複雑・ファジー小説
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- シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜【氷国の民編】
- 日時: 2019/09/08 08:53
- 名前: 姫凛 (ID: 9nuUP99I)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=19467
これから綴る物語は忌まわし呪われた血によって翻弄され
哀しき封印から少女達を救い
少女達と共に謎の不治の病に侵された小さき妹を
助けるため小さな箱庭を行き来し愛と絆の力で闘い続けた
妹思いな少年と個性豊かな少女達の絆の物語である
-目次-[シークレットガーデン〜小さな箱庭〜]
登場人物紹介 >>166-168
-用語紹介- >>169
-魔物図鑑- >>23
-頂きもの-
高坂 桜様(元Orfevre様)より シル(オリキャラ)>>10
はる様より リア・バドソン(オリキャラ)>>11
ブルー 様より ヒスイ(オリキャラ)>>12 ヒスイ(キャラ絵)>>205
レム様より エリス(オリキャラ)>>66
華那月様より ヨナ(キャラ絵)>>08 ランファ(キャラ絵)>>09 シレーナ(キャラ絵)>>38
むらくも(キャラ絵)>>39
むお様より リオン(キャラ絵)>>37
自作:エフォール(キャラ絵) >>217
-あらすじ(第九章)
山の国の何処かにあると言い伝えられている女神が誕生した遺跡 アンコールワットで見事試練を乗り越え真実の歴史を知ったルシア達は遺跡を出てリオン、リティと別れ時渡の樹が生えた広場でヒスイと合流を果たした。
新たに出来た旅の目的。四つの国にある四つの遺跡を巡りかつて女神と共に邪神と戦った王達の力を受け継ぐ旅の始まり。
——さてどこの国の遺跡から行こうか?
-章の目次-
*1分〜10分(読むスピードで個人差があります)で物語の概要が分かるスキップ物語☆
*本編を読むだけでも物語を楽しめますが個別の短編も読むことでより深く楽しむことが出来る作りとなっています。
序章 出会いと別れ >>05-07 -スキップ物語- >>22
第一章 物静かな看護師の闇
荒くれ者 ザンク編 >>13-20 -スキップ物語- >>40
シレーナの封じた過去編 >>24 >>26-36 -スキップ物語- >>50-51
(より抜き「 魔女と呼ばれた少女の物語」完結済み)>>152)
第二章 汚された草競馬大会 >>43-47 -スキップ物語- >>52
第三章 大都市で起きた不可解な事件
宿屋での選択肢 >>48-49 -スキップ物語- >>53
[ムラクモを探す- >>55] [後をついて行く- >>54 …正体END]
遺体のない葬儀編 >>56-61 -スキップ物語- >>68
立食パーティー編 >>62-63 >>67 -スキップ物語- >>79
第四章 監禁・脱走 >>69 >>73 >>76-78 -スキップ物語- >>124
(叢side「椿の牢獄」>>158完結済み)
(別side「菊の牢獄」>>)
第五章 美しき雌豚と呼ばれた少女
コロシアム編 >>82 >>85-90 >>93 >>97 >>100-101 >>104 >>107-108
-スキップ物語-上中下>>125-127
シルの封じた過去編 >>111-113 >>119-123 -スキップ物語- >>128
(続編「美しき雌豚と呼ばれた少女とおくびょう兎と呼ばれた少年」完結済み)>>153)
第六章 闇と欲望の国
アルトの封じた過去編 >>129-133 >>136-138 >>143-145 -スキップ物語- >>146
裏カジノ編 >>147-150 -スキップ物語->>151
(幕間「感情のない少女の物語」>>224)
敵の本拠地へ編 >>154-156 -スキップ物語->>157
第七章 賢者たちの隠れ里 >>159-163 -スキップ物語上下- >>164-165
第八章 からくり遺跡
女神の試練編 >>170
[勇気の試練>>183-186 ] [知恵の試練>>177-182] [力の試練>>171-176]スキップ物語->>187-189
