複雑・ファジー小説
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- シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜【氷国の民編】
- 日時: 2019/09/08 08:53
- 名前: 姫凛 (ID: 9nuUP99I)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=19467
これから綴る物語は忌まわし呪われた血によって翻弄され
哀しき封印から少女達を救い
少女達と共に謎の不治の病に侵された小さき妹を
助けるため小さな箱庭を行き来し愛と絆の力で闘い続けた
妹思いな少年と個性豊かな少女達の絆の物語である
-目次-[シークレットガーデン〜小さな箱庭〜]
登場人物紹介 >>166-168
-用語紹介- >>169
-魔物図鑑- >>23
-頂きもの-
高坂 桜様(元Orfevre様)より シル(オリキャラ)>>10
はる様より リア・バドソン(オリキャラ)>>11
ブルー 様より ヒスイ(オリキャラ)>>12 ヒスイ(キャラ絵)>>205
レム様より エリス(オリキャラ)>>66
華那月様より ヨナ(キャラ絵)>>08 ランファ(キャラ絵)>>09 シレーナ(キャラ絵)>>38
むらくも(キャラ絵)>>39
むお様より リオン(キャラ絵)>>37
自作:エフォール(キャラ絵) >>217
-あらすじ(第九章)
山の国の何処かにあると言い伝えられている女神が誕生した遺跡 アンコールワットで見事試練を乗り越え真実の歴史を知ったルシア達は遺跡を出てリオン、リティと別れ時渡の樹が生えた広場でヒスイと合流を果たした。
新たに出来た旅の目的。四つの国にある四つの遺跡を巡りかつて女神と共に邪神と戦った王達の力を受け継ぐ旅の始まり。
——さてどこの国の遺跡から行こうか?
-章の目次-
*1分〜10分(読むスピードで個人差があります)で物語の概要が分かるスキップ物語☆
*本編を読むだけでも物語を楽しめますが個別の短編も読むことでより深く楽しむことが出来る作りとなっています。
序章 出会いと別れ >>05-07 -スキップ物語- >>22
第一章 物静かな看護師の闇
荒くれ者 ザンク編 >>13-20 -スキップ物語- >>40
シレーナの封じた過去編 >>24 >>26-36 -スキップ物語- >>50-51
(より抜き「 魔女と呼ばれた少女の物語」完結済み)>>152)
第二章 汚された草競馬大会 >>43-47 -スキップ物語- >>52
第三章 大都市で起きた不可解な事件
宿屋での選択肢 >>48-49 -スキップ物語- >>53
[ムラクモを探す- >>55] [後をついて行く- >>54 …正体END]
遺体のない葬儀編 >>56-61 -スキップ物語- >>68
立食パーティー編 >>62-63 >>67 -スキップ物語- >>79
第四章 監禁・脱走 >>69 >>73 >>76-78 -スキップ物語- >>124
(叢side「椿の牢獄」>>158完結済み)
(別side「菊の牢獄」>>)
第五章 美しき雌豚と呼ばれた少女
コロシアム編 >>82 >>85-90 >>93 >>97 >>100-101 >>104 >>107-108
-スキップ物語-上中下>>125-127
シルの封じた過去編 >>111-113 >>119-123 -スキップ物語- >>128
(続編「美しき雌豚と呼ばれた少女とおくびょう兎と呼ばれた少年」完結済み)>>153)
第六章 闇と欲望の国
アルトの封じた過去編 >>129-133 >>136-138 >>143-145 -スキップ物語- >>146
裏カジノ編 >>147-150 -スキップ物語->>151
(幕間「感情のない少女の物語」>>224)
敵の本拠地へ編 >>154-156 -スキップ物語->>157
第七章 賢者たちの隠れ里 >>159-163 -スキップ物語上下- >>164-165
第八章 からくり遺跡
女神の試練編 >>170
[勇気の試練>>183-186 ] [知恵の試練>>177-182] [力の試練>>171-176]スキップ物語->>187-189
[仲間->>185…生贄end] [友人->>186…見損ないend][本当->>181] [嘘->>180…神のお遊戯end]
[棺を開けない- >>173-176][棺を開ける- >>172…死神end]
隠された真実編 >>194-197 -スキップ物語->>193
(修正前>>190-192)
第九章 荒くれ者の最期 >>198-202 -スキップ物語->>207
(幕間「殺戮人形と呼ばれた少女の物語」>>224)
第十章 殺戮人形ト色欲妖怪
王家の墓編 >>208-216 -スキップ物語->>
リアの封じた過去編 >>218-2231
[受け入れる>>220-221]…喪失END [受け入れない>>222-223]…永眠end
(→狐の銅像「親殺しの青年の物語」>>)
第十一章 嘘ツキな臆病者
氷国の民編>>225-229 …達筆中
ひと時の休息編
第十二章 賽は殺りと投げられて
偽りの仮面編>>
真実の泉編 >>
???の封じた過去編>>
最終章 最終決戦
Aルート >>
Bルート >>
cルート >>
Dルート >>
-掲示板-
達筆開始日 2014/3/4
2017/11/25:URL先を新しくしました。雑談板にあります、設定資料集スレにしました。
2019/9/8:URL先を新しく書き始めたリメイク版の方に変えました。
-おしらせ-
2017夏☆小説カキコ小説大会【複雑・ファジー小説部門】で【銅賞】を頂きました。
投票してくださった皆様、本当にありがとうございました<(_ _)>
完走(完結)目指して頑張りたいと思います!
