複雑・ファジー小説

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 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

さぁ 正義はどっち ? 参照13600ありがとう御座います!
日時: 2016/08/23 00:57
名前: メルマーク (ID: KzMBmi6F)

戦争と平和は正反対のものと考える人が多い世の中
それは本当なの?正義って何?悪って何?
答えが見つからないなら探せば良い。

多分異色な今までにない、正義についてのお話し。
答えはありませんが、きっと終わった後 何が正解か思い浮かぶはず。
時代は古きよき時代、中世頃にしようかと

オリキャラ募集一応締め切らせていただきます!
終章にもうじき突入予定なので‥・もしかしたらまた募集するかも・・・?


名前
性別
年齢
容姿
A国B国どちらの味方?(国名は長いので省略
性格
武器
サンボイ「」
職業は?下から選択下になければ新職業を書いてくれるとうれしいです

騎士 傭兵 盗賊 貴族 海賊 海軍 王室(王族をのぞく外交官・メイド・執事・王族のいとこ)関連
占い師 科学者(錬金術師) 芸術家 哲学者 商人 国民 旅人 魔法使い など

武器や変わった特徴などの要望も即採用です
結構な確率で”死ぬケース”もあるのでご了承ください!!

◇目次◆   


王国ルート001 >>5    帝国ルート001 >>43
王国ルート002 >>15    帝国ルート002 >>49
王国ルート003 >>20    帝国ルート003 >>50
王国ルート004 >>23    帝国ルート004 >>54
王国ルート005 >>31    帝国ルート005 >>63
王国ルート006 >>66    帝国ルート006 >>81
王国ルート007 >>67    帝国ルート007 >>83
王国ルート008 >>68    帝国ルート008 >>90
王国ルート009 >>71    帝国ルート009 >>91
王国ルート010 >>74    帝国ルート010 >>93
王国ルート011 >>101   帝国ルート011 >>114
王国ルート012 >>103   帝国ルート012 >>117
王国ルート013 >>106   帝国ルート013 >>118
王国ルート014 >>108   帝国ルート014 >>120
王国ルート015 >>110   帝国ルート015 >>122
王国ルート016 >>123   帝国ルート016 >>183
王国ルート017 >>127   帝国ルート017 >>184
王国ルート018 >>133   帝国ルート018 >>187
王国ルート019 >>142   帝国ルート019 >>191
王国ルート020 >>144   帝国ルート020 >>193
王国ルート021 >>194   帝国ルート021 >>207
王国ルート022 >>197   帝国ルート022 >>208
王国ルート023 >>200   帝国ルート023 >>209
王国ルート024 >>203   帝国ルート024 >>210
王国ルート025 >>204   帝国ルート025 >>212
王国ルート026 >>214   帝国ルート026 >>232
王国ルート027 >>217   帝国ルート027 >>238
王国ルート028 >>219   帝国ルート028 >>239
王国ルート029 >>223   帝国ルート029 >>246
王国ルート030 >>224   帝国ルート030 >>258
王国ルート031 >>286   帝国ルート031 >>298
王国ルート032 >>287   帝国ルート032 >>304
王国ルート033 >>288   帝国ルート033 >>309
王国ルート034 >>292   帝国ルート034 >>312
王国ルート035 >>295   帝国ルート035 >>314
王国ルート036 >>317   帝国ルート036 >>329
王国ルート037 >>319   帝国ルート037 >>331
王国ルート038 >>321   帝国ルート038 >>334
王国ルート039 >>325   帝国ルート039 >>335
王国ルート040 >>326   帝国ルート040 >>336
王国ルート041 >>340   帝国ルート041 >>372
王国ルート042 >>347   帝国ルート042 >>375
王国ルート043 >>352   帝国ルート043 >>378
王国ルート044 >>353   帝国ルート044 >>382
王国ルート045 >>357   帝国ルート045 >>386
王国ルート046 >>387   帝国ルート046 >>399
王国ルート047 >>390   帝国ルート047 >>402
王国ルート048 >>393   帝国ルート048 >>407
王国ルート049 >>395   帝国ルート049 >>408
王国ルート050 >>398   帝国ルート050 >>409
王国ルート051 >>425   帝国ルート051 >>431
王国ルート052 >>426   帝国ルート052 >>433
王国ルート053 >>428   帝国ルート053 >>434
王国ルート054 >>429   帝国ルート054 >>436
王国ルート055 >>430   帝国ルート055 >>437
王国ルート056 >>442   帝国ルート056 >>450
王国ルート057 >>443   帝国ルート057 >>451
王国ルート058 >>446   帝国ルート058 >>453
王国ルート059 >>447   帝国ルート059 >>454
王国ルート060 >>449   帝国ルート060 >>461
王国ルート061 >>462   帝国ルート061 >>471
王国ルート062 >>465   帝国ルート062 >>472
王国ルート063 >>466   帝国ルート063 >>476
王国ルート064 >>467   帝国ルート064 >>477
王国ルート065 >>468   帝国ルート065 >>480
王国ルート066 >>482   帝国ルート066 >>492
王国ルート067 >>483   帝国ルート067 >>493
王国ルート068 >>487   帝国ルート068 >>495
王国ルート069 >>488   帝国ルート069 >>496
王国ルート070 >>489   帝国ルート070 >>499
王国ルート071 >>504   帝国ルート071 >>516
王国ルート072 >>506   帝国ルート072 >>517
王国ルート073 >>507   帝国ルート073 >>520
王国ルート074 >>509   帝国ルート074 >>521
王国ルート075 >>510   帝国ルート075 >>525
王国ルート076 >>528   帝国ルート076 >>539
王国ルート077 >>533   帝国ルート077 >>543
王国ルート078 >>534   帝国ルート078 >>545
王国ルート079 >>537   帝国ルート079 >>547
王国ルート080 >>538   帝国ルート080 >>548
王国ルート081 >>551   帝国ルート081 >>560
王国ルート082 >>552   帝国ルート082 >>562
王国ルート083 >>553   帝国ルート083 >>563
王国ルート084 >>557   帝国ルート084 >>564
王国ルート085 >>558   帝国ルート085 >>566
王国ルート086 >>571
王国ルート087 >>574
王国ルート088 >>575
王国ルート089 >>578
王国ルート090 >>579


