複雑・ファジー小説

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さぁ 正義はどっち ? 参照13600ありがとう御座います!
日時: 2016/08/23 00:57
名前: メルマーク (ID: KzMBmi6F)

戦争と平和は正反対のものと考える人が多い世の中
それは本当なの?正義って何?悪って何?
答えが見つからないなら探せば良い。

多分異色な今までにない、正義についてのお話し。
答えはありませんが、きっと終わった後 何が正解か思い浮かぶはず。
時代は古きよき時代、中世頃にしようかと

オリキャラ募集一応締め切らせていただきます!
終章にもうじき突入予定なので‥・もしかしたらまた募集するかも・・・?


名前
性別
年齢
容姿
A国B国どちらの味方?(国名は長いので省略
性格
武器
サンボイ「」
職業は?下から選択下になければ新職業を書いてくれるとうれしいです

騎士 傭兵 盗賊 貴族 海賊 海軍 王室(王族をのぞく外交官・メイド・執事・王族のいとこ)関連
占い師 科学者(錬金術師) 芸術家 哲学者 商人 国民 旅人 魔法使い など

武器や変わった特徴などの要望も即採用です
結構な確率で”死ぬケース”もあるのでご了承ください!!

◇目次◆   


王国ルート001 >>5    帝国ルート001 >>43
王国ルート002 >>15    帝国ルート002 >>49
王国ルート003 >>20    帝国ルート003 >>50
王国ルート004 >>23    帝国ルート004 >>54
王国ルート005 >>31    帝国ルート005 >>63
王国ルート006 >>66    帝国ルート006 >>81
王国ルート007 >>67    帝国ルート007 >>83
王国ルート008 >>68    帝国ルート008 >>90
王国ルート009 >>71    帝国ルート009 >>91
王国ルート010 >>74    帝国ルート010 >>93
王国ルート011 >>101   帝国ルート011 >>114
王国ルート012 >>103   帝国ルート012 >>117
王国ルート013 >>106   帝国ルート013 >>118
王国ルート014 >>108   帝国ルート014 >>120
王国ルート015 >>110   帝国ルート015 >>122
王国ルート016 >>123   帝国ルート016 >>183
王国ルート017 >>127   帝国ルート017 >>184
王国ルート018 >>133   帝国ルート018 >>187
王国ルート019 >>142   帝国ルート019 >>191
王国ルート020 >>144   帝国ルート020 >>193
王国ルート021 >>194   帝国ルート021 >>207
王国ルート022 >>197   帝国ルート022 >>208
王国ルート023 >>200   帝国ルート023 >>209
王国ルート024 >>203   帝国ルート024 >>210
王国ルート025 >>204   帝国ルート025 >>212
王国ルート026 >>214   帝国ルート026 >>232
王国ルート027 >>217   帝国ルート027 >>238
王国ルート028 >>219   帝国ルート028 >>239
王国ルート029 >>223   帝国ルート029 >>246
王国ルート030 >>224   帝国ルート030 >>258
王国ルート031 >>286   帝国ルート031 >>298
王国ルート032 >>287   帝国ルート032 >>304
王国ルート033 >>288   帝国ルート033 >>309
王国ルート034 >>292   帝国ルート034 >>312
王国ルート035 >>295   帝国ルート035 >>314
王国ルート036 >>317   帝国ルート036 >>329
王国ルート037 >>319   帝国ルート037 >>331
王国ルート038 >>321   帝国ルート038 >>334
王国ルート039 >>325   帝国ルート039 >>335
王国ルート040 >>326   帝国ルート040 >>336
王国ルート041 >>340   帝国ルート041 >>372
王国ルート042 >>347   帝国ルート042 >>375
王国ルート043 >>352   帝国ルート043 >>378
王国ルート044 >>353   帝国ルート044 >>382
王国ルート045 >>357   帝国ルート045 >>386
王国ルート046 >>387   帝国ルート046 >>399
王国ルート047 >>390   帝国ルート047 >>402
王国ルート048 >>393   帝国ルート048 >>407
王国ルート049 >>395   帝国ルート049 >>408
王国ルート050 >>398   帝国ルート050 >>409
王国ルート051 >>425   帝国ルート051 >>431
王国ルート052 >>426   帝国ルート052 >>433
王国ルート053 >>428   帝国ルート053 >>434
王国ルート054 >>429   帝国ルート054 >>436
王国ルート055 >>430   帝国ルート055 >>437
王国ルート056 >>442   帝国ルート056 >>450
王国ルート057 >>443   帝国ルート057 >>451
王国ルート058 >>446   帝国ルート058 >>453
王国ルート059 >>447   帝国ルート059 >>454
王国ルート060 >>449   帝国ルート060 >>461
王国ルート061 >>462   帝国ルート061 >>471
王国ルート062 >>465   帝国ルート062 >>472
王国ルート063 >>466   帝国ルート063 >>476
王国ルート064 >>467   帝国ルート064 >>477
王国ルート065 >>468   帝国ルート065 >>480
王国ルート066 >>482   帝国ルート066 >>492
王国ルート067 >>483   帝国ルート067 >>493
王国ルート068 >>487   帝国ルート068 >>495
王国ルート069 >>488   帝国ルート069 >>496
王国ルート070 >>489   帝国ルート070 >>499
王国ルート071 >>504   帝国ルート071 >>516
王国ルート072 >>506   帝国ルート072 >>517
王国ルート073 >>507   帝国ルート073 >>520
王国ルート074 >>509   帝国ルート074 >>521
王国ルート075 >>510   帝国ルート075 >>525
王国ルート076 >>528   帝国ルート076 >>539
王国ルート077 >>533   帝国ルート077 >>543
王国ルート078 >>534   帝国ルート078 >>545
王国ルート079 >>537   帝国ルート079 >>547
王国ルート080 >>538   帝国ルート080 >>548
王国ルート081 >>551   帝国ルート081 >>560
王国ルート082 >>552   帝国ルート082 >>562
王国ルート083 >>553   帝国ルート083 >>563
王国ルート084 >>557   帝国ルート084 >>564
王国ルート085 >>558   帝国ルート085 >>566
王国ルート086 >>571
王国ルート087 >>574
王国ルート088 >>575
王国ルート089 >>578
王国ルート090 >>579


