複雑・ファジー小説

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シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜【氷国の民編】
日時: 2019/09/08 08:53
名前: 姫凛 (ID: 9nuUP99I)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=19467

これから綴る物語は忌まわし呪われた血によって翻弄され
哀しき封印から少女達を救い
少女達と共に謎の不治の病に侵された小さき妹を
助けるため小さな箱庭を行き来し愛と絆の力で闘い続けた
妹思いな少年と個性豊かな少女達の絆の物語である

-目次-[シークレットガーデン〜小さな箱庭〜]

登場人物紹介 >>166-168
-用語紹介- >>169
-魔物図鑑- >>23
-頂きもの-
高坂 桜様(元Orfevre様)より シル(オリキャラ)>>10
はる様より リア・バドソン(オリキャラ)>>11
ブルー 様より ヒスイ(オリキャラ)>>12 ヒスイ(キャラ絵)>>205
レム様より エリス(オリキャラ)>>66
華那月様より ヨナ(キャラ絵)>>08 ランファ(キャラ絵)>>09 シレーナ(キャラ絵)>>38
むらくも(キャラ絵)>>39
むお様より リオン(キャラ絵)>>37
自作:エフォール(キャラ絵) >>217

-あらすじ(第九章)

山の国の何処かにあると言い伝えられている女神が誕生した遺跡 アンコールワットで見事試練を乗り越え真実の歴史を知ったルシア達は遺跡を出てリオン、リティと別れ時渡の樹が生えた広場でヒスイと合流を果たした。

新たに出来た旅の目的。四つの国にある四つの遺跡を巡りかつて女神と共に邪神と戦った王達の力を受け継ぐ旅の始まり。

——さてどこの国の遺跡から行こうか?


-章の目次-
*1分〜10分(読むスピードで個人差があります)で物語の概要が分かるスキップ物語☆
*本編を読むだけでも物語を楽しめますが個別の短編も読むことでより深く楽しむことが出来る作りとなっています。

序章 出会いと別れ >>05-07 -スキップ物語- >>22

第一章 物静かな看護師の闇
荒くれ者 ザンク編 >>13-20 -スキップ物語- >>40
シレーナの封じた過去編 >>24 >>26-36 -スキップ物語- >>50-51
(より抜き「 魔女と呼ばれた少女の物語」完結済み)>>152

第二章 汚された草競馬大会 >>43-47 -スキップ物語- >>52

第三章 大都市で起きた不可解な事件
宿屋での選択肢 >>48-49 -スキップ物語- >>53
[ムラクモを探す- >>55] [後をついて行く- >>54 …正体END]
遺体のない葬儀編 >>56-61 -スキップ物語- >>68
立食パーティー編 >>62-63 >>67 -スキップ物語- >>79

第四章 監禁・脱走 >>69 >>73 >>76-78 -スキップ物語- >>124
(叢side「椿の牢獄」>>158完結済み)
(別side「菊の牢獄」>>)

第五章 美しき雌豚と呼ばれた少女
コロシアム編 >>82 >>85-90 >>93 >>97 >>100-101 >>104 >>107-108
-スキップ物語-上中下>>125-127
シルの封じた過去編 >>111-113 >>119-123 -スキップ物語- >>128
(続編「美しき雌豚と呼ばれた少女とおくびょう兎と呼ばれた少年」完結済み)>>153

第六章 闇と欲望の国
アルトの封じた過去編 >>129-133 >>136-138 >>143-145 -スキップ物語- >>146
裏カジノ編 >>147-150 -スキップ物語->>151
(幕間「感情のない少女の物語」>>224
敵の本拠地へ編 >>154-156 -スキップ物語->>157

