複雑・ファジー小説

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 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

さぁ 正義はどっち ? 参照13600ありがとう御座います!
日時: 2016/08/23 00:57
名前: メルマーク (ID: KzMBmi6F)

戦争と平和は正反対のものと考える人が多い世の中
それは本当なの?正義って何?悪って何?
答えが見つからないなら探せば良い。

多分異色な今までにない、正義についてのお話し。
答えはありませんが、きっと終わった後 何が正解か思い浮かぶはず。
時代は古きよき時代、中世頃にしようかと

オリキャラ募集一応締め切らせていただきます!
終章にもうじき突入予定なので‥・もしかしたらまた募集するかも・・・?


名前
性別
年齢
容姿
A国B国どちらの味方?(国名は長いので省略
性格
武器
サンボイ「」
職業は?下から選択下になければ新職業を書いてくれるとうれしいです

騎士 傭兵 盗賊 貴族 海賊 海軍 王室(王族をのぞく外交官・メイド・執事・王族のいとこ)関連
占い師 科学者(錬金術師) 芸術家 哲学者 商人 国民 旅人 魔法使い など

武器や変わった特徴などの要望も即採用です
結構な確率で”死ぬケース”もあるのでご了承ください!!

◇目次◆   


王国ルート001 >>5    帝国ルート001 >>43
王国ルート002 >>15    帝国ルート002 >>49
王国ルート003 >>20    帝国ルート003 >>50
王国ルート004 >>23    帝国ルート004 >>54
王国ルート005 >>31    帝国ルート005 >>63
王国ルート006 >>66    帝国ルート006 >>81
王国ルート007 >>67    帝国ルート007 >>83
王国ルート008 >>68    帝国ルート008 >>90
王国ルート009 >>71    帝国ルート009 >>91
王国ルート010 >>74    帝国ルート010 >>93
王国ルート011 >>101   帝国ルート011 >>114
王国ルート012 >>103   帝国ルート012 >>117
王国ルート013 >>106   帝国ルート013 >>118
王国ルート014 >>108   帝国ルート014 >>120
王国ルート015 >>110   帝国ルート015 >>122
王国ルート016 >>123   帝国ルート016 >>183
王国ルート017 >>127   帝国ルート017 >>184
王国ルート018 >>133   帝国ルート018 >>187
王国ルート019 >>142   帝国ルート019 >>191
王国ルート020 >>144   帝国ルート020 >>193
王国ルート021 >>194   帝国ルート021 >>207
王国ルート022 >>197   帝国ルート022 >>208
王国ルート023 >>200   帝国ルート023 >>209
王国ルート024 >>203   帝国ルート024 >>210
王国ルート025 >>204   帝国ルート025 >>212
王国ルート026 >>214   帝国ルート026 >>232
王国ルート027 >>217   帝国ルート027 >>238
王国ルート028 >>219   帝国ルート028 >>239
王国ルート029 >>223   帝国ルート029 >>246
王国ルート030 >>224   帝国ルート030 >>258
王国ルート031 >>286   帝国ルート031 >>298
王国ルート032 >>287   帝国ルート032 >>304
王国ルート033 >>288   帝国ルート033 >>309
王国ルート034 >>292   帝国ルート034 >>312
王国ルート035 >>295   帝国ルート035 >>314
王国ルート036 >>317   帝国ルート036 >>329
王国ルート037 >>319   帝国ルート037 >>331
王国ルート038 >>321   帝国ルート038 >>334
王国ルート039 >>325   帝国ルート039 >>335
王国ルート040 >>326   帝国ルート040 >>336
王国ルート041 >>340   帝国ルート041 >>372
王国ルート042 >>347   帝国ルート042 >>375
王国ルート043 >>352   帝国ルート043 >>378
王国ルート044 >>353   帝国ルート044 >>382
王国ルート045 >>357   帝国ルート045 >>386
王国ルート046 >>387   帝国ルート046 >>399
王国ルート047 >>390   帝国ルート047 >>402
王国ルート048 >>393   帝国ルート048 >>407
王国ルート049 >>395   帝国ルート049 >>408
王国ルート050 >>398   帝国ルート050 >>409
王国ルート051 >>425   帝国ルート051 >>431
王国ルート052 >>426   帝国ルート052 >>433
王国ルート053 >>428   帝国ルート053 >>434
王国ルート054 >>429   帝国ルート054 >>436
王国ルート055 >>430   帝国ルート055 >>437
王国ルート056 >>442   帝国ルート056 >>450
王国ルート057 >>443   帝国ルート057 >>451
王国ルート058 >>446   帝国ルート058 >>453
王国ルート059 >>447   帝国ルート059 >>454
王国ルート060 >>449   帝国ルート060 >>461
王国ルート061 >>462   帝国ルート061 >>471
王国ルート062 >>465   帝国ルート062 >>472
王国ルート063 >>466   帝国ルート063 >>476
王国ルート064 >>467   帝国ルート064 >>477
王国ルート065 >>468   帝国ルート065 >>480
王国ルート066 >>482   帝国ルート066 >>492
王国ルート067 >>483   帝国ルート067 >>493
王国ルート068 >>487   帝国ルート068 >>495
王国ルート069 >>488   帝国ルート069 >>496
王国ルート070 >>489   帝国ルート070 >>499
王国ルート071 >>504   帝国ルート071 >>516
王国ルート072 >>506   帝国ルート072 >>517
王国ルート073 >>507   帝国ルート073 >>520
王国ルート074 >>509   帝国ルート074 >>521
王国ルート075 >>510   帝国ルート075 >>525
王国ルート076 >>528   帝国ルート076 >>539
王国ルート077 >>533   帝国ルート077 >>543
王国ルート078 >>534   帝国ルート078 >>545
王国ルート079 >>537   帝国ルート079 >>547
王国ルート080 >>538   帝国ルート080 >>548
王国ルート081 >>551   帝国ルート081 >>560
王国ルート082 >>552   帝国ルート082 >>562
王国ルート083 >>553   帝国ルート083 >>563
王国ルート084 >>557   帝国ルート084 >>564
王国ルート085 >>558   帝国ルート085 >>566
王国ルート086 >>571
王国ルート087 >>574
王国ルート088 >>575
王国ルート089 >>578
王国ルート090 >>579