20119/9/03→『氷国の民編』『新章』追加
参照100突破!3/6 200突破!3/11 300突破!3/15 400突破!3/21 500突破!3/28 600突破!4/4 700突破!4/9 800突破!4/15 900突破!4/22 1000突破!4/28 1100突破!6/2 感謝♪
2017年 2600突破!/1/30 2700突破!1/31 2800突破!2/7 3200突破!8/31 3300突破!9/1 3400突破!9/7
3500突破!9/12 3600突破!9/19 3700突破!9/26 3900突破!10/10 4000突破!10/17 4100突破!10/31
4200突破!11/6 4300突破!11/14 4400突破!11/23 4500突破!11/28 4600突破!11/3 感謝♪
2018年 5000突破!1/7
返信100突破!2014/4/28 200突破!2017/11/14 感激♪
-神様な読者の方々-
蒼欒様:初コメを下さいました!もう嬉しさMaxです♪
レム様:エリスちゃんの生みの親様です♪いつも温かい励ましコメありがとうござます!
ブルー様:オリキャラ ヒスイちゃんを投稿してくださいました!
出せるまでに一ヶ月以上もかかってしまったのに、見捨てずに見て下さっているお優しい方です(T_T)
- Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜【敵の本拠地へ】 ( No.151 )
- 日時: 2017/09/06 11:04
- 名前: 姫凛 ◆x7fHh6PldI (ID: Rzqqc.Qm)
第六章 闇と欲望の国-裏カジノ編-
アルト・リンクが死んだことに哀しみ暮れるルシアはずっとろくに食事もとらず、ずっとホテルの部屋に閉じこもり泣いていました。
そこへいつものようにシレーナがお粥を持って様子を見に来ました。
ルシアもいつものように「いらない」と断ろうとしました
—が、今日のシレーナはいつもと違いました。
「もういいんだよ。自分を許してあげても」
と諭すように言い、お粥をすくったレンゲをルシアの口元へ
いくら幼馴染といけど、それは恥ずかしいからやめてとルシアが言っても今日のシレーナは辞めませんでした。
その押しに負けて、ぱくりと一口。
「あ…美味しい」
ルシアの大好きな卵粥でした。風邪を引いた日などによくシレーナが作ってくれた、あの卵粥でした。
胸の中でモヤモヤしていた何かがすっきりと落ちていくようでした。
シレーナに「ありがとう」と伝え、お粥を食べ終わると、仲間たちの元へ走り出しました。
仲間たちはいつも通り、愉快なテンションで温かくルシアを迎え入れてくれました。
さあ—ルシア達の冒険の再会です。
とホテルを出ると最初に見たのは、チンピラ風の男が痩せて老婆のように見える女性からお金になりそうなものを奪い取っているところでした。
リア曰く、あのチンピラ風の男はカジノに雇われているらいいのです。
黄金で出来た街の上空に浮かぶ、円盤型のカジノ。入り口にはドルファフィーリングのマークが。
やはりドルファフィかと。コロシアムに引き続き、あくどい商売をしているドルファ。
カジノの中へ乗り込んでみるとちょっぴり拍子抜け。
中はゴージャスすぎる部分を除けばいたって普通のカジノでした。
あ、いえ。お金持ちの姿ありません。いるのは観光客っぽい人たちです。
ヒスイが「考えがある」と黒服となにやら話し始めした。すると、奥にあるVIPフロアへ行くことが許可されました。
—どうしてなのでしょう?