◇カメルリング王国味方

>>2 ルーク 主人公
>>1 ミルフィーユ 発明家・美食家・資産家
>>4 キリエ 牧師・哲学者
>>16 ノイアー 傭兵
>>25 ラグ 執事
>>28 サイト 商人
>>29 リグレット 僧侶
>>39 ツバキ 軍人
>>55 ユニート 魔導師
>>58 ラルス 騎士
>>58 リリー 暗殺者
>>75 ジョレス 傭兵
>>78 フランチェスカ 王女
>>87 ハニー 妖精
>>99 シラン 術士
>>221 カルマ 学者・錬金術師・魔術師
>>289 フランキール 王子
>>440 シュバルツ 海賊
>>457 リレーナ 竜騎士

◆ミカイロウィッチ帝国味方

>>14 エドウィン 主人公
>>6 ヴィトリアル 盗賊
>>11 アーリィ 魔女
>>12 ゼルフ 黒騎士
>>12 リン メイド
>>27 シフォン 貴族騎士
>>30 イヴ 術士
>>37 ウィンデル 大道芸人
>>59 クウヤ 剣士
>>60 ツヴァイ 科学者(薬学)
>>76 ミレア 傭兵
>>78 シェリル 皇女
>>85 ディルム 精霊
>>96 ライヤ 偵察兵
>>98 セイリーン ドッペルゲンガー
>>278 レイ 魔女
>>305 故)フィア 魔女の弟子
>>305 故)キオ 魔女の弟子

◎味方につかない者

>>163 ソーサラー(呼称) 占星術師・幻術師
>>163 スキンヘッドハゲ(呼称) 盗賊
>>227 ヨメナイヤツ アドバイザー

キャラ応募してくださった皆様心よりお礼申し上げます!素敵なキャラをありがとう!!