◇カメルリング王国味方

>>2 ルーク 主人公
>>1 ミルフィーユ 発明家・美食家・資産家
>>4 キリエ 牧師・哲学者
>>16 ノイアー 傭兵
>>25 ラグ 執事
>>28 サイト 商人
>>29 リグレット 僧侶
>>39 ツバキ 軍人
>>55 ユニート 魔導師
>>58 ラルス 騎士
>>58 リリー 暗殺者
>>75 ジョレス 傭兵
>>78 フランチェスカ 王女
>>87 ハニー 妖精
>>99 シラン 術士
>>221 カルマ 学者・錬金術師・魔術師
>>289 フランキール 王子
>>440 シュバルツ 海賊
>>457 リレーナ 竜騎士

◆ミカイロウィッチ帝国味方

>>14 エドウィン 主人公
>>6 ヴィトリアル 盗賊
>>11 アーリィ 魔女
>>12 ゼルフ 黒騎士
>>12 リン メイド
>>27 シフォン 貴族騎士
>>30 イヴ 術士
>>37 ウィンデル 大道芸人
>>59 クウヤ 剣士
>>60 ツヴァイ 科学者(薬学)
>>76 ミレア 傭兵
>>78 シェリル 皇女
>>85 ディルム 精霊
>>96 ライヤ 偵察兵
>>98 セイリーン ドッペルゲンガー
>>278 レイ 魔女
>>305 故)フィア 魔女の弟子
>>305 故)キオ 魔女の弟子

◎味方につかない者

>>163 ソーサラー(呼称) 占星術師・幻術師
>>163 スキンヘッドハゲ(呼称) 盗賊
>>227 ヨメナイヤツ アドバイザー

キャラ応募してくださった皆様心よりお礼申し上げます!素敵なキャラをありがとう!!