VIPフロアで行われていたには、カジノで多額の借金を抱えた男達が一攫千金を目指して、己に命を賭けたゲームを行っていました。
そのゲームにお金持ち達は大金を賭け、拍手喝采で大喜びで観賞しています。
噎せ返る血の匂い、吐き気します。ですがこんなのはまだじょろくち。
VIPフロアの先にある裏VIPフロア。そこで賭けられているものは記憶でした。
ありとあらゆる贅を楽しんでいる金持ちの記憶を奪い取っていたのです。
「ようこそおこしやす。妾のカジノへ」
出迎えた着物の女性。ドルファ四天王が一人、氷華のナナだ。
人間の命すらも弄ぶ、ドルファ。こんなの許しておけない、ルシア達はナナと自分達の命とカジノを閉鎖してもらう、を賭けて一勝負することに。
行うゲームはダブル神経衰弱。
デックを二つ使用する。普通の神経衰弱なら、数字が同じなら当たりだが、このゲームではマークも同じじゃないと当たりとは認められない。。
つまり、総カードは倍の百四枚で当たりはたったの一組だけとなる。
田舎暮らしだったルシアをにそんな重大なことを任せられない。なので代わりにリアがすることに。
勝負は接戦だった。一度開いたカードの全てを覚えている、リアとナナ。
どちらが勝ってもおかしくはない—と思われたのだが
「そんな…リアさんが負けた?」
先にナナが過半数の五十四枚を引いてしまい。リアが負けてしまったのだ。
"死”このまま死んでしまうのか—。
—と思われたその時!
「頼む、もう一戦だけしてくれ!!」
と、リアがナナに土下座し、泣きの一回を頼んだのだ。ナナにそれを許可するメリットは一ミリもないのだが、絶対に勝てる理由があるため快く了承してくれた。
絶対に勝てる理由…それはカードに細工がされているからだ。
ある一定の温度になると小さなマークが浮かび上がる。だがそのマークは小さく他の模様と混ざり、ニ三分で消える為、ばれることはまずないだろう。
—という油断が招いた敗北だった。
マークの存在に初めから気づいていた、リアは最初の一手から過半数四十五枚開き、勝利。
自分が負ける。なんて考えもしなかったナナに、敗北なんて認められるわけがない。
最初のゲーム勝負を無視し、結局武力行使に。
沢山の黒服と達ルシアを囲む。
氷魔法の使い手ナナとの勝負。
—勝ちを確信した瞬間、人は油断する。
隙を突いてリアがナナに鋭い一撃。ナナは敗れた。
よろよろと立ち上がるナナ。もうっ一戦やるか?とリアが剣を構えるが、そうではなかった。
「ルシア」
「……ヒスイ?」
—ぷすりと体に何かが突き刺さる音
—かちりと骨に何かが固いものが当たる鈍い音
—熱い。体の一部が灼けるように熱い。
ヒスイがルシアの心臓にナイフを突き刺していたのだ。
実はヒスイはナナの部下で、ルシアに近づき仲間のふりをしていたのは全て演技だったのだ。
ヒスイに殴りかかろうとする仲間たちを止める。瀕死のルシア。
知っているよ、ヒスイは本当は優しい普通の女の子だということを。
私はただの殺戮人形だと、ヒスイは言うがその顔は涙でくしゃくしゃだ。
そしてナナ。彼女が首から下げているロケットペンダント。そこには…
「—ッ」
ナナの心臓を一本の弓矢が貫いた。
弓を放ったのは、あの般若の面をつけた紅き鎧の騎士。
ナナの元に駆け寄り、彼女を抱きかかえるヒスイ。
チェーンが切れ首から落ちた、ロケットペンダントを拾い中を見てみると、赤子の写真が…。
その赤子の正体はヒスイ。
ナナが"あの男"の魔の手から守るために、捨てた我が子。
「あんただけでも…幸せに…な—」
最期の言葉を言いきれないまま、こときれたナナ。
「アアッ——アアアアアッアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
カジノの中にヒスイの声にならない悲痛の叫び声が響き渡った。
こんなもう許す、許せないの問題じゃない! 行こう、ドルファフィーリング本社へ!
