複雑・ファジー小説
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- シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜【氷国の民編】
- 日時: 2019/09/08 08:53
- 名前: 姫凛 (ID: 9nuUP99I)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=19467
これから綴る物語は忌まわし呪われた血によって翻弄され
哀しき封印から少女達を救い
少女達と共に謎の不治の病に侵された小さき妹を
助けるため小さな箱庭を行き来し愛と絆の力で闘い続けた
妹思いな少年と個性豊かな少女達の絆の物語である
-目次-[シークレットガーデン〜小さな箱庭〜]
登場人物紹介 >>166-168
-用語紹介- >>169
-魔物図鑑- >>23
-頂きもの-
高坂 桜様(元Orfevre様)より シル(オリキャラ)>>10
はる様より リア・バドソン(オリキャラ)>>11
ブルー 様より ヒスイ(オリキャラ)>>12 ヒスイ(キャラ絵)>>205
レム様より エリス(オリキャラ)>>66
華那月様より ヨナ(キャラ絵)>>08 ランファ(キャラ絵)>>09 シレーナ(キャラ絵)>>38
むらくも(キャラ絵)>>39
むお様より リオン(キャラ絵)>>37
自作:エフォール(キャラ絵) >>217
-あらすじ(第九章)
山の国の何処かにあると言い伝えられている女神が誕生した遺跡 アンコールワットで見事試練を乗り越え真実の歴史を知ったルシア達は遺跡を出てリオン、リティと別れ時渡の樹が生えた広場でヒスイと合流を果たした。
新たに出来た旅の目的。四つの国にある四つの遺跡を巡りかつて女神と共に邪神と戦った王達の力を受け継ぐ旅の始まり。
——さてどこの国の遺跡から行こうか?
-章の目次-
*1分〜10分(読むスピードで個人差があります)で物語の概要が分かるスキップ物語☆
*本編を読むだけでも物語を楽しめますが個別の短編も読むことでより深く楽しむことが出来る作りとなっています。
序章 出会いと別れ >>05-07 -スキップ物語- >>22
第一章 物静かな看護師の闇
荒くれ者 ザンク編 >>13-20 -スキップ物語- >>40
シレーナの封じた過去編 >>24 >>26-36 -スキップ物語- >>50-51
(より抜き「 魔女と呼ばれた少女の物語」完結済み)>>152)
第二章 汚された草競馬大会 >>43-47 -スキップ物語- >>52
第三章 大都市で起きた不可解な事件
宿屋での選択肢 >>48-49 -スキップ物語- >>53
[ムラクモを探す- >>55] [後をついて行く- >>54 …正体END]
遺体のない葬儀編 >>56-61 -スキップ物語- >>68
立食パーティー編 >>62-63 >>67 -スキップ物語- >>79
第四章 監禁・脱走 >>69 >>73 >>76-78 -スキップ物語- >>124
(叢side「椿の牢獄」>>158完結済み)
(別side「菊の牢獄」>>)
第五章 美しき雌豚と呼ばれた少女
コロシアム編 >>82 >>85-90 >>93 >>97 >>100-101 >>104 >>107-108
-スキップ物語-上中下>>125-127
シルの封じた過去編 >>111-113 >>119-123 -スキップ物語- >>128
(続編「美しき雌豚と呼ばれた少女とおくびょう兎と呼ばれた少年」完結済み)>>153)
第六章 闇と欲望の国
アルトの封じた過去編 >>129-133 >>136-138 >>143-145 -スキップ物語- >>146
裏カジノ編 >>147-150 -スキップ物語->>151
(幕間「感情のない少女の物語」>>224)
敵の本拠地へ編 >>154-156 -スキップ物語->>157
第七章 賢者たちの隠れ里 >>159-163 -スキップ物語上下- >>164-165
第八章 からくり遺跡
女神の試練編 >>170
[勇気の試練>>183-186 ] [知恵の試練>>177-182] [力の試練>>171-176]スキップ物語->>187-189
[仲間->>185…生贄end] [友人->>186…見損ないend][本当->>181] [嘘->>180…神のお遊戯end]
[棺を開けない- >>173-176][棺を開ける- >>172…死神end]
隠された真実編 >>194-197 -スキップ物語->>193
(修正前>>190-192)
第九章 荒くれ者の最期 >>198-202 -スキップ物語->>207
(幕間「殺戮人形と呼ばれた少女の物語」>>224)
第十章 殺戮人形ト色欲妖怪
王家の墓編 >>208-216 -スキップ物語->>
リアの封じた過去編 >>218-2231
[受け入れる>>220-221]…喪失END [受け入れない>>222-223]…永眠end
(→狐の銅像「親殺しの青年の物語」>>)
第十一章 嘘ツキな臆病者
氷国の民編>>225-229 …達筆中
ひと時の休息編
第十二章 賽は殺りと投げられて
偽りの仮面編>>
真実の泉編 >>
???の封じた過去編>>
最終章 最終決戦
Aルート >>
Bルート >>
cルート >>
Dルート >>
-掲示板-
達筆開始日 2014/3/4
2017/11/25:URL先を新しくしました。雑談板にあります、設定資料集スレにしました。
2019/9/8:URL先を新しく書き始めたリメイク版の方に変えました。
-おしらせ-
2017夏☆小説カキコ小説大会【複雑・ファジー小説部門】で【銅賞】を頂きました。
投票してくださった皆様、本当にありがとうございました<(_ _)>
完走(完結)目指して頑張りたいと思います!
