複雑・ファジー小説
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入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- さぁ 正義はどっち ? 参照13600ありがとう御座います!
- 日時: 2016/08/23 00:57
- 名前: メルマーク (ID: KzMBmi6F)
戦争と平和は正反対のものと考える人が多い世の中
それは本当なの?正義って何?悪って何?
答えが見つからないなら探せば良い。
多分異色な今までにない、正義についてのお話し。
答えはありませんが、きっと終わった後 何が正解か思い浮かぶはず。
時代は古きよき時代、中世頃にしようかと
オリキャラ募集一応締め切らせていただきます!
終章にもうじき突入予定なので‥・もしかしたらまた募集するかも・・・?
名前
性別
年齢
容姿
A国B国どちらの味方?(国名は長いので省略
性格
武器
サンボイ「」
職業は?下から選択下になければ新職業を書いてくれるとうれしいです
騎士 傭兵 盗賊 貴族 海賊 海軍 王室(王族をのぞく外交官・メイド・執事・王族のいとこ)関連
占い師 科学者(錬金術師) 芸術家 哲学者 商人 国民 旅人 魔法使い など
武器や変わった特徴などの要望も即採用です
結構な確率で”死ぬケース”もあるのでご了承ください!!
◇目次◆
王国ルート001 >>5 帝国ルート001 >>43
王国ルート002 >>15 帝国ルート002 >>49
王国ルート003 >>20 帝国ルート003 >>50
王国ルート004 >>23 帝国ルート004 >>54
王国ルート005 >>31 帝国ルート005 >>63
王国ルート006 >>66 帝国ルート006 >>81
王国ルート007 >>67 帝国ルート007 >>83
王国ルート008 >>68 帝国ルート008 >>90
王国ルート009 >>71 帝国ルート009 >>91
王国ルート010 >>74 帝国ルート010 >>93
王国ルート011 >>101 帝国ルート011 >>114
王国ルート012 >>103 帝国ルート012 >>117
王国ルート013 >>106 帝国ルート013 >>118
王国ルート014 >>108 帝国ルート014 >>120
王国ルート015 >>110 帝国ルート015 >>122
王国ルート016 >>123 帝国ルート016 >>183
王国ルート017 >>127 帝国ルート017 >>184
王国ルート018 >>133 帝国ルート018 >>187
王国ルート019 >>142 帝国ルート019 >>191
王国ルート020 >>144 帝国ルート020 >>193
王国ルート021 >>194 帝国ルート021 >>207
王国ルート022 >>197 帝国ルート022 >>208
王国ルート023 >>200 帝国ルート023 >>209
王国ルート024 >>203 帝国ルート024 >>210
王国ルート025 >>204 帝国ルート025 >>212
王国ルート026 >>214 帝国ルート026 >>232
王国ルート027 >>217 帝国ルート027 >>238
王国ルート028 >>219 帝国ルート028 >>239
王国ルート029 >>223 帝国ルート029 >>246
王国ルート030 >>224 帝国ルート030 >>258
王国ルート031 >>286 帝国ルート031 >>298
王国ルート032 >>287 帝国ルート032 >>304
王国ルート033 >>288 帝国ルート033 >>309
王国ルート034 >>292 帝国ルート034 >>312
王国ルート035 >>295 帝国ルート035 >>314
王国ルート036 >>317 帝国ルート036 >>329
王国ルート037 >>319 帝国ルート037 >>331
王国ルート038 >>321 帝国ルート038 >>334
王国ルート039 >>325 帝国ルート039 >>335
王国ルート040 >>326 帝国ルート040 >>336
王国ルート041 >>340 帝国ルート041 >>372
王国ルート042 >>347 帝国ルート042 >>375
王国ルート043 >>352 帝国ルート043 >>378
王国ルート044 >>353 帝国ルート044 >>382
王国ルート045 >>357 帝国ルート045 >>386