ドルファフィーリング本社でルシアは知る事となる
自らのの出自のこと
ドルファフィーリング本社でルシアは出会う事となる
倒すべき強敵
- より抜き「シークレットガーデン -魔女と呼ばれた少女の物語- ( No.152 )
- 日時: 2017/09/07 07:48
- 名前: 姫凛 ◆x7fHh6PldI (ID: 9uo1fVuE)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=16352
【シークレットガーデン -魔女と呼ばれた少女の物語- 紹介文コーナー】
この物語は、本編(第一章 シレーナの封じた過去編を誰でも楽しめるように短くまとめたものである。
だが基本的にはコピーしただけのパチモン。
こちらから見ても全然、話しの内容が分からないかもしれない…
本編から見ても話がほぼ同じだから楽しめないかもしれない…
…うん。作者は阿呆だな。
簡単に解る?物語の概要
ある日突然病に倒れたシレーナ。
なんと彼女を侵す病は、人をバケモノへと変貌させる恐ろしいものだった。
なんとしてでもシレーナを救いたいルシアは、謎の生命体 パピコの協力を得て
シレーナの心の世界 プリンセシナ
での冒険がスタートした。
プリンセシナではシレーナの心の闇が 見え隠れ
楽しい記憶
辛く苦しい記憶
様々な想いが巡る
シレーナにとって ルシアは
希望?
それとも絶望だったのだろうか?
その答えが今 明らかとなる——
URL上に張ってあります。よければどうぞ。
- (続編「美しき雌豚と呼ばれた少女とおくびょう兎と呼ばれた少年 ( No.153 )
- 日時: 2017/09/07 07:50
- 名前: 姫凛 ◆x7fHh6PldI (ID: 9uo1fVuE)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=19170
【美しき雌豚と呼ばれた少女とおくびょう兎と呼ばれた少年】の紹介文コーナー!!
パフパフッ!
この作品は本編 第六章のシルの封じた過去編の続きとなっています。
シルちゃんは、Orfevre様から頂いたオリキャラ様です♪
タイトルが変わりました。
元タイトル「シークレットガーデン-家畜として育てられた少女の物語」
前にノートに書いた台本と照らし合わせながら、後付けされた設定を見比べてるてると
…なんか話ちがくね?となってタイトルごと大きくテコ入れをすることになりました(笑)
タイトルの「おくびょう兎の少年」は まさかの あの人です! うぷぷ★
簡単に解る?物語の概要
自然豊かな牧場で生まれ育った゛−−−"。
彼女は今日も いつもと変わらず動物たちの世話をする。
…はずだった
人さらいにさらわれ とある富豪に使用人として飼われるまでは…
地獄の様な日々 何度も自害を試みた
彼女が此処で飼われてから一年たったある日
とある少年との出会い
放たれた一発の銃弾
齢八の首にかけられた三億とう大金
何故 彼女は「美しき雌豚」と呼ばれるようになったのか…?
何故 彼は「おくびょう兎」と呼ばれたのか…?
失われ
もう取り戻すことのできないものがそこにはある——
URL上に張ってあります。よければどうぞ。
- Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜【敵の本拠地へ】 ( No.154 )
- 日時: 2017/09/12 12:18
- 名前: 姫凛 ◆x7fHh6PldI (ID: PCEaloq6)
第六章 闇と欲望の国-敵の本拠地へ編-
「ここが…ドルファフィーリング本社…」
「おっきー…」
ルシア達の目の前にデンッと佇む建物。ドルファフィーリングの本社ビルだ。雲よりも高い建物、全体図を下から見ようとすれば、首の骨が折れる。
現にルシアも見上げすぎて首が痛いと、さすっている。
「魔王城…?」
ふと、シルが呟いた。
確かに分厚い黒い雷雲に覆われた黒い本社ビル、岩肌の枯れ果てた台地、枯れ草すらも生えていない。敵の本拠地というこも相まって、なおさら魔王城と感じさせるのだろう。
「みんなの反応から察するに、とても大きくて禍々しいしいオーラの建物なのかな?」
目の見えないヒスイは、仲間たちに尋ねてみた。それにリアは「んー…。それで当っちゃ、当ってるけど…違うといえば、違う…?」と頭を悩ませている。ヒスイもどっちなの? と首を傾げる。
ま、とりあえず入ってみようぜ、という事で自動ドアを通って、いざドルファフィーリング本社へ。
「ようこそいらっしゃいました。ドルファフィーリング本社へ」
「ど、どうも…」
入ってすぐに出迎えてくれたのは、魔物でも怖い顔の親父でもなく、受付の綺麗なお姉さんだった。しかもとびっきりの営業スマイルで、出迎えてくれた。
「入ったはいいけど、これからどうするの?」
「戦じゃ〜」
「率直に過ぎるだろ! 却下」
「え〜、じゃあ、他に良い案ある人、手〜挙げて〜」
「「………」」
皆、無言である。
「ないのかよっ! 先が思いやられる、PTだよ…、まったく」
「やれやれ」と手のひらを横に広げて頭を振る、ランファにチョップ!
