王国ルート018 >>133 帝国ルート018 >>187
王国ルート019 >>142 帝国ルート019 >>191
王国ルート020 >>144 帝国ルート020 >>193
王国ルート021 >>194 帝国ルート021 >>207
王国ルート022 >>197 帝国ルート022 >>208
王国ルート023 >>200 帝国ルート023 >>209
王国ルート024 >>203 帝国ルート024 >>210
王国ルート025 >>204 帝国ルート025 >>212
王国ルート026 >>214 帝国ルート026 >>232
王国ルート027 >>217 帝国ルート027 >>238
王国ルート028 >>219 帝国ルート028 >>239
王国ルート029 >>223 帝国ルート029 >>246
王国ルート030 >>224 帝国ルート030 >>258
王国ルート031 >>286 帝国ルート031 >>298
王国ルート032 >>287 帝国ルート032 >>304
王国ルート033 >>288 帝国ルート033 >>309
王国ルート034 >>292 帝国ルート034 >>312
王国ルート035 >>295 帝国ルート035 >>314
王国ルート036 >>317 帝国ルート036 >>329
王国ルート037 >>319 帝国ルート037 >>331
王国ルート038 >>321 帝国ルート038 >>334
王国ルート039 >>325 帝国ルート039 >>335
王国ルート040 >>326 帝国ルート040 >>336
王国ルート041 >>340 帝国ルート041 >>372
王国ルート042 >>347 帝国ルート042 >>375
王国ルート043 >>352 帝国ルート043 >>378
王国ルート044 >>353 帝国ルート044 >>382
王国ルート045 >>357 帝国ルート045 >>386
王国ルート046 >>387 帝国ルート046 >>399
王国ルート047 >>390 帝国ルート047 >>402
王国ルート048 >>393 帝国ルート048 >>407
王国ルート049 >>395 帝国ルート049 >>408
王国ルート050 >>398 帝国ルート050 >>409
王国ルート051 >>425 帝国ルート051 >>431
王国ルート052 >>426 帝国ルート052 >>433
王国ルート053 >>428 帝国ルート053 >>434
王国ルート054 >>429 帝国ルート054 >>436
王国ルート055 >>430 帝国ルート055 >>437
王国ルート056 >>442 帝国ルート056 >>450
王国ルート057 >>443 帝国ルート057 >>451
王国ルート058 >>446 帝国ルート058 >>453
王国ルート059 >>447 帝国ルート059 >>454
王国ルート060 >>449 帝国ルート060 >>461
王国ルート061 >>462 帝国ルート061 >>471
王国ルート062 >>465 帝国ルート062 >>472
王国ルート063 >>466 帝国ルート063 >>476
王国ルート064 >>467 帝国ルート064 >>477
王国ルート065 >>468 帝国ルート065 >>480
王国ルート066 >>482 帝国ルート066 >>492
王国ルート067 >>483 帝国ルート067 >>493
王国ルート068 >>487 帝国ルート068 >>495
王国ルート069 >>488 帝国ルート069 >>496
王国ルート070 >>489 帝国ルート070 >>499
王国ルート071 >>504 帝国ルート071 >>516
王国ルート072 >>506 帝国ルート072 >>517
王国ルート073 >>507 帝国ルート073 >>520
王国ルート074 >>509 帝国ルート074 >>521
王国ルート075 >>510 帝国ルート075 >>525