第七章 賢者たちの隠れ里 >>159-163 -スキップ物語上下- >>164-165

第八章 からくり遺跡
女神の試練編 >>170
[勇気の試練>>183-186 ] [知恵の試練>>177-182] [力の試練>>171-176]スキップ物語->>187-189
[仲間->>185…生贄end] [友人->>186…見損ないend][本当->>181] [嘘->>180…神のお遊戯end]
[棺を開けない- >>173-176][棺を開ける- >>172…死神end]
隠された真実編 >>194-197 -スキップ物語->>193
      (修正前>>190-192
第九章 荒くれ者の最期 >>198-202 -スキップ物語->>207
(幕間「殺戮人形と呼ばれた少女の物語」>>224

第十章 殺戮人形ト色欲妖怪
王家の墓編 >>208-216 -スキップ物語->>
リアの封じた過去編 >>218-2231
[受け入れる>>220-221]…喪失END [受け入れない>>222-223]…永眠end
(→狐の銅像「親殺しの青年の物語」>>)

第十一章 嘘ツキな臆病者
氷国の民編>>225-229 …達筆中
ひと時の休息編

第十二章 賽は殺りと投げられて
偽りの仮面編>>
真実の泉編 >>
???の封じた過去編>>

最終章 最終決戦
Aルート >>
Bルート >>
cルート >>
Dルート >>


 
-掲示板-
達筆開始日 2014/3/4
2017/11/25:URL先を新しくしました。雑談板にあります、設定資料集スレにしました。
2019/9/8:URL先を新しく書き始めたリメイク版の方に変えました。

-おしらせ-
2017夏☆小説カキコ小説大会【複雑・ファジー小説部門】で【銅賞】を頂きました。
投票してくださった皆様、本当にありがとうございました<(_ _)>
完走(完結)目指して頑張りたいと思います!
20119/9/03→『氷国の民編』『新章』追加

参照100突破!3/6 200突破!3/11 300突破!3/15 400突破!3/21 500突破!3/28 600突破!4/4 700突破!4/9 800突破!4/15 900突破!4/22 1000突破!4/28 1100突破!6/2 感謝♪
2017年 2600突破!/1/30 2700突破!1/31 2800突破!2/7 3200突破!8/31 3300突破!9/1 3400突破!9/7
3500突破!9/12 3600突破!9/19 3700突破!9/26 3900突破!10/10 4000突破!10/17 4100突破!10/31
4200突破!11/6 4300突破!11/14 4400突破!11/23 4500突破!11/28 4600突破!11/3 感謝♪
2018年 5000突破!1/7
返信100突破!2014/4/28 200突破!2017/11/14 感激♪

-神様な読者の方々-
蒼欒様:初コメを下さいました!もう嬉しさMaxです♪
レム様:エリスちゃんの生みの親様です♪いつも温かい励ましコメありがとうござます!
ブルー様:オリキャラ ヒスイちゃんを投稿してくださいました!
出せるまでに一ヶ月以上もかかってしまったのに、見捨てずに見て下さっているお優しい方です(T_T)

Re: シークレットガーデン〜小さな箱庭〜 ( No.26 )
日時: 2014/03/12 13:38
名前: 姫凛 (ID: UMqw536o)







廊下を歩いていると
「ねぇーねぇーちょっとー」
「えっ?ランファ?」
今シレーナが寝ている彼女の部屋から顔を覗き出したランファが、こっちこっちと手招きしている。
よくわからないが呼ばれたので取り敢えず行く。ルシアが部屋に入るとランファは他に誰もいないかを確認した後、ゆっくりドアを閉めて鍵もかけた。
ベットに静かに眠るシレーナに視線がいく。元々色白で美しい肌だったが今は少し青白く死んでいるのではないかと呼吸を確かめたくなるほどだ。
「ん〜、これは相当ヤバイですなぁ………」
「……そうだね」
顎に手を添えて腕を組み難しそうな顔で言うランファに寂しそうな声であいずちする。
「このままだと、穢れになっちゃいますなぁ……」
「そうだね………ってえ?……けがれ??」
そうだねと受け流そうとしたが、聞きなれない単語に躓く。慌てて聞き返したが
「うん。穢れ。これは…デスピル病の第一段階ってヤツですなぁ……」
「…ですぴる病?……闇病じゃなくて…?」
「……闇病?なにそれ?」
質問に質問で答えないでほしいと思う。ランファは質問した後「ああっ!」と思い出したかのように声をあげた。