20119/9/03→『氷国の民編』『新章』追加
参照100突破!3/6 200突破!3/11 300突破!3/15 400突破!3/21 500突破!3/28 600突破!4/4 700突破!4/9 800突破!4/15 900突破!4/22 1000突破!4/28 1100突破!6/2 感謝♪
2017年 2600突破!/1/30 2700突破!1/31 2800突破!2/7 3200突破!8/31 3300突破!9/1 3400突破!9/7
3500突破!9/12 3600突破!9/19 3700突破!9/26 3900突破!10/10 4000突破!10/17 4100突破!10/31
4200突破!11/6 4300突破!11/14 4400突破!11/23 4500突破!11/28 4600突破!11/3 感謝♪
2018年 5000突破!1/7
返信100突破!2014/4/28 200突破!2017/11/14 感激♪
-神様な読者の方々-
蒼欒様:初コメを下さいました!もう嬉しさMaxです♪
レム様:エリスちゃんの生みの親様です♪いつも温かい励ましコメありがとうござます!
ブルー様:オリキャラ ヒスイちゃんを投稿してくださいました!
出せるまでに一ヶ月以上もかかってしまったのに、見捨てずに見て下さっているお優しい方です(T_T)
- Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜 ( No.41 )
- 日時: 2014/03/18 16:27
- 名前: 蒼欒 (ID: ???)
リアルだし、ドキドキがとまりません。サイコー更新是非してください。
- Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜 ( No.42 )
- 日時: 2014/03/19 14:04
- 名前: 姫凛 (ID: i7z/PvOJ)
蒼欒様
初コメ来たー(*^▽^*)ありがとうございます!
サイコーですか、やった♪
亀更ですが頑張ります(*´ω`*)
- Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜 ( No.43 )
- 日時: 2014/03/20 18:05
- 名前: 姫凛 (ID: BLmVP1GO)
第二章 汚された草競馬大会
「じゃあ行ってくるね」
「あぁ…元気でのぉ」
「うん」
次の日の朝。鶏が鳴いたと同時に家の前で見送られる。
「ふぁー。……なんでこんな朝早くから」
「早起きは三文の得って言うでしょ?だから」
「三文って…なんもん?」
「……えっと、それじゃあ」
「あー!わっかんないのに使ってるんだぁー」
プスプス頬を膨らませ足踏みしながら怒るランファの事はほうっておいて、次の町へと歩き出す。
「頑張るんじゃのぉー!」
「はーい」
「ジェームズお爺さんもお元気でー」
「長生きするんじゃぞークソジジィー」
「こらっ」
「言われんでもするわいのぉー」
お爺さんの最後の一言で皆。「あははっ」と笑いながら、笑顔で隣町を出て行った。
……から数刻後。行先を決めずに町を出てきてしまった事を思い出し、ランファが適当に歩いて行けばそのうち何処かに着くだろうという案に乗っかり色々な方角に歩いて歩いて……。
迷って迷って…絶対人が通る道じゃない獣道などを何本も通って通って、やっと人の見にたどり着き泥にはまって抜け出せなくなっている馬車を発見。
困っていたのでルシア一人で頑張り助けてあげた。馬車のおじさんは助けてくれた御礼に何処か行きたい所まで連れってあげるよと言ってくれたのだが、そもそも行きたい場所がまだ決まっていなかったため何度も断ったのだが以外におじさんもしつこく根負けし、今は馬車の中。
「ねぇーねぇーどこに行くのー?」
能天気でマイペースなランファは、目をキラキラ輝かせワクワク顔でルシアに聞いている。
