複雑・ファジー小説
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- シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜【氷国の民編】
- 日時: 2019/09/08 08:53
- 名前: 姫凛 (ID: 9nuUP99I)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=19467
これから綴る物語は忌まわし呪われた血によって翻弄され
哀しき封印から少女達を救い
少女達と共に謎の不治の病に侵された小さき妹を
助けるため小さな箱庭を行き来し愛と絆の力で闘い続けた
妹思いな少年と個性豊かな少女達の絆の物語である
-目次-[シークレットガーデン〜小さな箱庭〜]
登場人物紹介 >>166-168
-用語紹介- >>169
-魔物図鑑- >>23
-頂きもの-
高坂 桜様(元Orfevre様)より シル(オリキャラ)>>10
はる様より リア・バドソン(オリキャラ)>>11
ブルー 様より ヒスイ(オリキャラ)>>12 ヒスイ(キャラ絵)>>205
レム様より エリス(オリキャラ)>>66
華那月様より ヨナ(キャラ絵)>>08 ランファ(キャラ絵)>>09 シレーナ(キャラ絵)>>38
むらくも(キャラ絵)>>39
むお様より リオン(キャラ絵)>>37
自作:エフォール(キャラ絵) >>217
-あらすじ(第九章)
山の国の何処かにあると言い伝えられている女神が誕生した遺跡 アンコールワットで見事試練を乗り越え真実の歴史を知ったルシア達は遺跡を出てリオン、リティと別れ時渡の樹が生えた広場でヒスイと合流を果たした。
新たに出来た旅の目的。四つの国にある四つの遺跡を巡りかつて女神と共に邪神と戦った王達の力を受け継ぐ旅の始まり。
——さてどこの国の遺跡から行こうか?
-章の目次-
*1分〜10分(読むスピードで個人差があります)で物語の概要が分かるスキップ物語☆
*本編を読むだけでも物語を楽しめますが個別の短編も読むことでより深く楽しむことが出来る作りとなっています。
序章 出会いと別れ >>05-07 -スキップ物語- >>22
第一章 物静かな看護師の闇
荒くれ者 ザンク編 >>13-20 -スキップ物語- >>40
シレーナの封じた過去編 >>24 >>26-36 -スキップ物語- >>50-51
(より抜き「 魔女と呼ばれた少女の物語」完結済み)>>152)
第二章 汚された草競馬大会 >>43-47 -スキップ物語- >>52
第三章 大都市で起きた不可解な事件
宿屋での選択肢 >>48-49 -スキップ物語- >>53
[ムラクモを探す- >>55] [後をついて行く- >>54 …正体END]
遺体のない葬儀編 >>56-61 -スキップ物語- >>68
立食パーティー編 >>62-63 >>67 -スキップ物語- >>79
第四章 監禁・脱走 >>69 >>73 >>76-78 -スキップ物語- >>124
(叢side「椿の牢獄」>>158完結済み)
(別side「菊の牢獄」>>)
第五章 美しき雌豚と呼ばれた少女
コロシアム編 >>82 >>85-90 >>93 >>97 >>100-101 >>104 >>107-108
-スキップ物語-上中下>>125-127
シルの封じた過去編 >>111-113 >>119-123 -スキップ物語- >>128
(続編「美しき雌豚と呼ばれた少女とおくびょう兎と呼ばれた少年」完結済み)>>153)
第六章 闇と欲望の国
アルトの封じた過去編 >>129-133 >>136-138 >>143-145 -スキップ物語- >>146
裏カジノ編 >>147-150 -スキップ物語->>151
(幕間「感情のない少女の物語」>>224)
敵の本拠地へ編 >>154-156 -スキップ物語->>157
第七章 賢者たちの隠れ里 >>159-163 -スキップ物語上下- >>164-165
第八章 からくり遺跡
女神の試練編 >>170
[勇気の試練>>183-186 ] [知恵の試練>>177-182] [力の試練>>171-176]スキップ物語->>187-189
[仲間->>185…生贄end] [友人->>186…見損ないend][本当->>181] [嘘->>180…神のお遊戯end]
[棺を開けない- >>173-176][棺を開ける- >>172…死神end]
隠された真実編 >>194-197 -スキップ物語->>193
(修正前>>190-192)
第九章 荒くれ者の最期 >>198-202 -スキップ物語->>207
(幕間「殺戮人形と呼ばれた少女の物語」>>224)
第十章 殺戮人形ト色欲妖怪
王家の墓編 >>208-216 -スキップ物語->>
リアの封じた過去編 >>218-2231
[受け入れる>>220-221]…喪失END [受け入れない>>222-223]…永眠end
(→狐の銅像「親殺しの青年の物語」>>)
第十一章 嘘ツキな臆病者
氷国の民編>>225-229 …達筆中
ひと時の休息編
第十二章 賽は殺りと投げられて
偽りの仮面編>>
真実の泉編 >>
???の封じた過去編>>
最終章 最終決戦
Aルート >>
Bルート >>
cルート >>
Dルート >>
-掲示板-
達筆開始日 2014/3/4
2017/11/25:URL先を新しくしました。雑談板にあります、設定資料集スレにしました。
2019/9/8:URL先を新しく書き始めたリメイク版の方に変えました。
-おしらせ-
2017夏☆小説カキコ小説大会【複雑・ファジー小説部門】で【銅賞】を頂きました。
投票してくださった皆様、本当にありがとうございました<(_ _)>
完走(完結)目指して頑張りたいと思います!