「そうかっ!まだこの時代は、ハッキリとした病状とかわかってなかったから、闇が突然すべてを奪い去る病。闇病って呼んでたんだっけ」
「………??」
ポカーンとクエスチョンを頭に浮かべたような顔をしているルシアを放置し一人でそうかそうかと納得したランファは何を思ったか突然怒りだした。
「でもっあたしはデスピル病の方が言い慣れてるから、今日からはデスピル病って呼ぶことっ!いいねっ!!」
「あっ…うん」
迫力の押しに負けうなずく。
「それで…あのさっき言ってた、けがれって?」
「あぁっそうだった!こんなとこでのんきにおしゃべりしてる場合じゃないんだった!!」
また一人でパニックになり頭を抱えてどうしようどうしようと考えはじめ…
「あれだよっ!あたしと貴方が初めて会った時にヨナちゃんを襲っていたあいつっ!」
「あいつ…?」
ランファと初めて会った時のことを思い出す。
あの時はたしかいつものように隣町で仕事を分けて貰い、近くの森でイノシシ狩りをして帰り道、パジャマ姿でふらふらと歩いてるヨナを見つけて……声をかけて気が付かなかったから駆け寄ろうとしたら……そう、空から突然降ってきた化け物だっ!
「あの化け物がどうかしたの?」
「どうもなにもっ!このままほっといたら、シレーナさんはあんなバケモノになっちゃうのーー!?」
「えーーーー!?じゃぁ……ヨナもいずれ…。どうすればいいの、ランファ!?」
どうにか治す方法はないのかとランファに問うが、なにやらポンチョの下から肩にかけて下げていたショルダーバッグをガサゴソとあさりだしはじめ


「あれ〜〜?どこにしまったっけな〜?あれ〜?」
「ねぇ…ランファ…」
「ちょっと待って…あっ!あったー」
「それは…?」
ご機嫌に取り出したのは綺麗な薄水色のただの石ころだった。大丈夫かなこの子と思いながらルシアはランファを見つめる。
「パラパラッパラ〜〜〜精霊石〜〜〜」
「……せいれいせき?」
何故か何処かの猫型ロボットのような声で精霊石を取り出した。
心配そうな顔で自分を見るルシアにランファは、偉そうな態度で
「まぁあれだ。習うより慣れろって奴だっ。行ってらぁ〜〜」
「へっ?わっわわわぁ〜〜〜」
急に石をルシアの方へ向けたかと思うと、突如石が光だして石の中に体が吸い込まれて行ったのだ。
精霊石に吸い込まれていったルシアを見送った後、ランファは精霊石をシレーナの胸元へ持っていき
「まぁ、後はパピコが上手いぐわいにやってくれるよね?シレーナさん、後もう少しだけの我慢ですよ」
と言うと精霊石をシレーナの心臓めがけて差し込んだ。精霊石は溶けるようにシレーナの中へと入っていった…。


Re: シークレットガーデン〜小さな箱庭〜 ( No.27 )
日時: 2014/03/13 14:15
名前: 姫凛 (ID: eK41k92p)

(-ルシアside-)











暗い-







暗い-







真っ暗で何も見えない-







何もない-







音も人もいない-







ここはどこ-









僕はだれだ-








自分の呼吸音も-









心臓の音も-







聞こえない-







体を動かそうとしても-








激痛が走りまったく動かない-








僕は死んだのか-








だからここにいるのか-









ならもうすべてを諦めてここで永遠の眠りについていいのかな-






-もう終わりにする







-まだ、諦めない















--いやっ諦めてたまるかっ!まだ終わるのは、許されないっ。
僕には……僕には……ヨナを……ヨナを……助けに行かないといけないんだっ!
こんな訳のわからない場所で意味もなく消えるのはおかしい。
行かないと…。痛くても恐くても、行かないと。前へ進まないと…。
だって…だって……ヨナが助けを求めているんだからっ!!


