複雑・ファジー小説
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- シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜【氷国の民編】
- 日時: 2019/09/08 08:53
- 名前: 姫凛 (ID: 9nuUP99I)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=19467
これから綴る物語は忌まわし呪われた血によって翻弄され
哀しき封印から少女達を救い
少女達と共に謎の不治の病に侵された小さき妹を
助けるため小さな箱庭を行き来し愛と絆の力で闘い続けた
妹思いな少年と個性豊かな少女達の絆の物語である
-目次-[シークレットガーデン〜小さな箱庭〜]
登場人物紹介 >>166-168
-用語紹介- >>169
-魔物図鑑- >>23
-頂きもの-
高坂 桜様(元Orfevre様)より シル(オリキャラ)>>10
はる様より リア・バドソン(オリキャラ)>>11
ブルー 様より ヒスイ(オリキャラ)>>12 ヒスイ(キャラ絵)>>205
レム様より エリス(オリキャラ)>>66
華那月様より ヨナ(キャラ絵)>>08 ランファ(キャラ絵)>>09 シレーナ(キャラ絵)>>38
むらくも(キャラ絵)>>39
むお様より リオン(キャラ絵)>>37
自作:エフォール(キャラ絵) >>217
-あらすじ(第九章)
山の国の何処かにあると言い伝えられている女神が誕生した遺跡 アンコールワットで見事試練を乗り越え真実の歴史を知ったルシア達は遺跡を出てリオン、リティと別れ時渡の樹が生えた広場でヒスイと合流を果たした。
新たに出来た旅の目的。四つの国にある四つの遺跡を巡りかつて女神と共に邪神と戦った王達の力を受け継ぐ旅の始まり。
——さてどこの国の遺跡から行こうか?
-章の目次-
*1分〜10分(読むスピードで個人差があります)で物語の概要が分かるスキップ物語☆
*本編を読むだけでも物語を楽しめますが個別の短編も読むことでより深く楽しむことが出来る作りとなっています。
序章 出会いと別れ >>05-07 -スキップ物語- >>22
第一章 物静かな看護師の闇
荒くれ者 ザンク編 >>13-20 -スキップ物語- >>40
シレーナの封じた過去編 >>24 >>26-36 -スキップ物語- >>50-51
(より抜き「 魔女と呼ばれた少女の物語」完結済み)>>152)
第二章 汚された草競馬大会 >>43-47 -スキップ物語- >>52
第三章 大都市で起きた不可解な事件
宿屋での選択肢 >>48-49 -スキップ物語- >>53
[ムラクモを探す- >>55] [後をついて行く- >>54 …正体END]
遺体のない葬儀編 >>56-61 -スキップ物語- >>68
立食パーティー編 >>62-63 >>67 -スキップ物語- >>79
第四章 監禁・脱走 >>69 >>73 >>76-78 -スキップ物語- >>124
(叢side「椿の牢獄」>>158完結済み)
(別side「菊の牢獄」>>)
第五章 美しき雌豚と呼ばれた少女
コロシアム編 >>82 >>85-90 >>93 >>97 >>100-101 >>104 >>107-108
-スキップ物語-上中下>>125-127
シルの封じた過去編 >>111-113 >>119-123 -スキップ物語- >>128
(続編「美しき雌豚と呼ばれた少女とおくびょう兎と呼ばれた少年」完結済み)>>153)
第六章 闇と欲望の国
アルトの封じた過去編 >>129-133 >>136-138 >>143-145 -スキップ物語- >>146
