複雑・ファジー小説

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竜装機甲ドラグーン
日時: 2015/01/18 02:14
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: Re8SsDCb)

 

 それは、突如として世界中に現れた。

 竜、龍、ドラゴン。

 お伽噺の怪物たち。

 『竜種』

 地上、地中、空中、海中のありとあらゆる場所に出現し、あらゆる対象を喰らい、蹂躙する凶暴な生命体。

 そして、地球上のほとんどの文明都市は彼らによって崩壊し、人類史上に類を見ない未曾有の危機が訪れたのだった。

 彼ら、竜種の前では既存の兵器は無力であり、軍や政府は完全に無力化されてしまった。

 人々に残された道は終焉の時をまつことのみだと思われた。

 そのとき、ある生化学企業が画期的な兵器を開発させる。

 竜種細胞を取り込んだ生体機動兵器。

 —————————『ドラグーン』。


 ドラグーンを乗りこなすためには、搭乗者自身の身体に竜種細胞を摂取する必要があった。

 その適合者たちはすべて十代の少女であり、彼女たちにしか扱う事が出来なかった。

 だがその力は絶大で、人類は滅亡の一歩手前で喰い止められた。

 人類は新たなる切り札を手に入れた。

 彼女たちの任務は竜種から人類を守ること。

 しかし、無尽蔵に出現する竜種に対して、戦いは決して優勢とはいえなかった。

 それでも大切な人を守るため、己の存在理由を知るため、さまざまな想いを胸に集結した『少女たち』の、終わりなき戦いは今日も始まる——————





皆様いかがお過ごしでしょうか、Frill(フリル)です。
新小説を始めようと思います。作者の妄想と何処にでも在るありきたりな設定ですが御付き合い下されば幸いです。更新は超スローなので御勘弁ください。コメントは御自由にどうぞ。但し、中傷、荒らし、宣伝広告などは受け付けておりません。返信はかなり遅れて仕舞いますので何卒御容赦下さい。
スピンオフ作品『竜装機甲ドラグーン テラバーストディザイア』公開中。
和風伝記小説『朱は天を染めて』もどうぞ。


目次

登場人物&竜機ドラグーン紹介
>>6 >>7 >>8 >>19 >>20 >>21 >>42 >>43 >>44 >>53 >>54 >>55 >>58 >>59 >>60 >>81 >>89 >>95 >>100 >>101 >>102 >>107 >>113 >>124 >>125  




竜種実質調査報告書
>>126 >>127




本編

Act.1 竜を駆る、少女たち
>>1 >>2 >>3 >>4 >>5
Act.2 君の蒼 空の青
>>9 >>10 >>11 >>12 >>13 >>14 >>15 >>16
Act.3 紅の誇り 熱砂の竜
>>17 >>18 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26 >>27
Act.4 黄金の絆 ふたつの魂
>>28 >>29 >>30 >>31 >>32 >>33 >>34 >>35
Act.5 咆哮、蒼き飛龍 激動の果てに
>>36 >>37 >>38 >>39 >>40 >>41 >>45 >>46
Act.6 邂逅、再開 想い重ねて  
>>47 >>48 >>49 >>50 >>51 >>52 >>56 >>57
Act.7 竜よ知れ 目覚めよ、真なる力
>>61 >>62 >>63 >>64 >>65 >>66 >>67 >>68 >>69 >>70 >>71
Act.8 黄昏、追憶の彼方
>>72 >>73 >>74 >>75 >>76 >>77 >>78 >>79 >>80 >>82
Act.9 哀しみの遺産 父の形見
>>83 >>84 >>85 >>86 >>87 >>88 >>90 >>91 >>92 >>93 >>94
Act.10 堕ちた龍蛇 這いずる、闇の底
>>96 >>97 >>98 >>99 >>103 >>104 >>105 >>106
Act.11 想いはせる少女 見つめるその先には
>>108 >>109 >>110 >>111 >>112
Act.12 死闘、誰がために 大砂海に潰える涙
>>114 >>115 >>116 >>117 >>118 >>119 >>120 >>121 >>122 >>123
Act.13 星が呼ぶ 遥か遠き、竜の楽園
>>128 >>129 >>130 >>131 >>132 >>133 >>134 >>135 >>136 >>137
Act.14 すべての始まりにして終わりなるもの
>>138 >>139 >>140 >>141 >>142 >>143 >>144 >>145 >>146 >>147
Act.15 すべての始まりにして終わりなるもの(後編)
>>148 >>149 >>150 >>151 >>152 >>153 >>154 >>155 >>156 >>157
Act.16 流星が降る、蒼き星の輝きは永久に
>>158 >>159 >>160 >>161 >>162 >>163
Act.17 そして少女たちは竜を狩る
>>164 >>165