「その魂ちょ〜〜〜っと、待った!暫く、暫くぅ!何処の誰とかぜーんぜん存じませんが、その慟哭、その頑張り。他の神様が聞き逃しても、私の耳にピンときました!宇迦之御魂神もご照覧あれ!この人を冥府に落とすのはまだ早すぎ。だってこのイケメン魂、きっと素敵な人ですから!ちょっと私に下さいな♪」

ガラスが砕ける音がして、共にこの空間に光がともった。僕はどうやらうつ伏せの状態ではっていたみたいだ。
軋む体をどうにか起こして、頭痛に耐えながら辺りを眺める。
空間の中央にはいつの間にか、ぼうっと何かが浮かび上がりつつあった。
その姿は——


外見はほとんど普通の人と変わらない。だけど違う。明らかに。
ここへ来るまでに出会った敵などとは比べ物にならないほどの、人を超越した力。
触れただけで蒸発してしまいそうな、圧倒的なまでの力の滾り。
それが彼女の体の内に渦巻いているのが、嫌でも感じ取れる。

「謂われはなくとも即参上、軒轅陵墓から、良妻妖精のデリバリーにやってきました!」

青紫色髪のツインテールで妖精みたいなキラキラした羽を生やした女の子がビシッと決めポーズを決めて何か言っているみたいだけど…正直、何言ってるのかわからない……。

「あ、なんかドン引きしてません?えーと、貴方が私のご主人様……でいいんですよね?」

「えぇ!?ちっ、違います!」

心配そうな顔で言っている彼女には悪いけど、僕にはご主人様なんて呼ばれたい趣味はない。

「……あの〜もしかしてマスターから何も聞いていらしゃらないのですか?」

「ま、ますたー……?」

「はい。ランファ様です。あのデスピル病の根源を倒しにいらっしゃったんですよね?」

「……………」

何も聞いてない…。そうだった…だんだん頭がハッキリしてきたぞ。
そう急にランファが綺麗な薄水色の石……精霊石だったかな?それを僕に近づけて…それから精霊石に体が吸い込まれて……そうだ!こんな訳の分からない所へ来てしまったんだった!

「(あのマセガキ〜〜〜面倒な事は全部、私に押しつけやがって〜〜〜!!絶対、今回の仕事を最後に契約解除してやるぅ〜〜〜!!)」

僕の今置かれている状況を察してくれたのか、彼女は地面を蹴ってジタバタした後クルリと回って自己紹介をして笑顔でここの説明をしてくれた。
彼女の名前はパピコさんと言うらしい…。こういっちゃなんだけど、ランファとは別の意味でめんどくさそうな人だ…。

「ここはプリンセシナの…ロビー的な場所でございます」

「……ぷりんせしな?」

「はい。人の記憶や心が形になった世界。人の心が創りだした迷宮とでもいいましょうか」

「人の心が創りだした迷宮……プリンセシナ」

「プリンセシナは最大十階まである巨大迷宮。デスピル病は、このプリンセシナに魔物を拡散させて最下層にあるといわれる、本能とすべて感情が眠る場所と呼ばれるシークレットガーデンを目指し徘徊し、人の記憶を栄養分として成長しそして!最終的には人を穢れに変えるのです」