◇カメルリング王国味方

>>2 ルーク 主人公
>>1 ミルフィーユ 発明家・美食家・資産家
>>4 キリエ 牧師・哲学者
>>16 ノイアー 傭兵
>>25 ラグ 執事
>>28 サイト 商人
>>29 リグレット 僧侶
>>39 ツバキ 軍人
>>55 ユニート 魔導師
>>58 ラルス 騎士
>>58 リリー 暗殺者
>>75 ジョレス 傭兵
>>78 フランチェスカ 王女
>>87 ハニー 妖精
>>99 シラン 術士
>>221 カルマ 学者・錬金術師・魔術師
>>289 フランキール 王子
>>440 シュバルツ 海賊
>>457 リレーナ 竜騎士

◆ミカイロウィッチ帝国味方

>>14 エドウィン 主人公
>>6 ヴィトリアル 盗賊
>>11 アーリィ 魔女
>>12 ゼルフ 黒騎士
>>12 リン メイド
>>27 シフォン 貴族騎士
>>30 イヴ 術士
>>37 ウィンデル 大道芸人
>>59 クウヤ 剣士
>>60 ツヴァイ 科学者(薬学)
>>76 ミレア 傭兵
>>78 シェリル 皇女
>>85 ディルム 精霊
>>96 ライヤ 偵察兵
>>98 セイリーン ドッペルゲンガー
>>278 レイ 魔女
>>305 故)フィア 魔女の弟子
>>305 故)キオ 魔女の弟子

◎味方につかない者

>>163 ソーサラー(呼称) 占星術師・幻術師
>>163 スキンヘッドハゲ(呼称) 盗賊
>>227 ヨメナイヤツ アドバイザー

キャラ応募してくださった皆様心よりお礼申し上げます!素敵なキャラをありがとう!!

◇番外編◆

参照四桁祝
・イヌ派ネコ派の王国日常 >>146
・絶対に信じちゃいけない言葉で帝国日常 >>150
・執事採用試験 >>156
・団長の足取り >>157-158>>160
・ある幻術師の思い出 >>162>>164>>170>>173>>175>>176

参照二千祝
・とあるメイドの追走劇 >>248>>254>>257>>260
・傭兵の黒と従者の白 >>263>>264>>269>>272>>274>>280>>281>>282>>283

参照三千&四千祝
・魔法使いの弟子 >>360>>363>>364>>367-368
・帝国サイド盗賊団と加担者でチビキャラ全員集合イラスト >>371

参照4500祝
・王国・番外ルートで抜粋チビキャラ集合イラスト >>404

銀賞&殿堂入り祝
・メイドと騎士と仲介人 >>415>>417-418>>421>>423

参照5000祝
参照6000祝
参照7000祝
金賞祝
参照8000祝
参照9000祝
参照10000祝!
参照11000祝!!
参照12000&13000祝!!!
保留
どんどん保留祝が増えて行っている…本編終わったら一気に大感謝祭とかやりたいなぁ、なんて考えてます

・・・業務連絡・・・

2014の冬の小説大会で銀賞もらえました!ありがとうございます!
2015の夏の小説大会で金賞もらえました!!ありがとうございますっっ!
参照5000祝いと6000祝、7000祝、8000祝9000祝そして10000祝。11000祝はのちほど…ッ!