裏カジノ編 >>147-150 -スキップ物語->>151
(幕間「感情のない少女の物語」>>224)
敵の本拠地へ編 >>154-156 -スキップ物語->>157
第七章 賢者たちの隠れ里 >>159-163 -スキップ物語上下- >>164-165
第八章 からくり遺跡
女神の試練編 >>170
[勇気の試練>>183-186 ] [知恵の試練>>177-182] [力の試練>>171-176]スキップ物語->>187-189
[仲間->>185…生贄end] [友人->>186…見損ないend][本当->>181] [嘘->>180…神のお遊戯end]
[棺を開けない- >>173-176][棺を開ける- >>172…死神end]
隠された真実編 >>194-197 -スキップ物語->>193
(修正前>>190-192)
第九章 荒くれ者の最期 >>198-202 -スキップ物語->>207
(幕間「殺戮人形と呼ばれた少女の物語」>>224)
第十章 殺戮人形ト色欲妖怪
王家の墓編 >>208-216 -スキップ物語->>
リアの封じた過去編 >>218-2231
[受け入れる>>220-221]…喪失END [受け入れない>>222-223]…永眠end
(→狐の銅像「親殺しの青年の物語」>>)
第十一章 嘘ツキな臆病者
氷国の民編>>225-229 …達筆中
ひと時の休息編
第十二章 賽は殺りと投げられて
偽りの仮面編>>
真実の泉編 >>
???の封じた過去編>>
最終章 最終決戦
Aルート >>
Bルート >>
cルート >>
Dルート >>
-掲示板-
達筆開始日 2014/3/4
2017/11/25:URL先を新しくしました。雑談板にあります、設定資料集スレにしました。
2019/9/8:URL先を新しく書き始めたリメイク版の方に変えました。
-おしらせ-
2017夏☆小説カキコ小説大会【複雑・ファジー小説部門】で【銅賞】を頂きました。
投票してくださった皆様、本当にありがとうございました<(_ _)>
完走(完結)目指して頑張りたいと思います!
20119/9/03→『氷国の民編』『新章』追加
参照100突破!3/6 200突破!3/11 300突破!3/15 400突破!3/21 500突破!3/28 600突破!4/4 700突破!4/9 800突破!4/15 900突破!4/22 1000突破!4/28 1100突破!6/2 感謝♪
2017年 2600突破!/1/30 2700突破!1/31 2800突破!2/7 3200突破!8/31 3300突破!9/1 3400突破!9/7
3500突破!9/12 3600突破!9/19 3700突破!9/26 3900突破!10/10 4000突破!10/17 4100突破!10/31
4200突破!11/6 4300突破!11/14 4400突破!11/23 4500突破!11/28 4600突破!11/3 感謝♪
2018年 5000突破!1/7
返信100突破!2014/4/28 200突破!2017/11/14 感激♪
-神様な読者の方々-
蒼欒様:初コメを下さいました!もう嬉しさMaxです♪
レム様:エリスちゃんの生みの親様です♪いつも温かい励ましコメありがとうござます!
ブルー様:オリキャラ ヒスイちゃんを投稿してくださいました!
出せるまでに一ヶ月以上もかかってしまったのに、見捨てずに見て下さっているお優しい方です(T_T)
- Re: シークレットガーデン〜小さな箱庭〜 ( No.11 )
- 日時: 2014/03/07 13:31
- 名前: 姫凛 (ID: 0sokIT7I)
リク板の方ではる様から頂きました 加隣なる断罪者 リアさんです!