Xct.00 機械仕掛けの竜は少女の夢を視るのか
>>166








 『竜装機甲ドラグーン』スカーレッド・クリムゾン

 >>167 >>168     

Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.149 )
日時: 2014/05/06 12:22
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: GsLNLUDc)


 邪龍の中心核から、不気味な声が響く。

 「・・・セツナ・アオイ・・・待チ侘ビタゾ・・・」

 ワイバーンD.Rが一旦距離を取り、両極剣を構え直す。

 「その声は・・・あなたはミカエラ・・・?これは、あなたの仕業なの?」

 中心核に問うセツナ。

 「フフフ・・・ソウダ・・・ソシテ、オマエヲ待ツ者ガマダ、イルゾ」

 そう言うと肉が盛り上がり、四肢と身体を触手に覆われたミカエラが悍ましい姿を現した。

 「わたしを待つ?・・・どういう・・・?」

 「フフフ・・・オマエガ、良ク知ル者、ダ・・・」

 再び中心核の一部が盛り上がり、大きな肉腫を覗かせると、そこには三体のドラグーンが肉に埋まり拘束されていた。

 「・・・なっ・・・」

 驚愕に見開くセツナ。

 捉えられた三体の竜機、ダハーカ、ザハーク、そしてワイアーム。さらにその機体の頭部付近の肉片に三つの人影が目視できた。

 「・・・そんな・・・」

 肉腫に埋め込まれるように、触手が絡みついた三人、リーシェ、リーファ、シズクの変わり果てた姿があった。

 「姉さんっ!!!!!!」

 セツナはワイバーンで斬り込もうとすると触手が鋭利な刃物の形状を取り、彼女たちの首筋に当てられる。

 セツナを牽制するように。

 「・・・慌テルナ、セツナ。舞台ハ始マッタバカリダ・・・」

 「!!? ミカエラ・・・!!!!」

 セツナの顔が焦りに染まる。

 この状況、シズクたちが人質に取られていると言ってもいい。

 これでは・・・。

 その時、上部で激しい炎が吹き荒れ、残りの邪龍の触首がことごとく焼き尽くされたのを目撃した。



















 シャオが繰り出したヴァリトラの不死鳥の炎が邪龍を焼き払い、殲滅していく。

 眼前にアリーザのジズが待ち構える。

 「アリーザァアアアァアアアッッ!!!!!」

 「老兵には、退場願いましょう」

 ジズが前面に機体の手腕を差し出す。

 その腕が肉の触手に覆われて歪で巨大な銃砲に変化する。

 「ゲノムコード修正、機体出力オーバードロー」

 銃砲に暗い影が寄り集まる。

 「テトラマトリクス・ドグラマグラッッッ!!!!!!!!」

 瞬間、怨嗟の呻きと共に特大の黒光が放たれた。

 衝突、ぶつかり合う鳳凰の猛火と悪霊の絶叫。

 炎と影が混ざり合い、暴れ洩れ、咆える。

 だが、炎の勢いが急速に衰え、その勢いが揺らいだ。

 「ううっ!? がはぁあっっ!!!!」

 ヴァリトラのコックピットで操縦桿を握るシャオが大量の血を吐き仰け反った。

 血管が破れ、全身から鮮血が吹き出した。

 「ぐふぅっ!! 身体が、蝕ま、れ、る!? これ、はっ・・・!?」

 「ふふっ、直接貴方の中の竜種細胞を死滅させているんですよ。こんな風に・・・」

 ヴァリトラの炎を覆うように暗影がより一層濃くなると、機体はコントロールを失い、あらぬ方向に落墜する。
 
 そして、機体を暗い影の闇光が貫いた。

 「ぐぅああああぁああああっっっ!!!! こ、このままでは・・・!!!」

 シャオは墜ちる寸前、コックピットから邪龍の中心核を視る。

 そこにはワイバーンを駆るセツナと肉腫に埋もれたシズクたちが確認できた。

 シャオは悟った。

 もはや己は役割を終えた、と。

 未来は若者たちへと託された、と。

 混濁する意識の狭間で静かに想った。

 「セツナ・・・シズク・・・あとは、任せたぞ・・・!!!!」

 ヴァリトラが身を翻し、炎剣を振り上げ、

  
 投げ放った。


 渦を巻いて旋回する豪焔。

 
 瞬間、中心核まで飛来し、肉腫を斬り払い通り過ぎた。