「イタッ!?」
「調子乗んな」
「ブーブー!!」
リアとランファが睨み合いをしている間を通ってヒスイが、受付の方へ
「あのすみません」
「えっ、ヒスイ!?」
驚く仲間たちをよそに、受付のお姉さんとの話を進める。
「社長にお会いしたいのですが」
「アポはありますか?」
「いえ。ないです」
「少々お待ちください。社長に聞いてみますので」
受付のお姉さんは電話の受話器を取り、ボタンをポチポチ。ぼそぼそとこちらに聞こえないように会話し、数分後
「社長が会われるそうです。社長室へは、あちらにあります、エレベーターからどうぞ」
受付のお姉さんが手のひらの先で指す方向にあるのは、縦長の四角い箱のような乗り物。…あれがエレベーター? 田舎暮らしだったルシアにはとっては、初めて見る乗り物だ。
「ありがとうございます」
と受付のお姉さんにお礼をいってぺこりと頭を下げ、仲間の元へ戻って来る。
「ヒスイさん、すごーい!」
「ふつうっか!」
「もっちと、武力行使的なことしたかったのに〜」
「…危ないこと…だめ」
「ランファは血の気が多いんだね」
「…いや。ただ暴れたいだけどと、思うよ?」
あはは…と苦笑い。
社長はビルの最上階にある。早速、エレベーターに乗ってみよう。
「おぉ…さすがドルファフィーリングのエレベーター。本社のだからさらに違う」
「セレブ感がすごいな。足元に引いてあるの、白熊の毛皮だぞ」
「マジ!? 中身は!?」
「…食べた?」
「怖いよ、シレーナ!!」
さすか天下のドルファフィーリング。エレベーターにだって抜かりなく高級感溢れる造りとなっている。本社ビルのなら、なおのことだろう。
壁が黄金で出来ているのはもう当たり前とし、天井には無数のダイヤモンドが散りばめられたシャンデリア、背後の壁は窓ガラスになっており夜には、仮面の国の素敵な夜景が見られる仕様だそうだ。
超高層ビルにもかかわらず、最上階へはものの五分で到着し、そんな早い時間で着くのにあの耳鳴りなど不快感を一切感じさせない。
何処をとっても非の打ち所がない造りとなっている。
—と本社エレベーターを絶賛していると、最上階へ着いたようだ。
「ここに…ドルファの社長がいる」
自然と唾を飲みこむ。
エレベーターのドアの先にいるのだ、全ての根源。 人々に繁栄と娯楽を与えているように見せて。その裏では、人を人だと思わない冷徹で残虐的な行為を繰り返していた、ドルファフィーリングの社長。
このドアの向こう側に、敵のボスがいるのだ。
—ドアはゆっくりと。それほども時間もかからず、開いた。
「ようこそ、我がドルファフィーリングへ。ルシアそして…そのお仲間さん達」
真っ先に視線に入ったのは、長い銀髪に鋭く振り上がったツリ目の三十代半ばといったところの男。
男は冷たい微笑みをルシアに向ける。
「あ…貴方がドルファの社長。あれ…どうして僕の名前を…?」
「私はバーナード。貴様の事はずっと昔から知っているさ」
ふふふと不気味に笑っている。ボソッとランファが「シャッチョサンってもしかして、ソッチ系?」などと抜かしていたが、ここは無視の方向で行こう。
「ルシア。貴様は本当に愉快な仲間を連れている」
「?」
「人柱の娘を三人」
シレーナ、シル、ヒスイを順番に見つめ
「あの断罪者の一族の末裔」
リアを見つめ、最後に
「特異点」
「——ッ」
ランファを見つめる、ゾクリと背筋を凍らせる、冷たい視線。
「特異点? …なのことランー「今は言えない」
絞り出すように言うランファ。体が小刻みに震えている。武者震い? いや違う。恐怖で震えているのだ。
「やはり知らぬのか。特異点の存在も己の出自のことも」
カカカと嘲る、バーナード。キッと彼を睨み付けながらルシアは尋ねた、何が面白いのかと。
「貴様は己がなんの種族か知っているか」
「僕はヒュムノス」
と言った瞬間、また嘲笑うバーナード。
「滑稽だ、自らの種族すら知らない愚か者とはなっ!」
「な、なにが—」
「教えてやろう、貴様はあのようなひ弱なヒュムノスなのではない、メシアだ」
「な、メシアだとッ!?」