[仲間->>185…生贄end] [友人->>186…見損ないend][本当->>181] [嘘->>180…神のお遊戯end]
[棺を開けない- >>173-176][棺を開ける- >>172…死神end]
隠された真実編 >>194-197 -スキップ物語->>193
(修正前>>190-192)
第九章 荒くれ者の最期 >>198-202 -スキップ物語->>207
(幕間「殺戮人形と呼ばれた少女の物語」>>224)
第十章 殺戮人形ト色欲妖怪
王家の墓編 >>208-216 -スキップ物語->>
リアの封じた過去編 >>218-2231
[受け入れる>>220-221]…喪失END [受け入れない>>222-223]…永眠end
(→狐の銅像「親殺しの青年の物語」>>)
第十一章 嘘ツキな臆病者
氷国の民編>>225-229 …達筆中
ひと時の休息編
第十二章 賽は殺りと投げられて
偽りの仮面編>>
真実の泉編 >>
???の封じた過去編>>
最終章 最終決戦
Aルート >>
Bルート >>
cルート >>
Dルート >>
-掲示板-
達筆開始日 2014/3/4
2017/11/25:URL先を新しくしました。雑談板にあります、設定資料集スレにしました。
2019/9/8:URL先を新しく書き始めたリメイク版の方に変えました。
-おしらせ-
2017夏☆小説カキコ小説大会【複雑・ファジー小説部門】で【銅賞】を頂きました。
投票してくださった皆様、本当にありがとうございました<(_ _)>
完走(完結)目指して頑張りたいと思います!
20119/9/03→『氷国の民編』『新章』追加
参照100突破!3/6 200突破!3/11 300突破!3/15 400突破!3/21 500突破!3/28 600突破!4/4 700突破!4/9 800突破!4/15 900突破!4/22 1000突破!4/28 1100突破!6/2 感謝♪
2017年 2600突破!/1/30 2700突破!1/31 2800突破!2/7 3200突破!8/31 3300突破!9/1 3400突破!9/7
3500突破!9/12 3600突破!9/19 3700突破!9/26 3900突破!10/10 4000突破!10/17 4100突破!10/31
4200突破!11/6 4300突破!11/14 4400突破!11/23 4500突破!11/28 4600突破!11/3 感謝♪
2018年 5000突破!1/7
返信100突破!2014/4/28 200突破!2017/11/14 感激♪
-神様な読者の方々-
蒼欒様:初コメを下さいました!もう嬉しさMaxです♪
レム様:エリスちゃんの生みの親様です♪いつも温かい励ましコメありがとうござます!
ブルー様:オリキャラ ヒスイちゃんを投稿してくださいました!
出せるまでに一ヶ月以上もかかってしまったのに、見捨てずに見て下さっているお優しい方です(T_T)
- Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜 ( No.46 )
- 日時: 2014/03/21 11:07
- 名前: 姫凛 (ID: TdwH/e73)
シルと二人三脚で練習してから数刻後…。大会の時間が迫り、様子を見に来るとパカラッパカラッと颯爽と乗りこなすルシアの姿が。
「おぉっ小バカにされてたのに、颯爽と乗りこなしてるっ」
「……王子」
「いっいやぁ〜〜あはは」
ルシアは少し照れながら片手で頭をかく。
「じゃあ、頼むね。ルシアちゃん」
「はいっ」
そして競馬大会が始まる…。
「さーて今年も来ました、草競馬大会!
今年はあの天下のドルファフィーリング主催で今までよりも大盛況だよ〜!
さぁー今年の優勝賞品は誰の手に——!?」
準備が終わり。皆位置に着く。
テン
テン
テン
ゴー!!
ゲートが開き一気に皆飛び出して行く。
「やっぱりシルは早いな…。もう先頭になってる。僕らも負けてられないね、フレア!」
「ヒヒーン!」
シル&シルビアのコンビはスタートダッシュが良くすぐに先頭になり、それから後ろの中盤辺りにルシアとフレアのコンビは走っている。
「ぎひひひ…」
「…?」
とある灰色の馬に乗った人がルシアを抜かして行った。ルシアはその時、なにか嫌な予感がした。
灰色の馬は次々に抜かしてゆき、遂にはシルとシルビアのコンビと接戦のところまで追い上げて行ったその時!