 シズクたちを覆った触手は切り裂かれ、その拘束から解かれる。


 「姉さんっ!!!」


 瞬時にワイバーンが落ちるシズクたちを受け止める。


 咄嗟にセツナは炎剣が飛来した方向を視た。
 

 頭を失った邪龍の断面が肉で膨れ上がり、ヴァリトラを飲み込んだ。 

Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.150 )
日時: 2014/05/07 13:27
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: e7NtKjBm)


 皆、一様にヴァリトラが飲み込まれ、肉塊の中へ消えていくのを括目した。

 「シャオ老師っ!!!」

 「師匠っ!!!」

 フェン、ルウミンが悲痛の声を上げる。

 「先生っ!!!」

 「メイちゃんっ!!!」

 ミヅキ、エウロペアも驚愕する。


 「シャオ先生っ!!!!」

 セツナは片手にシズクたちを庇いながら、助けに向かおうと翼を広げるが、その行く手を首の無い邪龍の長い胴体が幾重にも遮る。

 「!!」
 
 「ククク、ドコヘ行ク? 言ッタダロウ、舞台ハ、コレカラダト」

 ミカエラが嘲笑する。


 上空で歪に変異したジズの銃砲の腕をかかげ、アリーザが声を張り上げる。

 「さあっ! これで、すべての『オリジナル』が揃った!! 別たれた十三体の『器』・・・呼び覚ます刻がきた・・・!!!」

 そして中心核のミカエラに指示を出す。

 「ミカエラ! 燻り出せ!! 星に巣食う悪辣の原罪を!!! いにしえの竜たる祖を!!!! 引き摺り上げろっ!!!!!」


 ミカエラは頷くと、意味深な笑みを浮かべてセツナを一別すると再び肉腫の奥深くへとその身体を沈み込ませていった。



 脈動する邪龍。

 肉塊が粟立つ。



 途端に失われた首が瞬く間に再生し、それだけには止まらず、中心核から一際巨大な、他の頭蓋よりもおおきな竜頭が迫り出し顔を覗かせた。


 十三の頭を持つ龍が誕生した。

 

 その竜頭が他の竜蛇を従えるように凄まじい咆哮を響かせると、共鳴するように共に咆哮を木霊させた。




 一体何が始まるのか。

 これ以上何が起きるのか。






 その時、大気が鳴動した。


 空が嘶いた。 大地が振るえた。 海がさざめいた。


 世界が。 星が。 地球が。


 呼応した。
  







 割れる大海。 歪む空間。 吹き荒ぶる乱流。

 穴。

 地球の奥深くまで続くであろう奈落の入り口。

 その穴から黒い塊が吹き出した。

 それは竜種だ。

 夥しい数の竜種が埋め尽くす。

 空も海も悍ましい異形の大波がひしめく。







 そして、その穴から誘われるように白く発光する『それ』が姿を現した。

 大きく伸び上がる光の支柱。

 雲を抜け、成層圏にまで達する輝きの燐光。

 広げられる光翼。

 十三の天空を染め上げる白塵の極光。

 光輪の冠を頭上に頂き、神々しい煌めきと共に飛翔する。





 『それ』は光。


 『それ』は絶対者。


 『それ』は言語を超越した存在。


 すべてのものに、あまねく威光と畏怖を与えん外なる宇宙そらの来訪者。









 その日、世界は輝きに満ちた。


Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.151 )
日時: 2014/05/08 19:10
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: KZXdVVzS)

 十三の光翼を羽ばたかせる白陽の輝竜。

 十三の邪頭を蠢かせる黒影の闇龍。

 そして埋め尽くす竜種の大群。

 闇竜が多頭から漆黒の閃光を放ち、竜種群を薙ぎ払う。

 爆轟。

 連続して薙ぎ払い、蒸発させる。

 闇龍はセツナたちには目もくれず、光を纏う竜目掛けて突き進んだ。

 輝竜の光輪が輝き出し、白刃が直線状にほとばしると闇龍の首を何本も貫き溶解させるが、瞬時に再生し口から暗黒球を撃つ。

 空に黒い波動の天幕が発生し、竜種を巻き込みつつ、こちらまで衝撃波が巻き起こる。

 