時間軸まとめ >>234

さぁ 正義はどっち ? 参照4100ありがとう御座います! ( No.367 )
日時: 2014/12/11 23:10
名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: mJFNTt4F)

参照三千&四千記念 番外編029 魔法使いの弟子
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「うらぁっ、アーリィ様直伝の『ベルミリオ』!」
どがぁんと爆発音が響き、あたりの空気がびりびりと振動する。
地面に巨大な穴が開き、そこから煙と紅色の炎とがゆらゆらと立ち上る。
その破壊音に耳が痛くて、両耳を押さえながらキオはぼそりとつぶやく。そろそろ反撃しないと。このままでは僕の鼓膜が破れてしまう。
「…『セティファウンテン』」
白い杖をさっと振り上げて紡いだ呪詛が、爆発を起こした彼女の足元に魔術を発動させる。
純白の氷が噴水のようにフィアの足元から吹き出し、彼女の視界を奪う。そして渦高く噴き出すその氷の噴水が彼女の黒い肌に触れるとすぐ、白く稲妻が走るように凍り付かせていく。
「『クロウカシス』!『フェリシタルフリーズ』!」フィアが反撃する前に、キオは次々と呪詛を唱えていく。
ぶすぶすとくすぶり、普段なら木漏れ日さえ受け付けない暗い樹海に明るい炎の赤を点らせていた辺りの雰囲気に、凍てつく白が舞い降りる。
『クロウカシス』により辺りに雪が舞い降り、そして『フェリシタルフリーズ』により雪がふれた地面が見る見るうちに凍り付き、地面から牙をむくように鋭い氷の針が突き出る。
その針に軽く指で指図すると、地面を走るように氷の針がフィアめがけてジグザグと突き進んでいく。
このままでは体中に氷が突き刺さり、あわや大惨事というところで、フィアがふんと鼻を鳴らして叫ぶ。
「『ヴァスティン』!」
アーリィのピンクの杖をまねて、赤いビーズをじゃらりと巻きつけたフィアの黒い杖がさっと振り上げられれば、冷え切った森の穢れない白い雪の上に、燃えるような赤い炎が噴き出す。市松模様に火柱を上げた炎の壁が、フィアに迫った氷の針を蒸発させる。
そして、にやりと微笑んだかとおもうと「『インフェスティオ』!」と声高らかに勝ち誇ったように叫ぶ。
『インフェスティオ』は禁じられる一歩手前の炎の魔術だ。もともと弱い魔力の持ち主でも家一軒くらいは軽く爆破できるほどの威力を持つ。
キオはちらりと弟子二人の戦闘を傍観している師匠、アーリィに目をやるが、彼女は止める気は無いようで、キオは小さくため息をつく。
ぐるぐると炎の竜巻が巻き起こり、既に数本の木々が巻き込まれて
焼けつくされている。その巨大な炎の塊が自分めがけて降ってくるのだがキオは慌てずつぶやく。
「『リュシレーン』」
すぐさま分厚い氷の壁がキオの辺りをぐるりととりまき、灼熱の炎の攻撃をきっぱりとはねのける。
それに腹を立てたのか、フィアはあろうことか、現在残っているうち一番威力の高い炎属性の呪詛を叫ぶ。頭に血が上るといつも何でもかんでも爆発させようとする。彼女の悪い癖だが、そのスタイルが師匠であるアーリィに気に入られており、事実高い攻撃魔術に特化しているゆえんでもある。
「これでどうだ、『インフェルノ』!」
「じゃあこっちも…『コキュートス』…」
そんな攻撃に特化した彼女と正面からぶつかって怪我一つしないのは、キオ自身が鉄壁の防御に特化しているからだろう。