王国ルート076 >>528 帝国ルート076 >>539
王国ルート077 >>533 帝国ルート077 >>543
王国ルート078 >>534 帝国ルート078 >>545
王国ルート079 >>537 帝国ルート079 >>547
王国ルート080 >>538 帝国ルート080 >>548
王国ルート081 >>551 帝国ルート081 >>560
王国ルート082 >>552 帝国ルート082 >>562
王国ルート083 >>553 帝国ルート083 >>563
王国ルート084 >>557 帝国ルート084 >>564
王国ルート085 >>558 帝国ルート085 >>566
王国ルート086 >>571
王国ルート087 >>574
王国ルート088 >>575
王国ルート089 >>578
王国ルート090 >>579
◇カメルリング王国味方
>>2 ルーク 主人公
>>1 ミルフィーユ 発明家・美食家・資産家
>>4 キリエ 牧師・哲学者
>>16 ノイアー 傭兵
>>25 ラグ 執事
>>28 サイト 商人
>>29 リグレット 僧侶
>>39 ツバキ 軍人
>>55 ユニート 魔導師
>>58 ラルス 騎士
>>58 リリー 暗殺者
>>75 ジョレス 傭兵
>>78 フランチェスカ 王女
>>87 ハニー 妖精
>>99 シラン 術士
>>221 カルマ 学者・錬金術師・魔術師
>>289 フランキール 王子
>>440 シュバルツ 海賊
>>457 リレーナ 竜騎士
◆ミカイロウィッチ帝国味方
>>14 エドウィン 主人公
>>6 ヴィトリアル 盗賊
>>11 アーリィ 魔女
>>12 ゼルフ 黒騎士
>>12 リン メイド
>>27 シフォン 貴族騎士
>>30 イヴ 術士
>>37 ウィンデル 大道芸人
>>59 クウヤ 剣士
>>60 ツヴァイ 科学者(薬学)
>>76 ミレア 傭兵
>>78 シェリル 皇女
>>85 ディルム 精霊
>>96 ライヤ 偵察兵
>>98 セイリーン ドッペルゲンガー
>>278 レイ 魔女
>>305 故)フィア 魔女の弟子
>>305 故)キオ 魔女の弟子
◎味方につかない者
>>163 ソーサラー(呼称) 占星術師・幻術師
>>163 スキンヘッドハゲ(呼称) 盗賊
>>227 ヨメナイヤツ アドバイザー
キャラ応募してくださった皆様心よりお礼申し上げます!素敵なキャラをありがとう!!
◇番外編◆
参照四桁祝
・イヌ派ネコ派の王国日常 >>146
・絶対に信じちゃいけない言葉で帝国日常 >>150
・執事採用試験 >>156
・団長の足取り >>157-158>>160
・ある幻術師の思い出 >>162>>164>>170>>173>>175>>176
参照二千祝
・とあるメイドの追走劇 >>248>>254>>257>>260
・傭兵の黒と従者の白 >>263>>264>>269>>272>>274>>280>>281>>282>>283
参照三千&四千祝
・魔法使いの弟子 >>360>>363>>364>>367-368
・帝国サイド盗賊団と加担者でチビキャラ全員集合イラスト >>371
参照4500祝
・王国・番外ルートで抜粋チビキャラ集合イラスト >>404
銀賞&殿堂入り祝
・メイドと騎士と仲介人 >>415>>417-418>>421>>423
参照5000祝
参照6000祝
参照7000祝
金賞祝
参照8000祝
参照9000祝
参照10000祝!
参照11000祝!!
参照12000&13000祝!!!
保留
どんどん保留祝が増えて行っている…本編終わったら一気に大感謝祭とかやりたいなぁ、なんて考えてます
・・・業務連絡・・・
2014の冬の小説大会で銀賞もらえました!ありがとうございます!
2015の夏の小説大会で金賞もらえました!!ありがとうございますっっ!
参照5000祝いと6000祝、7000祝、8000祝9000祝そして10000祝。11000祝はのちほど…ッ!