「ここの近くに人が沢山いそうな所ってない?」
困ったな…と言う表情をした後シレーナに助けを求める。
「……馬の町?」
「「うまー!?」」
「…うん」
シレーナが言う馬の町とは主に牧場主たちが暮らす街で年に数回、草競馬大会が開かれて沢山の人たちが来ているらしい…。
「今年の大会はドルファが主催。だからいつも以上に盛大で、各国の有名人が来るらしい…」
「王様とか!?」
「…たぶん」
王様が来るかもと聞いて何故か握りこぶしを作ってくぅ〜と喜ぶランファの事はいつもの事だとしてほおって置いて
「ドルファ?」
「あれ…知らない?世界的権力を持った大企業」
「泣く子も黙るドルファフィーリング!」
「へぇ……知らなかった」
「ルシアも少しはニュースとか新聞とか見た方がいいよ」
「うっ」
ランファにだけは言われたくなかった思うルシアであった…。
「えっと…それだけ沢山の人が集まるって事はなにかヨナに関する情報が得られるかな?」
「……だといいね」
「いいねー」
「うん」
「坊ちゃん達ーそろそろ馬の町に着くよー」
「あっはーい」
「…どうも」
「うまうま〜馬〜」
内心少しドキドキしながらルシアは窓の外を見ていた…。
家と隣町と近くの森以外の遠くに行くのは今回が初めてだったからだ。だから正直言うと能天気なランファとしっかり者のシレーナがいてくれてほっこり安心なのだ。こっそり心の中で秘かに二人と一緒に旅ができて本当に良かったと思うルシアであった。
- Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜 ( No.44 )
- 日時: 2014/03/20 14:01
- 名前: 姫凛 (ID: WZc7rJV3)
馬の町。牧場主たちが主に集まって暮らし酪農や農業で生計を立てている町。
隣町とは友好関係でいつもこの町で取れた副産物や作物を隣町で他の国の商人に売って貰い隣町を通して色々な食料や物を仕入れている。
「ここが…馬の町。わぁ……」
「本当に馬ばっかりーだー!」
やはり馬の町というだけあって町中に馬の銅像や馬の鬣を使った製品を取り扱った店や移動手段は馬車だったりとどこもかしこも馬、馬、馬ばかり。
ルシアの村にも一応、馬は居たがこんなにも沢山の馬を見るのは初めてな為興奮の色を隠せない。
「……宿あっち」
冷静なシレーナの指示の元。とりあえずまずは宿を確保して荷物を置いて一休みしてから、ヨナをさらった犯人の情報を集めすることにした。
「シレーナは前にもこの町に来たことあるの?」
宿へ向かう道の途中、少し気になりシレーナに質問してみると
「……うん。昔、お父さんと」
「…そっか」
「うん…」
少し寂しそうに悲しそうにシレーナは言った。
来たのはシレーナの父親がシレーナをお爺さんの家へ捨てた時にだろう…それを察したルシアは静かにあいずちをうった。
宿は町の入口からほど近い場所にあり、オーナーのおばさんは気さくな人でシレーナの事を覚えており格安で眺めの良い部屋を貸してくれた。
みんな同じ部屋だったが少し広いためベットは二部屋にあり、別に困ることはなかった。今は荷物を置いて一休みしている。
「わ〜い、ベットふかふかだ〜」
ぴょんぴょんとベットの上で弾みながらはしゃぎ遊んでいるランファに、父親みたいに厳しく
「こらっランファ!ベットの上ではしゃいじゃ駄目だよ」
「えぇーーーブゥー」
頬をフグのように膨らませて不機嫌そうな顔で、言うと渋々ベットから降りて部屋の端っこで嫌みたらしく部屋の端っこでいじいじする。
「……チラシ貰った」
ガチャリと扉を開けシレーナが紙を持って入って来た。
紙には大きく「草競馬大会」と書かれていた。
「草競馬大会の?」
「うん」
「おーどれどれー!?」
先ほどまでいじいじしていたランファは急に元気になりシレーナが持っていたチラシを奪い取りじっくり眺め口に出して読んだ。
[第五十八回 チキチキ草競馬大会ー!!