【可憐なる断罪者】
名前:リア・ハドソン
年齢:25
性別:男(ただし女装)
種族:壊楽族
職業:断罪者(罪を犯したものを、デスピル病になる前に殺す仕事)
性格:サバサバとしていて細かいことは気にしない、正義感の強い性格。子供好きでなんだかんだいっても人が良く、人助けをモットーにしている。ミーハーなところがあり、恋愛沙汰には首を突っ込みたいタイプ。
容姿:
女装をしていない時…色白で小柄な男性。身長165㎝。脚が長く、整った顔立ちをしている。目の色は赤色、髪の色は黒色。短髪で、キリッとした爽やかな雰囲気のイケメン好青年である。
女装時…腰まである長い銀髪のウィッグを着用。サラサラヘアーに大きな赤い瞳、華奢な体のどこからどうみても10代美少女である。この時、普段の面影はどこにもない。服装は黒色のコートに赤色のリボンがついた白いブラウス、赤色のフレアミニスカートと黒色のロングブーツ。この状態の彼を男だと見破れるのは、彼の知り合い以外に居ない。
武器:剣
出身国:海の国
一人称/二人称/三人称:俺/キミ(相手が年下、尚且つ親しくない時)
お前、お前ら(相手が親しい人の時)
あなた(相手が年上、尚且つ親しくない時)
貴殿(相手が目上だった場合)/彼、彼女、アイツ
交友関係:リオンの同郷であり、種族も同じなためそれなりに仲が良く、彼の書店に入り浸っているところを主人公と出会う。主人公の妹が病に冒されていると知って興味を持ち、自分の正体を明かして旅に同行する。
味方or敵?:味方
死んでもOK?:だいじょぶです
詳細:女装時だろうがそうでなかろうが一人称は『俺』。男声だが、女声も出せるため女装時はそうしている。そのため俺ッ娘と思われることなど日常茶飯事。
ちなみに、彼が女装するのはただ単に趣味の問題であり、女になりたいとか男が好きとかそういうわけじゃない。可愛く着飾るのが好きなだけ。
そのためか、女装を解くのは家、もしくは普通の恰好で来いと呼び出されたときのみである。(フォーマルな場にも、ドレスを着ていく)
断罪した人の首は必ず斬らねばならないと言うポリシーがあり、後ろから突然剣で首を斬ると言う戦闘方を取っている。ただし、普通の戦闘時は普通に戦っている。
状況によっては、女のふりをする。
サンボイ:5つ以上
「やあ、初めまして。俺の名前はリア・ハドソンだ。ん?違う違う俺ッ娘じゃなくてれっきとした男」
「そうか、妹さんが御病気…良ければ、詳しい話を聞かせてもらえるだろうか」
「えー、女装駄目なの?可愛いのに?マジで—?」
「おいおい、どうしたんだよこの色男〜!さあ、全部おにーさんに吐いちゃえよ!」
「……断罪者、リア・ハドソン。デスピル病予備軍の犯罪者共、覚悟を決めろッ!」
- Re: シークレットガーデン〜小さな箱庭〜 ( No.12 )
- 日時: 2014/03/08 11:57
- 名前: 姫凛 (ID: 1Lh17cxz)
リク板の方でブルー様から頂きました 盲目の剣士 ヒスイちゃんです!
【盲目の剣士】
名前:ヒスイ
年齢:17
性別:女
種族:ドラゴンネレイド
職業:剣士
性格:常にニコニコしてて無邪気であまり争いを好まない、人が見れるものが自分が見えないことから寂しさを感じている
容姿:翡翠色の長髪で白に若草色の蝶の模様が入った和服を着ている、開くことは出来ない為常に閉じている
武器:日本刀
出身国:和の国
一人称/二人称/三人称:私/貴方/貴方達
交友関係:道が分からなくてさ迷ってるところを主人公と出会う
味方or敵?:味方
死んでもOK?:OKデス^^
詳細:幼い頃、とある貴族に買われていた奴隷で何人もの人間をその主人の命令で殺めていった失敗すれば暴力を振るわれる日々でその暴力のせいで両目が失明した過去を持つ、盲目だが視覚以外が普通の人間より発達している為、敵の存在など認識ができ感覚を頼りに盲目と思わせないような剣術の腕を持っている