王国ルート046 >>387 帝国ルート046 >>399
王国ルート047 >>390 帝国ルート047 >>402
王国ルート048 >>393 帝国ルート048 >>407
王国ルート049 >>395 帝国ルート049 >>408
王国ルート050 >>398 帝国ルート050 >>409
王国ルート051 >>425 帝国ルート051 >>431
王国ルート052 >>426 帝国ルート052 >>433
王国ルート053 >>428 帝国ルート053 >>434
王国ルート054 >>429 帝国ルート054 >>436
王国ルート055 >>430 帝国ルート055 >>437
王国ルート056 >>442 帝国ルート056 >>450
王国ルート057 >>443 帝国ルート057 >>451
王国ルート058 >>446 帝国ルート058 >>453
王国ルート059 >>447 帝国ルート059 >>454
王国ルート060 >>449 帝国ルート060 >>461
王国ルート061 >>462 帝国ルート061 >>471
王国ルート062 >>465 帝国ルート062 >>472
王国ルート063 >>466 帝国ルート063 >>476
王国ルート064 >>467 帝国ルート064 >>477
王国ルート065 >>468 帝国ルート065 >>480
王国ルート066 >>482 帝国ルート066 >>492
王国ルート067 >>483 帝国ルート067 >>493
王国ルート068 >>487 帝国ルート068 >>495
王国ルート069 >>488 帝国ルート069 >>496
王国ルート070 >>489 帝国ルート070 >>499
王国ルート071 >>504 帝国ルート071 >>516
王国ルート072 >>506 帝国ルート072 >>517
王国ルート073 >>507 帝国ルート073 >>520
王国ルート074 >>509 帝国ルート074 >>521
王国ルート075 >>510 帝国ルート075 >>525
王国ルート076 >>528 帝国ルート076 >>539
王国ルート077 >>533 帝国ルート077 >>543
王国ルート078 >>534 帝国ルート078 >>545
王国ルート079 >>537 帝国ルート079 >>547
王国ルート080 >>538 帝国ルート080 >>548
王国ルート081 >>551 帝国ルート081 >>560
王国ルート082 >>552 帝国ルート082 >>562
王国ルート083 >>553 帝国ルート083 >>563
王国ルート084 >>557 帝国ルート084 >>564
王国ルート085 >>558 帝国ルート085 >>566
王国ルート086 >>571
王国ルート087 >>574
王国ルート088 >>575
王国ルート089 >>578
王国ルート090 >>579
◇カメルリング王国味方
>>2 ルーク 主人公
>>1 ミルフィーユ 発明家・美食家・資産家
>>4 キリエ 牧師・哲学者
>>16 ノイアー 傭兵
>>25 ラグ 執事
>>28 サイト 商人
>>29 リグレット 僧侶
>>39 ツバキ 軍人
>>55 ユニート 魔導師
>>58 ラルス 騎士
>>58 リリー 暗殺者
>>75 ジョレス 傭兵
>>78 フランチェスカ 王女
>>87 ハニー 妖精
>>99 シラン 術士
>>221 カルマ 学者・錬金術師・魔術師
>>289 フランキール 王子
>>440 シュバルツ 海賊
>>457 リレーナ 竜騎士
◆ミカイロウィッチ帝国味方
>>14 エドウィン 主人公
>>6 ヴィトリアル 盗賊
>>11 アーリィ 魔女
>>12 ゼルフ 黒騎士
>>12 リン メイド
>>27 シフォン 貴族騎士
>>30 イヴ 術士
>>37 ウィンデル 大道芸人
>>59 クウヤ 剣士
>>60 ツヴァイ 科学者(薬学)
>>76 ミレア 傭兵
>>78 シェリル 皇女
>>85 ディルム 精霊
>>96 ライヤ 偵察兵
>>98 セイリーン ドッペルゲンガー
>>278 レイ 魔女
>>305 故)フィア 魔女の弟子
>>305 故)キオ 魔女の弟子
◎味方につかない者
>>163 ソーサラー(呼称) 占星術師・幻術師
>>163 スキンヘッドハゲ(呼称) 盗賊
>>227 ヨメナイヤツ アドバイザー
キャラ応募してくださった皆様心よりお礼申し上げます!素敵なキャラをありがとう!!