◇番外編◆

参照四桁祝
・イヌ派ネコ派の王国日常 >>146
・絶対に信じちゃいけない言葉で帝国日常 >>150
・執事採用試験 >>156
・団長の足取り >>157-158>>160
・ある幻術師の思い出 >>162>>164>>170>>173>>175>>176

参照二千祝
・とあるメイドの追走劇 >>248>>254>>257>>260
・傭兵の黒と従者の白 >>263>>264>>269>>272>>274>>280>>281>>282>>283

参照三千&四千祝
・魔法使いの弟子 >>360>>363>>364>>367-368
・帝国サイド盗賊団と加担者でチビキャラ全員集合イラスト >>371

参照4500祝
・王国・番外ルートで抜粋チビキャラ集合イラスト >>404

銀賞&殿堂入り祝
・メイドと騎士と仲介人 >>415>>417-418>>421>>423

参照5000祝
参照6000祝
参照7000祝
金賞祝
参照8000祝
参照9000祝
参照10000祝!
参照11000祝!!
参照12000&13000祝!!!
保留
どんどん保留祝が増えて行っている…本編終わったら一気に大感謝祭とかやりたいなぁ、なんて考えてます

・・・業務連絡・・・

2014の冬の小説大会で銀賞もらえました!ありがとうございます!
2015の夏の小説大会で金賞もらえました!!ありがとうございますっっ!
参照5000祝いと6000祝、7000祝、8000祝9000祝そして10000祝。11000祝はのちほど…ッ!


時間軸まとめ >>234

さぁ 正義はどっち ? 参照5300ありがとう御座います! ( No.446 )
日時: 2015/02/13 19:27
名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: kphB4geJ)

カメルリング王国ルート 058


「これは…」
魔術研究室の惨状を目の当たりにすると、カルマはうむ、と困ったような声を喉から絞り出した。そしてバラバラに砕けて傾ぐ本棚を片手で撫で、焦げ臭い室内の机上にある魔導書を一瞥する。
今にも崩れそうなアンバランスな本の塔へ手を伸ばし、一冊一冊を慎重にめくりながら、カルマはその被害に顔を曇らせた。
「その…ごめん…魔導書…」
壊れた扉からカルマの挙動を見守っていたルークが、口ごもりながら謝るとカルマは黙って首を振る。
表紙や内部が放電爆発により黒ずんだ魔導書を閉じ視線を上げずにルークに一言投げかける。
「盗まれた一冊のことは残念だよ、でも修復が必要だが29冊は無事だから良しとしよう」
果たしてその半数が無事と言える状態なのか怪しかったが、それらの親でもある製作者のカルマがそういうのなら無事なのかもしれない。
半数が失われたと考えていた分だけ、少し気分が軽くなる。けれど修復は大変な徒労になるに違いない。