「穢れ…」

説明を聞いているとヨナの事を思い出す。あれからもう数週間…ヨナも遅かれ早かれあの穢れと呼ばれる化け物に……残された時間はあまりないはずだ。

「ですが焦ってもいけません」

「え?どうして?」

「デスピル病は心の病。治す事は患者の心、誰にも見せたくない封じた過去を闇をさらけ出さないといけないんです」

「そうか……」

「下の階へ行けばいくほど闇は濃くなりなります。患者との絆の深さで行ける階層も違います」

「じゃあ、最下層のシークレットガーデンで行くには僕とシレーナが深い絆で結ばれていないといけないんだ」

シレーナとの絆の深さか……。

「はい♪ですからまずは気長に私との絆を深めて愛の巣を作ってから、また来ましょう?」

「……シレーナとの絆か」

「あの〜ご主人様?」

「ねぇ、今僕とシレーナの絆度だったらどこまで行けるか調べられない?」

「えぇ〜出来るは出来ますけど、まずは私との絆を〜」

「お願いします!」

「ぅ〜む、仕方ないですね」

パピコさんはめんどくさそうだったけど渋々、空気上に画面のようなものをだしてそれをタッチしながら操作している。
すごい…こんなのみたことない…他国ではこんなすごい技術があるんだ…。
(今現在の技術力ではタッチパネルのモニターなど到底不可能)

「え…嘘!?なんなんですかー!これー!?」

「ど、どうしたの…?」

「どうしたもこうしたもないです!ヒドイです、ご主人様!このパピコちゃんを差し置いて、他の女性と絆度Maxなんてっ!!」

「絆度Maxってことは……シークレットガーデンに行けるんだねっ!?」

「え…?ま、まぁそうですけど…それよりも!」

「ありがとう!パピコさんっ。僕行ってくるよ」

「えっ?行くってどこに?ってえぇぇぇ、待ってくださいー置いてかないでーーご主人様〜〜」


プリンセシナ第一階層と書かれた扉の前に立つ。慌てて追いかけて来てくれたパピコさんも僕の横にぜーぜー言いながら立つ。…すみません。
ここをくぐった先はシレーナの心の世界。…誰にも知られたくない事が封じられた場所。
ごめんね、シレーナ。あとでどんなに怒られても殴られても構わないから、君の封じた誰にも見られたくなかったであろう闇の過去を盗み見るね。
扉に手をかざすと音もなく小さな光を発して僕たちを包み込む。
この先にはいったいどんな世界が広がっているんだろう…。



Re: シークレットガーデン〜小さな箱庭〜 ( No.28 )
日時: 2014/03/13 14:04
名前: 姫凛 (ID: 344/XKJR)

第一階層








「ここは……」

「森のようですね」

……森。第一階層と書かれた扉をくぐった先にあったのは南の森みたいに木々が青々していて春の陽気で小鳥たちが楽しそうにさえずる森。
…でも違う。明らかに。この森からは生命力を感じられない。
鳴き声は聞こえるのに…姿は見えない。……不思議な森だ。

「人の心が創りだした迷宮って言っていたから、すごい迷路みたいな物だと思ってたよ」

「迷宮と一括りに申しましても、プリンセシナは人の記憶を元に創りだした物。十人十色。人それぞれで皆違うのですよ」

「へぇ……」

と言った後にパピコさんは追加で、特に大切な思い出や濃く覚えている場所とかが迷宮の舞台として現れやすいと教えてくれた。
じゃあこの南の森に似て似つかないこの不思議な森もシレーナにとってはなにか意味深い場所だったのかな?

『お父さん。お母さん。見てみてっ!粘土でパンダの置物を作ってみたの』

「あれは……」

しばらく歩いていると一軒の家を発見した。
家の前ではヨナくらいの女の子と仲好さそうなご夫婦がみんな仲良く日光浴をしていた。
女の子は可愛らしいパンダの子供かな?の小さな置物を持って嬉しそうにお父さんに駆け寄っていってる。

『おお、シレーナ!すごいじゃないか!』

「えっ!?シレーナ!」

「しっ!お静かに。気づかれてしまいます」

思わず声にだしてしまってパピコさんに注意されてしまった。
シレーナ。たしかにあの女の子のお父さんはそう呼んだ。
ここはシレーナの心の中だから……これはシレーナの記憶の一部?