 「こ、これは・・・!! なんて戦いですの!? いえ、最早これは戦いとは呼べませんわ・・・!!!」

 「うわーっ!! まさに怪獣大決戦だよーっ!!!」

 エリーゼルとマリアが驚愕する。

 「シャオ師匠は、どうなっちゃたの・・・?」

 「老師はあの中に取り込まれたように視えたけど・・・」

 フェンとルウミンがシャオの身を案じ、戸惑う。


 「多分、大丈夫。取り込まれたのはドラグーンだと思うから無事なはず・・・でも、早く助けないと・・・」

 気を失っているのか、動かないシズクたちを心配しつつも、相争う二匹の超竜が気になるセツナ。

 

 「くっ・・・! このまま黙って見ていろというのか、世界の終焉を・・・!! シャオ先生、ロゼ先輩・・・私は・・・」

 ミヅキが悔しそうに操作盤を叩く。


 「私たちは・・・どうすればいいの?・・・」

 エウロペアがモニターに映る光景を見つめ、呟く。



  





 






 「はははっ! そうだ、やれっ! ミカエラ!! 星の意志ごと喰らい尽くせ!!!」

 アリーザは超竜が戦うギリギリまで、ドラグーンを飛翔させ興奮し叫ぶ。

 超大な体躯が激突する二体。

 闇龍は十三の首を一斉にをかかげ開口し、輝竜の光体に喰らい付いた。

 絶叫を上げる光の竜。

 翼を伸ばし逃れようとするが、影が纏わりつく様に絡み逃さない。

 「さあ、消し飛ばせっ!! 宇宙の藻屑へと還してやれ!! 竜種を根絶やしにしろっ!!! ・・・ああ、ロゼ先輩・・・もうすぐ・・・もうすぐに、私たちが望んだ平和な世界が・・・」

 アリーザは感極まったように囁く。

 だが、そこで異変に気付く。

 闇龍が喰らい付いたまま動かない。

 いや、動いてはいる。

 巨大な全身から夥しい影の触手を伸ばして、輝竜の全身を侵食していた。

 「なっ!? 何、を・・・!! ミカエラ!! 何をしている!! 殺せ!! 滅ぼすんだ!! 消してしまえ!!!」

 ジズが飛翔し、闇龍に叫ぶがまったく応じない。

 それどころか喰らい付いた首の一頭が襲い掛かってきたのだ。

 「!!?」

 瞬間的に身を翻して躱すアリーザ。

 竜頭の赤い眼光が睨み据える。

 「ミカエラ!! どういうつもりだ!! まさか、意識が乗っ取られて・・・!!?」

 「・・・ワタシはいたって正気ダ、艦長。いや、アリーザ・・・」

 竜頭の額からミカエラが肉腫と共に迫り出してくる。

 「・・・何のつもりだ、これは・・・」

 アリーザの怒気が膨れ上がる。

 「フッ・・・アンタには感謝していル・・・『力』を貰ったからナ・・・そして、今、最高の『力』が手に入っタ・・・」

 ミカエラは顔を今だ蝕まれている輝竜に向ける。

 「貴様・・・!! 正気か!? 星の意志を己の制御下に置く気かなのか・・・竜の祖は人間の意識を超越した存在・・・人が認識、コントロールすることは出来ない・・・それは、特異点になった貴様が一番分かっているだろう・・・!!!」

 アリーザが銃砲を向ける。

 だが、なにがおかしいのか、ミカエラは笑う。

 「フフ、ククク、ハハハハハハッ!!!!」

 「!? なにを笑う!!!」

 「支配下に置ク? 制御すル? 違うナ・・・ワタシは共存するのダ・・・」

 ニヤリとするミカエラ。


 「な、ん・・・だ・・・と」

 





 
 「ワタシは・・・ワタシたちは・・・『ひとつ』になるのダ!!!!!」

 
 

Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.152 )
日時: 2014/05/09 21:21
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: ZxqcZXZM)