◇番外編◆

参照四桁祝
・イヌ派ネコ派の王国日常 >>146
・絶対に信じちゃいけない言葉で帝国日常 >>150
・執事採用試験 >>156
・団長の足取り >>157-158>>160
・ある幻術師の思い出 >>162>>164>>170>>173>>175>>176

参照二千祝
・とあるメイドの追走劇 >>248>>254>>257>>260
・傭兵の黒と従者の白 >>263>>264>>269>>272>>274>>280>>281>>282>>283

参照三千&四千祝
・魔法使いの弟子 >>360>>363>>364>>367-368
・帝国サイド盗賊団と加担者でチビキャラ全員集合イラスト >>371

参照4500祝
・王国・番外ルートで抜粋チビキャラ集合イラスト >>404

銀賞&殿堂入り祝
・メイドと騎士と仲介人 >>415>>417-418>>421>>423

参照5000祝
参照6000祝
参照7000祝
金賞祝
参照8000祝
参照9000祝
参照10000祝!
参照11000祝!!
参照12000&13000祝!!!
保留
どんどん保留祝が増えて行っている…本編終わったら一気に大感謝祭とかやりたいなぁ、なんて考えてます

・・・業務連絡・・・

2014の冬の小説大会で銀賞もらえました!ありがとうございます!
2015の夏の小説大会で金賞もらえました!!ありがとうございますっっ!
参照5000祝いと6000祝、7000祝、8000祝9000祝そして10000祝。11000祝はのちほど…ッ!


時間軸まとめ >>234

さぁ 正義はどっち ? 参照5500ありがとう御座います! ( No.451 )
日時: 2015/02/26 16:52
名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: kphB4geJ)

ミカイロウィッチ帝国ルート 057



 光の柱とは、普通その神々しい見た目からたとえ迫ってきたとしても攻撃性を全く感じないだろう。
それどころか、敬虔な聖職者でなくとも神様か何かのお告げか何かと勘違いするほど人の闘争心を奪ってしまう。
けれど、その光の柱が化け物の口から放たれたときは別だ。
「『シールド』!」
その光線にいち早く反応し、アーリィがピンクの杖を頭上に掲げ呪詛を唱える。
盗賊たちを包み込むように発生したシールドの表面を、激しい光と衝撃が殴りつけるようにぶち当たり、シールドの周囲に残る木々を消し炭にしていく。
「どでかいうえに魔術も使う化け物ってわけね!」
見たこともない光系の破壊攻撃にアーリィはむっとしながらシールド越しに化けものを睨む。
光の柱はシールドを丸ごと残したまま、光の通過した直線上の木々をきれいに一掃し、焼け野原のようにして消えた。
綺麗に木々を消し去った張本人、化け物は意外な反撃に目を怒らせているようで怒った猫のように尾を振り回している。
ふん、と鼻を鳴らしてアーリィはシールドを解除し、仲間たちに視線を落とした。
それに反応するように、口をぽかんと開けたまま消し炭になった黒い樹海からアーリィへと彼らが視線を集中させる。
さっぱりお手上げで何が起こったのかよくわからないというような表情に、杖で化け物の方を差しながら言う。
「アタシがあの化け物を倒すわ」
ちょっと買い物行ってくる、みたいな軽い言い方で言ってのけたアーリィに、盗賊団たちは目をまん丸くするも化け物が咆哮を上げて迫ってきたため後ずさりする。
それに対し、アーリィはまだ話し中よ!と文句を言いながら炎系の呪詛をつぶやいて化け物を遠距離から魔法攻撃しその動きを止めた。
「アタシが戦ってる間に船の野営地に行って、リンを早く手当しなさいよ。王女にもここで死なれたら困るしね」
言って視線を目を閉じてほほ笑んでいる王女とぐったりしている担架のリンに向ける。
「まぁ魔術関連はお前なら大丈夫だとは思う」ヴィトリアルが化け物とアーリィを交互に見ながら呟く。「ただ、物理攻撃で楽に殺されそうだけどな」
化け物とアーリィの体の大きさの比からして、化け物一歩分でアーリィ20歩分ほどの差がある。
攻撃してもひるまなかった場合、踏みつぶされてあっけなく殺されてしまう可能性もある。
「足になりそうで、さらに魔術の兄弟分の力を持ってる二人のどちらかに残ってもらえばあんな化け物すぐ倒せるわよ」
会話の合間に化け物を遠距離攻撃しながらアーリィがイヴとクウヤに目をやる。
「残ってもらうわよ、どちらかにはね」