「えっ?」
「……きゃっ!」
「ヒヒーン……」
シルビアが何かに足を取られて転倒してしまった。シルも一緒に転倒し、シルビアの下敷きになってしまった。
シルビアの足元を見てみると、マキビシの様な物がいくつも転がっていた。
「まさかっあいつ、わざとマキビシをまいたのかっ!?」
灰色の馬の後ろを走っていた馬たちは次々に転倒し、乗っていた人たちも骨を折るケガまでした者まで出た。…のにも関わらず大会は続けられた。
「許せないっ!」
ルシアとフレアは協力してマキビシを避けて走り、灰色の馬に追いついた。
「おいっ。なんで勝負の邪魔をするんだ!?」
「ハァ?しょうぶぅ〜?ぎひひひ」
男は薄気味悪い笑い声で笑っている。灰色の馬も一緒に笑っているように見える。
「な、なにがおかしい…?」
「こんなのはなぁ、最初からおれっちが勝つって決まってんだよっ!オラッオラッ!!」
「うわっ!」
「ヒヒンッ!」
灰色の馬がフレアの足を蹴り飛ばしてきたのだ。ルシアは落ちそうになるが必死に体を建て直し、フレアもまたルシアを落とさないように灰色の馬の攻撃をかわす。
「(くそうっ。…でもっここで諦めたら駄目だ。絶対にこんな奴に負けたら駄目なんだ!
おばさんの為にも…。シルとシルビアの為にも)」
うおおおとルシアとフレアは一心同体。気持ちを一つにしゴールを目指す。
「おぉーーー!!接戦だぁーーー!!さーーーゴールテープを最初に切るのはどっちだーーーーー!!」
「ちっ。しつけぇガキだなぁ…。ほらよっ」
「うわっ!」
「ヒヒーンッ!」
男はまたマキビシの様な物をフレアの足元に巻いた。フレアも一瞬、驚いて足を取られそうになったが
「頑張れーフレアー!」
「プルルル……」
体制を建て直し
「なっなにっ!?」
最後の力を振り絞って全力疾走で駆け抜ける。
それを見た男と灰色の馬の馬も慌てて、全力疾走する。
パンパンと両者一歩も譲らすほぼ同時にゴール!果たして判定はいかにー?
「おっおぉ……判定は。写真判定にゆだねられたー!」
巨大スクリーンに写真が出てきてコマ送りで映像が流れる。ぴしぴしぴしと一枚一枚、映像が動き…そして!
「お、おぉぉぉーーーーー!!ゆ、優勝者は無名の飛び入り参加 ルシアだーー!!あの悪逆王 パルスを抜いたーーー!!」
「おぉぉぉぉーーーー!!」
「「やったー!」」
一気に会場から歓喜の声があがる。観客席から見ていたランファとシレーナも抱き合って喜びを分かち合う。
ルシアとパルスの勝敗は、ほんの数ミリの差だった。少しフレアの足が他の馬よりも長かった為に先にゴールテープを切れたのであった。
「かっ…勝ったぁ…」
安心して肩の力が抜けルシアは、フレアから降りて地面にしゃがみ込んだ。
「プルル…」
「おつかれさま。フレア」
顔を摺り寄せてくるフレアに優しく言い顔をなでてあげここまで頑張った事を褒めてあげるのであった。
こうして、ルシアの初めての草競馬大会は幕を閉じたのであった——
- Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜 ( No.47 )
- 日時: 2014/03/21 12:55
- 名前: 姫凛 (ID: z5NfRYAW)
競馬大会が終わり、フレアと共に宿へ帰って来たルシアをみんなで手厚くもてなす。
「おめでと—!ルシアー!」
「…おめでとう」
「おめでとう。ルシアちゃん」