 ミカエラは哄笑すると肉の中に埋もれていった。

 そして動き出す超竜。

 互いに貪り喰らい、侵食する白と黒の龍。

 それらは混ざり合い、絡み合い、ひとつの形へと昇華されていく。

 十三の翼と十四の首。

 光と影。

 相反する双竜。

 

 「・・・お前は何がしたいんだ・・・何が望みだ・・・」

 アリーザはミカエラに問う。

 『証明すル・・・ワタシの『力』ヲ・・・ワタシたちの『存在』ヲ・・・』

 眼前に白と黒に分けられた一際巨大な竜頭が十四頭めの首をしならせ、ミカエラの声質で語る。

 『すべての生物に・・・すべての存在に・・・すべての次元に・・・すべての宇宙に・・・知ら示すのダ・・・』

 その首が咆哮を上げる。

 途端に大気中が無音となり、すべての音が遮断される。
 
 そして、震え出す。

 凄まじい空震が起こる。


 ————大地から ————海から ————空から 


 やって来る。

 
 ————竜種。


 そして原竜種。


 すべてを染めて。 埋め尽くして。 


 世界中のすべての竜種が目指してやって来る。


 母なる竜のもとへと。

 

 
 「な・・・」

 「え・・・」

 皆言葉を失う。

 黒い塊が隙間なく埋め尽くしてやっくるのだ。

 地も海も空も。

 あまりの数に呆然としてしまう。

 すると赤い閃光が走り、群れを消し去る。

 「何を突っ立っているのですの!? 戦わなくては!!! 艦体を守るのですわ!!!!」

 エリーゼルが叱責し、ペンドラゴンが竜種の群れに突っ込む。

 「・・・うん、そうだね!! あたしたちがやらなきゃ!!!」

 マリアが頷き、ハイドラを滑空させる。

 「・・・わたしたちも・・・!!」
 
 「・・・僕たちも・・・!!」

 ルウミンとフェンも互いに頷き、ペクヨンとショクインを飛翔させる。

 セツナはバハムートの発着場にシズクたちを預け、候補生たちに任せると自分も竜種の群れに向かおうとした時、突き刺すような視線を感じた。

 機体を翻して旋回する。

 「今のは・・・」

 飛翔し、降下すると十四の巨大な首が一斉に雲を縫って襲い掛かってきた。

 「!!!!」





 

 








 「ドラゴニックバスターブラスト!!!!」
 
 「ドラゴンノヴァー・レイ!!!!」

 ペンドラゴンとハイドラが共に極大の閃光を放ち、竜種を殲滅させる。


 「「不破天地爪牙!!!!」」

 ペクヨンとショクインの合体技が炸裂し、竜種を討ち滅ぼす。

 だが、それでも空間を埋め尽く異形。

 そして一番厄介な原竜種が徒党を組み襲い掛かってくるのだ。

 圧倒的に不利。

 だが、それでも自分たちがやらねば・・・。

 四方から攻め立てる敵に構える。




 ————と。




 「「「ラグナロク・ファイナルエクスジャッジメント!!!!!」」」

 轟爆の白き大槍グングニールが突き抜け、竜種、原竜種を纏めて塵と化して白光の巨体を輝かせ、巨大な槍を携えて巨人が現れた。

 「「「ヘルヘイム・クリムゾントルネード!!!!!」」」

 巨体が旋回して超巨大な竜巻を作りだし、ことごとく竜種を吸い込み、根こそぎ粉砕していく。

 「「「ライト・ゴッドネス・ドラグドレッド!!!!!」」」

 両手を突き出し構えると背部のウィングバーニアが輝き、胸部の龍頭が開口して光が集束され、発射された。


 超極特大閃光。


 瞬時に半数以上の竜種、原竜種が消滅された。


 白き大竜、ユグドラシルが巨腕を上げる。

 「またせたな、来てやったぜ!!!」

 「なんだか随分大変な事になってるみたいですね」

 「暴れ甲斐がある」

 コックピットでドミニア、ペルーシカ、セラフィナがそれぞれ話す。



 「美味しい所を持ってきますわね・・・」

 「うわああっ! 変形合体ロボだ!」

 「これでこっちが一気に有利になったよ!」
 
 「反撃開始だね!」

 エリーゼルたちが活気づく。





 ユグドラシルが大槍をかかげる。


 「さあ、かかってこい! 竜種ども!!」
 

Re: 竜装機甲ドラグーン ( No.153 )
日時: 2014/05/10 23:49
名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: gG5ipZbC)