◇番外編◆
参照四桁祝
・イヌ派ネコ派の王国日常 >>146
・絶対に信じちゃいけない言葉で帝国日常 >>150
・執事採用試験 >>156
・団長の足取り >>157-158>>160
・ある幻術師の思い出 >>162>>164>>170>>173>>175>>176
参照二千祝
・とあるメイドの追走劇 >>248>>254>>257>>260
・傭兵の黒と従者の白 >>263>>264>>269>>272>>274>>280>>281>>282>>283
参照三千&四千祝
・魔法使いの弟子 >>360>>363>>364>>367-368
・帝国サイド盗賊団と加担者でチビキャラ全員集合イラスト >>371
参照4500祝
・王国・番外ルートで抜粋チビキャラ集合イラスト >>404
銀賞&殿堂入り祝
・メイドと騎士と仲介人 >>415>>417-418>>421>>423
参照5000祝
参照6000祝
参照7000祝
金賞祝
参照8000祝
参照9000祝
参照10000祝!
参照11000祝!!
参照12000&13000祝!!!
保留
どんどん保留祝が増えて行っている…本編終わったら一気に大感謝祭とかやりたいなぁ、なんて考えてます
・・・業務連絡・・・
2014の冬の小説大会で銀賞もらえました!ありがとうございます!
2015の夏の小説大会で金賞もらえました!!ありがとうございますっっ!
参照5000祝いと6000祝、7000祝、8000祝9000祝そして10000祝。11000祝はのちほど…ッ!
時間軸まとめ >>234
- さぁ 正義はどっち ? 参照4900ありがとう御座います! ( No.421 )
- 日時: 2015/01/25 00:04
- 名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: kphB4geJ)
殿堂入り記念 番外編034 メイドと騎士と仲介人
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毒蛇の持つ鋭い牙のような刀身のレイピアを指揮棒の用に振り回し、ミレアは防護服に身を包む練習相手へととどめの一撃を食らわせる。軽い金属性の鎧の少女はミレアの鋭い突き攻撃に甲冑で覆われた胸を一突きされ、もんどりうって後方へ倒れた。
練習場の床へと転がった彼女は、ミレアとは別の部隊の騎士団の一人であったが、数少ない同性として親交があった一人であり、時間が余れば練習試合を行っていた。
そんな彼女と練習後の軽い間食を摂っていると、彼女がそういえばとなにやら目の色を変えてミレアの顔を覗き込むように尋ねてくる。
「例のメイドさんと黒騎士はどうなったわけ?」
目を輝かせながらゴシップをねだる彼女に、ミレアは頭を抱えてため息をついた。不機嫌な顔でサンドウィッチをくわえ、遠い目をしながら首を振る。
「駄目ねあれは」
そのあきれ返ったような答えに同僚の少女はえーっ?とつまらなさそうに声を荒げた。
「はた目から見るとすごいいい雰囲気なのに?」
ミレアは同僚の期待外れだ!という言葉にげんなりしながら自らも頷く。
現在、当の本人同士はまったくこの噂に気付いていないが、帝国の女兵士やメイドたちを中心にとある二人組の関係が注目されている。
それは紛れもなくミレアの親友であるゼルフとリンの事なのだが、噂されるようないい感じにはなっているものの、当の本人同士が全くお互いを恋愛対象として認識せず見守る外野をやきもきさせている状態であった。
女性らしく恋愛沙汰が好きなメイドや女兵士たちに「あの二人を何とかして!」と背中を押され、ミレア自身二人がお似合いであると感じていた為、ミレアは時間がとれさえすれば二人を誘って世話を焼くのだが、どうにもうまくいかない。
そもそも、ミレア、ゼルフ、リンの三人組の共通する休日の数も限られるうえに、残業で出歩ける時刻はほぼ夜。開いているところと言えば酒場や夜市程度で、デートスポットには味気ない店ばかりであるうえ、たまに盗賊や闇商人なんかがうろつく物騒な店でもある。