「ありががとう。みんな」
宿は誕生日パーティのように色々な飾り付けがしてあり、豪華な料理がテーブルに並んでいる。
ほかの宿のお客さんまでも、おめでとうとルシアをもてなす。少し恥ずかしがりながらも皆にありがとうと言って回る。
すると、シルの姿がないことに気が付いた。
「あれ?シルは?」
何気ないルシアの質問に皆のテンションが一気に下がり、空気が重くなる。
「……?」
「シルちゃんはね…。シルビアの傍にいるよ」
重たい口調でおばさんは言う。
じゃあちょっと料理を届けてきますよとルシアが言いかけるとおばさんが続けて
「すまないけど、今はそっとしておいてあげて…」
「…わかりました」
とおばさんは寂しそうな目で静かに言った。
その時はなんでそんなにおばさんが寂しそうだったのか、わからなかったのだが、後々宿のお客さんから聞いたところ。
あのパルスと言う男が巻いたマキビシの様な物には猛毒が含まれていて、あれに足を取られた馬たちは大会が終了後、次々に体中に毒が回って死んでしまったそうだ。もちろんシルビアも。
シルはシルビアの埋葬を独りでやっていたらしい。本当はみんなで手伝いたかったが本人が独りになりたいと言っため、そっとしておいたみたいだ。
それを聞いてルシアは何かしようと思ったが、何をしていいのか、何を言えばいいのかわからず、結局何もできなかった……。
そして次の日の朝。ルシアとシレーナは朝の紅茶を飲んでまったりのんびりリラックスしていると
「たいへんー!たいへんーー!へんたいーーー!」
「変態!?」
「あっ、間違えた…」
「………」
またおかしなことを言いながらランファが部屋に飛び入って来た。
手には手紙の様な物がクシャクシャに握りしめられている。
「大変なのっ!」
「…どうしたの?」
両腕を上下に振り回し暴れるランファをシレーナが優しく問いかけ、落ち着かせる。
ランファはすぅーはぁーと深呼吸して落ち着ちついた後。
「あのねっ。あのねっ!ドルファから招待状が来たのっ!!」
「えっ?ドルファから…?」
「うんっ。うんうん、これっ!あーウンコって言っちゃったーーー!!」
またパニックって暴れ出しているランファはほっておいて、クシャクシャになった招待状を見てみる。
クシャクシャになりすぐぎていてなんて書いてあるかよくはわからなかったが、かいつまんで必要ようなところだけ読むと確かにドルファからの招待状のようだ。
「…ほんとだ」
「ほらねっ。ほらねっ!」
「……でも、なんでドルファが僕に?」
それは…と皆で考えているとランファが閃いた!といった表情し
「競馬大会で優勝したからだよっ!」
「そ、そうなのかな…?」
「絶対そうだって。ねっ?」
「……ん?」
ルシアもシレーナも頭の上にクエスチョンマークが浮かんでいたが、強引で自己なランファの押しに負けて競馬大会に優勝したから招待されたと言うことになってしまった…。
だがこの時ルシアは何故かドルファに対しただなる不安を抱えていた。なにか善くないことが起こるのでないかと……。
その不安は当たらからずも遠からず。
第二章 汚された草競馬大会 終
- Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜 ( No.48 )
- 日時: 2014/04/09 18:23
- 名前: 姫凛 (ID: tO5N9Mr.)