時間軸まとめ >>234
- Re: さぁ 正義はどっち ? 参照四桁ありがとうございます! ( No.173 )
- 日時: 2013/08/12 22:30
- 名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: aTTiVxvD)
四桁記念 番外編010 ある幻術師の思い出
——————————————————————
悲鳴が上がる数分前、樹海に降りたソーサラーはコートの裾一杯に葉っぱを溜め込んで、そろそろ帰ろうとしていた。
これだけあれば弟子達が痛い思いをしないで寝転がれると微笑んでいると、なにやら話し声がしてくるのに気付く。
辺りを見回すと、森の木々の中、赤い松明の灯りがいくつか連なってこちらへやってくるのが見えた。
耳を澄ますと鎧の音や、無遠慮に木々に目印をつけて切りつける音、談笑などが聞こえてくる。
どうやらソーサラーが逃亡してきたミカイロウィッチの兵士たちらしく、ソーサラーと愛弟子達を探しに来たらしい。
「・・・・・・」
物音を立てると見つかり面倒くさくなるので、ソーサラーはじっと身動きをとらずにたたずむ。灯りを持たないソーサラーは黙っていれば見つからないはずだ。
樹海だけを捜索しているのならば鉱山の山頂においてきた弟子達は見つからないはず。大体戦争が終わった直後に、争いの原因である高山に兵士が足を踏み入れるとなると、再び戦争が起こるかもしれない。なので下手に兵士は鉱山へは行かないはずである。
後は自分が黙ってここをやり過ごせばいいだけだ。
と、半径8メートル弱の地点に兵士たちが近づいてきて、会話の内容がはっきりと聞こえる。
森の闇に溶けるように身を潜めながら、ソーサラーは聞き耳を立てる。
「早く見つけ出してさっさと帰りたいぜ」
「だな、おい、お前いつまで遊んでるんだよ」
心底疲れきったように松明を掲げる兵士たちが愚痴をこぼす合間に、最後尾の男が機械的に引き抜いた剣で木々を切りつけていた。
その男に声をかけた兵士は、あきれたように片手を腰に当てて言う。
「目印をつけてるにしちゃ、適当すぎだろ」
「ちげぇよ、俺はただこの新品の剣の切れ味を確かめてるんだよ」
兵士の言葉に、最後尾の男は憤慨したように言うが、下卑た笑みを浮かべた。
「・・・あんまり音を立てるなよ。捕らえる相手は幻術師だぞ?それなりに危険だからやめろ。もしものときはガキを人質にとって—」
「何ビビってんだお前、相手は戦いでぼろぼろの元占星術師で子連れだぜ?」
「お前こそ何自信過剰なんだよ?ガキを人質にとって3人の内どれかを始末して戦意喪失させないと安心なんて—」
前を歩く兵士があきれたように主意を喚起するが剣を振り回す男はソレをやめない。それどころか危ない発言をする。
「いや・・・むしろ特殊な幻術師が4人もいたら王国に渡るやつも出るかもしれないからな、いっそのこと一人残して後は切り捨てちまおうぜ」
「・・・・・・」
その狂ったような男の発言にソーサラーは決心し、かがんで足元に転がっていた長めの木の枝を拾い上げる。
手を下すのは不本意だが、愛弟子を殺そうとしているあの危険な男と兵士達は生かしてはおけない。
何かの間違いでどこかで出くわすことになったら、あの男達は愛弟子達に襲い掛かるのだろう。その前に—
深呼吸すると、禁忌の水の3部屋最初の第四室”罪滅ぼし”の部屋を開放するためにその名前を叫ぶ。
「 カンケル 」
部屋が開放されると、兵士たちが驚きの声を上げて硬直し、それから続けざまに涙を流し、虚空に向かってやがて懺悔をしだす。
ソーサラーは嘆く彼らを直視することをためらい、目を伏せた。
水の3部屋は特にひどい幻術だ。水の部屋第四室カンケルは人々を後悔に至らしめる部屋で、生まれてからこの瞬間までしてきた非道な行いを攻め立て懺悔させ、どうしても悔やみきれなくなったものは—自らで命を絶つのだ。
ごめんなさいごめんなさいと悲痛に満ちた悲鳴に似た声をあげて、兵士たちが武器を抜き、ソレを自分に向ける。
「おいどうし—う?!」
哀願の声を聞いて他の捜索部隊が駆けつけて来たとき、狂った男以外が皆自害していた。この幻術は相当神経の図太い人物か精神力のある人物以外生き残れない。
狂った男は涙を流して哀願するも、剣を自らに向けようとしない。
「何があったんだ!?」
その光景の中ただ一人泣いている男に向かって一団が疑問をぶつけるがソーサラーはすぐに二部屋目を開放した。
「 スコルピオ 」により水の部屋第八室”召喚”の部屋が開かれ、兵士たちの前にバケモノが舞い降りる。
闇の中で松明を照り返す鱗を持つ、巨大な蛇。そいつが残忍そうな笑みを浮かべ、兵士を毒牙にかけ締め付ける。
召喚されたバケモノに恐怖を抱くと、実際に殺されてしまうのだ。これはかなり危険であり、水の部屋最後の部屋と並ぶほど禁忌といっていい部屋だった。
その蛇にやられて兵士たちが悲鳴を上げるが、すべて終わってももう加勢に来る者たちは居なかった。
ソーサラーは亡骸の彼らに手を合わせると、部屋を閉じ、心の中でほっとする。
12の部屋の中で一番凶悪で禁忌の第十二室を開放せずに済み、本当に良かったと何度も胸をなでおろした。
あとちょっと続く!