 一瞬ひるんだように目をまん丸くした二人は、顔を見合わせすぐ口を開く。
「私が残る…!」「俺がやるからイヴだけは!」
兄さんは担架を早く運んで!俺の方が使える幻術の数は多い!などと半ば喧嘩のように言い合うが、兄であるクウヤの方が断固として譲らなかった。
最終的に、王女に幻術を掛けたイヴが意識を失った場合、幻術が解け一時的に王女が覚醒して暴れる危険があるからという理由で、クウヤがアーリィと共に残ることになった。
「兄さん、気を付けてね」というイヴの言葉に頷いて、担架の端を握りしめて樹海の中へ進む妹の姿を別れを惜しむように眺めていると、
「クウヤこれ」別れ際化け物を眺めながらツヴァイが白衣のポケットからゴム製の線をしたガラス瓶のようなものを取り出してクウヤに手渡す。
「なにこれ?」
怪訝な顔をして尋ねると、得意げに微笑まれる。
「絶対に液体に触っちゃだめだからね。もし危なくなったら、これをあの化け物にぶちまければいいよ。もしくは剣に着けて攻撃すれば効き目は大きいかもね」
絶対触っちゃダメって何?と慌てて小瓶をつまむようにして顔から離して尋ねると、ツヴァイは疲れた足を引きずりながら振り返りざまに言う。
「液体の名前はね、君に言っても分からないと思うんだけど…」などと生意気そうにつぶやいた後、「触ったら君の皮膚なんかはすぐ溶けるんだよ。だから気を付けてね」
せめて誤って触った場合の応急処置法も言い残して行けよ!と気味悪そうにガラスの小瓶を傾けて眺めたクウヤだったが、すでに魔術を使用して化け物と対峙しているアーリィに目をやり、小瓶を片手に彼女のもとへと参戦した。



やっと‥‥!
やっと更新できるように…!
10日も放置プレイしてすみませんっ
しかも参照が5500超えてたありがとうございます!

Re: さぁ 正義はどっち ? 参照5400ありがとう御座います! ( No.452 )
日時: 2015/02/26 18:02
名前: コッコ (ID: Exk/SR5W)

お久しぶりです。アーリィとクウヤがヨメナイヤツの足止めするというかなり危険な位置に付きましたね。

さぁ 正義はどっち ? 参照5400ありがとう御座います! ( No.453 )
日時: 2015/03/02 23:39
名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: kphB4geJ)

ミカイロウィッチ帝国ルート 058


「こいつっていわゆる召喚系のバケモン?」
超巨大なワニめいた爬虫類の化け物のを見上げながらクウヤが言えば、さぁどうかしらねとアーリィは呪詛の合間から乱暴に返答する。
爆発系の魔法攻撃は化け物の体の表面で容赦なく爆発を起こすが、すさまじい衝撃音の割にあまり効いている様子がない。
「硬っい鱗ね!」
イライラしながら悪態をつくアーリィに、化け物が馬鹿にするように牙をむき出してにっと笑い、彼女を撫で斬りにしようとその巨大な前足を勢いよく振りかざす。
「〜っと!」
すかさずクウヤがアーリィを荷物のように抱え込みながら走り、鼻の先にまで迫る鋭い爪の下へと滑り込んで身をかわす。
「危ね!」
ひやひやしながら体勢を立て直し、アーリィを肩にちょこんとのせながら化け物を仰ぎ見ると、化け物が口を開いた。
先程の破壊光線かと身構える二人だったが、化け物の牙の並ぶ口からは光の柱の代わりに人語が放たれた。