「炎地獄に氷地獄ねぇ…さすがアタシが育てた弟子だけあるわね!」
目の前で樹海が焼け焦げ凍り付き、爆発し砕け散り、もう荒野と化しているのだがアーリィは気にしていないように微笑む。
今では恒例となった弟子同士での実践訓練のため、樹海の一部が犠牲となっている。いまはフィアが弟子入りしてからようやく一年になる。今ではよくなついて自国へ帰ることも返上しアーリィ様アーリィ様とよく慕ってくれる。
…二人とも腕前もかなりのものになり、自慢の弟子たちになった。
そしてようやく彼らに名誉ある役目が回ってきた。
「これなら戦争に出しても心配ないわね」
そうつぶやいたアーリィの声に、少しの心配も不安もなかった。

しかし、いざその戦いの舞台に弟子とともに参戦すれば、意見を変えざるを得なくなった。
帝国と王国との、狭間にある特殊な鉱山をめぐる大戦が開始すると、アーリィはフィアとキオを連れ、王国の兵士たちを何人も葬った。一年、二年…王国の兵士たち、傭兵たち、騎士たち、そして魔術師魔導士たち…沢山葬った。
やがて帝国にいた魔導士たちが全滅した。王国の魔術師もまた、数十人、戦火のもと、花弁が散るように息絶えた。
魔力を持つものは特殊で強力なことから、子供から老人まで無理に駆り出された結果だろう。王国も帝国も、使えるものは何でもいい、とばかりに戦場に放り込んだ。その結果、歴戦の騎士たちにあらがうことが出来ず、次々と墓標が立ち並んでゆく。
そんな光景の中で、三人は黙って杖を振り回し、呪詛を叫び続けた。



あとちょいと
ちょっと訂正

さぁ 正義はどっち ? 参照4100ありがとう御座います! ( No.368 )
日時: 2014/12/12 00:11
名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: mJFNTt4F)

参照三千&四千記念 番外編030 魔法使いの弟子
———————————————————————————


「沢山の仲間が死にました…」
戦争がはじまり、2年と9カ月がたとうとした頃、15になったキオが疲弊したようにつぶやいた。新たに墓標を立てたためか、その両手は泥で汚れている。今日もまた、知り合いが死んでしまった。騎士の、やさしそうな青年だったのに。その彼を埋葬して、うつむいたようにキオが言う。
「いつまで続くんでしょうね、アーリィ先生…」
暗い顔でつぶやいたキオに、同じように疲弊したフィアが、しかし気丈に声を上げて見せる。
「アタシらが頑張るしかないだろっ!それで、勝って、また三人でロリータ服の注文しに行きましょうね!それで、アイスでも食べて、それから…」
「そうね。こんな戦争、さっさと終わらせて、アンタたちとのんびりバカンスでもしたいわね!」
フィアの言葉に、アーリィも疲れた顔を上げて、微笑んで見せた。

けれどその願いなど、叶いはしなかった。ふと目を離したすきだった。弟子たちなら大丈夫と、離れたのがいけなかったんだ。
気付けば血だまりの中、アーリィは座り込んでいた。辺り一面、王国も帝国も関係なく、死体が転がっている。
その中で、ふんわりと広がるゴシックロリータ服をまとう少女の目の前に、二人の人物が横たわっている。その人物たちの両手を握りしめながら、アーリィは血眼で叫んでいた。
「『ディア』!『リフル』!『ミレレラティール』!」
癒しの呪詛を言えるだけ叫ぶのだが、目の前の二人の、見るに堪えない深く切り込まれた傷口はふさがらない。血が流れ出し、浅く呼吸するその息が、やがてとだえる。
「フィア?」
先に呼吸を止めたのは19になったばかりだったフィアだった。黒い肌に赤い血がはね、彼女の持つ杖のように鮮やかに色づいている。
アーリィがあわてて体をゆすれば、その手に大切そうに握られた黒い杖が、音を立てて転げ落ちた。
「————!!」
最期の言葉も何も聞けず、最愛の弟子が息絶えたことに赤い目を見開くアーリィは、呼吸を荒くしながらもキオに目を向ける。彼の方はまだ息があり、しかし長くはないとわかる。
その血に染まる手を取ると、アーリィはつぶやく。
「二人ともアタシの弟子だったのに…絶対にアタシが救って見せる…!」
そんな師匠の顔を見て、息も絶え絶えにキオが、アーリィがこれからしようとすることに気付いたように、首を振った。
今にも閉じそうな琥珀色の目で、いつも彼がそうしてきたように、間違いを犯そうとする人々へ厳しい口調でダメだよ、とつぶやく。
「ルールは守らないと………例えアーリィ先生でも……」
「アタシに使えない呪詛なんてない。たとえそれが『 ・     ・ ・  』だとしても!」
あぁやっぱりね、というようにキオが眉を寄せる。その言葉はキオには聞き取ることが出来なかった。しかし、その存在はずっと昔から知っていた。読むこともできなかったけれど、古い遺跡に記されている文字。その逸話は魔術を学んだ物の間では、少しばかり有名な伝説とされている。
「やっぱり…アレはアーリィ先生のことだったんです…ね。でも、そんなこと—」
してもらいたくない、と口の形だけでつぶやいたキオは、血だまりの中で最期の呼吸を吐き出した。