- Re: さぁ 正義はどっち ? 参照四桁ありがとうございます! ( No.174 )
- 日時: 2013/08/13 13:03
- 名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: aTTiVxvD)
そ、それではひっくるめて変態師匠とry
ウソですごめんなさいw
- Re: さぁ 正義はどっち ? 参照四桁ありがとうございます! ( No.175 )
- 日時: 2013/08/13 15:01
- 名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: aTTiVxvD)
四桁記念 番外編011 ある幻術師の思い出
———————————————————————
「良かった、師匠帰ってきた!」
落ち葉を抱えて山頂に戻ってきた師匠の姿を見ると、愛弟子達は構えていた武器を放り投げてその傍による。
「何があったんですか?さっき悲鳴が聞こえました」シランがコートの裾を不安そうに握りながらたずねる。
その頭を撫でて、ソーサラーは肩を落とした。
「追っ手が来てね・・・急いで君たちに風の幻術を教えなくちゃいけなくなってしまったよ」
それから三ヶ月の間、追われて逃げて退治する、その繰り返しのうちに、クウヤとシランは風の部屋三つをマスターし、イヴは風の部屋二つを習得した。
朝焼けの樹海の中、シランが風の部屋第七室”戦争”の部屋を開放するために薙刀を空に向かって掲げ、叫ぶ。
「 リブラ 」
その声と共に追手の兵士たち八人は辺りに視線を向け、信じられないというように武器を抜く。
そして虚空に向かって武器を振り、殴りかかるものもいる。
彼らには敵である、王国兵士が攻めてきたように見えたのだ。その幻相手に戦っている間に、シランはその場を去る。
「やれやれだなー、朝ごはん取りに行ってたらいきなり襲い掛かってくるなんて」
幻術を利用して小動物を確保したシランは文句を言いながら山頂へと走る。小脇に抱えた大きなキジを見ながら、つぶやく。
「師匠・・・元気になってくれるかな」
クウヤとシランが風の幻術をマスターすると、それから師匠の容態は悪化した。本来清潔で環境の良いところで安静に治療していなくてはならないのだが、鉱山は汚いまではいかない物の、けが人にはあまり良くない環境だ。
それがやっと使命が終わったとほっとした拍子に顕著に現われ、今はぐったりしたように岩場に寝そべっている。
山頂に着いたシランは、寝そべるソーサラーに元気付けようとしゃべりかける。イヴやクウヤはまだ狩りに行っていて帰ってこない。
「師匠、鳥捕まえてきたよ。それとね、兵士八人を幻術で惑わせてこれたんだ!」
ソーサラーはその言葉に、藤色の瞳を細めて微笑む。
「狩りもできるし、兵士から逃げることも出来るようになったね・・・もう何も心配することは無い、ね」
俺がもし帰ってこなかったら、お前が俺の代わりに金魚に餌をやっておいてくれないか?、みたいな死亡フラグのようなその言葉に、シランは不安げに黙り込む。最近いつもこんなことばかり師匠は言う。
とにかく起き上がれないソーサラーの代わりに、シランは料理をしようと鳥の羽をむしる。
幻術だけでなく、狩りの仕方、獲物の料理の仕方、火の起し方なども教わったため、てきぱきとソレをこなす。
もう少しで料理が完成するというときに、ソーサラーが声を上げた。
「シラン、逃げなさいはやく」そういいながら、ゆっくり身を起こす。
「え?」意味が分からず紅色の瞳をソーサラーに向けると、彼は歯を食いしばって立ち上がった。
「イヴとクウヤを樹海で探して、どこかに逃げなさい。大勢の兵士たちが鉱山を登ってきてる」
「え」慌ててシランは鉱山の傾斜を見下ろし、はっと息を止める。
そこには数え切れないほどの兵士や大柄な男達がおり、樹海を抜け出て山の入り口に入ってきていた。
「僕も戦います!」
そういって振り返ると、ソーサラーは杖代わりに長い木の枝を支えに立ち首を振る。
「イヴとクウヤのことが心配だから、探し出して一緒に逃げなさい。幸いなことにイヴとクウヤは王国側の樹海にいる。三人寄れば文殊の知恵、だから言うことを聞いて、探しに行って逃げてくれるね?」
でも、と口ごもるシランだったが、後から追いつくよという言葉を信じてしぶしぶ頷く。
そして薙刀をつかむと、涙をこらえて山を駆け下りた。
樹海に降りるとイヴとクウヤを探して思わぬ人物に出合った。ミカイロウィッチにいたはずの、自分の両親だった。
「シラン・・・?生きていたのね!」そう叫んで駆け寄ってくる母親に抱きしめられて頭が真っ白になる。一体どういうことだろう?