しかし何とか雰囲気のいい酒場を見つけ出したとしても、「剣の鍛錬があるから—」「お嬢様と伯爵様が—」などと断られる事もしばしばありミレアは毎回頭を抱えていた。
もう無理だとさじを投げだすミレアなのだが、同僚やメイドたちがそろって「もっと頑張れ」と口々に叫ぶため、止めどころが分からなくなりつつも何とかしようと動き回る日々が続いている。
そんなある日、ようやく好機がやってきた。
護衛嫌いの皇女が近衛騎士団に丸一日の休暇を与え、その護衛についていた一部の黒騎士たちにも休暇が与えられたのだ。
どうやら皇女の悪い癖である、拉致癖を発揮したくなったのだろう、興味をそそる人物を見つけたらしくいつにもまして護衛を嫌うそぶりを見せ始めた。
今回の被害者がだれかは不明だったが、朝から丸一日の休暇に久々に羽を伸ばす彼らはその被害者に心の中で感謝をする。
さっそくミレアはゼルフを捕まえ、リンの住み込む海辺にほど近い伯爵家へと乗り込むことにした。
- Re: さぁ 正義はどっち ? 参照4900ありがとう御座います! ( No.422 )
- 日時: 2015/01/25 08:12
- 名前: コッコ (ID: tuakPBCn)
お久しぶりです。ミレアの作戦がうまくいくのか楽しみです。
- さぁ 正義はどっち ? 参照5000ありがとう御座います! ( No.423 )
- 日時: 2015/02/02 17:36
- 名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: A1qYrOra)
殿堂入り記念 番外編035 メイドと騎士と仲介人
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たどり着いた館には庭仕事をするメイドが数人おり、庭先に可憐に花を咲かせた植物の剪定やら水やりやらをしていた。
その中に、リンは居た。
「あちゃー、リンは今日仕事ってわけね」
遠目からでもわかるメイドたちの仕事具合を眺めながら、ミレアはせっかくのチャンスなのにと頭を抱える。
しかし今日はどういうわけか女神に微笑まれたようにつきが回ってきたらしい。
しばらくすればメイドたちが笑い合いながらバスケットを片手にわらわらと館から出てくるではないか。
「じゃあ、私たちの買い出しはこっちだから—」またね、と数人のメイドたちが1人市場や店の方向とは別の海へ足を向けかけるメイドに声を掛けて手を振る。
それに手を振る彼女こそ、待ちわびたメイド、リンだった。
リンは茶色のバスケットを少し重そうに揺らしながら歩き、その足を海辺へと向けて進んでいく。同僚も誰もいない道を見回し、ミレアはよし!と心の中で叫ぶ。
そこですかさず「いくわよ!」とゼルフの腕を引っつかみ、リンの前に飛び出した。
「ミレア?ゼルフも…いったんどうしたんですか?」
急に思いもよらない人物の襲来に、最初ひったくりか何かかと思ったらしくナイフをポケットから取り出そうとしたリンが、驚きに声を上げる。
「お前に会いに来た」とここでゼルフが言えば完璧なのに、と思いながらもミレアは二人とも任務が休みになり、リンに会いに来たことを告げる。
「そうなんですか」嬉しそうに笑うリンだったが、彼女は今日は休みではないらしく今はお遣いの最中らしい。
それじゃあ邪魔ちゃ悪いかぁ、せっかくのチャンスだったのにとすごすご尻尾を巻いて引き下がろうとするミレアに、リンはよければと誘い掛ける。
「私のお遣いというのは、海辺へ行っているお嬢様へ届け物をすることなのです。たいていその後延々と絵を描くお嬢様を無言で眺めているだけなのですが…よろしければご一緒しますか?」
「え、いいの?」
虚を突かれて目をぱちくりするミレアに、さっそく海へと足を向けながら、「黒騎士と皇女様の近衛兵が居てくれると、安心ですから」とリンは朗らかに笑う。
たどり着いた場所はロマンチックなところだった…もしもその人物が野性的な人ならばという意味では。