「お前らはなぜ争いの種をまき散らすんだ」
背筋がぞわぞわするような化け物の声に、顔をしかながらクウヤが後ずさりする。
化け物の声が不安を誘う声色でもあり、またアーリィを抱えている間は剣で防御することが難しいからだ。
「冷戦を破綻させて戦争を始めて…」しかし化け物は後ずさりする二人を追いかけるようにゆっくりと間合いを詰めてくる。
「…再び戦争を開始させてどうするつもりなんだ」
低く唸る様に化け物の喉が鳴り、鋭い牙が憎たらしげに歯ぎしりをする。
ゆっくりと後ずさりを続けるクウヤの肩に摑まりながら、アーリィが化け物の金色の目をにらみつけて口を開く。
「聞いてどうする気?」
毅然とした態度で問い返すアーリィの度胸に呆れ半分賞賛半分でやれやれと首を振りつつ、化け物との距離をとろうと足を止めずにクウヤも口を開く。
「そもそもアンタいったい何者なんだよ?」
化け物と同じ色の瞳を細めながら、できるだけすごんだ声を出す。
「何が目的で俺たちを急に襲ってくるんだ?」
二人からの問いかけに、化け物は歩みを止めた。鋭い爪で倒壊した大木をバキバキに踏み潰していたため、彼の通った後はおがくずの道になっている。
棘のある尻尾がとぐろを巻いて、化け物は思案気にアーリィとクウヤを眺める。
 二人は寡黙になった化け物を息をのんで見つめ、その隙に化け物の姿を素早く把握する。
全体的に鱗に覆われており、ほとんどと言っていいほど弱点がなさそうな爬虫類系のバケモン。
鋭い爪の物理攻撃から破壊光線のような魔法攻撃までやってのける、以外と足の速い人外生物。
この生命体がどこから生まれて、何の目的で襲い掛かってくるのか、そもそもその正体すら謎めいている。
「こんなバケモン俺見たことない」
じっとその動きに注意を払いながらクウヤが呟けば、「アタシも見たことないわよ」とアーリィも眉を寄せる。
「コイツの正体を知りたいのよね。王国の味方なのか、見たことのない魔法を使うわけとか」
「もっと突っ込むべきところはあると思うんだけど?」と軽く笑いながら言うクウヤだったが、アーリィは真顔で首を振る。
「とにかくコイツの正体が、ツヴァイみたいな王国のお抱え科学者や錬金術師の手で作成された生命体なら相当の脅威だってことよ」
まだ自然発生の化け物なら救いがあるってもんよ、とアーリィがぼやく。
「幻術で精神を崩壊させたところで、殺すことなんてできそうにないわね。そんなのが王国の手先として大量に帝国入りされたら終わりよ」
と、化け物が二人に割って入り、冷たい指で背中をなぞるような耳触りの悪い声を響かせた。
心底不思議でならないというような人間のような表情が、化け物の顔に張り付いている。
「聞かせろ。お前たち人間はなぜ、いつも戦争ばかりするんだ?戦争がそんなに楽しいか?戦争をしたら幸せになれるのか?!」
語尾は雷が落ちるような叫び声になり、化け物の尾が鞭のように二人に振り下ろされる。
耳を塞ぎながら迫ってくる太い尻尾に目を見開き、飛び込むように樹海へ身を転がせながら避けるが、化け物の応酬は止まらない。
「答えてみろ!愚か者どもめ!」
ほとんど叩き潰すような手足と尻尾の衝撃で、周囲の木々が地震の時のように揺れ、枯葉がまき散らされる。
その尻尾の連打の一打ちがクウヤの剣を持つ手に鞭を打つようにしてあたり、剣がひらりと木漏れ日を浴びながら遠くへ落ちていく。
「っ!」
手の甲に走る痛みに顔をしかめ、剣の軌跡を追うクウヤの目に、化け物の巨大な手の平が迫るのが見えた。
踏みつぶされる、と思った瞬間、肩に乗ったアーリィが小さな体全体でクウヤの頭を覆い尽くすように庇い、片手を振り上げて呪詛を叫ぶ。
「『エクスプロージョン』!」
頭をぶんなぐるような大爆発がとどろき、体全体が吹き飛ばされるような衝撃に文字通り吹き飛ばされて、訳も分からないうちに地面を転がるクウヤ。
しかしアーリィを離さないようにゴシックロリータの服をしっかりとつかみながら、すぐに立ち上がる。
「話になんないわ!」
自身が起こした爆発で、頬を煤だらけにしたアーリィがそれをごしごし拭い憮然と言い放つ。
対する化け物は、爪の間のやわらかいうろこが破けたようで少し痛そうに長い舌で怪我を舐めている。
けれどやはり大した怪我には見えない。
「戦意喪失させて尚且つ会話くらいはできるような精神状態に追い込むことは出来る?」
その問いに、アーリィを片手で支え、痛む手の甲を見ないようにしながら、クウヤは「当然」と微笑んだ。