二人組の侵入者を逃しただけでなく、魔導書を一冊盗られ、その上研究所を半壊したルークは、沈んだ顔でツバキと合流すべく廊下をとぼとぼと歩く。
その隣を腕組みしながら歩くカルマは、魔導書の修復よりも大ごとだとぼやく。
「問題は研究所だ。窓のない部屋を新しく探さねばならない…」
「僕も一緒に探すよ」
カルマはその言葉にそうかそうかとありがたそうに頷き、今度の研究室はもっと頑丈で座り心地の良い机があればいいなぁと赤い目を輝かせる。
「どうせなら今度はちゃんと寝るところがある部屋を探したらいいのに」「机に座って研究の途中で意識を失うのが良いんだ!」
などとやり取りを交わしていれば、徐々に見えてくる扉。その扉を見てルークは重々しく黙り込み、うっかりとその内部をやわな人物に見せないために閉ざされた扉をノックする。
扉はすぐに開き、ツバキが顔をのぞかせルークとカルマを見下ろす。
「あぁ」
二人組が最後に立ち寄った部屋に何か手がかりがあるかと捜索していたツバキは、ルークとカルマを見ればすぐ口元に笑みを浮かべた。
「手がかりは何かありました?魔導書の行方…とかは」
うっかり、年寄めいた言葉遣いをするが14歳の少女におびただしい血の跡を見せないようにと扉を閉め、廊下に並んだツバキは首を振った。
「残念ながら何も。絵画が鋭利な刃物で切り裂かれた跡と、血痕と、裂かれたカーテンの他は足跡くらいしか残っていない」
言って、着物の帯に帯刀した刀の柄に手を掛けながら、行方不明者もまだ見つかっていない、と不安そうにつぶやく。
失踪者の僧侶と魔導士二人とは友人であり、残る1人の牧師は先日彼女の傭兵団員となり、面識があるだけに不安が募るのだろう。
「わっちは窓の外をもう一度捜索するけれど、二人はどうする?」
まぁいい、とかぶりを振ってツバキは廊下を歩き出し、後をついてくる二人に優しい声色で尋ねる。
「日が昇る前には、新しい研究室を探さないといけないので城内に残ります」
その問いかけに立ち止りながら返答すれば、気を付けてと言い残してツバキは去って行った。
廊下でその背中を見送り、それじゃ部屋を探そうかとカルマとルークが目を合わせたとき、ツバキと入れ違いでこちらに走ってくる人物が目に留まる。
「シラン?」
「ルーク!聞きたいことがあるんだ!」
血相を変えて走り寄るシランは、息を切らせながらルークの眼前に3つのマスコットをぶら下げた。
これがどうしたの、と面食らったようにルークがシランを見返せば、いつもの能天気な砕けた笑みの代わりに脅かすような口調で尋ねられる。
「ルークが攻撃した二人組の侵入者って…この二人、じゃないよね?!」
息が切れるのさえもどかしいとばかりにあせった口調で問い詰めるシランに、カルマが不審げに眉を寄せる。
「一体どうしたというんだ」
「いいから…答えろって!」
これにはルークもびっくりしてしまい、シランを凝視してしまう。普段温厚な彼はこんな風に人にどなったりしない。
なぜシランがこんなに興奮するのか分からない、と戸惑うルークだったがマスコットをもう一度眺め、首を振る。
「違うよ。確かに男女だったけど、髪の色とか違うし。包帯も巻いて無かったし」
本当に?!と叫ばれ、こわごわと頷けば、シランは力が抜けたように絨毯にへたり込んだ。
そして心底安堵したように、良かったと連呼しまくる。
だいじょうぶ?とこわごわと肩を叩くルークを見上げ、シランは朗らかに笑う。
そして思わずといった感じでマスコットを握りしめて喋りだす。
「4年間離れ離れになっていた二人がさっきまでここに居たんだ。きっとまだどこかにいるんだ。僕を探してるんだよ」
どういう事?と廊下に突っ立ってシランを眺めているルークとカルマに、シランはある幻術師の事を話し始めた。





パソコンがようやく絶不調から立ち直ってくれましたので、更新を再開できそうです!

さぁ 正義はどっち ? 参照5300ありがとう御座います! ( No.447 )
日時: 2015/02/13 19:28
名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: kphB4geJ)