『本当にすごいわ、シレーナ。今日は特別にあなたの好きなものを作ってあげましょう♪』

『本当!?やった!』

『『ふふふふ』』

『わーい!わーい!ワタシもっともっと勉強して、いろんな事出来るようになってお父さんとお母さんを、もっとも〜と喜ばせてあげるんだからっ!』

『まぁ!』

『ほぉそれはそれは楽しみだな』

『ふふんだっ!』


楽しそうに話しているシレーナたち親子を見て僕は小声で

「昔のシレーナってちょっとお転婆だったんだ」

「おや?今は違うんですか?」

「うん。今はどちらかと言うと物静かであまり感情を表に出さないな…」

「へー。少女も一皮むけて大人になったと言うことでしょうか」

「うーん…そうゆう事はよくわからないな」

「ま、ご主人様可愛い♪」

「………」

でも本当に大人になったから、性格が真逆に変わったのかな…。
他にもなにか重大な事があって、変わらず得ざる負えないかったとか……。いや、さすがに考えすぎかな。


『お父さん。ワタシちょっと近くの川に行ってくるね』

『はい。ここには魔物がいないからって、安心し過ぎずに気を付けて行ってくるんだよ。いいね?』

『はーい』

「おや?移動するみたいですね。ついていきますか?」

「うん。魔物はいないって言ってたけど、あのくらいの女の子にとっては魔物以外も十分に危険だしね」

「ご主人様ったらお優しい。ますます好きになっちゃいますぅ」

「あはは……どうも…」

やっぱりご主人様って呼ばれるの慣れないな…。

『うわーきれー』

川につくと大きな滝があって沢山の魚が元気に泳いでいた。そういえば、僕の家の近くにある小さな川もここくらいに透き通るように綺麗な水だったな。

「ここでピクニックをしたら気持ちよさそうですね」

「そうだね。魚釣りもいいかもね」

「おぉ、ご主人様。魚釣りおやりに?」

「いやっ僕はしたことないんだけど、死んだ父さんがやってたんだ」

「ほう。なるほど」

『キャーーー!!』

「「えっ!?」」

パピコさんと何気ないしゃべりをしていると、川の上流の方からシレーナの悲鳴が聞こえてきた。

「行ってみよう!」

「あっはい!」

慌てて悲鳴がした方へ行ってみると…見たこともないようなバケモノがシレーナを襲おうとしていた。

『いっいや……』

「あれは、魔がい物!」

「まがいもの?」

「はい。前にも説明しました、デスピル病のウイルスみたいな魔物です。あいつが私達よりも先にシークレットガーデンへ到達されると、シレーナさんの心は壊れ荒れも無残な穢れになってしまいます!」

「どのみちここで倒さないといけないんだねっ!」

「お待ちくださいご主人様!」

「なにっ!?」

「魔がい物は絶対にご主人様が今腰に下げているその剣で、彼らのコアがある胸元へ一突きで倒してください」

「父さんの形見のこの剣で一突き…わかった」

「……私には案内と応援しか出来ませんが…頑張ってください」

「うんっありがとう!」

パピコさんにお礼を言うと一目散にシレーナの元へ駆け寄り、

「はぁぁぁ!!」

[ぎぎゃぁぁぁぁ!]

魔がい物のコアを一突きに突き刺した。魔がい物はこの世のものとは思えないほどの恐ろしい悲鳴を上げた後、黒い煙のようになって消え去った。

「君っ大丈夫!?」

『…ぁ。……ぁ』

シレーナは放心状態で何かを言おうとしてたみたいだけど、家の方角へ走り去って行った。

「まぁなんですかあの子は!?助けてもらったお礼も言えないなんて、礼儀知らずにも程があります!」

「ま、まぁまぁ…」

プンプン怒るパピコさんをなだめながら、あんな怖い思いをしたんだから言えなくてもしかたないよね。
それに僕はシレーナがケガをしていないんだったならそれでいいんだし。

[ギギギギィ]

「あっ扉が!」

「ここでのイベントをクリアしたので次の階層への扉が開いたみたいですね」

「次の階層か…」

第一階層でシレーナが昔はお転婆だったって事がわかったけど、次はなにがわかるんだろう…?
いや人の過去を盗み見てて楽しみにしちゃ駄目なんだけど。……気になるな。
不謹慎にも少しワクワクしながら僕たちは第二階層と書かれた扉をくぐった。