優勝者には巨大農地と——牧草百年分プレゼントー!!
飛び入り参加OK−! 参加賞もあるよ! さぁ、みんなどんどん参加して競馬王になっちゃおう!
(もしかしたら……ドルファフィーリングのお偉いさんに気に入られちゃってスカウトされちゃうかも!)]
チラシにはと書かれていた。
「牧草百年分!?すげー!出よう!これは出るかねぇーよ!」
「牧草百年分なんていらない…」
「それに馬もいないし…ね」
「えぇーーーそんなぁー!?」
何故か牧草百年分に釣られたランファを何とか宥め止めていると部屋の外の廊下の方から
「はぁ〜……困ったねぇ〜」
「……?」
ため息まじりの声が聞こえてきた。どうしたのだろうと廊下に出てみると、頬に手を添え腕を組んではぁ…と大きなため息をついている宿のオーナーのおばさんが居た。
「どったのおばちゃん?」
「あっランファちゃん……」
おばさんに近づきランファは普通におばさんに尋ねる。いつの間に仲良くなったんだ…と思いながらもルシアも聞いてみる。
「なにかあったんですか?」
「いやね…実は…」
重たそうにおばさんは口を開いた。
「実はねぇ…実家の牧場が危ないらしいのよ」
「あぶない?」
「スパイかっ!」
「いや。そううゆ危ないじゃなくてね…」
またとんちんかんな事を言い出したランファに小声で話が進まないから黙っててと叱りつけおばさんの話の続きを聞く。
「…経営が危ないらしいのよ」
「赤字?」
「うーん…どうもそうみたいなのよねぇ。謝金取りに追い回されて挙句の果てには農地を全部没収されそうなんだよ」
「それは…大変ですね」
また重たいため息をついた後、おばさんは宿の壁に貼られている草競馬大会のビラを物欲しそうな顔で眺めながら
「はぁー今回の草競馬大会の優勝商品の農地があれば……なんとかなるんだけどね…」
「んー?なら出ればいいじゃんっ」
「そんな簡単な話じゃないんだよ…」
「えぇーーーなんでぇ」
「あたしはこんな歳だし…。親は去年の大会で無理して腰痛めてから馬に乗れなくなっちゃったし…」
「あれま」
「だからどうする事も出来ないのかねぇ…」
またはぁ……と重たいため息をつくおばさんが可哀そうに思えてきたルシアは意を決して
「……あの」
「ん…なんだい?」
「僕に馬を貸してくださいっ!」
「え…いいけど……いったい何に使うんだい?」
「…おばさんの代わりに僕が草競馬大会に出場します!」
「「えぇーーー!!?」」
衝撃的なルシアの一言に皆驚き、その声は宿の外にまで響いていたらしい。
- Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜 ( No.45 )
- 日時: 2014/03/21 12:52
- 名前: 姫凛 (ID: 8MLsWoCW)
「それっ本当かい!?」
「はい」
おばさんの問いにルシアはしっかりとした口調で答えた。
「馬…乗ったことある?」
「いや…ないけど……。やればきっと出来る!」
「なんじゃそりゃ」
確かに故郷の村には馬は居た。でも自分の家で馬を飼っていたというわけではなく、知り合いの人が飼っていたというだけなので、見たことはあっても触ったことやましてや乗ったことなんて一度もない。
…が、気合と根性さえあればなんとかなるとだろうと思うルシアであった。
「ありがとねぇ。ありがとねぇ」
「いえいえ」
ルシアの手を握りしめひたすら御礼を言い続けるおばさんに優しくいう。
その後。宿近くのおばさんの実家の牧場へ案内してもらい、貸してもらう馬を紹介してもらった。
「この子がフレアだよ。ルシアちゃんと同じ男の子だよ」
おばさんが連れてきた馬は、黒く筋肉質で立派な鬣が生えたカッコイイ感じの馬だった。
「よろしくね。フレア」
「フッ」
「……っ」
「わー。第一印象で嫌われたー」
優しく話しかけ顔の前に人間でいう握手感覚で手を出したところ、鼻で笑われた。