「知っているのリアさんっ!!?」
「知っているもなにも…」と口ごもるリアに代わり、バーナードが「知らぬ方が可笑しいのだろう」と答えた。
「古の時代。まだ世界が誕生したばかりの時代。
光から生まれ、誕生と繁栄を司る、女神"ナーガ”
闇から生まれ、死去と混沌を司る、邪神"ギムレー”
光と闇は相容れない存在。神々よる争いは必然なこと。
女神と邪神は、何百年も何千年も何億年もの間、争い続けた、が力を消耗するだけで決着には至らなかった。
このままで力尽き負ける—と感じた女神は、残り僅かの力を使い、フュムノス、ドラゴンネレイド、壊楽族(かいらくぞく)、リリアン、ユダ、そしてメシアの五つの種族を生み出し、共に戦ったことでなんとか邪神を封印出来た—かに思われた」
ここで一度、バーナードの話が途切れた。
周りの仲間達にを見てみると、皆何故か、ルシアと視線を合わせようとしない。
「—が、裏切り者のせいで、その封印は完璧な物とはいえなか
- Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜【敵の本拠地へ】 ( No.155 )
- 日時: 2017/09/11 10:16
- 名前: 姫凛 ◆x7fHh6PldI (ID: 5xmy6iiG)
「—が、裏切り者のせいで、その封印は完璧な物とはいえなかった」
「裏切り者? 誰が…」
ルシアが首を傾げると、バーナードはニヤリと笑い
「貴様の父親だ—」
「えっ。父さんがっ!?」
「貴様の父親は、邪神の持つ、永久にも近い寿命と世界を支配できる圧倒的な力に魅入られ、闇に堕ちた。
我が物にしようと邪神を己の体に取り入れ、その結果。奴は強大な力と永久の寿命を手に入れた」
「父さん…が…そんな…」
幼い頃に父と母の両方をなくし、今まで妹のヨナと貧しくも仲睦まじく暮らしていたルシア。
おぼろげに残る、幼き日に見た父の記憶。
父の大きくて偉大な背中に少しでも早く追いつきたくて、何度駄目だと言われても狩りへ行く父の背中を追いかけて行き、途中でバレて叱られて、お前も一緒にやるか。と、大きくて暖かい手のひらで頭を撫でられた、記憶の中に僅かに残る父の姿。
バーナードが言っていることが本当の父の姿なのだとしたら、この記憶の中にいる父はいったい—誰なのだろうか。
「ちがっ。おじい—「黙れ。小娘」キャッ」
何かを言いかけたランファの足元に鋭く尖ったナイフが突き刺さる。
「貴様の父が裏切ったことに痛く悲しまれた女神"ナーガ”様は我らユダ族に命じられたのだ」
ゴクリと唾を飲みこむ。
「—貴様ら、メシアの一族を皆殺しにしろとっ!」
バーナードの後ろにあった壁が横に回転する。
「——ッ」
「ヨナ!!?」
回転した壁には、分厚い縄でぐるぐる巻きに縛られたヨナが。
気が付くと、右側には「殺殺殺殺殺殺殺」と機械的に呟く少女が。
左側には「ギャハハハハッ」南の森でシレーナ達フュムノスの娘達を攫った、ザンクが。
背後。エレベーターの前には「………」無言の圧。殺気を漂わせ仁王立ちする紅き鎧の騎士が。
「会いたかったぜ、ルシア〜? ギャハハハハッ」
「お、お前は…ザンクッ!」
「ぁああ…ああ…」
あの時の恐怖がよみがえる。
シレーナを守るように彼女の前へ片腕をを伸ばし、ザンクに向けて剣を構える。
「殺殺殺殺殺殺」
「まだここに居たんだ…」
言葉の通じない少女と目の見えないヒスイ。
少し前まではナナの元で、殺し屋のような仕事をさせられていたヒスイ。「殺殺殺」としか喋れない少女もまたドルファフィーリングの雇った殺し屋。
同じ殺し屋同士、何か思うところがあるのだろうか。
「………」
「やっぱり、お前もドルファの奴だったんだな」
殺気に満ちた視線で紅き鎧の騎士を睨み付け、今にも襲い掛かりそうな雰囲気で剣を構えているリア。
何故。彼はこれ程までに紅き鎧の騎士を憎んでいるのだろうか。
リアと紅き鎧の騎士の因縁とはなにか。
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