こんばんはコッコさん!
ヨメナイヤツ戦は結構当初思い描いてたものとは大幅に異なってきました。
ので、結構悩みつつ書いてます…
コメントありがとうございます!!

さぁ 正義はどっち ? 参照5600ありがとう御座います! ( No.454 )
日時: 2015/03/10 22:34
名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: kphB4geJ)

ミカイロウィッチ帝国ルート 059



「大丈夫なのですかね、あの人たち…」
「大丈夫だろ、たぶん」
「兄さんもアーリィも無事だと…いいけど…」
化け物から15分程度離れたところで肩を寄せ合い、小休憩をはさみながら樹海の方へと視線を巡らせる。
視界の端にはリンの手当てをするツヴァイがおり、実験体の反応をみるようにじっとリンに注目している。
「ぼく怖いです、こんな怖い目にはもう会いたくないですよ」
ウィンデルはため息をつきながらよろよろと立ち上がり、「足痛いから湿布頂戴」とツヴァイの白衣を引っ張って催促する。
ツヴァイは「ん」と無造作に適当な薬品をウィンデルに押し付けて、リンをつっついたり脈をしきりにとってポケットをかきまわし薬品をたくさん取り出している。
その妙な行動に、押し付けられた薬品から目を離してウィンデルが隣から覗き込むように首を傾げて尋ねる。
「どうしたの?具合…よくないの?」
リンの青ざめた顔を一旦見た後、ツヴァイがその質問に答えず逆にウィンデルへと尋ねる。
「包帯ある?」
ないよそんなの、布なら少しは、と面食らうウィンデルの代わりにヴィトリアルが包帯を放ってよこす。
「ほらよ、容体は落ち着いたか?」
投げられた包帯を受け取ったツヴァイは、ちいさくかぶりを振る。
引き延ばした包帯を服の上からぐるぐるときつく巻きつけ、余った包帯でリンを担架に固定する。
「あんまりよくないね。傷口が開きかけて、化膿してる。消毒薬があればいいんだけどボクそれ持ってないから膿を今取り除くこともできない」
このままいけばあと数時間のうちに高熱にうなされるかもね、とツヴァイは言葉の端に少し楽しむような声音を含ませながら言う。
そしたらこの薬を試してみるよ、と豆粒ほどの錠剤が詰まった小瓶をポケットから取り出して楽しげに振って見せる。
リンをこのまま実験体にするつもり?とイヴがやれやれとかぶりを振り、リンの顔色を覗き込む。
樹海は相変わらず薄暗く、もうじきくるであろう昼間の垂直な光を浴びてもなお鬱蒼と茂る葉のせいできっと始終この調子なのだろう。
その薄影のもとリンを見ると、とてつもなく具合が悪く見える。顔が青ざめており、呼吸も弱弱しい。医療関係に詳しくなくともリンの状態がまずいということは素人にも分かる。
けれど今は鎮痛剤を投与する他にしてやれることはなく、唯一の有効な手立ては一刻も早く野営地へとたどり着き、帝国へ運ぶことだ。
化け物の咆哮が遠く聞こえ、一斉に黙り込んだ一行はやがて黙々と野営地へと移動し始めた。