カメルリング王国ルート 059


 数年前まではミカイロウィッチ帝国に住んでいたのだと、シランは言った。そこで、特殊な幻術師を師匠に、二人の兄妹と言述の修行をしていたという。しかし、大戦をきっかけに師匠がシランと兄妹を連れて逃亡を図った。
けれど大戦で深手を負った師匠は弱っていき、やがてある出来事が発生しシランは師匠とも兄妹ともはぐれてしまった。
しかし、その兄妹がシランを探しにこの王国へ姿を現し、ほんの数時間前には王城へ侵入して居たらしく今もどこかにいるという。
「どうしてそんな解釈が出来るんだ」
カルマが腕組みしていえば、シランは五つに増えたマスコットをベルトに括り付けながら言う。
「幻術に掛かった使用人がいて、そいつがこのマスコットを持ってたからね」
立ち上がり嬉しげに眼を光らせたシランは、ベルトに仲良く並ぶマスコットを揺らして歩き出す。
「このマスコットのモデルは僕と、師匠とイヴとクウヤなんだ。間違いないよ僕を探してるんだ」
そしてまるで隠れん坊の鬼にでもなったように二人を探しに行こうとするシランへ、ルークは疑問をぶつける。
「なんでわざわざそんな回りくどい合図をするのかな。シランを探してるって聞きまわって歩けばいいのに」
その問いにまったくもうとばかりに振り返り、腰に手を当ててシランが答える。
「そりゃ僕は希少な星の幻術師なんだから、騎士たちや使用人に聞きまわったって教えてはくれないからだよ。それに不法侵入だろうし」
たぶん変装か何かして聞きまわって教えてくれなかったからこういう合図を送ってきたんじゃないかな、と頬っぺたを引っ掻くようにかいてシランが憶測を言う。
「それならば、そんな希少な幻術師のうわさをどこでかぎつけたんだか」
深く考えず、さっさと研究室を探しに行きたいという口調でカルマが言えば、シランは紅い目を数秒瞬かせた。
ルークはカルマに促されて歩き掛けたが、その言葉を頭の中で咀嚼するうちにその足取りが止まる。
「本当に…どこでその情報を…知ったんだろう」
よく考えれば考えるほど、知ってはいけない事実を偶然知ってしまった気分になる。
振り返って目を合わせると、シランも不安そうに立ち尽くしていた。
「はぐれた後の四年間、僕はずっと王国にいた。でも…師匠とイヴとクウヤから今の今迄連絡はなかった…」
恐る恐るというように、シランが口を開く。指先が不安げに服の裾を引っつかんでいる。
「だってあんなに仲が良かったんだから…居場所を知ればすぐ訪ねてくるはずだし…」
事実を知るのが怖いという感じで、でも知りたいという様にぽつぽつと断片的にしゃべるシランに、カルマがズバリ言う。
「ほんの最近、シランがここにいるという情報を得たということになる」
ほんの最近、希少な星の幻術師の存在情報が、どこかから漏れた。もしくは、ほんの最近、人目のある場所で希少な星の幻術師がその幻術を披露した事で、情報が漏れた。
「ほんの最近、そんな事件はなかったかね?」
ほんの最近、というワードがじわじわとシランの背筋を冷たくしていく気がした。
心当たりがあるが、そうするととんでもない事実に行き当たることになる。真相までたどり着きたくない。
「でも妙だね。こうも立て続けに王城に不法侵入者が来るなんて。それも同じ日に」
これがとどめのように、シランが小さく声を漏らした。カルマは憶測の上に疑問を素直に純粋に積み上げていっただけだったが、シランの頭の中ではその言葉が次々とパズルのように組み合わさっていき、一つの事実へと彼を導いたらしかった。
カルマの言葉とシランの狼狽ぶりから、ルークはゆっくりと口を開く。
「もしかして…」
先を言わないでほしいというような視線にさらされながらも、これは重大事態なので言わずにはいられない。
一旦口をつぐんだルークは、一つ一つ初めから事実の姿をかたどろうとしゃべりだす。
「先日の修道院襲撃事件で、僕を襲った帝国の黒剣の男はフランベルジュと果物ナイフを盗ろうとした。でも取れなかった」
君とリリーさんが阻止してくれたから。とルークは呟く。
「そして晩餐会が開催された日、帝国の者らしき侵入者が現れてフランベルジュを再び盗もうとして魔導書を盗んでいった。もう二組の侵入者は君を探しに来ていた‥‥」
ルークのもったいぶった言い方が気に食わないらしく、カルマがそれらを総称して考えられることを横から言う。
「つまり、こういう事だろう?襲撃事件の起きた日、シランは幻術を使った。その相手は帝国の者だった。そこから今回の事を結び付ければ簡単に答えは出る」
ふんと鼻を荒らしながら腰に両手をあてて、カルマは言い放つ。
「シランの弟子仲間の兄妹は、帝国の差し金だということだ」



さぁ 正義はどっち ? 参照5400ありがとう御座います! ( No.448 )
日時: 2015/02/13 20:08
名前: コッコ (ID: pD1ETejM)

お久しぶりです。物語がかなり進んでいますね帝国側の盗賊団は無事ヨメナイヤツから逃げ切ることができるかな気になっています。

さぁ 正義はどっち ? 参照5400ありがとう御座います! ( No.449 )
日時: 2015/02/13 21:31
名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: kphB4geJ)