断崖もいいところ、穏やかな波のうねりを遠目から恋人と一緒にうっとり眺めるなんてもんではなく、荒波が砕け散り浜辺へと繰り出してくるものにきつい波の一撃を食らわせるようなところだった。
イメージと全然ちがうじゃない、とげんなりするミレアの視界にキャンバスを小脇に抱えてぼうっとしけた海を眺める少女が映り込む。
ぎざぎざの牙のような岩に囲まれて、絵筆を力なく握っている少女は毎回舞踏会に足を運ぶ例のお嬢さん。こちらに気が付くことなく海へ視線を投げている。
このまま放っておいたら海に身投げするんじゃないかというほど一心に海を眺めるのだが、リンは優しげな笑顔で彼女の方へ歩いて行った。
遠目からリンがお嬢さんに絵具のチューブか何かの一式といくつかのマフィンを手渡しているのが見え、受け取った少女は少しだけ笑顔になった。
「実は今日伯爵様とお嬢様が喧嘩をなさいまして。それで少し落ち込んでいるのです」
少女から離れた所へ三人雀の子どものように並んで座り、波の音にかき消されないように声を貼りながら会話する。
波の音がすごすぎて、少女の耳が獣並によくなければこの会話は聞こえないだろう。
「それで今日はマフィンなんだな」
ゼルフが差し出されたバスケットから取り出したマフィンを少し掲げ、つぶやいた。
どういうわけで今日がマフィンなのかわからないミレアだったが、自分の知らない話を、リンとゼルフが二人で共有している事実にうれしくなる。
「そうなのです」
リンが頷き、自分もマフィンを取り出して光にすかすように少し眺める。
そんな二人を眺め、もう少し押しがあれば…とミレアは若干もやもやしつつも口元に笑みを浮かべてマフィンを頬張る。
この二人を見ていると、やはり心の底からお似合いだと感じる。
このやり取りを飽きもせず眺めるのもいいかも、と思いながら今日行こうと予定していた喫茶店やら恋人たちに人気なスポットを頭の中でぽつぽつと浮かべてみる。
でもまぁリンが仕事だししょうがないか、次の時にでも二人を連れてってあげようとしぶしぶかき集めたデートスポットを頭の中にしまい込み、一秒一秒消費されていく自分の休日をかみしめていた。
その時刻が来たとき、ミレアは大当たりだわと思わずにはいられなかった。
まるで最初からお膳立てされたように、辺りの雰囲気が徐々に美しく変化していく。ぎざぎざの牙のような岩たちは赤く染まり、のたうち回る様にうねる海は大人しく息をひそめはじめ、冷たい金属のように曇っていた灰色の空は雲があるからこそ美しく赤い夕焼けを受けて言葉も出ないほどに綺麗に染め上げられている。
赤い光の中で、少女が立てたキャンバスと少女の黒い影だけがぽっかりと浮かび上がり、どこか不思議の国へ迷い込んだみたいに感じる。
「綺麗ですよね、ここ」
ゼルフやミレアが言葉を失っていれば、リンが口を開き、二人を嬉しそうに振り返る。
「あぁ、本当にきれいだな…」
ゼルフがゆっくりとうなづきながら小声でつぶやいた。波のうねりが静まったおかげで、その小さな声が聴きとれる。
その目がこの光景を心に永遠に焼き付けようとするようにすべての輪郭をなぞる様に動く。
「私、ここが好きなんです」
「俺も好きだ」じっと景色から目をそらさずに、ゼルフが頷きながら言う。その様子を嬉しそうに眺めながら、リンが繰り返すように小声でつぶやく。
「はい…私も好きです」
そうして、二人して顔を合わせて、ちょっと照れくさそうに笑い合う。
その光景を見て、ミレアはまったくこの二人はと思いながらも、やれやれと首を振る。
今まで自分があくせく策を巡らせて二人をどうにかくっつけようと頑張ってきたのが無駄じゃないか、と微笑みながら美しすぎる景色へ独り言ちる。
はたから見れば二人のやきもきする無駄なやり取りは、当の本人同士にとってはどれも大切なやり取りだったらしい。
結局この二人は、放っておいたって二人でどうにかできるのだろう。私が無理に引っ掻き回せば回すだけ、成就するのも遅くなるんじゃないかな?とミレアは胡坐をかいて頬杖をつく。