どうやら性格に問題あるらしい…。
おばさんによるとプライドが高く負けず嫌いで、自分より下だと判断した者の命令は絶対に聞かないらしい…。
こんな馬であと数時間後にせまる草競馬大会に間に合うのか、チェンジで!と頼んでみたものの、あいにくこの牧場には若くて元気で足が速い馬はフレアしかいないらしい…。
仕方ないのでフレアで我慢し練習をしようと準備をしていると
「こんにちは。おばちゃん。今日も練習場所借りていい?」
真っ白く美しい毛並みの白馬に跨った、濃紫の長い髪に灼眼が印象的な美少女がやって来た。
あまりにも彼女と白馬が絵になっていたため皆、言葉を失い呆然としていた。
「あっあぁ…。シルちゃん。こんにちは」
誰よりも先に我に返ったおばさんが、白馬の美少女に話しかけた。
どうやら白馬の美少女の名前は、シルと言うらしい。
「今日の練習は、ルシアちゃんと合同練習でいいかねぇ?」
「……ルシア…君?」
きょとんとした顔でルシア、ランファ、シレーナの顔をゆっくり眺める。今日初めて会ったばかりのシルには誰がルシアなのかわからないからだ。
「どっ、どうも…」
「あっ、どうも…」
目が合い、二人はぎこちない挨拶をかわす。
ういういしい二人のやり取りを見たおばさんはちゃかすように
「じゃあ…あとは若い二人に任せて…」
「あたし達はお暇しますか。ねっ、シレーナさん」
「………うん」
おばさんの言葉に乗っかりランファもちゃかすように言った。
シレーナはルシアとシルが知らない間に恋人関係になってなってしまうんじゃないかと、気が気ではなかったがランファが耳元で「ルシアは鈍感バカだから大丈夫だよっ」と言ったのでそれもそうかと安心しおばさんと一緒に宿へ帰った。
「えっ!?あっおばさんっ!二人ともっ!?」
「「…………」」
みんな帰ってしまい二人の間に気まずい空気が流れる。
しばしの沈黙の後、さすがに何か話さないといけないと思った二人はとりあえず
「えっと…シルです」
「ルシアです。よろしく…」
自己紹介をした。やはりなんかぎこちのないものになってしまったが…。
「君も大会に…?」
「…うん。おばさんの代わりにね」
「そうなんですか」
「君も出るの?」
「はい」
「そっか。じゃあライバルだね」
「そうですね」
「「……………」」
なんとか紬だした会話もすぐに終わってしまった。
とにかくこの場をなんとかしないと、会話を続けないと、の一心で頭をフル回転させて次の話題を考える。
「あの…君の馬かわいいね。なんて名前なの?」
「…シルビア」
「シルビアか。…良い名前だね」
「ありがとう」
「「……………」」
ここでまた会話が途切れる。
もう自爆ネタでもいいからとにかくシルさんと会話を続けよう!ということでルシアはあのネタを切り出した。
「実は僕……馬に乗るの今日が初めてで…。あの…良かったら教えてくれないかな?」
「え……?」
少し驚いた表情をしシルは考え込んでしまった。あっやっぱり引かせちゃったかなと後悔するルシアだったが
「…いいですよ」
「あ、ありがとう!」
「いえいえ…」
シルは初心者のルシアに解りやすく丁寧に馬の基礎から教えてくれた。
最初は鼻でルシアのことを笑っていたフレアも少しずつ、懸命に頑張るルシアの姿をみて見直し始め遂にはルシアを嫌がらずに背に乗せて相棒として認めてくれたのだった。
そんな光景を見て最初は気品高く高飛車だったシルビアも、ルシアとフレアのコンビを自分に相応しいライバルと認めたのであった。
ちなみに、ルシアとシルの二人はおばさんの策略どうりに一気に恋人に!……とまではさすがにいかなかったが、友達にまではなれた。
この知らせを聞いてランファもシレーナもほっと胸をなでおろすのだった。
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