 艦砲射撃を繰り返すバハムート、シェンロン。

 エリーゼルやドミネアたちの猛攻から逃れた、はぐれ竜種が艦隊に襲い掛かってくるのだ。

 そのこぼれ出た異形を艦が砲撃で撃沈させ、汎用ドラグーンが艦体を守りながら撃破する。

 しかし、それでも明りに呼び込まれる蟲のように集まる竜種を相手取るには厳しかった。

 無尽蔵に湧いてくる敵・・・このままでは、いずれ此方が力尽きてしまう・・・。

 そう誰もが思った、


 その時、


 するどい砲弾、ミサイルの弾頭が覆い尽くし、並み居る竜種を薙ぎ払った。

 「!? 今のは、どこから!?」

 ミヅキたちが振り返る、そこには、



 「派手にやっているな、私も参加させてもらうぞ」

 海上を進む巨大な戦艦、ヨルムガント。

 その管制室。

 オペレーターに囲まれ、中央のセントラルシートにヴェロニカが座り指示を出す。

 「目標敵竜種っ!! 全弾ぶちまけろっ!!! 一匹たりとも艦に触れさせるな!!! 汎用ドラグーン全機出撃!! 竜種どもを叩き潰してやれ!!!」

 戦艦から無数の砲弾が飛び交い、武器を構えるドラグーンたちが発艦される。 

 「ヴェロニカ先輩っ!! 来てくれたのですね!!!」

 ミヅキが驚きつつも喜び迎える。

 「ヴェロちゃ〜んっ!! 待ってたわ〜、やっぱり来ると思ってたわ〜!!!」

 エウロペアが歓喜する。

 「少々艦の修復に手間取ったが、間に合ったか。さあ、雑魚共を蹴散らすぞ!!!」

 ヴェロニカが大きく手をかざす。

















 雲海を潜りぬけ、飛翔するワイバーンD.R。

 それを追い掛け、十四頭の首をのたうたせ、白と黒の多翼をはためかせる虚龍が雲から現れる。

 『セツナ・アオイ・・・貴様ヲ超えてこソ、『ワタシたち』は更なる高みへ、望めル・・・そしテ、この星を新たなる母星とシ、『ワタシたち』種ハ繁栄を極めるのダ・・・再び、宇宙そらへと至るためニ・・・』

 「これが、シャオ先生の言っていた原初の・・・!『竜の祖』・・・! このまま応戦しては地上に被害が、それに戦っている皆を巻き込んでしまう・・・それに、取り込まれたシャオ先生を助けなければ・・・どうしたら・・・!!」

 セツナは空を翔けながら戸惑う。

 その時、雲を抜けて一機のドラグーンが割り込んできた。

 「ミカエラッ!! 貴様は失敗作だ!!! 私が処分してやる!!! 出来損ないめっ!!!」

 アリーザがジズの歪な銃身をかかげ、言い放つと先砲に暗黒の邪影が集束、それとともに機体が侵食されボロボロと崩れ始める。

 「ゲノムブレイカー最大チャージ!!! ゴミ屑に変えてやる!!!」
 
 コックピットのアリーザも肉体の侵食が進む。

 「死ね!!!! テトラマトリクス・ゲマトリアデスペイン!!!!!」

 黒い波動の閃光が幾重にも歪曲し穿たれ、虚龍を包み込むと、その巨体を震わせ苦しみだす。

 身体を構成する組織が崩れ始めてきた。

 「ハハハハハハッ!!! 滅べっ!! 滅べっ!! ほろ・・・っ、ごはぁっっ!!!!」

 大量の黒い血を吐き出すアリーザ。

 それに合わせ、閃光が徐々に弱まり途絶える。

 「ごほっ!! 身体が・・・! 言う、事・・・を・・・!!!」

 コックピットをどす黒く染め、血を吐くアリーザの眼前に巨大な首がしなりジズの機体に叩きつけられた。

 そしてそのまま撃墜され、雲の合間に消えていった。 

 
 一部始終を見ていたセツナは今だ、苦しみ悶える虚龍の胴体、その一部の場所から何かの塊が肉にまみれて浮き出るのを発見した。


 「!! あれはっ!!!」


 それは、シズクたちのドラグーンとシャオのドラグーンだった。


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