真っ赤な景色がやがて夜に溶けていき、その姿が跡形もなくなるその時まで、誰一人その場を離れる者はいなかった。
あの後すぐだっただろうか、二つの驚きがミレアに元へ転がり込んでくる。
結局その夕日を境にリンとゼルフはどちらからともなく恋人同士と認識したらしく、ミレアのまねをして二人に世話を焼く1人が二人の関係をからかったところ、驚いたように「もう恋人同士だけど」という発言をしたという。
あの夕日に対しての「好き」という言葉が彼らにとっては告白と同等の物だったらしく、ミレアは頭を抱えたものの待望の恋人になってくれたようで何よりだと、もうそれ以上突っ込むのをやめた。
そしてあの奇跡の休暇を作ってくれたかわいそうな皇女の新たな獲物というのが、なんとゼルフの妹、レイ・二—グラスであったという事だ。
大戦で生き別れたものの、黒騎士という兄の噂らしきものを聞きつけてやってきたところ、旅中での戦歴をかぎつけた皇女により半ば拉致されるように連れて来られたという。
レイは兄に恋人ができたということに目を丸くしていたが、すぐにぺこりと頭を下げて「兄をどうぞよろしくお願いします」とすぐにリンを受け入れたようだった。
「どうしたんだミレア?」
ふと声を掛けられて、ミレアは物思いから醒めたように目の前の二人へ視線を向ける。
幸せそうな二人を眺め、ミレアは酒のジョッキを掲げて何でもないわと首を振る。
「ちょっと今までの苦労を思い出してたのよ。いろいろあったからさ」
何の苦労?と小首をかしげる彼らを笑い飛ばしながら、ミレアはそれじゃあいろいろと乾杯しましょとジョッキを掲げる。
リンとゼルフは首をかしげていたが、それでも微笑んでグラスを掲げた。
「じゃあ乾杯っ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
番外編 メイドと騎士と仲介人 終
やっと期末テスト終わりましたっ
そして番外編も終わりました!実は一度書き上げてたんですが、内容が何となく気に入れなくて書き直したんです。
でも書き直してよかったと思うような出来になってよかったです!
どうしてもゼルフさんが告白するシーンが想像できなかったために、こういう「夕日好き告白」になりましたが…これもこれでありだとry
ありがとうございました!
っというか、参照5000超えましたね!ありがとうございます!番外編フラグはですね…ちょっと折らせていただきますっ←
これからは時間が取れるようになったのですが、本編の方をいい加減に行こうと思うので、5000の記念は本編終了後か何か、きりが良くなったときに立てさせてもらいますので!
- Re: さぁ 正義はどっち ? 参照5000ありがとう御座います! ( No.424 )
- 日時: 2015/02/02 18:56
- 名前: コッコ (ID: tuakPBCn)
期末テストお疲れさまでした。夕日の中での告白もなかなかロマンチックですね。最終章まで頑張ってください。
- さぁ 正義はどっち ? 参照5000ありがとう御座います! ( No.425 )
- 日時: 2015/02/03 01:58
- 名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: kphB4geJ)
カメルリング王国ルート 051
魔導書、それは魔術に精通する者にとって貴重な品であり、まさに命なき師匠と言った存在である。
学者であるカルマによって、各地にある遺跡から採譜された呪詛の物語が記された魔導書は三十冊程度だったが、彼女が何年もかかって書き記したものであり、おそらく現存する魔導書の中で一番の出来だと断言出来るほどのものだ。
それが、いま、人質にとられている。目の前で破かれそうになっている。
ルークは果物ナイフを構えながら、唇をかみしめた。また大切なものが人質にとられてしまった。そしてまた、あの修道院のように壊されてしまうのだろうか…。
(でもここで抵抗をやめたら僕はどうなるんだ…?)