サンボイ:5つ以上
「私はヒスイ、よろしくね。」
「此処は随分賑やかね、人の声が多いし楽しそう」
「あれー鳥の声と風の音しか聞こえない、まさか・・・迷ってる??」
「見えないけど感じるよ、とても綺麗なんだよね。」
「血の香りがする…嫌な香り。」
- Re: シークレットガーデン〜小さな箱庭〜 ( No.13 )
- 日時: 2014/04/09 16:28
- 名前: 姫凛 (ID: 4sTlP87u)
第一章 物静かな看護師の闇 -荒くれザンク編-
「………ん」
「…目が覚めた?」
ここは寂れた村にあるボロボロで今にも崩れそうなルシアの家。
あの忌まわしき事件からもう数週間も経っている。意外にもルシアのケガは数日で治り、すぐにいつも通り生活が送れるようになっていた。
だが逆にランファのケガは深く何日間も意識不明が続きやっと今この時目を覚ましたのであった。
「はっ!ヨナちゃんはっ!?」
慌てて飛び起きたランファはしっかりとした目つきでルシアを見つめしっかりとした口調で言った。
それを聞いたルシアは静かに俯いて悲しそうな顔で首を横に振る。
「………ごめんなさい。あたしが、余計な事をしたばっかりに……」
申し訳なさそうに頭を下げるランファを見てルシアは目を丸くし、
「いや、いいんだ…。あの時、君が割り込んで来てくれなかったら僕は死んでた」
ランファの手を優しく握りしめ、
「もう二度とヨナを助ける事ができなかった。また助けてくれてありがとう」
「………」
ランファはまだ己の罪を許せていないのか、うつむき黙り込み優しく握りしめてくれたルシアの手を見つめる。
しばらくランファの手を握った後、ルシアは優しく手を放し何処かへ出かける準備をし始める。
「ケガが治るまでこの家でゆっくりしていきなよ」
「ありがとう…でも、貴方は?」
黙々と準備をしていたルシアの背に寂しそうなランファの声が伸しかかる。沈黙の後、
「僕は…旅にでるよ。………あいつからヨナを取り戻すんだ」
と言ったルシアの瞳には大きな決意を固めた炎がメラメラと燃えているようであった。それはまるで復讐心にも似た炎だった。
「待って!」
ベッドから立ち上がりランファは旅立とうするルシアの背中にしがみついた。なぜいきなりこんなことをするのか全くわからないルシアは返答に困る。
だがそんなのお構いなしとランファは自分の思いをぶちまける。
「あたしも連れてって!!」
「え…でも、君はケガしているし。…それにこれは僕の問題」
「君には関係ない」と言いかけたルシアの言葉を遮り、ランファは強い口調で固い信念のようなものを語る。
「あたしにも責任があるの!!………未来を変えたいの!!」
「…未来を変えたい?」
「はっ!?はああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
よくわからないと言った顔でルシアが聞き返すと、急にランファはゆでだこのように真っ赤に染まり湯気まで出し。
顔を手で覆い体を丸め「イヤイヤ」と「恥ずかしい〜〜」と悶絶し始め、
「ど、どうしたの?」
ルシアがどんなに声をかけても無視で一人でヒートアップしパニック状態でまた心の声がだだ漏れ状態に…。
「(ニャーーーー!!ヤバイー!未来の事、絶対に他人無言って言われてたのに〜〜〜!!ついっ言っちゃったぁ〜〜〜!!あたしのバカバカァァ」
ポンポコと自分の頭を叩きだした。全く状況が把握できていないルシアは取り敢えず
「…えっと、もしかして……ランファは未来人なの?」
と聞いて見ることにした。…が返ってきた答えは
「ちゃっ、ちゃんねんっ!」
「………ちゃうねん?」
だった。
「あ、あたしはそう!超すごい占い師で超超能力者なのーー!」