第三章 大都市で起きた不可解な事件-宿での選択肢-
「おーきー。ちゅーおーれっしゃー」
「ランファー早く来ないと置いてくよー」
「あーん。置いてかないでー」
ルシア達は今、森の国と海の国の国境大橋を渡る唯一の巨大列車、中央列車の駅にいる。
列車は黒光りしていてモダンでアンティークな仕上がりで、記念写真を撮っている客やランファのように見とれて口を大きく開けてポカーンとしている客があちらこちらにいる。
そろそろ列車が出発するので慌てて乗り込むとそこには豪華絢爛の内装で寝室にはキングサイズのふかふかベットや泡風呂が楽しめるバスタブなんかがあった。
「でもたしかに…大きいよね」
それぞれの寝室に荷物を置いて一息ついていると、ルシアが部屋をキョロキョロ見渡しながら緊張した声で言う。
「…最高級列車。セレブ」
「が、タダで飲み食いできるとか、ドルファ太っ腹だねっ」
ルシアと同じく緊張気味に言うシレーナとは真逆に列車に備え付けの施設を片っ端しから見て回っているランファがニコニコ顔で言った。
「でもなんか申し訳ないような……」
「ダメダメ!こんなチャンス滅多にないんだからっ、めいいっぱい満喫ないとっ!!」
「ランファは満喫すぎじゃなんじゃ……」
めちゃめちゃ列車ライフを満喫しているランファに少し引き気味に言う。
そんなの屁でもないランファは窓を開けて
「あーーー!海だーー!!」
「……国境越えた」
「へぇ…あれが海」
しばし皆で海に見とれていた。
「あれ?海お初?」
「うん。ずっと森の中で暮らしていたから」
「なるへそー」
初めての海に少し興奮気味に答える。そして思う。ランファは一体何者なんだろう?と、でもそれはシレーナの闇と同じく触れてはいけない場所だと思ったルシアはあえて聞かなかった。
「海の国は魚おいしい」
「「へぇー」」
シレーナの海の国知識に感心していると
「皆様、長旅ご苦労様でした。間もなく海の国首都、大都市ゼルウィンズに到着致します」
アナウンスが流れてきた。
「降りるとこ、ここっ!?」
「…うん」
「慌てずにゆっくり降りるんだよー」
「はーい」
駅に到着し中央列車を降りたルシア達を待ち構えていたのは
「お待ちしておりました。ルシア様。そしてお連れの方々」
綺麗で美しい青年がルシア達に向かってぺこりとお辞儀をし丁寧な言葉遣いで言った。
彼はまるでどこかの王子の様な美しき見た目で金髪色白で白いスーツ着用、あとは白馬さえいれば完璧と言った感じだ。
「えっと……あの……」
なにがなんなのかよくわからないルシアは挙動不審で青年に尋ねる。
ランファとシレーナも状況がよくわからないためルシアの後ろに隠れて様子を見ている。
「申し遅れました。私めはドルファフィーリングの紫龍と申します。長旅ご苦労様でした」
「はぁ…はぁ…」
「なんでドルファの人が来てるの?」
「実は…本日予定してましたドルファ立食パーティーが先日あった事件のせいで、二週間延期する事になりまして…そのことをお伝えに参りました」
「えぇーー!?」
「……事件?」
「申し訳ありません」
紫龍は申し訳なさそうにまたぺこりと頭を下げる。
「お詫びと言ってはなんですが、ドルファの運営する宿で長旅の疲れを癒してくださいませ」
スラスラと紫龍は丁寧に律義にわかりやす言葉遣いで話していく。
「それからルシア様の身にもしもの事があってはいけないので、せいげつながらボディーガードをつけさせていただきます」
「ぼでぃーがーど…?」
紫龍は斜め後ろに視線をやり
「ムラクモさん。いつまでも隠れてないで出てきなさい」
「…はっはい……!」
斜め後ろの大きな柱の後ろから、赤いポンチョを纏い赤いドレスのような服を着た美女が顔を出した。
「(綺麗な人だな……)」
「「………」」
彼女があまりにも美人だった為ルシアはつい見とれてしまい心の声がボソボソと出てしまった。
それをランファとシレーナは黙って白い目で見つめる。
「申し訳ありません。彼女は極度の恥ずかしがり屋で…」
「すっ、すいません…」
「そう言いながらまた隠れようとしないっ」
「…はいっ!」
いっこうに柱の後ろから出てこようとしないムラクモにルシアはゆっくり近づいて優しく
「僕も初めて会う人の前では緊張してしまうから、気にしなくていいですよ」
「はっ…はい……」
ルシアに見つめられて、恥ずかしいのかムラクモは耳まで赤くしてまた柱の後ろに隠れてしまう。