「私たちは帝国に追われたんだよ、お前の師匠さんの逃亡を手助けしていると疑われてね。さぁもうあんな所にはいられない。王国へ逃げよう」
父親に片手を引かれるが、シランはソレを振り払う。
「イヴとクウヤの両親は?僕、あの二人が見つかるまで樹海から出ないよ!師匠と約束したんだから・・・」
叫んできびすを返そうとしたシランの腕をつかみ、父親が言う。
「イヴとクウヤはご両親に会って、もう樹海を脱出したんだ。だから私たちも早く行こう。愛弟子を逃がす、それがお師匠さんの願いだろう、シラン?」
シランはソレがうそかどうか見破れず師匠の逃げなさいという言葉と、後で追いつくよと言う言葉を信じ頷く。
心底ほっとしたように両親が安堵し、シランの両手を引いて森を駆け抜けた。シランは、まさか幻術師の自分が両親のウソに惑わされているなど考えもせずに、ただ三人の無事を願っていた。
- Re: さぁ 正義はどっち ? 参照四桁ありがとうございます! ( No.176 )
- 日時: 2013/08/13 16:40
- 名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: aTTiVxvD)
四桁記念 番外編012 ある幻術師の思い出
——————————————————ー————
シランが両親と共に樹海を走り抜けていた頃、イヴとクウヤは少し大きめの獲物をとってソレを運んでいた。
「このくらい大きな獲物取れば・・・師匠元気出してくれる、かな」
イヴが獲物を運ぶクウヤに尋ねると、当たり前だろと笑う。
イノシシの足を引っ張りながら「これ少し重いから昼になっちゃうかもしれないけどさ」と満足げに獲物を眺めるクウヤの言葉に、イヴは不安そうに頷いた。
クウヤの予想した通り、昼ごろにやっと山頂に付いた。さっそく先についているだろうシランに自慢しようと意気込むのだが、シランの姿は無い。それどころか、寝たきりの師匠ソーサラーの姿も無い。ただ大勢の帝国の兵士が岩場に腰を下ろして、きょとんと座っていた。
「お、お前ら師匠とシランをどうしたんだよ!」
その光景を見ていのししを放り出したクウヤがイヴをかばうように剣を構えて叫ぶと、兵士たちがそろってこちらを見た。
だが剣を抜くどころか驚いている様だった。
「答えろ!」とクウヤがすごむと、兵士たちは武器を放り投げ、心底困ったように首を振る。
「兄さん・・・この人たち?」イヴが異変を感じ声をかける。
「なんかこいつらおかしいな・・・」クウヤもこの不気味な連中から少し後ずさる。武器を向けてくるわけでもない完全に戦意喪失の彼らが、恐ろしい。何があったのだろうか。
「喋れないのか、おい?むしろ・・・言葉が・・・分からないのか?」
ただ困ったように首を振り続ける兵士たちは、地面に文字を書くことも、話す素振りもしない。
そのうちの一人が立ち上がろうとして立てずに倒れる。まるでソレは生まれたての赤ん坊のような仕草。
「この人たちどうしたの・・・?記憶が無いの?」
イヴがこわごわと辺りを見回し、その場にまともな人物がいないことを悟るとクウヤにたずねる。
クウヤは剣を構えながら、推測を口にする。
「記憶が無いというより・・・生まれてから今までの記憶がなくなったみたいな感じだな、喋れない立てない文字もかけない言葉が理解できない・・・全部赤ん坊みたいだ」
この人たちどうするのというイヴの言葉に返事はせず、クウヤはイヴの手を引っ張り、歩き出した。
不気味な記憶の消えた彼らの間を歩き、何か手がかりを探す。
そして焼きすぎて黒焦げになった鳥を発見し、シランが狩りから帰ってきていたことを発見する。
つまりこの異様な光景が起こる前か後、もしくはその最中にシランはここに居たのだ。
その傍に、赤い血が付いた包帯が沢山落ちていた。紛れも無い師匠の包帯だろう。
金色の目を見開いてその包帯を拾い上げると震える声で言う。