20119/9/03→『氷国の民編』『新章』追加
参照100突破!3/6 200突破!3/11 300突破!3/15 400突破!3/21 500突破!3/28 600突破!4/4 700突破!4/9 800突破!4/15 900突破!4/22 1000突破!4/28 1100突破!6/2 感謝♪
2017年 2600突破!/1/30 2700突破!1/31 2800突破!2/7 3200突破!8/31 3300突破!9/1 3400突破!9/7
3500突破!9/12 3600突破!9/19 3700突破!9/26 3900突破!10/10 4000突破!10/17 4100突破!10/31
4200突破!11/6 4300突破!11/14 4400突破!11/23 4500突破!11/28 4600突破!11/3 感謝♪
2018年 5000突破!1/7
返信100突破!2014/4/28 200突破!2017/11/14 感激♪
-神様な読者の方々-
蒼欒様:初コメを下さいました!もう嬉しさMaxです♪
レム様:エリスちゃんの生みの親様です♪いつも温かい励ましコメありがとうござます!
ブルー様:オリキャラ ヒスイちゃんを投稿してくださいました!
出せるまでに一ヶ月以上もかかってしまったのに、見捨てずに見て下さっているお優しい方です(T_T)
- Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜 ( No.31 )
- 日時: 2014/03/15 11:07
- 名前: 姫凛 (ID: TaHLTR3K)
第四階層
「ここは…?」
「テーマパークですね。デパートの屋上とかにある」
「てーまぱーく…?でぱーと…?」
都会の方にはそんなのがあるんだ。すごいなぁ…。
テーマパークと言うところには公園みたいに、沢山の遊具があって沢山の子供たちがキャッキャッと遊んでいる。
こんな楽しそうな所に来たって事はシレーナのお父さんとお母さん、仲直りしたんだな、きっと。じゃないとこんなとこ来ないよね。
パピコさんと一緒にシレーナ親子を探していると…
「あっいた。あれでも……」
沢山のお店が並んで椅子やテーブルが沢山置いてある食事処……パピコんがフードパークって言うところらしい。
そこで何故かしんみりとした空気で楽しくなさそうにオレンジジュースを飲んでるシレーナと挙動不審でイライラしてる感じのお母さんがいた。
『ねぇ、シレーナ』
『なに?お母さん』
『もしお父さんとお母さんが別々に暮らすことになったら、シレーナはどっちと暮らしたい?』
『………』
えっ!?これってまさか…!