はぁ…とやれやれ顔でため息をついた後、紫龍は
「ムラクモはこんな恥ずかしがり屋ですが、腕は確かなのでご安心ください。それでは行きましょうか」
と言い終わると近くの駐車場まで皆を優しくエスコートしてくれた。
そして駐車場には
「おーーリムジンだー!すげー!」
「こらっ、はしゃがない」
「どうぞっ」
超長いリムジンが駐車されていた。
初めて乗る高級車に大はしゃぎのランファを落ち着かせ、リムジンへ乗り込む。
やはり中も普通の車と大違いで、比べ物にならないくらいに広い。
ランファ曰く、遊び放題の空間らしい…。
- Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜 ( No.49 )
- 日時: 2014/03/23 12:00
- 名前: 姫凛 (ID: f0TemHOf)
「おー!はえぇーー!!パン屋だぁー!おぉっ!見てっ見てっ!ピエロ!ピエロがいるよっ!にひひっ」
車の外から見える景色に大興奮でいちいち反応し大きな声でみんなに伝える。
海の国の首都というだけあって、大都市ゼルウィンズには沢山の人が行き交い、沢山の面白おかしい恰好をした商人たちが大道芸を披露している。玉乗りや猿回しやけん玉使いなど様々だ。
テンションマックスで大興奮のランファをよそに、はぁーとため息をついた後ルシアは申し訳なさそうに紫龍に向かって
「騒がしくって、すみません…」
としょんぼりと言ったが紫龍は優しく微笑んで
「いえいえ。賑やかで楽しいじゃないですか」
ルシアをフォローしてくれた。
ルシアはなんだかほっとし、先ほど駅で聞けなかったあの事件の事をタ尋ねてみる事にした。
「あの」
「はい?どうしました」
「先日起きた事件って……」
「あぁ」
ごく自然な素振りで紫龍はそれはと続けて
「…見つかったんですよ」
「……?」
「死体が」
「えっっ!?」
あまりにも衝撃的な発言だった為、ルシアは開いた口が塞がらない。
シレーナは目を丸くして驚き、ムラクモは悲しそうな表情で外を眺めている。
「ドルファの雇っていた者でした。川辺で焼死体として打ち上げられていていたんです」
「……焼死体」
「「…………」」
先ほどまで大はしゃぎしていたランファもさすがに空気を読んで唾を飲む。
シレーナは看護師としての観点で、なぜ焼死体なのに水のある川辺で発見されたのだろうと考えた。普通なら、溺死などだろうに…。
「彼の葬儀などでやむおえず、パーティーを延期する事になったのです。ルシア様には大変ご迷惑を…」
「いっいえっ!そんな事があったのなら仕方ないですって」
「そう言っていただけると彼も救われます」
紫龍は最初から最後までサラリとした微笑みで教えてくれた。
何故か焼死体の話よりもそのことを笑顔で答えられる紫龍の方が何倍も恐ろしいと感じる…。
「犯人は?」
ルシアにしがみつき震えた声でランファは紫龍に聞いた。
「いえ。実はまだ捕まっていないのです」
「えぇーー!?雪白の騎士はなにやってんのー!?」
「イタイッイタイ!」
「あ…ごめんっ」
犯人が捕まっていないと聞いてつい手に力が入り、ルシアの腕をメキメキと折れるのでないかというくらいにギュッと握りしめた。
すぐにルシアが痛いと言ったから、折れるまでには至らなかった。青あざでランファの手形がついてしまったが…。
「そうですね…。なのでルシア様にもしもの事があっては大変なので、ボディーガードを付ける事にしたのです」
「な、なるほど…」
少し引いた感じ答えた後、ルシアはチラリとムラクモの方を見つめた。
外はもう夕暮れ時、ムラクモの頬が茜色に染まる。その姿は絵になり、とても美しかった。
「そろそろ宿に着くみたいですね」
「おぉ〜やどやど〜」
ランファが変な歌を歌っている間に、ドルファの宿へ到着した。
「「おぉーーーーー!!」」
宿はルシアたちが想像していたごく一般なものとははるかに違い、まるで宮殿のような豪華絢爛だった。
「あたし知ってる。こうゆう大人な感じの宿ってラブホ…」
「それっ、大人違いっ!」
「むぐぐっ」
またどこぞで覚えて来たのか知らないが変な事を言い出すランファの口を慌てて塞ぐ。
むぐぐっとまだなにか話したそうにしていたが、ここは心を鬼にして容赦なく塞ぎ続ける。