「師匠が幻術を使ってみんな倒したけど、捕まっちゃったんじゃ・・・シランも多分一緒に・・・」
クウヤは血まみれの包帯を握り締めると、イヴをつれて帝国へと行き彼らを助けようと決心した。
イヴも同意し、樹海を抜けて帝国に行くが、シランとソーサラーを探し出すことが出来なかった。そして兵士たちを片っ端から襲い、たずねて回るにつれて帝王が二人に御触れを出した。
手駒となるなら行方不明の師匠と弟子を探してやるというものだった。
そこで二人は帝国の手駒となり、行方不明の彼らを安否を、4年たった現在でも待っている。
だが帝国は彼らを死んだものと考え、まったく探していないことを、二人は知らない。
あの鉱山の山頂で禁忌の水の部屋第十二室、”喪失”のピスケスを開いたソーサラーは彼らの思い出と記憶をすべて奪うと、力尽きて倒れた。
楽しい思い出、大切な記憶を奪われてもう何もかも思い出すことが出来ない赤ん坊のような兵士たちに囲まれて、意識もすべて手放す。
やがて完全に瀕死状態と化した時、そこへ老人がやってきて、手当てをして連れ去った。
4年後、右目を除くケガは回復し、若干まだ包帯は取れていないものの
死は免れたソーサラーは、命の恩人である放浪商人とともにいた。
「星を眺めることの好きなおまえさんは、まだ名前を教えてくれないのかな?」
ソーサラーはその商人を見てうなづく。
放浪の商人はサイト・シーイングという名のもうすぐ七十代になるご老体だが、歳の割りに元気で若々しい。放浪癖があり、何処かへ旅をすることが好きだそうで、そのおかげで鉱山のてっぺんで倒れていたソーサラーを見つけたらしい。
「本名を教えてくれないとは…いささか不便だが、人嫌いのお前さんには丁度いいかもしれないがね」
「放って置いてください。ソーサラーと呼んでくだされば結構ですよ」
ぷいとそっぽを向いて再び夜空を眺める。ここは星の庭園と呼ばれる、カメルリング王国傍の小高い丘だ。星を見て溜息をつく。
サイトと旅しながら愛弟子達を探して早4年だが、彼らの安否はわからない。
自分だけ助かってしまったのではないかと、不安に駆られる。
今日もまた、弟子を探して商人と共に放浪するのだった。
- Re: さぁ 正義はどっち ? 参照四桁ありがとうございます! ( No.177 )
- 日時: 2013/08/13 17:00
- 名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: aTTiVxvD)
やっと番外編おわりましたー
上のが2000字でぴったりだったため、ここに幻術と番外編の終わりとを報告しに参りましたよ
火の3部屋
第一室 アリエス ”自我外観を奪う”
第五室 レオ ”快楽を与えて惑わす”
第九室 サギッタリアス ”永遠と彷徨わせ自由を奪う”
地の3部屋
第二室 タウルス ”金銀財宝”で惑わす
第六室 ウィルゴ ”強制労働”持ち物が重い感じさせる
第十室 カプリコルン ”野望”を叶えて惑わす
風の3部屋
第三室 ゲミニ ”親しい者の死”で精神崩壊
第七室 リブラ ”戦争”敵を与え惑わす
第十一室アクワリウス ”共食い”味方を敵と思わせる
水の3部屋
第四室 カンケル ”罪滅ぼし”させて自害させる
第八室 スコルピオ ”召喚”して恐怖を抱いたものを倒す
第十二室ピスケス ”喪失”記憶をすべて帳消しにする
ざっとこんなもんですかね
ちなみにクウヤとシランは風の部屋までをマスター
イヴはリブラまでをマスターしております
勘のいい人はこれが星座になっていることに気付いているはず!
シラン君のその後は本編で、ソーサラー師匠のその後はきっといつかw
スキンヘッドの行方もきっといつかw
お粗末さまでした
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