探るような目つきで目の前の二人組、似非メイドと似非執事を見るが、どうにも彼らが無傷で僕を返してくれると考えられない。そもそも、帝国の差し金の様であり、彼らが敵国の魔導士に対して手ぬるい処置をとるわけがない。
ルークは怯えたような、怒りに満ちたような目を似非メイドに向ける。
女性だからと言って、侮れない。もしかしたら容赦なく殺されるかもしれない。
「その包丁をまず捨てろ、コレを破られたくないならな」不安げに喉を鳴らせば、似非執事がさらに魔導書のページを握る指に力を込めながら容赦なく言い放つ。
その隣で、木材の棒切れと角の尖る魔導書を構えた似非メイドが息をひそめてこちらをうかがっている。
少しでも呪詛を唱えるような雰囲気を出せば、たちまち襲ってくる気らしい。
どうしたらいいのか、はかりかねるルークは唇をかみしめながら似非執事の開いたページに踊る呪詛をじっと凝視して居る事しかできなかった。
その時だった。突然何かの破裂音が連続して空気を轟かせ、城の外から人々の驚きに満ちた歓声が上がる。
その炸裂音はルークを不安にさせたものの、どうやら似非メイドと似非執事にも何らかの働きをしたらしい。
追いつめるようにこちらを眺めていた二人が視線を外し、意味ありげに目を合わせたからだ。
すかさずルークは口を開き呪詛を叫びあげた。
「『ケラウノス』!」
濃い紫の電流が空気中の水分を伝い似非メイドと似非執事の足元で急激に膨張し、突然放電しながら炸裂する。
大切な本を所持していれば攻撃してこないと思っていた彼らは、ろくな反撃もできずに雷による爆発に巻き込まれて見えなくなった。
ばらばらと本棚が砕け、床が黒こげになりじゅうじゅうと音を立てながらくすぶっている。底から立ち上る煙が視界を悪くしており、彼らがどうなったか見ることが出来ない。
「…」
ルークは30冊あるうち貴重な数冊を黒焦げにしてしまったかもしれないと胸を傷ませながら、攻撃した二人の人物の具合を確かめようと目を細めて煙の先を見る。
どうやら爆発は壁をも破壊したようで、明るい廊下から薄暗い研究室へと光が差し込んでくる。
もしかして僕、二人を殺してしまった?とやっと思考回路がそこにたどり着いた時、ゆらゆらと光をさえぎって誰かが煙の中でこちらを探る様に立ち尽くすのが見えた。
ルークはとっさに果物ナイフを構え、「『シンティア』」と唱えながら転がる木材を掴み、帯電させてからその人影目掛けて投げつける。
これはカルマの魔導書に書れていた、物体に帯電させて投げ付けた相手に電気ショックを与えるという応用技らしく、相手を気絶させる・相手を麻痺させて行動を強制停止させることが可能だが、魔力が強いものではそのまま心臓を停止させるほどの電撃を間接的に与えられるらしい。
しかしルークの魔力はそこまで強くなく、もろに直撃した人物は悲鳴を上げて床に倒れたようだった。
しかし声の主は、先程の似非メイドと似非執事とは似ても似つかないものであり、ルークは不審げに警戒しながらゆっくりと研究室の外へと足を踏み出す。
そして転がる人物を見てきょとんとした。
こんばんはコッコさん!
終章までラストスパートですね!危険ルート解禁ですっ
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