「それでは、私はこの辺で…。ムラクモさん。後は頼みましたよ」
「はっはい……」
紫龍が去り際、ムラクモは恥ずかしそうに返事をした後、紫龍にだけ聞こえる様に小声で「お任せください。王子」と言った。だがその声は森で鍛えられたルシアの耳には、ボソボソ程度でハッキリではないが聞こえていた。
「なにやってんのー?早く早くー」
「あっうん…。空耳だったのかな…?」
紫龍とムラクモは何を話していたんだろうと気になるルシアだったが、ランファに呼ばれて仕方なくその場を後にする…。
「ルシア様たちのお部屋はこちらです」
「ふっかふっか〜」
「ベットの上ではしゃいじゃ駄目だってーランファー」
部屋に案内されるや否や、一目散にベットに飛び乗ってはしゃぐランファを叱るルシアだったがまったく相手にされず…。
「私は外で待機しているので、何かありましたらお声をかけてください」
「「はーい」」
ムラクモは部屋を出て行き、それぞれの自由時間になった。
そして数刻後…。夜中。
「……眠れない」
昼間に死体の話を聞いたからだろうか?目がさえて全く眠れない。隣を見るとシレーナがスヤスヤと気持ちよさそうに寝ている。
「少し夜風でもあたってこようかな…」
シレーナを起こさぬようゆっくりベットから起き上がり部屋を出る。すると
「…あれ?あのこにいるのは…ランファ?こんな時間に何処へ行くんだろう」
真夜中の廊下、明かりは点いているが従業員の姿も他の客の姿もない。ランファとルシア 以外誰もいない…おや?
「あれ、外で待機してるって言ってたムラクモさんもいないや…どうしたんだろう」
この時ルシアの頭の中には二つの選択肢があった。
後をついて行く-
ムラクモを探す-
どちらを選ぶかは君(読者様)次第だ
選択次第で物語は大きく変わり 結末も大きく変わる
さぁ 君ならどちらを選ぶ——?
- Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜 ( No.50 )
- 日時: 2014/03/25 08:56
- 名前: 姫凛 (ID: ZZRB/2hW)
-スキップ物語-(シレーナの封じた過去編)
町の娘たちを救い出したルシア。
町の人たちの勧めにより感謝の気持ちと娘たちが帰って来た喜びをを込めた祭りに参加する事になった。目立つのは苦手だと少々嫌々だったが、大量の料理に釣られたランファのせいで祭りに参加するのだった。
祭りは大いに盛り上がりメインイベントの娘たちによる感謝の舞いが披露された。その中にはシレーナの姿もあった。
男たちは皆、心を奪われ釘付けになった。恥じらいながらもルシアも
皆で盛り上がっていたその時、事件は起きた。
シレーナが突然苦しそうなうめき声をあげその場に倒れたのだ。
慌てて家に運び医者に見せると…シレーナはヨナと同じ闇病にか侵されていた事が判明した。
医者は匙を投げ、シレーナはただ死を待つだけとなってしまった…。
と思われたにだが、ランファがこれはのちにデスピル病と呼ばれる病でほって置くとヨナが襲われたバケモノ——穢れになってしまうのだと言う。
治す方法はあるにはある。それは——シレーナの心。即ち体の中に入って直接、病の元凶を倒すというとんでもない方法だった。
ランファは肩から下げていたバックをゴソゴソとあさりだし、何かを探している。
不思議に思いながら見ていると、どこぞの猫型ロボットの様な声で水色の綺麗な石を取り出した。それは見ているだけで吸い込まれそうな…。
ランファは何の説明も無しに精霊石をルシアに近づけ……なんと、ルシアは本当に石の中へ吸い込まれてしまったのだ。
石に吸い込まれる姿を見送った後、ランファはシレーナに近づき、ゆっくりとシレーナの胸の中に精霊石を入れた。石は音もなく体内へと沈んでいった。
石に飲み込まれたルシアが目を覚ますとそこは不思議な場所だった。
真っ黒く暗い。何も聞こえない。声も呼吸音も心臓の音さえも。
ルシア以外に人の気配はない。
身動きを取ろうとすれば激痛が体中を走る。
ルシアは自分は死んでしまったのだと錯覚する。
ここは何もない無の空間。
ただ漂えばいいだけ。
痛みも悲しみも苦しみもない。
-もう終わりにする
-まだ諦めない
ルシアは諦めなかった。
ここで諦めてしまえば、ヨナは永遠に助からず、シレーナは死ぬのだ。
それは駄目だ。絶対に命を懸けてでも助けないとっ!