カメルリング王国ルート 060


 やってきた騎士たちの後ろでは、ルークとシランとカルマがおり不安げな顔をしていた。
その一行を部屋の外で待機させ、王族たちに一礼してから部屋を出たラルスはいったい何の用件でどんな厄介ごとだ?と腰に手を当てて尋ねる。
これ以上問題ごとが増えるのは厄介だが、かといって放っておいたら更にこんがらがってしまう。
話の柱を握っているのはシランとカルマとルークらしかったため、集う騎士たちを捜索に向かわせ、ラルスは腕組みを解いて口火を切ったルークに目を合わせた。
「侵入者がさらに二人いることがわかりました。今回の侵入者はすべて帝国の差し金です」
さっそくとんでもない情報がもたらされて、ラルスは大きな手のひらで顔を覆った。

全て聞き終わった後、ラルスはシランの肩を励ますように叩いてやり、シランは暗い表情で少し頭を下げた。
「幻術師が王城に侵入しているとなると、やっかいだな」騎士を呼び寄せて新情報を捜索に当たる全員に拡散させるよう命令したあと、ラルスは困ったようにうなる。
「現に一人幻術にやられてるからな…もしかしたら幻術を利用して脱出している可能性もある」
険しい顔でラルスが言えば、自分自身が怒られているように感じてかシランが肩身の狭そうな表情をして、足元を見る。
けれど意を決してか、か細い声で首を振って進言する。
「僕らの使える幻術は、戦闘向きだからそういう応用は出来ないと思います。ただ、幻術に掛かった人なら、もっと沢山いるかもしれませんけど…」
とにかく、とラルスは三人に幻術による被害者の捜索を命じ、困った表情のまま王族を守るべく晩餐会会場へと戻った。


 王国の各所に設置されている時計により、現在の時刻は日付をまたぎ午前幾何を差している。
体を酷使して走り回り、敵との戦闘で精神的にも肉体的にも疲労し、瞼が下がりつつあるルークは、だがのろのろと動きながら廊下をゆっくり歩く。
その左右にカルマとシランがおり、二人とも無言のままだ。
窓の外へ眼をやれば、眠たい目をしながら捜索に走る騎士たちや兵士が見え、メイドや使用人たちは疲労した彼らへの夜食などを作るのに忙しく働いている。
これだけ探し回っても見つからないとは一体どういうことだ?余人の侵入者の内少なくとも一人は出血多量で敏捷に動けないというのに。
更に言えば、この王国を真正面から出ようなどとすれば高い鉄格子の門を突破しなければならないし、周囲には観客がとりまいていた。
目撃者がいるわけでもなく、まだ城に潜んでいるにしては見つからなさすぎる。
城を覆う高い城壁を上るとしても、手段がない。あったとしても市民の誰かが気付くのでは…?
 「ここは使用人用の寄宿部屋だね」
ふとカルマが立ち止り、無遠慮に扉を開ける。彼女の言ったとおりそこは使用人用の部屋らしかった。
比較的広いが、窓が少なく眺めの悪い部屋だ。ただ二段ベッドの数は多く、部屋には他の部屋のように豪華な装飾のされた豊富な家具はない。
現在は使用者は居無いようで、掃除も手が空いたらやるというような放置ぶりで少し埃っぽい。
けれどカルマはその部屋を眺めまわし、目を輝かせている。
そして振り返ると、意見を聞くようにルークを眺める。
「この部屋を新しい研究室にしようと思うがどう思う?」
どう思うって、と開け放たれた部屋のなかをのぞきくルークに、ベッドもたくさんあるし、窓が少ないじゃないか、と最良物権であることをアピールする。
「でもちょっと埃っぽいよ」というルークを黙らせ、カルマはつかつかと部屋の中へ進み、部屋の中央に置かれる長テーブルへ放置されているカンテラの明かりをともす。
そしていろいろと物色しまくった後、重々しいカーテンを見つけ、すぐに小さな窓を厳重に閉ざした。
ほこりが舞うが、カルマは満足そうに鼻を鳴らす。
「決めたよ。ここを新しい研究室にする。私は魔導書を移す作業を優先するから、幻術にかかった患者の捜索からは離脱させてもらう」
言って、少し不安げな顔をした。
「いくら見張りの騎士が付いているからと言って、魔導書から目を話すのは不安だからね…」
ルークの合意のもと、カルマは捜索から離脱し去って行った。
白くカールした髪が躍る背中を見送れば、ルークとシランは捜索を再開した。


こんばんはコッコさん!
ヨメナイヤツ戦はいろいろとすごいことになりそうですw
無事彼らが逃げ切れるか楽しみにしていてくださいっ

 気付いたら目次のルートカウントがすごいことに…
最後になりましたが、参照5400ありがとうございます!