『……お父さん』
『……そう。シレーナ、あなたもお母さんを裏切るのね……』
寂しそうに苦しそうな表情で言うお母さんを見てるとなぜか胸が苦しくなってくる…。
記憶の場面が変わってまたシレーナ家に移る。
ここは玄関?ちょっと待って!じゃあやっぱり……。
今まさにきっと起こるであろう事を止めようとした僕を無言でパピコさんは止める。そして
「これは過去に起きた記憶の再現。今貴方様が関与したところで未来は変わりません」
「くそうっ」
パピコさんが言うことはもっともで正しいことなんだって、わかってるけど、頭ではわかっているけども!心じゃわからないよ……。
『じゃ、行きますね』
『あぁ……あっちでも元気でな』
『えぇ』
『お母さん……?』
『シレーナ!?どうして!起きて来たら駄目だと言っただろう?』
『ぅ……』
『いいのよ』
『しかし……まだ十歳の子供にこんな光景みせるのは……』
『よく聞いてシレーナ』
『な…に?』
『お母さん。このお家を出て行くことになったの』
『え……?な…んで』
『ふふっそれは……あなたのせいよ』
『おいっ!』
『ぇ…』
『あなたがお母さんを裏切るからよ。村の人たちがあなたをいじめるのもぜ〜んぶ、あなたが悪い子だからなのよ』
『やめろ!この子には関係のないことだろう!』
『ふふふっあはははっ』
『私の…せい。私が……悪い子だから…』
『シレーナ!シレーナいいか、よく聞きなさい。お前は悪い子なんかじゃない。お母さんはお前のせいで出て行くんじゃないんだ、いいね』
『ぁ…ぁ……ぁ』
『あはははっ、それじゃあごきげんよう。もう会う事なんてないでしょうけど!あはははっ』
ヒドイ……自分の子供なのに。どうしてあんなにヒドイことが平気な顔で言えるんだ!
「やはり……」
「パピコさん?」
「あの人。デスピル病にかかっています」
「えっ!まさかじゃあ!?」
「はい。きっと急におかしくなっていったのも、すべてはデスピル病のせいで心が壊れていったのが原因かと」
「デスピル病……」
「早く次の階層へ行きましょう。なにか善からぬ事が起こるような気がします」
「……うんっ。行こう!」
新たに解った真実。シレーナのお母さんはデスピル病患者だったんだ。
だから挙動不審だったり言動がおかしかったりしたんだ。
デスピル病…なんて恐ろしい病なんだ。かかったその人だけじゃなくて周りにいる人にまで不幸し絶望させ闇に落とすなんて……許せない。絶対に。
- Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜 ( No.32 )
- 日時: 2014/03/16 11:01
- 名前: 姫凛 (ID: 1Lh17cxz)
第五階層
「うっ!」
次の階層の記憶の舞台もシレーナの家だった。だけど……
「ほこりくさっ!」
「物が全部ほこりで真っ白になってるね…」
第三階層では指ですくうと少しほこりが付く程度だったけど、第五階層じゃ……。
置いてある物すべてほこりで真っ白になってて、部屋中ほこり臭くて息ができない。ここにずっといたら絶対、体の何処かに異常がでそうだ。
「奥様が出て行って、さぞ苦労されているのでしょうね」
「…うん」
そうか…。シレーナは今お父さんと二人暮らしなんだっけ。
…男一人ですべての家事をやるのは大変だよね。わかります。
「ここにまた連れて来られたって事はまたここでなにかあるってこと?」
「はい。正確には“あった”ですねどね。…おそらくは何かあります」
「……二人を探そう」
「ご主人様積極的〜♪」
パピコさんのからかいの言葉はこの際無視して、僕は一つ一つ丁寧にドアを開けてシレーナとお父さんを探した。
…どの部屋も長年使われていないのかな?ほこりまみれで白く染まっている。
「…あ」
「居ましたね」
第三階層でお父さんとお母さんが夫婦喧嘩していたリビングで楽しそうにお喋りしているシレーナとお父さんがいた。
心なしかお父さん。痩せ衰えたように見える…。やっぱりいろいろ辛く苦しいんだな。
それにシレーナも明るく元気に振る舞っているけど、どうみてもあれは空元気だ…。
『なぁシレーナ。二人で何処かに旅行に出かけないか?』
『旅行?行きたい!行きたいっ!……あっ、でもお父さん。お金は…どうすの?』
『大丈夫。お父さんの親戚の家に遊びに行くだけだから。旅費は全部その親戚の人が代わりに払ってくれるんだ。って……あっ』
『あぁー!?お父さん今、親せきの家に遊びに行くだけって言ったー!!もうっそんなの旅行じゃないじゃんっ』
『ごめんごめん。でも遠くに行くから少しは旅行っぽくなるよ。なんてたって国境を超えるんだから』
『……こっきょう?』
『そうだよ。海の国から隣にある森の国へ行くんだよ』
『わぁー外国に行くの!?言葉は大丈夫かな?』
『あはは。大丈夫大丈夫だから。さ、準備しておいで』
『はーい。森〜森〜♪』
『………』
良かった!家が荒れていたからどうなるかと思っていたけど、旅行に行けるなら大丈夫だよね!