とっさに作ったような話をしだすランファだったが
「占い師と超能力者って矛盾してない?」
天然なのかルシアは普通に聞き返す。
「してないしてない、してないでよ〜〜とっ。あはははは〜〜」
…が適当に受け流がされ「この話は終わり」と無理やり中断させられた。
「で、旅をするってまずどこに行くの?」
半ば強引的に仲間になったランファは色々な荷物を持つルシアの横を手ぶらでゆうゆうと歩く。
「う〜ん、まずは僕がいつも仕事を貰っている隣町に行こうかなって。あそこならいろんな情報が行き来してるだろうし。」
「ふ〜ん、隣町ねぇ〜」
なにやら意味深な顔で言うランファにルシアは少しちゃかしを入れて
「ん?隣町でなにかあるの?占い師さん?」
と聞いてみたが
「さぁー、過去が変わったから未来も少し変わってるだろうから、歴史のことはわっかんないなぁ〜」
「……れきし?」
期待していた返事とは全く違うものが返ってきた。
「あっ!ううん、今のなし!なんでもない、あたしのただの独り言っ」
すぐにまた「なんでもない」とお茶を濁し話をうやむやにする。
「……??」
さすがに少し変だと思うルシアであったが、二度も助けてくれた命の恩人を疑うのはさすがに失礼だと、これ以上ランファに探りをいれるのはやめようと思った。
それに、こんな有頂天でバカッぽい子供にそんな器用な事ができるわけないと思ったからだ。
- Re: シークレットガーデン〜小さな箱庭〜 ( No.14 )
- 日時: 2014/04/09 16:34
- 名前: 姫凛 (ID: UMqw536o)
隣町。隣りといってもルシアの住む村からかなり離れており、町まで行くのに二日はかかる距離にある。
だが村の近くにある人が住んでる場所はそこしかなく、自然に村人たちは隣町と呼ぶようになった。
「ふぇ〜〜結構、広い町だったんだ〜」
村に比べたらそれなりに大きく沢山の行商人が行き交う商人の町。
町の入口で大きな口を開けたランファは目をまん丸にし興奮気味な声でもの珍しそうにキョロキョロと建物や人々を見ている。
「うん。住んでる人はお年寄りばかりだけど結構大きな町なんだ」
「ふ〜ん…」
簡易に町の説明をするルシアの話をランファはどこか物悲しいそうに町や人々を見つめながら聞いていた。
ルシアは町ではちょっとした人気者で少し歩くだけでいろんな人たちに声をかけられる。
「ルシアちゃん、こんにちは」
「あ、こんにちは。おばさん」
「いつもお手伝いありがとねぇー」
「いえ、僕の方こそありがとう」
「おっルシアじゃ、ねぇーかぁ」
「こんにちは。おじさん」
「なんだぁ、ルシアのくせに女連れかぁ〜このこの〜」
「いっ、いやそんなんじゃないですよっ」
「おやルシアちゃんかい?」
「おばあさん、こんにちは。」
「こんにちは。ヨナちゃんの容態はどうだい?」
「……元気ですよ。まだ咳が止まらないみたいだけど」
「そうかい…それは大変だね」
ルシアのそばで黙って歩いていたランファはそばに歩み寄り小声で
「人気者だねっ」
「…うん。みんなも貧しいはずなのに僕とヨナのために仕事をわけてくれるんだ…」
「だからホントのことを言えないとっ」
「…うん」
ヨナが連れ去られた事は誰にも告げずたった一人で探す予定だった。少々想定外のランファが強引についてきたが誰にも告げづにというのは変わらない。なにか大きな事件が起きない限りは…。
沢山の商店街が立ち並ぶ隣町一番の目玉商店大通り。今日も沢山の人々が集まり行き交う。
「目玉は絶対行かないとっ」とゆうランファに連れられルシアも渋々商店大通りを行き交う人々の中へを入って行く。
「きゃっ!」
「あ、ああ……すみません」
ランファが通行人と肩をぶつけ声をあげる。ルシアはすぐにランファの元へ駆け寄りぶつかった通行人に視線をやる。
「大丈夫、ランファ?……ってジェームズお爺さん!?」