ふたつの亡骸に寄り添って、アーリィは杖を掲げる。かつて自分の母親がそうしたように。死者の再生を願って、その禁忌中の禁忌の呪詛を口ずさむ。
「『 ・      ・ ・   』」
しかし、あの時母親が祈るように叫んだ呪詛は、あの時と同じような効果をもたらしてはくれなかった。
すさまじい痛みが心臓をわしづかみするようにアーリィに襲い掛かり、激痛の声を上げる。自分の体に、キオやフィアの傷とだぶるように同じところが裂け、血が流れ出す。
その傷をいやそうと、癒しの呪詛をつぶやこうとして目を丸くする。
癒しの呪詛をすべて思い出せなくなっていた。自分には禁忌の呪詛を成功させるほどの魔力がなかったせいだろうか?その反動によるものなのか?
痛みを抱えながら、アーリィは目の前の二人に目を向ける。そして、二度と目を開くことのない最愛の弟子たちを前に、もう金輪際ないだろうと思うほど、むせび泣いた。



とある遺跡に、ある伝説とされる呪詛とその物語が記されているという。高い魔力を持つ古代の民が、一人娘を亡くし、涙にくれたとき、その母親が、命と膨大な魔力をもってして、娘を生き返らせた—。
そして娘は蘇るのだが、その姿は永遠に時計を止めたまま、死ぬこともなく、老いることもなく、永久に朽ちることがなくなったという—

『 ・      ・ ・   』、すなわち命に代えて死者をよみがえらせる伝説の呪詛。

その死者をよみがえらせる呪詛の伝説には、その少女のその後は記されておらず、確かに記されているはずのその呪詛は、いまだ誰にも解読されていないという—



さぁ 正義はどっち ? 参照4100ありがとう御座います! ( No.369 )
日時: 2014/12/12 00:21
名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: mJFNTt4F)

上がちょうど2000くらいで書けなかったので…


番外編ルート 魔法使いの弟子 終わりました!
帝国と王国の3年間の大戦の被害もかけたのでちょうどよかったです!
フィアちゃんキオ君は優秀な魔法使いの弟子でしたが、誰でも同じように、平等に、そして突然死はやってくる…そして、その死を超越したある呪詛伝説の物語でした。

いわずともがな、伝説中の少女は彼女の事であり、彼女が『 ・      ・ ・   』を使用できなかったのには、彼女が死ねない体だったからです。
『 ・      ・ ・   』は人の命と膨大な魔力を引き換えに発動どうする魔術なので、死ねない彼女には使えませんでした。
そして発動できなかった代償に、同じ癒しの土属性の呪詛を使うことが出来なくなった…ということです。


魔術対決もかけて、すんごく楽しかったです!
では次回より、本編戻ります!
おそまつさまでした!—ん?禁忌の呪文が読めない?きっとそれはいつか…

Re: さぁ 正義はどっち ? 参照4100ありがとう御座います! ( No.370 )
日時: 2014/12/12 11:09
名前: コッコ (ID: eOcocrd4)

大戦で二人の弟子を失ったアーリィの過去。本当に悲しいです。

さぁ 正義はどっち ? 参照4100ありがとう御座います! ( No.372 )
日時: 2014/12/13 19:45
名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: mJFNTt4F)

041 ミカイロウィッチ帝国ルート


早朝の海は穏やかで、話によればもうじき樹海の中腹につくらしい。船の帆を支えるマストに手を添えながら、リンは空を見上げる。まだ太陽でさえ地平線でまどろんでいる時刻だ。空を舞う海鳥の姿さえない。茶色の目でその光景を見つめながら、リンは物思いに沈む。
船旅といえばシュナイテッター伯爵家の一人娘、エディを思い出す。