と心のそこから思ったルシアの前に光が現れた。
ガラスが割れる音と共に現れたのは、見た目は人だが違う。体内の奥底から人間離れした巨大な力を嫌でも感じられる少女だった。
少女はパピコと名乗り、ルシアをご主人様と呼ぶ。
ルシアにはそっち系の趣味はないため丁重にお断りしたのだが、別にそうゆう意味ではないと彼女は言う。
そして闇病の真の恐ろしさをパピコは教えてくれた。
闇病…のちにデスピル病と呼ばれる病。
別名、心の病と言われ一度発病すれば人間不信に陥ったり、挙動不審になって周りの者に当り散らしたりするらしい。
足先手先から徐々に体が黒ずんでゆき最終的にはヨナがさらわれたあの日、空から突然降って来たあのバケモノになってしまうのだ。
早く治さないとっ!と焦るルシアンだったが、デスピル病を治すには、人の記憶や心が創り出した迷宮 プリンセシナと言う場所の最下層にあるシークレットガーデンで悪さをしている元凶を叩かないといけないらしい。
人の封じた記憶をみるのだ。プリンセシナに入るためにはそれそうおうの絆が必要とされる。
闇に落ちた過去を見せてもいいと思われて、やっとスタートなのだ。
シレーナとの絆の深さは正直、あまり自信なかったがとりあえず調べてもらうと、絆度Maxだったのだ。
パピコから色々言われたが、これでシレーナの救う事ができると喜ぶルシア。
この時の彼は知らなかった。プリンセシナがどんなに危険で恐ろしい所なのかを——
第一階層では幼いシレーナと実の両親との微笑ましいやり取りだった。
この頃のシレーナは今とは違いお転婆だったと言うことがわかった。
第二階層では近くの村で大人からは白い目で見られ心のない言葉を言われ、子供からは「魔女」と呼ばれ石を投げられている。
それでも耐えている幼いシレーナの姿った。
この光景に頭にきたルシアは大人たちを問い詰める。
なぜシレーナが「魔女」なのかと。
すると信じられない答えが返ってきた。
シレーナの瞳は左右で色が違う。…ただそれだけだと言うのだ。
そんな事でっ!と怒ろうしたルシアを村人たちは奴も魔女の仲間だー!と言い張り始め、石や包丁などを投げつけてきたのだ。慌ててその場を逃げ出す。
第三階層ではシレーナの母親が突然不思議な行動をし、父親と口論している所がみえた。
どうやら母親は人間不信に陥っているようだった。
第四階層では母親が家を出て行く姿だった。
何故か母親は自分が出て行くのも村人がイジメをするのもすべて、シレーナが悪いのだと言い残し出て行った。
シレーナの心は崩壊寸前だった…。
第五階層では母親がいなくなり貧しいながらも親子二人で暮らす、父親とシレーナの姿があった。
突然父親はシレーナに旅行へ行こうと言い出した。
お金がないためそんな大層なものではなく、森の国に住む親せきの家へ行くというものだった。
それでも空元気でシレーナは喜び荷物の準備をする。その姿を父親は温かいまなざしで見守る。だが彼の傍に彼の荷物はない。
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