ぶつかった通行人はルシアがいつもお世話になっているお爺さんだった。
お爺さんは泣きながら地べたに膝を付きすがりつくかのように、
「お、おお……ルシア君かぁぁぁ」
ルシアの腰にしがみつき顔を伏せて
「ど、どどうしたの?」
「シレーナが……シレーナが……」
とオロオロと同じことを繰り返し言い出した。シレーナと聞いてルシアもお爺さんの肩を掴み強い口調で、
「シレーナ!?シレーナがどうかしたのジェームズお爺さん!?ねぇっ!?」
と聞いて見るがやはりお爺さんは同じことしか繰り返さない。それをみかねたランファは
「いやっ、貴方までパニックちゃっだめでしょっ」
と二人をどおどおとなだめ落ち着かせた。ふぅーと一息ついた後、お爺さんは気を取り直し我に返り、
「と、ととりあえず家に戻ろう。……連絡がきとるかもしれんしのぉ」
「……れんらく?」
まだ状況がわかっていないルシアだったが取り敢えずはお爺さんの言う通り彼の家へと向かうことにした。
「(これは……事件の匂いですよ〜。にひひひ……)」
なにか変な方向で楽しむランファの事はひとまず置いといて、町の北側にある大きく立派な一軒家の中へお邪魔する。
家の中はほぼ植物達の世界といった感じで、植物園のように色とりどりの植物がいたるところから生えていた。
…だが決してゴミ屋敷というわけでなくちゃんと人が暮らすスペースもある。
客室へと案内され、ついでにお茶と菓子を用意してもらい改めて先ほどの話の続きを聞く。
「で、なにがあったの?おじいさん」
「……シレーナがぁぁぁぁ」
また同じ展開を繰り返しそうなお爺さんに向かってビシッと厳しくランファは、
「またかいっ!いい加減落ち着きなぁーほんとにもぉ〜クソジジイがぁ〜」
「…………」
と言われたのが相当傷ついたのか、お爺さんはうつむき何も話さなくなってしまった。
「シッ!それだけショックな事が起こったんだよっ」
慌ててお爺さんにフォローを入れ優しく聞き返した。
「お爺さん、ゆっくりでいいから僕たちにわかるように話して?」
しばらくの沈黙の後。お爺さんは重たそうに口を開き、
「………じつはな」
かけたが
「あっ待って!」
「え?なに?」
なぜかあれほど話させようとしていたランファがお爺さんの言葉を遮った。
ルシアもお爺さんもどうして?と言いたげなポカンとした顔でランファを見つめる。
「今から回想シーンに入るんでしょ?」
お爺さんは無言でコクンとだけうなずく。
「じゃっ、効果音入れないとっ!」
「……こうかおん?」
ルシアの質問はガン無視で自分のペースで進めてゆき、
「はいっ!シュワワ〜ン」
「しゅっ、しゅわわ〜ん……?」
訳わからないながらもランファの言うとおりに効果音なるものを入れ、お爺さんによる回想シーンなるものへと突入するのであった。
- Re: シークレットガーデン〜小さな箱庭〜 ( No.15 )
- 日時: 2014/04/09 16:40
- 名前: 姫凛 (ID: i8PH9kfP)
あの日も今日と変わらない平凡でなにもないだけどそれが幸せな朝じゃった。
朝起きるといつものようにシレーナが朝ごはんにワシの好きなスクランブルエッグのせトーストを作ってくれたんじゃっ。
絶妙なふわとろ感でのぉ〜一口食べただけで頬が落っこちてしまうほどじゃぁ。
「…はい。できたよ」
「おぉ〜いつもながらにおいしそうじゃのぉ〜。たまごがふわっふわっじゃぁ〜」
「……フフフ」
シレーナは笑うことに慣れておらんから少し薄気味悪い笑い声に聞こえるかもしれんがこれは彼女の精いっぱいの笑い声なんじゃっ。勘弁してあげてぇのぉ〜。
「これなら誰の嫁にいっても心配ないのぉ〜」
「………え?私お嫁にいく予定なんて…ない」
「ふぉっふぉっ。まぁ、そうゆうことにしておこうかのぉ〜」
「……?」