 シュナイテッター家に雇われてからもう何年になるだろう?初めて出会った頃のエディはそれはそれはお転婆で、嵐で激しくうねる荒波を美しいと褒めてはダイブしたり、樹海の真上に掛かる月の油絵を描きたいからと真夜中に護衛なしで画材道具と弓だけで家を抜け出したりと、本当にハラハラした。
(あれから考えれば、お嬢様はだいぶ落ち着いたのかな?それとも単に伯爵様がお嬢様の自由を奪ってしまっただけ?)
エディとの事を思い出し、少し微笑んだリンは、だが顔を曇らせた。もうあの頃のように安寧の日々は来ない。自分はこの国の皇女に身を売ったも同然なのだ。
たった一人の伯爵の娘のため、自分の恋人や自分の自由を失うなど馬鹿な話だと人は笑い侮蔑するだろう。しかし、心優しいリンには、皇女に囚われたその小娘を放っておくことが出来なかった。



 「ついたぞ」というナポレオン帽をかぶる船長の一声で、盗賊団の一連が船から樹海の中へ飛び降りていくのをまねて、リンもそれにならう。
振り返れば船は錨をおろし、盗賊団が王女をさらってからすぐ出航出来るように待機するため、これから野営に入るようだった。
 王都まで休まず歩くからなー、というバンダナを巻きつけた団長、ヴィトリアルが間延びした声で言ってからというもの、朝早くから歩かされて不機嫌そうな一団は一言もしゃべらない。
盗賊団の—幻術師兄妹、科学者、団長、パペットをはめた男の子、そして小さな魔法使いの少女。
寡黙だというよりは、眠くて仕方ないらしい。リンはメイドなので、早朝には強い為あくびひとつせずケロッとしている。
そんな盗賊団を一人一人観察していくと、白衣を引きずる少年に引っ掛かりを感じてリンは首をかしげる。
(あの白衣少年どこかで見たような…?気のせい、かな)
一応彼らから自己紹介を受け名前を把握したものの、このツヴァイというオッドアイの少年の顔に見覚えがある。
そのまま樹海を抜け出た昼間までもやもやと考え込んでいると、やっと昼間になり眠気が醒めてきたようで彼らに活気が戻ってきたようだった。
 

小高い丘にたどり着き、羊が一人の小さな少年に見守られて自由に草をはむ光景が遠目で見られる草原で小休憩をはさむと、アーリィと名乗る小さな女の子がリンの下に寄って来た。
「アンタって、やっぱりあのリン?」
しげしげとその宝石のような赤い瞳で眺められて、リンはきょとんとする。
あのって何だろう?
すると、何か決意した表情で重々しく口を閉ざしていた少女、イヴという少女がふと顔を上げてこちらを見つめた。
その膝にはこの辺一帯を包むように咲き乱れるシロツメクサで編んだ冠が乗っており、彼女の兄であるクウヤが作ったらしい。その隣では犬のパペットをはめたウィンデルがマシンガントークでツヴァイに猛烈に話しかけている。
「もしかして…あなたってやっぱり、エディの家の、メイドのリンさん?」
「どうしてそれを—」
自己紹介といえども名前だけの紹介で、すぐ皇女とのやり取りで席を立ったため、彼らとちゃんと面会できたのは今回の遠征が初めてであった。ゼルフからは主にエディについての情報しか聞いてこなかったので、彼ら盗賊団については全く知識がない。向こうもそのはずだが…。
するとアーリィがにっこりと笑う。
「やっぱりね…エディがアンタのつくるマフィンをすごくほめてたのよ。それにアンタに会いたいっていっつもこぼしてたんだから」
「お嬢様が…」
ほっこりとした感情が胸を占める。盗賊稼業に染まって悪人の心が芽生えていたりしたら…と少し心配していたのだが、エディは少しも変わっていないようだ。
自分が犠牲になったとしても悪に染まっていたら意味がない。胸をなでおろしたリンは、エディの現状を知りたくて尋ねる。皇女はエディとの面会を許してくれなかったし、リンも決心が揺るがないようにエディに会うつもりはなかったが、やはり気になる。
「お嬢様はお元気でしょうか?今どうしておられるんですか?」
「エディはね、この最強の魔術師であるアタシの弟子として魔術を習得中よ!」
すると、あぁコイツが例の黒いマフィン事件の本種…とつぶやいて、寝転がっていたヴィトリアルが上体を起こしてふんぞり返るアーリィを見る。
「お前の、じゃなくて俺の手下、だろが。団長は俺だぞ?」
言いながら立ち上がり、さぁ出発するか、と号令をかける。
そして服についた草をはらいながら、「アイツなら今頃、お前を探して走り回ってる頃じゃないか?」と首を傾げた。





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