二人とも元気になって良かった。
「本当にそう思います?」
「……えっ?どうゆう意味?」
「見てください」
パピコさんが指さすのはせっせっと旅行に行く準備をしているシレーナを温かい目で見守っているお父さんだった。
普通の光景だと思うけど…それがどうしたんだろう?
「シレーナさんは準備しているのに、ご自分は全く準備していません」
「もう準備してたんじゃないのかな?自分で計画したんだから、早めに…」
「そうだとしてもおかしくありません?」
「どこが…?」
一応聞き返してみたけど本当は僕もうっすらとは気が付いていたんだ。親戚の家に行くというこの“旅行”の本当の意味を……。
「……認めたくないのはわかります。辛い現実ですからね」
「認めたくない??なにを。全然わからないよ……パピコさん」
「やはり私の口から言うのは少々おこがましい…でしたね」
「?」
「ささ次の階層へ参りましょう。真実はやはり他人の口よりご自分のその目でお確かめくださいまし」
- Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜 ( No.33 )
- 日時: 2014/03/18 13:28
- 名前: 姫凛 (ID: 13XN7dsw)
第六階層
……。
『わぁ……大きなお家だね。…お父さん』
『あっ、ああそうだね……』
この町…。この家……見たことある。いや毎日のように来ていたんだから見間違えるはずもないか……。
『(なんか今日のお父さん変だなの)』
……。わかってる。最初からわかっていたんだ。
『ガチャ』『おおよく来たのぉ〜』
この独特の話し方のお爺さん…。
『お久しぶりです』
『こっこんにちは……』
『大きくなったのぉ〜。シレーナちゃん……』
『そ、そうかな…?』
『うんうん……よしよし』
『えへへ……』
この時のシレーナはこんな風に笑っていたんだ…。
『……この子をよろしくお願いします』
『ああ。シレーナちゃんのことはワシに任せなさい』
『えっ?……任せる?ねぇ……なんのお話してるの。お…とう……さん…』
……シレーナもこうなるってわかっていたのかな?
いやそれほどまでに残酷な話はないよね。こんなのって!
『……っさようならシレーナ!』
『お父さんっ!お父さんっ!』
……くぅぅぅ。
『私を捨てないでっ!私を一人にしないでっ!お父さんっ!お父さーーーん!!」
『シレーナちゃん。駄目だ!行ったら駄目だっ!』
『はなしてっ!お父さんっ!お父さん………』
シレーナのお父さんはただの一度も振り返らずに走り去って行った。
[……みんな…みんな……私を……置いて何処かに行っちゃうんだ……]
「えっ!?この声はまさかっ!」
「…?」
パピコさんには聞こえていないのかな?彼女の心の叫びが——
[私が悪い子だから?]
違う……違う!
[お母さん…お父さん……会いたいよ……もう一度…一目でもいいから会いたいよ……そうだ…アレを使えば…]
アレ?アレって?シレーナ!シレーナ、あれってなんの事!?
「……」
「ご、ご主人様?急に黙られて……そ、その…大丈夫ですか?」
「…うん。僕は大丈夫だよ」
「そ、そうですか…でも…あまり顔色が…」
「大丈夫だって言ってるだろ!」
「きゃっ」
「あ、ごめん……」
「いえあんな物を見た後じゃ精神的におかしくなっても不思議ではありません。やはり…休憩を……」
「ううん…。心配してくれてありがとう。でも大丈夫だよ。次へ行こう」
「ご主人様がそうおっしゃるなら……。でもご無理は禁物ですよ」
「わかった」
……パピコさんにはああいったものの本当は結構きてるんだよな。精神的に。
でもここで諦めるわけにはいかない…。たぶん次が最後の記憶だ。
シレーナが言ってたアレ。今の僕以上に精神がおかしくなっていた彼女がやることだきっと危ないことに違いない。
止めないと……。過去に起きたことの再現だから現実にはなんの影響がないとしても……。止めないと。
- Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜 ( No.34 )
- 日時: 2014/03/18 14:06
- 名前: 姫凛 (ID: KP9MPHtc)
第七階層
「ここはシレーナさんのご実家!?」
気が付くとそこは何度も来たシレーナにとって大切な思い出の場所。
お父さんとお母さんとの楽しいのも悲しいのもすべての思い出が詰まった大切な場所。
やっぱり…やっぱり…最後の記憶はここなんだ。
「……シレーナを探そう」
「………っ。はいっ!」
パピコさんは察しがいいから助かるな。時間もあまりないし話をする暇もないから……。
ひとつひとつ丁寧に部屋を見て回る。どこもかしこも誰も手入れしていないせいかボロボロだ。
でもだいぶ前までは誰かが生活していたような跡がある。これは…もしかしてお父さんの?