Re: シークレットガーデン〜小さな箱庭〜 ( No.29 )
日時: 2014/03/13 15:41
名前: 姫凛 (ID: jk2b1pV2)

第ニ階層




「ん……ここは村?」

「みたいですね。のどかでいいですね」

「そうだね」

「私とご主人様の愛の巣もこんなのどかな場所に建てたいですね♪」

「………」

パピコさんの最後の言葉は置いて。村を探索する。

『そうね〜』

『それでね〜』

『きゃはははっ』

『待て待てー』

おばさん達が井戸端会議をしていたりちょっとやんちゃすぎる感じの子供達が、駆けまわっている。

「もうっ!元気よすぎますよねっ。ぶつかったらどうするんでしょう」

「まぁまぁ。子供は元気が取り柄なんだからさ」

「も〜〜ご主人様は優しすぎです!」

まぁまぁとパピコさんをなだめているとさっきまでにぎやかだった村が一気に静かになってみんなある一定の方向を見てる。…僕も見てみるとそこには

「あ……シレーナ」

紙袋を抱えて俯いて歩いているシレーナだった。
第一階層でみた元気な覇気がなく今のシレーナに少し近いような暗く元気のない表情。

『えいっ!』

『キャッ!』

「えっ!?」

ある一人の男の子がシレーナに向かって石を投げつけた。
石はシレーナの目の近くに当たって頭から血が流れ出す。それを見た子供たちは次々に石をシレーナに投げ始めた。

『出て行けーーー!!』

『出てけー!』

『魔女ー!』

『………』

「まじょ?」

『まぁ汚らわしい!もうこの村には寄り付かないでと言ったはずでしょ!』

『いやぁ〜ね。見てくださいよ、リブスさん家のお子さんがまた外に出てますよ』

『そうですね。まったく、汚い菌をこっちに移さないで欲しいわね。魔女の子が!』

『そうですよねぇ〜』

子供だけでなく大人たちまでシレーナを汚いもののように見て陰口をたたいている。

『うぅ………』

『あっ!魔女が逃げたぞっ。ははっ、そのまま森の化け物に食われちまえっ!』

何ながら立ち去っていくシレーナに向かってヒドイ言葉を吐く子供達。

「あの!」

『なっ、なんだいあんたは』

「ちょっ!?ご主人様」

居ても立っても居られれず、大人たちを問い詰めた。

「どうして彼女が魔女なんですか!?」

『な、なんでってねぇ〜』

『そりゃあねー』

『あんな両目の色が違う子なんて魔女以外の何者でもないわよね〜』

「そんな…そんな理由で……」

『なんだいあんた!あの子の肩もとうってのかい?』

『こいつらも魔女の仲間だーー!』

『きっとそうだわ!キャー』

「……僕はっ!」

「ご主人様。お気持ちはわかりますが、ここは引きましょう。次の階層への扉も開きましたから」

無理やり引っ張るパピコさんに負けて僕は石やナイフを投げてくる村人たちから逃げ村を後にした。

「……知らなかった。こんなイジメにあっていたなんて…」

次の階層への扉へ向かっている途中僕は自分が情けなくて……言葉が出た。

「プリンセシナは、誰にも知られたくない封印した記憶が創りだした世界、なんです」

「………」

分かってはいた。理解してたつもりだったけど……ここまで辛いものだったとは…。僕の覚悟は半端なものだった。

「……帰りますか?」

僕の事を心配してパピコさんは言っいる

「このまま下へ下へと進んで行くと今のよりもっと重く苦しい記憶の一部を見ることになりますよ。それでも進みますか?」

もしここで僕が引き返せばシレーナは確実に穢れになってしまう。
僕が…僕が頑張らないと!