木々を揺らす風に塩味が帯びてきた。それにより元気づけられて、一行は進む速度を上げた。
耳を澄ますと波が転がり砕ける音が聞こえ、しばらくして幹の合間に野営地が見えてきた。
「つきましたね、やっと!」
木製の船と数人の乗組員たちが見えるとすぐ、ウィンデルが歓声を上げる。その嬉しさあふれる歓声に気付いて、乗組員たちが一行を温かく迎えた。
「数が足んねぇんじゃねぇかぁ?」
ぼろぼろの帰還者たちを船に引き上げてやりながら、ナポレオン帽の船長が不思議そうにつぶやく。
「ことによると、出港を遅らすことなるぞ」
潮風にさらされて肌触りの荒くなった服から鎖付きの時計を取り出し、樹海へと視線を投げる船長。
そんな彼にヴィトリアルが床に座り込みながら声を上げる。
「奴らの事は構わない。出航してくれ」
いいのかい、と船長が時計を仕舞い込み、じっとヴィトリアルを見る。
「あいつらがそうしてくれと言ったんだよ。それよりこの船に消毒液とぺてぃナイフあるか?あるならすぐ用意してくれ。怪我人が今まずいことになってるんでね」
茶化すようににっと笑みを浮かべて言うヴィトリアルに、船長は片眉をあげつつも部下たちに錨を上げろと命令を出す。
そして船員用の簡易ベットに横たえた少女のために、船に積んだ救急セットを取り出して、にこやかにそれを受け取る白衣少年に声を掛ける。
「ソイツの怪我はそんなにひどいのか?船が出れば結構揺れる。あいにく船医はいないから大掛かりな手当は出来ないぞ…?」
しかしツヴァイはペティナイフ片手に無邪気そうに笑う。
「大丈夫、手術くらいなんとかなる…たぶんね?」
まさかお前が手術をするのか?と唖然とする船長をよそに、助手役を買って出たイヴが包帯をたくさん抱えてツヴァイの後に続いた。
船室にはいる間際、船長に「私も心配」とつぶやく。
「麻酔はいっぱいあるみたいだから、変なところ切っても大丈夫…だと思う。少なくとも痛くはないと思う」
ぼやくようにいうイヴだったが、余計船長をぎょっとさせるだけで逆効果である。立ち聞きしていたウィンデルが青ざめた様子で目を丸くし、船長と目を見合わせた。
大丈夫なのか?というようにお互い肩を竦め、動き出した船の甲板で胡坐をかくヴィトリアルへ目を向ける。しかしヴィトリアルも同じように肩を竦め、さあねというように無言で返答して見せた。




4月までには終わると宣言してたのに…っ
いや、まだ間に合うか?!
5600ありがとうございますっっ

Re: さぁ 正義はどっち ? 参照5500ありがとう御座います! ( No.455 )
日時: 2015/03/10 23:28
名前: コッコ (ID: ePP2bIPh)

お久しぶりです。なんかツヴァイの手術怖いですね。でも一様船に辿り着けてホットしました。

あと、自分も短期間登場で良いのでオリキャラ最後の一人を応募して良いですか?


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