……シレーナを親戚の家に預けてからもここで暮らしていたのかな?
「ご主人様、見てくださいこれっ!」
「こっ…これは……」
『お父さん。これでまた会えるよ……』
……いたっ!
家の地下室で血文字で魔方陣?みたいな物の上に腐敗した、たぶんお父さんの死体を虚ろな目で見つめているシレーナを発見した。
「この錬成陣は……危険です。離れて!」
「パピコさんどうしてっ!?」
「とにかくなんででもですっ!」
『ふふふっ……』
ポタンッとシレーナが不気味に笑いながら自分の血を魔方陣みたいな物の上に一滴垂らすと眩い光を放ちながら魔方陣みたいな物が光り出し…。なんなんだ…あれは…。
『ギロッ』
『ぅ……うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』
「シレーナーーーーー!!」
「ダメーー!」
目玉!?大きな目玉が一つ陣の中心に現れて黒い無数の手の様な触手の様な物が沢山陣の中から出てきた。
シレーナはそのウニョウニョした変なのに囲まれている。
助けようと手を伸ばしたけど…
「ッ!?」
なんだ…今の痛み!今まで感じた事のない痛みが全身を走った。
斬られるでも叩かれるでもない不思議な痛み。でも激痛。
すべての事が終わった後にあったのは——
『ガウッ グチャッ バクッ バクッ ウグッ』
『なっ…なに…あれ……?』
「……ぁ」
「………穢れ」
「穢れ!?」
一瞬、意識が遠のいていたけどパピコさんの一言で戻った。
「でも僕が見た者とは全然ちがっー」
「ええ。あれは何十年も穢れと同化したために独自に進化したのでしょう。もしくは…誰かの人体錬成の失敗作」
「……じんたいれんせい?」
「人が人を再構築し生き返らせるという禁忌の術です」
「死んだ人を…生き返らせる術……」
の失敗作が…あの穢れ。もしくは…独自に進化した穢れ。
…どちらも嫌だな。
『やめてっ!お父さんを食べないでっ!!』
『ガウッ グチャッ バクッ バクッ ウグッ』
『……イタッ!えっ……なに?え?うっわわわわぁぁぁぁぁ!』
シレーナの左足が…ないっ!?
「人体錬成の対価です」
「えっ?」
「人体錬成を行うには、対価を支払はないといけないのです」
「それが……左足?」
「いえっ。実際には体の一部ですが……」
シレーナの場合は左足だったと言うことなんだ。
『ないっ!私の腕が無いっ!イタイッイタイ!……ぁ』
[ああああああああああああああああああああああああああああっ!!]
「「っ!?」」
またっシレーナの叫び声!?
「大変ですっご主人様!」
「どうしたの!?」
「さっきの穢れが開いた扉から、シークレットガーデンに!!」
「ええぇーーー!!」
「きっと、あれがすべての元凶。シレーナさんの心を侵すデスピル病の親玉だったんですよー!」
「早く追いかけないとっ!」
シークレットガーデンが壊されたら全てが終わってしまう——
- Re: シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜 ( No.35 )
- 日時: 2014/03/18 20:40
- 名前: 姫凛 (ID: M.fbnnZK)
最下層 シークレットガーデン
「……ここがシークレットガーデン」
クリスタルでできた木々に囲まれた様な感じの場所だ。
中心にはクリスタルでできた花のつぼみみたいなものがある…。色鮮やかに内部から光っていて綺麗だ。
「ご主人様!見とれている場合じゃありませんよ」
「へっ?あ、あぁそうだった」
「もうしっかりしてくださいまし」
「ごんめんなさい……」
パピコさんに怒られて気をしっかり持つ。
辺りを見渡すと……
「……いた」
『ガウッ グチャッ バクッ バクッ ウグッ』
「今は卵で言う殻の部分を食べているみたいです。時間はありませんよ」
「…うん」
ゆっくりゆっくり相手に近づいて行く……。十分に近づいたら
「はぁぁぁ!」
『グぐぐぐ……』
「まだです!」
「はぁーー!」
[やめてーー!!]