あの子は照れ屋で結構な鈍感じゃから、自分の気持ちもあんましようわかっとらんのんじゃろう。
じゃからこそっ!ルシア君には頑張って貰わんとのぉ〜。
と…まぁこんな感じの日常会話をしてのぉ。
「…あ。そろそろ薬草摘みに…行ってくる」
日課の薬草摘みの時間になってのぉ。ワシはいつも通りに
「そうかい。今町で森へ行った若い娘がさらわれたと噂が出とる気を付けるんじゃぞ」
「うん。わかった…」
見送ってしもうてのぉ〜。あの時!あの時!ワシが…ワシがもっと強く忠告して引き留めておればこんなことには…今頃シレーナだってシレーナだって……。
いつもなら夕刻を知らす金がなり終わる頃には、沢山の薬草が入った籠をもったシレーナが笑顔で帰ってきてくれるのに……あの日はいつまで待っても帰ってこなかったんじゃ。
まさかあの噂の人さらいにさらわれたんじゃっないかと思うて次の日町のみんなに聞いてまわったんじゃっ。
…じゃがのぉ〜。
「シレーナちゃん、今日も薬草摘みかい?」
「…うん。」
「そうかい。いつもありがとねぇ。シレーナちゃんのお薬飲んだらうちの子、こんなに元気にっ!」
「シレーナお姉ちゃん、お薬アリガトウ。でも次作る時は苦いのじゃなくて甘いのにしてね…」
「まぁ…この子ったら!」
「「あははは……フフフ…」」
朝こんな風に世間話をしたのが最後だといわれてのぉ。
こりゃいかんと思うて深緑の騎士団様に連絡したんじゃっ。…でものぉ。
「さらわれた証拠がありませんし、きっとその内ひょっこりと帰ってくるでしょう」
と門前払いされてしまってのぉ。全然相手にしてもらえなかったんじゃっ。
あれから三日……シレーナはまだ帰って来ておらぬ。あぁぁぁ…もし、もしものことがあったら…。
「回想しゅーりょー。ジュンジュワー」
「…じゅんじゅわー?」
お爺さんによるあの日起きたことの回想がランファのまた効果音とやらで終わった。
まだ意味がわかっていないルシアもわからないなりに、まねをし一緒になって効果音を言う。
それを見たお爺さんはキョトンとした表情で、
「……ワシの話聞いてたかのぉ?」
と聞かれ心優しきルシアは、
「えっあっうん。聞いてた、聞いてたよ」
とちゃんとフォローしたが正直者のランファは、
「んー半分くらい寝てたっ。テヘペロッ」
「シッ!」
「………」
お爺さんも絶句するほどの自分に正直な答えだった。
気を取り直し話を本軸へ戻す。
「本当はすぐにでも探しに行きたいのじゃっ!……じゃがのぉ〜」
お爺さんは痛々しそうに腰をさすり始める。
「じっちゃん腰ワルイの?」
「昔ヘマしてのぉ〜」
「へぇーバカですなぁ〜」
超ドストレートの言葉攻撃お爺さんの心は折れかけていた。
「ジェームズお爺さん。僕たちにシレーナが行った採取場所を教えて」
もしかしたらヨナをさらったあの般若の面の紅き鎧の騎士がそこにいるかもしれないとルシアは思い、お爺さんに聞いてみた。
お爺さんはパァ〜と靄が晴れた表情で、
「行ってくれのかいっ!?あ、ありがとうのぉ〜。」
ルシアの手を握りしめ深々としたお辞儀を何度も何度も繰り返しながら言った。
「シレーナが行ったのはここから南に行ったところにある南の森じゃっ。あぁぁあとは頼んだのぉ〜」
お爺さんの家を出ていつまでもいつまでも手を振りながら見送ってくれるお爺さんにルシアは大きな声で強く、
「……うん。絶対にシレーナを助けてくるよー」
と言った。その横を歩いていたランファは何故か少しため息交じりで、
「はぁーやっぱこうゆう展開になっちゃうよね〜」
と肩を落とし猫背の前のべりの体制で言った。その言葉はルシアの耳には入って来なかったため、お叱りを受けることはなかった。
今まさに、ルシア達の知らぬところでなにか黒く邪悪な者達がうごめいているのであった。
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