さぁ 正義はどっち ? 参照5400ありがとう御座います! ( No.450 )
日時: 2015/03/03 16:49
名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: kphB4geJ)

ミカイロウィッチ帝国ルート 056


薄暗い樹海の中を咆哮を従えて走る。
コケに覆われた足場は悪く、必死に走れば走るほど滑って体勢を崩すうえに木々の尖った枝が容赦なく素肌にひっかき傷を残していく。
けれど止まったのなら、化け物の腹の中に入る羽目になる。

「野営地はどこ?!」
後ろを振り返れば、コケに覆われた大木の隙間を窮屈そうに縫って追いかけてくる化け物が見える。
ワニを球体にしたような化け物に背を向けて走りながらアーリィが必死に叫ぶ。
「あのバケモンなに?何で追いかけてくるんだよ!」
クウヤが後ろを振り返りながら化け物に悪態をつくが、背後に気を取られ足元の太い根にけ躓いてバランスを崩す。
「兄さん!」
イヴが開いている手で兄の服を掴み、無理やり体勢を整えたおかげで転びはしなかったが、担架が大きく揺れたせいでリンがうめき声をあげる。
どうやらツヴァイに投与された薬の効果が切れたらしく、痛みに顔をしかめている。
同じくらい額に汗を浮かばせて、必死に息を吸い込みながら仲間に追いつこうと走るウィンデルが痛み始めた足を引きずって絶望的な声を上げる。
「僕…もう限界…っ足つっちゃうよ!」
その悲痛な叫びに、ポケットから零れ落ちる薬品を恨めし気に眺めながらツヴァイも同じように声を上げる。
「ボクも足が…」
最年少の14歳の二人組が悲鳴を上げると、
「迎えの船がある野営地は、こっから早くて2、3時間かかるとこにあるぞ!」
担架の端を握りしめてヴィトリアルが叫び返す。
「僕そんなに走れないです!」
ウィンデルが涙ぐんで叫べば、転びそうになり慌てて腕を大木に巻き付かせて寸でのところで体勢を保つ。
けれど体力の限界のため、そのまま大樹にしがみついたままへたり込むように座り込んだウィンデル。
涙で頬をぬらしながら、もうダメだとあきらめたようにぎゅっと目をつむってしまう。
「ウィンデル…!」
それに気づいてイヴが振り返り、と同時にふと足を止める。
「団長!あれ見て…」
そして目を細めて化け物の方へ指をさす。
尋常じゃない声に、振り返った一向は思わず足を止めた。
涙ぐんだウィンデルを引っ張り立たせながら、ツヴァイが首を傾げてつぶやく。
「何してるんだろう?」
彼らから数十メートルの距離を開けて追いかけてきていた化け物は、今はその歩みを完全に止めていた。
身を寄せ合って連なる大木が邪魔をしたようで、化け物の大きな体では後を追って追いかけられないようだ。
怒りに光る眼玉が、恨めし気にこちらを見つめて怒鳴り散らして悪態をつくように口を大きく開けている。
「良かった、これでなんとか無事に…」「ちょっと待って」
言いかけたヴィトリアルの言葉を遮り、アーリィが緊張したように両手で毒々しいピンクの杖を握りしめる。
その反応に不安そうにアーリィを振り返る一行だったが、徐々に周囲が明るくなりつつある事に気付いて目を見張る。
よく見れば、化け物のカッと大きく開かれた口元が、見る見るうちに眩く輝き始めているではないか。
なんだあれ、と凝視していると、化け物が突如雄たけびをあげた。その途端まるで炎を吹きだすように光の光線がこちらに迫ってくる。
迫りくる光線際に、化け物が爬虫類のような顔でにやりと笑った気がした。




VSヨメナイヤツ はじまりはじまり
ちょっと訂正 5〜6時間→2〜3時間 


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