「いやっ行くよ。こんな所で諦めたら駄目なんだ!」

「キャンッ♪それでこそ私の惚れたご主人様でございます」

「行こう、パピコさん!」

「はい♪」

止まっちゃ駄目だっ!辛くても押しつぶされそうでも止まったらそこで終わりなんだ。
僕には助けを待ってる人がいるんだ!だから前へ前へ進まないといけないんだっ!!
新たに覚悟を決め直し第三階層と書かれた扉をくぐった。
たぶん。シレーナは僕が想像してたよりも重たく辛く壮大な人生を歩んで来たんだと思う…。だからこそ僕がしっかりしないとっ!



Re: シークレットガーデン〜小さな箱庭〜 ( No.30 )
日時: 2014/03/14 17:22
名前: 姫凛 (ID: I3friE4Z)

第三階層






「ここは……誰かの部屋?」

「まぁ見てください、ご主人様。このタンスほこりだらけですよっ」

パピコさんは、タンスの上をスーと指で擦ってほこりまみれの指を僕に向けてまたプンスカ怒っている。
勝手に人のタンスの上なんて調べていいのかな…。

「もしかして…パピコさんって潔癖?」

「いっいえ……べつにそこまでではありませんけど…。汚いのよりは綺麗なのがいいです」

「確かに…」

僕も昔はよくヨナに掃除の心得的なことをたたきこまれてたなぁ…。ヨナも綺麗なの好きだったし…それに掃除すること自体が好きだったからな…。

『もうっいい加減にしてよっ!!』

「!?」

急に女の人の怒鳴り声が聞こえた。

『そんなに怒鳴ることないだろう!』

次に男の人の怒鳴り声が聞こえた。あれ確かこの声は……。

「はっは〜ん……これは夫婦喧嘩ですね」

パピコさんは何か閃いた的ななんか意地悪そうな顔で言っている。夫婦喧嘩でなんであんなにも楽しそうなんだろう…。

「覗き見行ってみましょう♪」

「えぇ……」

強引にパピコさんに連れられて、ある部屋の前に立ち聞き耳をたてる。

『なぁシレーナにはやっぱり友達を作らせてあげたほうがいい。でもきっと、この村じゃ友達は作れないだろう……。だから村を出て新しい場所へ引っ越さないか?』

『何言ってるのっ!?友達なんて人必要無いわ。人なんて、いつかは裏切るんだら、友達なんていらないわよ!あの子は、勉強だけしてればいいのっ!』

『どうしたんだ、最近のお前はなんか変だそ?家事もまともにしないし、シレーナには勉強、勉強って……。昔は村のみんなと、少しでもいいから仲良くなりたいって言ってたじゃないか』

『そんなの昔の話よ。人は絶対裏切る……。貴方だって本当は、もう私を裏切って他の女の人と浮気してるんでしょ!』

『何を言ってるんだ。そんなわけないだろう?』

『ウソよっ!嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘……!!』

『おい、落ち着けって!』


「………」

あれはシレーナのお父さんとお母さんだ…。
…でもどうしてなんだろう?あの二人はあんなにも仲良さそうでラブラブだったのに……。

「………あの人。少々様子がおかしいですね」

「え?」

夫婦喧嘩を覗き見しだしてからずっと黙っていたパピコさんが不意に真剣な顔つきで言った。
おかしいと言えば確かにいろいろおかしいけど……一体何が?

「あの、シレーナさんのお母様でしたっけ?あの人…極度に人間不信になってます」

「あっ確かに…」

前見たときはもっと明るくて積極的で気さくそうな感じったけど、今は誰にでも牙を向ける猛獣みたいな感じだ……。なにかあったのかな?

「シレーナのお母さんがどうかしたの?」

「これはおそらく……いえでもまさか…」

「……?」

「すみません、ご主人様。まだ私の中で推測のいきを出ないのです。ですから、確信が持てるまで待っていただけません?」

「え……あっうん。わかったよ」

「ありがとうございまーす!」

何故だかすっごく嬉しそうに言ってる……。僕にはパピコさんの考えてることが読めないな…。パピコさん。難しい人。


次の階層への扉が開いたから僕たちは次へと進むことにした。…シレーナのお母さんこの先どうなっちゃうんだろう。大丈夫かな?



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