「えっ!?」
クリスタルのつぼみの中からシレーナが何かを訴えている…。
あれは幻?それとも……
[やめて…お願い…ルシア……]
「シレーナ…?」
『ガウウ…』
「ご主人様!」
「うわぁぁぁ!!」
シレーナに気を取られている隙に穢れが襲ってきた。
[……それは…その人は私のお母さんなの!]
「ま、まさか……」
[私のせいで…穢れになってしまった…お母さんは……私に復讐しにきたの……だから……殺させてあげて]
「なに…言って…」
[ルシアが…助けに来てくれた。嬉しかった…でも……死にたかった]
「う…く…」
『ガウッガウッ』
[私が…悪い子だから。ルシアにもみんなにも迷惑かけて……。だからお父さんは私を捨てて……]
「違う!!」
『グアアッ!?』
伝えなきゃっ!シレーナにお父さんの本当の想いを伝えてあげないとっ!
「君は勘違いしているんだ!」
[かん…ちがい…?]
「そうっ。君のお父さんは、君が悪い子だから、君を捨てたんじゃ、ないっ!」
[嘘…嘘だよ。ルシアは優しいから嘘ついて…]
「ううん。本当の事なんだ。これが証拠だよ」
第七階層でシレーナを探していた時に見つけた。お父さんが最期にシレーナへ書いた手紙を手渡した。
【シレーナへ
この手紙を君が見ている頃にはもう私はこの世にはいないだろう。
君を捨てた私を恨んでいるかい?いや優しい君はむしろ、自分が悪い子だからだと自分を責めて罪に苦しんでいるんだろうね。
ごめんな、本当の事を言えなくて…。
君のお母さん…私の妻、ユリアは闇病と呼ばれる心の病にかかっていたんだ。
急に言動がおかしくなったり人間不信に陥ったりするらし…。治し方は現医療技術すべてを用いても不明。
誰にも治せない不治の病。
ユリアが闇病で入院していると知ると、元医者の私はどうしても治してあげたかったんだ…。
でも闇病は感染症。まだこれからの未来ある君にまで感染してしまってはいけない。君の未来を奪う権利なんて誰にもない!
…と思った私はああする事しか出来なかった。
君を捨てた。君を助ける為であってもその事実は変わらない。
本当にすまなかった。許してほしいとは思わないよ。
ただ…どうか自分をもう責めないであげてほしい。自分を許してあげてほしい。
君は悪い子なんかじゃない。とても心優しい良い子なんだ。
シレーナ。君は私とユリアの大切な…大切な宝物だよ。
お父さんとお母さんは天から見守っています。どうか幸せになってください。
お元気で】
[お父さん……お父さん……]
「あの手紙にはそんな事が……」
「うん。ただ少し気持ちがすれ違っていただけなんだ。本当はみんなお互いを思っていたんだよ」
[うっ……うう……お父さん、お母さん……]
『ぐ……あぁぁぁ……』
「あっ穢れが…」
「闇が晴れて、浄化されてますね…」
「そっか…良かった」
「ご主人様」
「ん?」
「ご苦労様でした」
「ぁ…いや…」
「これをどうぞ」
「…ブレスレット?」
「用途はのちのちわかりますので♪」
「………ありがとう」
なんだろう…パピコさんの笑みが怖い…。
でもせっかく貰ったんだから身に着けておかないと悪いよね…?
だんだん意識が薄れていく。僕も元の世界に戻るんだ…。
プリンセシナ……初めはどんなところなのかわからなくて、不謹慎にもワクワクしていたけど、やっぱり人の心を見るのはあまり好い気はしないな…。
ここは二度とやるもんかっ!って言いたいところだけど。…また誰かが困っていたら助けに行きたいかないと。
——それが僕のヨナを助けるのともう一つの使命だと思うから
(-ルシアside-終)
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